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2017年06月19日

99 水族館とキス1 〜丹波野エンゼルフィッシュ  ❀三月さくら2017❀ 【三月さくらY-4・1】


新しい章のスタートです。
3話まとめてどうぞ★
小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
0107_s竜宮城ツアー.jpg


碧斗と未来の件が
落ち着いて
さて、志道の行く道は…?★



  第四章 丹波野エンゼルフィッシュ


    第一節 水族館とキス




 その日は朝から落ち着かなかった。雑誌のインタビューと撮影があるということで、家で家族が集合させられたのに次いで、“Jiro’s home”で、麗美は長時間インタビューを受けていた。
 遅れてきた初樹は、直ちに事態の収拾に取り掛かった。
「申し訳ありませんが、もう約束のお時間は過ぎているようですね」
 初樹は、そこで、空から伝授された笑顔をインタビュアーに向けた。持ち前の上目遣いの視線と交互にすると、すごく効果的に、嫌がられずに事を進めることが出来た。
「あと五分でお願いしますね」
 初樹はそのままインタビューに立ち合い、「はい、五分経ちました。お疲れ様です」と、切り上げてしまった。
「麗美さん、事務所で待ってもらえますか」
 そして、雑誌社の者たちにはにこやかに言った。「いやぁ、長時間お疲れ様です。できあがったら、必ず僕の方にメールで送ってください。直接社長や麗美さんに持って行くのは無効ですよ。僕を窓口にしてくださいね」
 彼らが行ってしまうと、初樹はほっと溜息をついた。
「さすがだね」と、空が言った。
「ちょうど喜多さんにアドバイス受けたところなんだよね。結構よくない雑誌もあるみたいだから…」
 “Jiro's Home”や志道の背後で、何かちらちら動き回る影があることに、まだ誰も気付いていなかった。

 志道がさちを送るため病院の駐車場で待ってる時、いつか駅まで送った看護師が出て来た。志道は挨拶をし、さちのことを訊くと、後三十分残業するという。
「じゃあ、駅までなら送りましょう」と、その看護師を車に乗せた。
 その日、さちは疲れ切って車に乗ると早々に眠ってしまった。
 昨夜碧斗を送って以来、“水族館”と“キス”という言葉が頭から離れない志道だったが、その機会は作れそうになかった。
 大学受験の頃の、単語を暗記する時二つペアで覚える癖が、志道にはまだ残っていた。それは彼には効果的な暗記法で、単独で覚えるより、相乗効果で忘れないのだった。
 まずいことはといえば、いったんペアを組むと、関係ない時ももう一つの単語が連なって浮かんできてしまうことだった。
 帰り際に志道は訊いた。「この夏は出産が多いんですか?」
「年がら年中、多いわよ」
「この間の休みも急遽出勤したでしょう。今度の休みはいつ?」
「金曜日」
「だいたい休みも合わないし、あなたは夜勤明けでしょう。休養も必要ですよ」
「したいことがあるなら、今しましょう」とさちが言った。
 “水族館”と“キス”が、志道の頭をよぎりドキッとなった。

さて、志道は水族館に行けるのか
そして、キスは…💕






薔薇〜白〜


「水族館」と「キス」。
二つの単語が
浮かんできてばかりいる志道です。
志道とさちの会話の続きから★


「さっき水族館って言ってたのは?」と、さちが言った。
「えっ僕が?!」志道は更にドギマギし出した。一見すれば表情に変化はないようだが、さちにも何かが伝わってしまったのだろう。
「行きたいってこと?」
「水族館って言ってましたか?」
「ええ、確かに」
「ああ、碧斗が未来と行くって言っていたので…」
「彼らうまくいっているのね。志道さんが行きたいなら、私たちも行かない?なんかさっき一言、“水族館”って呟くから、気になっちゃって」
「でも、今からは無理ですよ。あなたは疲れてるし、僕も仕事があります。また今度行きましょうか。家にも連れて行きたいし、ゆっくり話もしたいし、本当は…」
「本当は?」
「…本当はもっとずっと一緒にいたいのに」
 志道はさちを見つめた。頭に“キス”の言葉が浮かんだが、車の外は明るい朝のこと、人通りも多いこの時間、車中とはいえ、その時の志道には不可能だった。彼の出来ることは、さちを見つめ、その手を握るくらいだった。
 時間を引き延ばしても、結局その日はそのままさちと別れるしかなく、彼女を見送ってから志道は溜息をついた。
「もう会いたい」そう言ってはまた呟いた。
「水族館か」そしてもう一言「キスか」
 志道は早速その日のうちに金曜の夜の時間を調整した。


 さちは、入浴後も疲れた体を持て余していた。というより、その心がすっきりしないのだった。
「玉の輿か」さちは溜息をついた。
「そんなものどっちでもいい。好きになる前なら避けて通れたのに」と、呟きながら笑った。
「それも無理だったかな。あの人がしつこすぎるんだもの。今更、存在感が大きすぎて」
 布団に身を投げ出すと、振り切るように言った。「…ピアニストでも三和の孫でも何でも、関係ない。大統領だって、どこかの王子様だって、みんな女のお腹から生まれてきたんだから」

 志道はさちがそんなことを考えているとは知らず、また会える日ばかりを思っていたが、折角調整した金曜の夜の約束も不本意ながら流さなければならなくなった。志道の祖父、三和孝司が、“Jiro's Home”に訪ねて来るということだった。
 孝司は喜多と共にやって来た。未来の次は気になるのは志道だ、というわけだった。
 あの彼のお披露目となったパーティー以来、当然出て来てもいい志道のピアニストデビューについての一件は、実は何も動き出さないでいた。志道も積極的なことを一つも示さなかったし、まるで何もなかったように日々が過ぎていっていた。やはりこの人が動かなければならなかったのかもしれない。
 志道はうんと言ったわけではなかったが、孝司と喜多に説得される形で、Noとはっきり言わない限り、このままCDは発売されることになりそうだった。
「父さんと母さんに相談したいんですが」
「いいだろう。誰にでも相談したらいい」
 志道は、孝司たちを見送ると、両親と話をするために、早い時間に店を後にした。その際、バイトの女子学生を駅まで送って行ったが、彼女がとんだ伏兵になることは知る由がなかった。
 また偶然にも、その二人の姿をさちが見ていたのだったが、それも車中の二人は気付かなかった。
「私の方から会いに来てあげたのに」さちは呟いた。「ずっと一緒にいたいって言ってたじゃない」
 
志道がピアニストに?!
それよりも「水族館」じゃなく
「キス」の方が気になりますか…。






続・・薔薇2


志道に持ち上がった
ピアニスト・デビューの話。 
彼の心が向かうのは…★


 志道は両親に一部始終を報告した。
 話す中で、それまでどうしても能動的になれなかった気持ちが、切り替わっていくのを感じていた。
 更に、治郎と陽子は、昔のことを思い出すように言った。「あの時喜多さんの勧めでレコーディングしていなかったら、音楽業界とは無縁だっただろうな。今の父さんはないと思う。だから後悔していないし、むしろ本当によかったと思っている。
 でも、あの頃は何が辛いって、自分の好きに弾いているだけの時と違ってさ、ずっと母さんに会えなかったのがね。今思えば、その期間があったから、とも思えるんだが、その頃は耐えられないくらい辛く感じたよ」
「志道、あなたはさちさんと相談しなくていいの?」
 そんな風に両親に言われたことで、志道の思いは一気にさちに向かった。連絡しようと思って携帯を開くと、メールが来ていた。志道は空に電話し、すぐに車を出して、店に向かった。
 駐車場に止めようとした所で、空に会った。
「兄貴、今日は早めにみんな帰したから」
「ありがとう、空」
「待ってるよ、中で」

 いつもより照明を落とした中に、さちは座っていた。志道は黙って横に座った。手を取ろうとして、彼女の目に涙があることに気が付いた。
「えっ、何かあったんですか?」さちは首を振って、涙をふいた。
「ただ会いに来ただけ」
「嬉しいな。あなたから会いに来てくれるなんて。話したいこともあって、連絡しようと思っていたところだったんです。でも、なんで泣いていたんですか?」
「いいの。なんの話?」
「今日ね、僕の祖父がここに来たんですが、要するに、僕に音楽の道に行けということなんです。あなたはどう思いますか?」
「私に訊くの?」
「聞きたいです」
「それって、つまりお父さんや麗美さんみたいに、コンサートしたり、CDを出したり、TVや雑誌なんかに出たりとかってこと?」
「TVや雑誌ですか。取り敢えずはCDとコンサートは考えていたんですが。今までのように作曲したり。でも、それだけでは済まないかもしれないですね。父や妹を見ててもそうだし」
「お祖父さんって、絶対的な存在なの?お祖父さんがこうしろって言ったから、しなくちゃならないの?」
「お祖父様は会社では厳しいのかもしれないけど、僕たちには、そんなことはないんですよ。両親と同じように大事な存在だから、大切にしたいとは思いますが」
「家族の意見もあるだろうけど、あなたの気持ちの方が重要なんじゃない?」
「僕?僕は欲はないんです。今までと同じように、ピアノに向かう時間が持てればいいと思っているんです。ただ、この間パーティーで弾いた時、拍手を受けて、それが今までにない刺激になったことも確かです。皆に聴いてもらう喜びというのか、ちょっと感動を受けたんです」
「あなたがやりたいなら、迷うことはないんじゃない?」
「僕にはもうひとつ大切なものがあるんですよ。絶対に失いたくないんです」
 志道はそう言ってさちを、じっとみつめた。

志道のまっすぐな
視線の意味は…?!
明日に続きます。
お楽しみに!
前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次                        
登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]

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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
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【関連する記事】

2017年06月18日

(詩) 露と梅雨とつゆの詩(うた)  2017


梅雨の季節。
じめじめとならず
適度な潤いが
いいのですが…★
ときどき雨。
 


露と梅雨とつゆの詩(うた) 」



月並みな恋でいい
月並みな言葉でいい
作り笑いもいらない
積もり積もった思いは
ついに満たされる

夢はささやかだけど
ゆっくり歩いてくれる?
行方知らずだった 君の心は
ゆるやかな カーブを描いて 僕のもとに


月並みな出会いだけど
月並みより 好きだったよ
机の上の 計画ではなくて
次々起こる偶然の連続が
ついには奇跡になった

夢と現実のはざまで
勇気が持てなかったね
行方知らずだった 二人の未来は
ゆったりと 弧を描き 幸せへ続く 


つれなくしてごめん
冷たく突き放したことも
つよがりも わがままも
ついつい 怒らせてしまったことも
つながりを信じてたから

夢はささやかだけど
ゆっくり歩いていこう
行方知らずだった 僕の心は
ゆるやかな 愛を持って 君のもとに




「つ」「ゆ」で遊んでみました。
タイトルは梅雨がでてきますが
「つゆ」の「つ」と「ゆ」で
頭韻を踏ませている以外は
季節感も入っているわけではありません。
梅雨ともいえるし、露ともいえるし、
どっちでもないのですが…
こういう言葉遊び的な詩は好きなんです。





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2017年06月17日

98 真夏の夜の夢?! 〜夏祭りの晩に〜2   ❀三月さくら2017❀ 【三月さくらY-4】 


碧斗と未来の物語
「じゃじゃ馬ならしプロジェクト?!」の最終話。
初デート…
とっておきのシーンです★
小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
3950042朝顔.jpg


夏祭りの晩の続きから。
「好き」と伝え合った二人は…★


 未来は言った。「私、自分でも気が付かなかったけど、ずっと待ってたの。いっつもわがまま言ってるように見られるんだけど、ほしいものをはっきり言えなかったのね。ホントにほしいものって、ほしいって言えなかったりするのね」
「なんだよ、それ」
「私は我が儘で言いたい放題って思われてるけど、とても受け身的な人なの。最初の言葉は碧斗から聞きたかったの」
 碧斗は微笑んでもう一度言った。「ずっと未来が好きだった」
 未来のパッチリとした目に涙が溢れてきた。そんな潤んだ目で碧斗を見つめて言った。「碧斗のことだけ好きだった」
「うん。俺もだよ。…こういうこともやっぱり俺からってことだよね」
 碧斗は未来の手を引いて、人目の届かない木の陰に連れて行き、口付けした。
「今日は帰りも手を繋いで帰ろ」
 一度放していた手を繋いで、まだやっている屋台を覗きながら二人は歩いた。鳥居を過ぎて、そしていつのまにか駅の方まで来てしまった。
 店まで自転車を取りに行くのもなんだからと、電車で帰ることにした。
 未来を家に送り届け、別れ間際のなんと名残惜しかったことか…。

 “Jiro's Home”にいる志道からメールが入っていた。碧斗はその足で志道の許に向かった。
 入り口は開いていて、志道がピアノを弾いているようだった。灯りはほとんど消された中で、ピアノの音が際立つように聞こえていた。
 ひとしきり弾き終わると、志道は碧斗の側にやって来た。
「ごめん。邪魔しちゃった?」碧斗は言った。
「待ってたんですよ。送りながら、話しましょうか。今晩はどうでしたか?」
「うん、よかったよ。なかなか二人だけで会う機会がなかったから。毎晩自転車で送って帰るんだけど、いつもは照れ臭くってさ、まだ未来にはっきり好きだとも言ってなかったんだけど」
「今日は言えましたか?」
「うん。自然に言えてしまった。不思議だよね。俺って、こんなにも未来が好きだったんだって。好きだって言ったら、もう可愛いくてさ、キスまでしてしまった」
「へぇ」と言いながら、志道は何気ない顔の中に驚きを隠し込んだ。
「若者はやりますねぇ」
「志道兄だって、まだまだ若いでしょ」
「あなたの勢いには負けますよ」
「一気に行きすぎだったかなぁ。まだ、お祖父さんの許可ももらってないのに」
「ああ、そのお祖父様ですが、日曜の午前中なら時間が取れるそうですよ」

いよいよ次は
「じゃじゃ馬ならしプロジェクト?!」の
最終話となります。
「終わりよければすべてよし」となりますか、
お楽しみに!
引き続き、↓次の回もご覧ください。






2770182マメアサガオ.jpg


「じゃじゃ馬ならしプロジェクト?!」の最終話です 
碧斗と志道の会話の続きから…★


「日曜か」と、碧斗は言った。
「何か予定ありましたか?」と、志道。
「うん、大丈夫。未来とどこかに行こうと思っていただけ」
「お祖父様と会った後、時間がありますよ」
「そうだね。じゃ山はやめて」
「山?」
「兄貴に最初のデートのことを聞いたらね、“海、山、街”どこがいいって聞いて、海になったんだってさ。水族館に行ったらしい」
 志道も、さちと見た海岸の風景を思い出した。
「きれいな景色を二人で見るというのもいいものですよ」
「うん。じゃあ海プラス水族館コースといこう」
 碧斗を送り届けると、実は一番奥手であり、出遅れた感のある志道はつぶやいた。
「水族館か」そしてまた一言「キスか」

 碧斗は自分の部屋に戻ると、仕舞ってあった箱を取り出した。あの頃遊んでいたおもちゃと共に、あのお面も入っていた。
 碧斗は手に取りながら、何かに思いを馳せているようだった。その目と口許には微笑があった。


 次の日曜日を待たずして、直接その人はやってきた。
 三和孝司は、“星の家”のドアの鐘が鳴り終わらないうちに、自然に常連客であるかのように、カウンターに迷わず来て座った。
「コーヒー」
「お祖父様!」と、思わず言ってしまった未来に、星一が言った。
「未来ちゃん、お冷とお絞り頼むよ。コーヒーお聞きしてるから」
「はい」と言って、未来は「いらっしゃいませ」と言いながら、水とお絞りを出した。
 そこへ奥の厨房から碧斗が現われ、「はい、イタスパあがったよ」と、カウンターに置いた。
「丹波野さんセット行ってる?」
「あ、まだです」
「じゃあ一緒に持っていって」と碧斗に言われ、「はい」と、フォーク、ナプキン、タバスコ、粉チーズを持って、未来が運んで行った。
 それを見送ってから、碧斗は孝司に気付いた。
「こんばんは。ようこそいらっしゃいました」と碧斗はそう言って頭を下げた。
「聞いてはいたが本当だね。この目で君たちの姿を見てみたくてね。百聞は一見にしかずと言うからね。口では何とでも言えるが、これを見れば納得せざるを得ないね」と孝司は言った。
「普段の通りにしていてくれたまえ」と、孝司は碧斗を仕事に戻らせ、星一に向き直って言った。
「孫娘まで預かってもらって、本当にありがとう。あなたはどう思っているのかな、ふたりのことを?」
「正直言って、まだしっかり賛成しているわけではないんです、私は。二人の様子を見守って、賛成できるようになったら応援する、自重して付き合えって言ってあるんです」
「当然のことですよ」
 孝司の存在が気になりながらも、碧斗と未来は客の応対があったので、いつも通り動くしかなかった。
 孝司は星一と話を交わしながら、二人の様子を見ていた。
「治郎君の時と同じだな。どうも私は、あなたの息子さんを気に入ってしまったよ」
 そう言いながら孝司は治郎の時には断念したことを、今度こそ果たしたいと胸の内では思っていた。
 この晩の月は、もう後がないほどに薄くなって剣のように光り、きれいな弧を描いていた。

碧斗の兄とは星矢。
「海、山、街」の主人公ですね。
碧斗と未来は大学4年の夏。
志道は27歳。まだ若いですが
学生の勢いは刺激になるようです。

「じゃじゃ馬ならし」プロジェクト?!は
シェークスピアのスピリットと
もしかしたら“星の家”に住んでいる妖精の仕業
はたまた月のパワーで?!
区切りがつきました。

また次章からは
志道がメインのお話になります。
「水族館」と「キス」は
次章でもキーワードとなります。
碧斗と未来は
次の章にも少し登場しますが、
Z部「九月 孔雀の羽が広がる瞬間」
が続編となります。
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登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]

  ↖この時から2年の時が流れています



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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
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