ぴかぴか(新しい)毎日クリックありがとうございます
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へ にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村 ポエムブログ 自作詩・自作ポエムへ にほんブログ村 ポエムブログへ   にほんブログ村
 

2017年08月12日

147 夏の忘れ形見 さちの娘みち9 ❀三月さくら2017❀  【三月さくらZ-3】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
5794226アガパンサス by D-cuprio.jpg


さて、みちの婚約者の発表は?
有力候補がいたはずですが…
昂輝とみちの会話の続きから★


「ここには来てもいいって許可はもらえたんだけど、志貴までも、叔父さんたちが選ぶ相手の方が君を幸せに出来るって言うんだ。
 どうしたら俺が認めてもらえるか考えて、俳優に本腰を入れた。何かこれってものを掴めるまでは、君とは会えないと思ってたんだ。覚悟がゆらむから。
 ごめん。この間の打ち上げでも素っ気なくして。君の気持ちも知らなかったし、志貴からいよいよ君の婚約者が決まりそうだって聞いてたから、今日あたり来てるだろうなって思って、ここに来るのも全然気が乗らなかったんだ」
「私の婚約者って?! 」
「さっき紹介されてたんじゃないの?君の叔母さんと一緒に話してたよね。大木とかいう…」
「ああ、大木さんなら、従姉の相手にどうかと言われてる人よ。私のために誰か他の人が呼ばれたことはないわ」
「どういうことだろ。さっき社長が…」
「叔父さんがこの部屋に入る前、言ったのよ。『さぁ、ずっと王子を待ってたんだろう?中にいるよ』って。ねえ、叔父さんが、ここに来るように言ったんでしょ、今日も」
「うん」
「前の時もここに来るのを許可されたって」
「志貴の友人としてだよ」
「ここには、ただの友だちを簡単に招待しないわ。家には呼んでも、ここに来るというのは、なんというか…」
「どういうこと?」
 聞きながら、昂輝は理解できたような気がした。ここに呼んだ初樹の意図も。自分はとっくに許可されていたんじゃないか、きっと。
 昂輝はみちににっこり笑い掛けて言った。「行こう。君の叔父さんに話をしなければ」
 彼はみちの手を引いて、初樹の許に直行した。その場にいた者たちは、皆そのカップルに注目した。皆が心の中で応援していた二人だったから。
「出来たの、告白」と、初樹は言った。
「ええ」昂輝はいっぱいになりそうな胸で、息を吸い直すと言った。「…あの、お願いがあります。…みちさんと、お付き合いさせて頂きたいんです」
「君が健全に付き合うと約束するなら」
「はい」
「ようやく出来た」
「?」
「長い間、ヤキモキさせて。みちが王子をずっと待ってるのに、見かねてたんだ」と、初樹は笑顔で言った。彼の傍らには麗美が来ていた。「この人も、みちの相手は君以外有り得ないって、入れ込んでてせっつくし、俺も間に挟まれて気をもんだよ」
「俺のこと、認めてくれてたってことですか?」と、昂輝。
「だから、ここに招待しただろう、渡米前に」
「そうゆうことだって、俺は知らなくて…。どうして言ってくれなかったんですか?」
「最初は言わないのがルールだよ」
45

昂輝は二年前の最初から
さちの婚約者候補だったんですね。
本人だけ知らないまま…。

引き続き、↓次の回もご覧ください。






41989141_v1341507253.jpg


叔父の立場として
みちと昂輝に
OKを出した初樹でしたが…★


「君がどういう男か知るための期間が必要だったし。いい奴だから認めてもいいかと思っていたら、渡米するというし、勉強するのを邪魔するのは、なんだし…」と、初樹は弁解を連ねた。「みちとの相手役に決まってからは、役に集中させたかったしね。言ったら、役どころじゃなくなってたろ?」
「まぁ、そうですが…。社長も、志貴も、人が悪いな」昂輝は言いながらも、もう気にしていないようだった。「以前、生き方をワイルドにしろって、言われたでしょう?すっごく刺激になりました。今もあんまり変わってないですけど」
「まぁ、ワイルドって柄じゃないよな、君は。でも、別の意味で男っぽくなったと思うよ」
「はぁ」
「君を見ていると、シド兄、…みちの父親を思い出すよ。一見、ストイックで真面目風なんだけど、けっこう型破りというか、マイペースなところもある人だったんだけどさ…」
「みちさんのお父さん…?」
「どことなく似ているよ」
「パパに似てるかな?」と、みちが口を開いた。「どんなところが?」
「男前のところとか」と言って初樹は笑った。「うーん、そうだな、言い出したら聞かないところかな。一途というか、頑なというか…」
「そうね、奥さんに一途な人だったものね」と、麗美が思い出すように言った。
「会いたかったですね」と、昂輝が言った。
「君は、会えなくてよかったよ。生きてたら、絶対みちを手放すわけがない。難癖を付けて、ねちねちいじめたかもしれない」と、初樹が笑った。
「いじめてたのは、あなたじゃないの?」と、麗美が言った。
「何を言い出す。君が肩を持つのはわかるよ、昂輝はイケメンだからね。言っとくけど、最初会った頃は、まだ甘いマスクでなんでも許されるって感じの、うぶいだけの奴だったんだから」
 昂輝は、初樹たち夫婦のやり取りを聞きながら、心が、霧が晴れるように晴れ渡ってくるのを感じていた。自分に自信がないから、逃げるようにここを離れていたのに、そんな自分を待っていてくれて、こうやって受け入れてくれる。そんな温かさに、昂輝はようやく気付いていた。
 初樹はまた昂輝の方に向いて言った。「それから、みちの母親にも、早めに挨拶に行くこと。お祖父さんとお祖母さんも待ってると思う。お祖父さんは話が長いと思うけどね、しっかり聞くんだよ。このコミュニティーの神様的存在の一人なんだから」
「はい、わかりました。近いうちに、丹野家に行きます」と、昂輝は律儀に答えてから、切り出した。「あの、二人で外に出たいんですけど、今」
「今?!外で君たちが会うのは、まずいんじゃないか?」


2010.07.02 和泉川 アガパンサスの小道

46

無名の頃のデートの約束。
今、それを果たそうというのは
無茶そうですが…
“星の家”ファミリーなら
どうする?
登場人物の確認は家系図をどうぞ。 
(さちの父、志道が亡くなった頃の家系図。この物語は、数年後の設定です)
  「三月さくら」シリーズ 前後のお話は こちらから。




よい一日 よい夢を

クリックありがとうございます
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へ
にほんブログ村
写真は:「アガパンサス」by D-cuprioさん
「写真素材 フォトライブラリー」からダウンロードしました
無断転用はご容赦願います
アガパンサスの小道
by (C)ひでわくさん
画像あるいはタイトルクリックで写真のページへ
撮影者の名前をクリックすると撮影者のページへリンク
撮影者に許可を得て使用しています
無断転用はご容赦願います



プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか


【関連する記事】
posted by kuri-ma at 06:03| Comment(0) | さちの娘みち 【三月さくら】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月11日

146 夏の忘れ形見 さちの娘みち8 ❀三月さくら2017❀  【三月さくらZ-3】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
2924336アガパンサス by digi-view.jpg


昂輝の何年越しかの思いが
ようやく
実る時が来たようです★


「嬉しい」みちが言った。
「…嬉しい、って?」ようやく彼は上ずった声で聞き返した。
 みちは昂輝を見上げて言った。「ええ」
「…ってことは?」
「私も昂輝さんが好きです」
 確かに両耳でその言葉を聞くや否や、抑えていた彼の思いは頂点に達し、彼女を強く抱き締めた。昂輝の心には、今まで味わったことのない感情がわっと湧いて来ていた。
 思ってもいなかった。よもや彼女が、自分の思いに応えてくれるなど。
 彼の目からも涙が溢れ、止まらなかった。絶対難しいと思っていたものが、180度回転して自分の許に飛び込んで来た。昂輝の腕の中に、得難いと思っていたみちがいた。

 しばらくして、二人はソファーに並んで座った。
「びっくりした。昂輝さんがあんなに泣くなんて。私の涙も引っ込んじゃった」
 昂輝は照れ笑いしながら言った。「こんな時は何度もないと思うよ、一生のうちでも。俺はずっと君が好きで、まさか君が俺の思いに応えてくれるなんて、思ってもみなかったんだ。嘘みたいだよ」
「ほんと、嘘みたい。私も、さっきまでは別の意味で泣きたい気持ちだったの。女優になんかなるんじゃなかったって、思って。これが、本当の昂輝さんよね」
「本当の俺?」
「いつも固いバリヤーがあって、役の中では優しいのに…」
「俺が君に冷たくしてたのはね、気持ちを抑えるために必死だったんだ。ああでもしないと、役にもなり切れなかった。ごめん。ひどすぎたかな?」
「きっと役作りのためなんだって思ってた。でも、役の中だけ幸せな恋人同士で、そのギャップが辛かった。ドラマが終わっちゃって、もう本当に女優もやめようと思ったくらい。今日昂輝さんが来なかったら、そうしたかも」そう言うと、みちは涙ぐんだ。
「引っ込んでたはずなのに」その涙を指で受けて、昂輝は優しい笑顔で言った。「女優をやめるなんて。俺のことと、女優は関係ないことだよね?」
「私にはね、同じことなの」みちは笑みを浮かべながら話し始めた。「…まだ高校生の頃、まだ恋に恋するようなそんな私に、優しくしてくれる素敵な人がいて、いつかその人がデートに誘ってくれるんじゃないかって夢見てたら、夢に終わってしまったの。突然現れなくなって、アメリカに行ったって知って…」
「ごめん」
「約束したのに」
「それ、もしかしてドライブの誘い?まだ有効だった?」
 みちの目にはまた涙が溢れ、もう声にならなかった。母親譲りで泣き虫なのかもしれない。
43

泣いてばかりの二人ですが
なんとか思いが通じたようです
まだ…、続きます

引き続き、↓次の回もご覧ください。






5193956アガパンサス by parus.jpg


みちは昂輝のことを
いつから好きだったの?
今日は彼女が女優になった
いきさつが明らかに★


 ようやく涙の落ち着いたみちに、昂輝は尋ねた。
「女優の勉強はいつ始めたの?」
「あなたが渡米してから。その頃の私は、何をしたらいいかわからなくて。『ただ、かわいいってもてはやされる人になりたくないなら』って、私の好きな叔母さんが、『準備してなさい』って。そこらの女優さんよりきれいなの、この叔母さんって」
「Remiさんじゃなくて?」
「麗美叔母さんも素敵だけど、三和の叔母さんよ。会ったことなかった?」
「三和産業の社長夫人だね。一、二度会ったよ。君によく似ている」
「そうかな。叔母さんほどの美人はいないわ。
 でね、叔母さんに『準備しなさい』って言われて、『何を?』って思った時に、昂輝さんと同じことをやってみようって。
 そのために必要な基礎と思って、バレエとか日舞とか、演技もだけど、一通り習えるだけ習ったの。本当に女優になろうと思ってたわけじゃない。ただちょっと、あなたと同じ空気というものを感じたいというか…。ロミ・ジュリ≠フ話が来た時…」
 みちは、言葉を継いで言った。「相手役があなただって聞いて、思い切って受けることにしたの。…それに、ジュリエット役は二十歳未満しか取らないって聞いて、演るのは今かなって」
 それまで、黙って聞いていた昂輝は、みちの気持ちがわかって、更に彼女が好ましく思えてきてならなかった。
「ロミオとキスシーンがあるのは知ってた?」
 みちは急に恥ずかしそうに顔を伏せて、答えなかった。
 昂輝は重ねて訊いた。「どうなの?」
「最初からは知らなかったわ」
 みちも応酬した。「ドラマの監督が言ってたけど、昂輝さんは前のドラマの時、キスシーンは絶対やらないって言い切ってたんだって?昂輝さんは知らなかったの、この間のキスシーン?」
「知ってたよ。もちろん最初から知ってたわけではないけど、察しはついてた。あの監督なら当然だ。
 そうだよ、君とだから受けたんだ。役得というより、他の奴に君の相手役をやってほしくなかった。初めてだよ、あんなに素直に全て監督の言う通りラブシーンやったの」
 昂輝は、隣にすわるみちに更に近付き、ゆっくりキスをした。
「これは、役はかぶってないから」と、昂輝は照れ交じりに言った。「俺がね、二年半前、突然ここの集まりに来るのをやめて、アメリカに行ったのはね、実は丹波野事務所の社長にいろいろ言われたのが、こたえてね」
「初樹叔父さん?」
「そう。君と付き合うには、君の叔父さん叔母さんに認めてもらわなければ駄目だって聞いてね、志貴に頼んで話をしたことがあったんだ。相当手厳しく言われたよ」
44

心が通じ合うというのは
いいものです
でも実はこの二人…
登場人物の確認は家系図をどうぞ。 
(さちの父、志道が亡くなった頃の家系図。この物語は、数年後の設定です)
  「三月さくら」シリーズ 前後のお話は こちらから。



よい一日 よい夢を

クリックありがとうございます
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へ
にほんブログ村
写真は:「アガパンサス」by digi-viewさん
「アガパンサス」by parusさん
「写真素材 フォトライブラリー」からダウンロードしました
無断転用はご容赦願います




プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか


posted by kuri-ma at 05:47| Comment(0) | さちの娘みち 【三月さくら】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月10日

145 夏の忘れ形見 さちの娘みち7 ❀三月さくら2017❀  【三月さくらZ-3】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
風にそよぐ。


“星の家”の集まりにやってきた昂輝。
やはり好きな人の姿は見たいですし
決定的なことがないかぎり
諦められないようです★


 昂輝は、その場にみちの婚約者がいるのだろうと、目で探した。
 大体は、前と同じ顔ぶれの、“星の家ファミリー”だったが、一人、目新しい男が目に留まった。麗美たち叔母さん連と、談笑していた。彼に違いない。
 志貴に確認しようと思ったが、昂輝はたちまち皆に取り囲まれ、様々な質問を受けた。皆がみちの相手役の彼を、好意的にしかも好奇心旺盛に見ているのだった。
 ひとしきりの質問で、皆の関心が去って、彼の人垣がなくなると、初樹が近づいてきた。
 ちょうどその時、みちが麗美叔母を間にして、先ほどの婚約者と思しき男と談笑している姿が、昂輝の視界の中に入っていた。
「ドラマ、お疲れ様」と言いながら、初樹がにこやかに昂輝に笑いかけた。
 外見の朗らかさとは裏腹の、二年前の彼を黙って去らせるほどの凄みの両面を知っていたから、この初樹叔父がにこやかにしているだけでは、昂輝は気持ちがほぐれはしなかった。
「ここの連中は皆、昂輝とみちのカップルに夢中なんだ」
「役柄上に過ぎないのに」と言って、昂輝は苦笑いした。
「君はどうなの?以前はみちに熱い思いを持っていたと思ったのに、今はあきらめたのか?」
「あきらめられたら、ここには来ませんよ」
「ふーん。どう、仕事期間中にみちになんかモーション掛けたんだろう?」
「そういうことが出来ると思いますか?」
「なんで?昂輝君、君はみちに自分の気持ちを告白したことがあるの?」
「いえ」
「それらしいことは言ってるんだろう?」
「ないですよ」昂輝は自嘲気味に言った。「そんなこと、出来るわけがないでしょう」
「どうして?」
「みちさんの相手は、社長たちが決めるんでしょう?もう、婚約者が決まるとも聞きました」
「誰から?」
「志貴がちらっと」
「ふむ」
「今日来ているあの人がそうじゃないんですか?」
 初樹は昂輝が見る視線の方を振り返って確認した。
「ああ、大木君ね。彼はいい青年だよ。君と同じ立場としてここに呼ばれてる」
「?」
「君は、告白もせずに逃げるってわけ?有力候補だったんだが」
「俺が、…何ですって?」
「君をみちの相手役に選んだのは俺だよ。ただみちを売り出すために、みちを好きだとわかっている男にそんな仕打ちをすると思うかい?」
「…?」
「俺たちは、みちが女優として大成することより何より、あの子が幸せになることを願ってるんだ。本当なら、女優なんかにさせたくなかったくらいだ。なぜ君を相手役に選んだかわからない?」
「…」
「わからないかな。まぁいい」
41

姪を溺愛していそうな
初樹の本心とは?
もしかして
昂輝にもチャンスが残ってる?

引き続き、↓次の回もご覧ください。






2926521アガパンサスの花 by yoppy218.jpg


初樹に煽られて
ようやく昂輝も
男らしく決められるか!


 まだ事態を飲み込めず怪訝な顔の昂輝に対して、初樹は挑むように言った。「今日、みちの婚約相手を発表するよ。君が降りると言うなら…」
「俺にも、チャンスがあるってことですか?」
「みち次第だろう。最終的にはあの子が選んだ男と付き合って結婚するのが筋だ。俺たちが無理に誰かと結び付けようとする気はないさ。…さぁ、どうする?君が告白もしないなら…」
「します!」と、昂輝は思わず叫ぶように言った。
「いつ?」
「今すぐ」
 気づけば彼はそう答えていた。
「よし、じゃあ近くに公園が…、いや、君たちは目立っちゃうよね。じゃあ一度ここを玄関から出て裏に回って。中に部屋があるから、案内するよ」と、初樹がにこやかに言う指示にただ昂輝はわけもわからず従った。
 裏に回ると、初樹がいて、スタッフの控え室に案内された。ずっと以前は畳の部屋だったが、フローリングにソファーというように改装されていた。
「エアコンは今入れたばかりだから、ちょっと暑いけど我慢して」
 そして初樹はみちを呼びに行く前、こう言い置いて行った。「さっき、みちがね、君がまだ来ないと言って、今にも泣き出しそうだったんだ」
 初樹は、今更だが分の悪い自分に希望を持たそうとしてくれているのかと思いながらも、それを聞くと、昂輝の息は少し荒くなった。さっき、笑いかけてきた様子を思い出した。まさかという思いで、動悸が激しくなった気がした。
 待つ時間も長いのか短いのかわからないうちに、みちが、部屋に入って来た。
 慕わしい、姿だった。この数年間思い続け、それを抑え続けてきたが。それにしても、そう、今会ったばかりだとしても、恋に落ちたに違いない、と昂輝は思った。
 仕事であっても役を演じる時以外は、まともにみちを見つめたことがない昂輝だった。最初で最後かもしれない。ただしばらくじっと見つめるしかできなかった。
 そして、ようやく昂輝はみちから目を放すことなく言った。「話したいことが…」
「はい」と言って、みちは少し顔を伏せた。
 昂輝は、ついに口を開いた。「君のことが好きなんだ」
 どうしても今まで言えなかった言葉を、ようやく声にすることが出来た。それだけで、十分に満足だった。誇らしい、晴れやかな気持ちになった。
 あとはじっくり時間を掛けて、みちが自分の思いに応じてくれる望みを持って待とう、というくらいの気持だった。余裕を得た彼は、にっこりと笑いかけた。
 しかし、みちの反応は彼の予期しないものだった。彼女の目には一気に涙が浮かんだ。
『えっ?』
 昂輝が戸惑っているうちに、みちが泣きながら、体ごと抱きついて来た。
 胸の動悸は更に激しくなり、幸せの予感が一気に迫ってきて、耐えられなくなりそうだった。それを確認する言葉も出て来なかった。
42

ようやく告れました。。。
え、もしかして、みちも?
このシーンはまだまだ続きます
登場人物の確認は家系図をどうぞ。 
(さちの父、志道が亡くなった頃の家系図
この物語は、数年後の設定です)
  「三月さくら」シリーズ 前後のお話は こちらから。



よい一日 よい夢を

クリックありがとうございます
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へ
にほんブログ村
写真は:風にそよぐ。
by (C)芥川千景さん
画像あるいはタイトルクリックで写真のページへ
撮影者の名前をクリックすると撮影者のページへリンク
撮影者に許可を得て使用しています
無断転用はご容赦願います
「アガパンサスの花」 by yoppy218さん
「写真素材 フォトライブラリー」からダウンロードしました
無断転用はご容赦願います



プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか

posted by kuri-ma at 05:00| Comment(0) | さちの娘みち 【三月さくら】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする