ぴかぴか(新しい)毎日クリックありがとうございます
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へ にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村 ポエムブログ 自作詩・自作ポエムへ にほんブログ村 ポエムブログへ   にほんブログ村
 

2018年02月22日

39 《雪洗YOU禅物語’18》 泡になった人魚姫2  〜盛夏篇〜


今日は「泡になった人魚姫」
一挙に最終話まで☆
小説 ▼△ 雪洗友禅物語 △▼
ゆきあらいゆうぜんものがたり
ゆらめき。


香苗の話の続きから。
アンデルセン童話
「人魚姫」に話は展開します★


「私が最初に工房に行った時、結美さん『ああこの娘(こ)かって』思ったんだって。そういう話を少しずつ聞いていたらね、なんかお兄ちゃんの様子が見えてきた。きっと私のことを大切に思ってくれてるに違いないって、妹って言いながら。ねえ、もう一人の妹≠チて誰のこと?」と香苗は曇りのない笑顔で訊いた。   
 もう、とうに両手を挙げてしまいたい気分の私は、照れくさくて黙っていた。逃げ続けていた私を責めることもせずに、香苗は話を続けた。
「一年掛けて納得したの。お兄ちゃんの気持ちはどうであれ、私の気持ちは、はっきりしたの」
「カナの気持ちって?」
「私は圭兄ちゃんがとても大切。私は人魚姫になろうって」
「…人魚姫?!」
 アンデルセンの『人魚姫』の話を知らないから出た疑問符ではないのだが、香苗は分かり易く語ってくれた。
 嵐で溺れかけた王子を救った人魚姫は、王子に恋して、自分の声を犠牲にして人間の姿になる。一方王子は隣国の王女に介抱され、親しくなる。…
「王子様は人魚姫を妹のようにしか見てくれなくて、王女に夢中なの。唖(おし)になった人魚姫は、王子が他の女性と結婚したら泡になって消えなければならないのに、何にも言えないの。自分の気持ちも、自分が本当は王子を助けたことも。そして、結局王子様は隣国の王女様と結婚してしまって、人魚姫は、海に身を投げて、泡になって消えてしまうの」
「悲しいね」
「私は今までずっとお兄ちゃんにこの気持ちを伝えられなかったけど、泡になって消える自信もなかったの。でも一年間京都にいて、踏ん切りがついたつもりだった。
 お兄ちゃんの妹でも何でも、空気のように、ただお兄ちゃんの側で喜ばせられたらいいって。…でもね、難しかったな。だって、泡になる決心したつもりだったのに、心のどこかで王女様になれる期待も持ってて。ほんの少しの期待だと思っていたんだけど。
 …ちょっと人魚姫になり損ねちゃった」
「本当に泡になって消えられたら大変だった。…こんな風につかんだり、抱き締めたりできなかっただろ」私は香苗の肩を抱き言った。「私のことを王子様なんて言ってくれるのは、君だけなんだから。…でもその王子はそれからどうしたんだろう、人魚姫がいなくなって」
「王女様と幸せに暮らしましたってお話」
「ふーん」
「気に入らない?」
 ちょっと王子の方に感情移入しそうになったのをやめ、私は言った。「で、君は人魚姫をやめて、王女になったってことだよね」
90

人魚姫というのは片思いの代表ですね。
悲恋、純愛というものの象徴でもあるようです。
もう思いが通じたのですから
当然、人魚姫は卒業、ということでしょうか。
引き続き、↓次の回もご覧ください。






2010.03.12 池上本門寺 雲


泡になって消えるしかなかった
人魚姫の気持ち
それは香苗のそれと
重なるものがあったようです★


 香苗は私の方に向き直って言った。「簡単に言うのね。必死だったのよ。だってお兄ちゃんが言ったのよ。『女の子から言っちゃ駄目だよ』って。子供だったからって、馬鹿にしてたの?」
「君を馬鹿になんて…」するはずがない。馬鹿にできるわけがないのだ。
「だから私は唖(おし)になるしかなかったの」
「そうだね。すごいよ君は。願っていることを何でも叶えていく。ありがとう、あきらめないでいてくれて」
「本当に必死だったのよ。だから人魚姫は私のテーマだったの。
 …寂しかったし、辛かったけど、黙って待っててよかった。お兄ちゃんから本当にプロポーズしてもらえたし、本当に幸せ」と言い、香苗は私の肩に頭を預けてきた。
 よかった。父からのゴー・サインがなければ、プロポーズに至れたかどうか。私の言葉通りに、ずっと待っていてくれた香苗に対し、プロポーズこそがその約束を果たすことだったから。
「プロポーズって言えるようになったんだ」
「言えるわよ。お兄ちゃんは忘れちゃったのかと思ってた」
「忘れられるわけがないよ。顔を合わせば毎日のように言われていたんだから」
「嫌々約束したんだ」
「違うよ。とってもかわいかったんだ、君は。言われないようになって、ちょっと寂しいくらいだった。言われるのは嬉しくても、責任を感じてたんだよ。
 君は小さかったけど、しっかり覚えているんだね。…でも初めて会った時のことは覚えてないだろ?」
「お店で?いつなのかわからないけど、初めて会った時から、お兄ちゃんが大好きだった」
 あの、ショーウィンドー越しに初めて幼い香苗に出会った時の事を、香苗は覚えていないとしても私には忘れられない。あの時の目は、今も同じだ。
「私もだよ。愛している。今もこれからも、それから昔も。あの頃から、ずっと愛していた」
 彼女に愛の言葉を伝えると、不思議に私自身にそれがこだまし、魂の内から感動と快感が広がった。そして、自分自身が思っていた以上に、それは確信に変わっていった。私自身が認識していた以上に、私は香苗を愛していた。その思いは更に溢れるように大きくなっていくのだった。
 私の胸の中で盛んに沸き立っていたものは、泡になった人魚姫なのかもしれない。消えても、消えても、沸き起こる、天然のソーダのように、私の心の中に残り続けているから。

 山院を後にして、私は香苗を馴染みの問屋街に伴った。案の定、着物好きの彼女は十分に楽しんでくれたようだ。
 小物を扱う店で、今日の目当てのものを見つけた。友禅の小物入れ。
「ほら、簪(かんざし)はこういう物に入れるといいんだよ」
 香苗に好きな柄を選ばせて、金を支払った。
「昨日もこれを買ってもらったのに」香苗は着ているワンピースをつまみながら言った。
 何かを買ってあげて喜んでもらう、こんなささやかな事が、嬉しいのだと知った。毎年、簪や髪飾りを選ぶ時も、振袖を融通しようとした時もそうだった。思えば、いつかアイスクリームを買ってあげたあの少年の頃に、既に与える喜びは知っていたというのに。

91

圭一が少年の頃
そして香苗が幼い頃からの思いが
ようやく、糸がほどけたように
うまくまとまりました。
圭一があげたべっ甲のかんざし
そこに込められた思いも
それぞれに感じたようですね。
引き続き、↓次の回もご覧ください。






2010.04.30 祇園 都をどり


片思いが成就したとしたら
人魚姫は
王子様と幸せに暮らせたでしょうか…?★


 簪を仕舞い直す香苗に私は訊いてみた。
「日舞はなぜやめたの?」
「もう、いいかなと思って。そもそも着物をたくさん着たかっただけだから。正直、習うのはいいけれど、お月謝以外のお金が掛かりすぎるの。納得もできないのに。もう、はっきり言って、環ちゃんの踊りが師匠のよりも、いい位だと思ってるから、私」
 着物代や、新年の挨拶、発表会の時の御祝儀など、日舞をやり続ける限り、かなり掛かることは確かだろう。長くやれば、組織の嫌な面も見えるだろうし、環の名取の件で揉めたことからも、続けたくない理由があったかもしれない。

 例の帯の店に立ち寄ると、主人は香苗を見て言った。
「いやぁ、あの振袖のお人どすな。本人はんがお見えになるとは」
 主人は、香苗に、私がいかに丹念に帯を選んでいたか、明かした。
「あんな上物の振袖と帯を貢がはるお相手は、幸せや思ってましたわ」
 香苗は主人の話しを聞きながら、恥ずかしそうに微笑んでいた。

 午後には、帰途につくため京都駅に来ていた。
 私の胸には、その日ずっと沸き立つものがあった。この‘魂の波動’は愛から来るものらしい。香苗を愛しいと思うと、泡のように沸き立ってくる。そして時々、更にギュッと締め付けられるような感じになり、私は胸を押さえなければならなかった。
 人魚姫は泡になって消えたのではなくて、昇華して、天に昇ったのではないか。
 気化して、王子の妃となった王女の魂と同化したのかもしれない。泡になるというのは、最も純粋な姿になるということ。
 人魚姫は、ちょっと前までの唖になっていた香苗。でもそれはもう過去のことで、今はこうして私と手を携えている。成長した一人の女性として。でも、人魚姫だった頃の思いは泡になっても消えはしなく、香苗の中に息づいているのだ。
 そして、王子は本当に自分を救ってくれた存在に気付いたはずだ。あの妹のように可愛い人魚姫の存在に。私も香苗の中に見るだろう、涙に暮れていた人魚姫の姿を。
 私は帰りの新幹線の中で、香苗の手を握りながら、そんな事をとりとめもなく考えていた。



〈 香苗の日記 〉

  7月6日(日)

 今日もあまりにいろんなことがあって、
全部は書けないくらい。

「愛している」と言われたのも初めて。
初めて抱き締められ、初めてのキス。
そして、二度目のキス。

圭兄ちゃんがもっともっと、好きになる。
もう、声が聞きたい。

人魚姫って言った時のお兄ちゃんの顔、
思い出したら笑ってしまう。
クウェスチョンマークが100個くらい浮かんでた。
92

泡になって消えてしまった
人魚姫…。
香苗が自分を人魚姫と重ねた理由を
圭一もそれなりに理解したようです。
今日は章の最終話。
次回からの章では
「夢」がテーマになります。

この小説に関しても、連載のたびに推敲し
より読みやすく、また内容もよくなるように編集を重ねています。
藤野という魅力的な人物の恋バナもあり、
まだまだこれから、盛り上がる展開もあります。
では、明日からの連載をお楽しみに!
「雪洗友禅物語」の登場人物と
あらすじは ↓ から
「雪洗友禅物語」登場人物

雪洗 家系図1
作品講評*あらすじ*「雪洗友禅物語」



よい一日 よい夢を

クリックありがとうございます
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へ
にほんブログ村
写真は:90 ゆらめき。
by (C)芥川千景さん
91上 池上本門寺 雲
by (C)ひでわくさん
92 
by
(C)ひでわくさん
画像あるいはタイトルクリックで写真のページへ
撮影者の名前をクリックすると撮影者のページへリンク
撮影者に許可を得て使用しています
無断転用はご容赦願います



プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか



 LOVE JAPAN

56e6e3a332fe931a4e99683d433d09c1-300x300.jpg

I LOVE THE WORLD


【関連する記事】
posted by kuri-ma at 07:29| Comment(0) | ☆NEW雪洗友禅物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月21日

38 《雪洗YOU禅物語’18》 泡になった人魚姫1  〜盛夏篇〜



小説 ▼△ 雪洗友禅物語 △▼
ゆきあらいゆうぜんものがたり
山モミジの花


京都での圭一と香苗
求婚後の二人です。
梅雨は明け、夏が来ました★



《 盛夏篇 》



  十四章 泡になった人魚姫



 次の朝、香苗は結美さんと朝食の後片付けをしていて、爽雲はまだ一歳の娘の世話で、寝室に行ってしまった。
 竹内家の兄弟たちは、めずらしそうに私を眺め、二人でこそこそ何か話していた。
「昨夜から何か気になるなあ。私の顔に何か付いている?」
「お姉ちゃんの持ってはる写真の人やんか~」と兄が言うと、弟が言った。
「でもこんなおっさん違うし」
「おっさんはないだろ、お姉ちゃんと結婚する人なんだから」と私は言った。
「そやけどなぁ…」子供たちは何か言いたげだった。
「どんな写真?」
「高校生くらいの。もしかして、おっさんの若い頃?」
 戻って来た香苗に訊いてみた。
 彼女がハンドバックを持って来て写真を取り出そうとした時、何かハンカチにくるんだものが転がり落ちた。私が拾い上げると、それはべっ甲の簪(かんざし)だった。
 時を経て、色も艶も増した思い出に繋(つな)がるもの。あげた時はまだ淡い黄色だったが、香苗の手に触れられて光沢のある飴色に近づいてきている。
 私はその簪を香苗に手渡し、香苗は手帳に挟んであった、ちょっと古ぼけた写真を取り出した。
 それは、まさしく私が高校生の頃、香苗の家によく出入りしていた頃の写真だった。
「これをまだ持っていたの?」
「お兄ちゃんの写真って、新しいのは全然ないから」と香苗は言った。
「今度からは、写真も一緒にたくさん撮ろう」と私は言った。
 すると兄弟がまた割り込んできて言った。「お姉ちゃん、このおっさんと結婚するん?」
「そうよ。でも、そんなふうに呼ばないで」
「わかったし」と、彼らは香苗にはやけに素直だった。
「そや、いつか迎えに来てくれはるて言うてたやん」
「そや、王子様なんやって」二人は口々に言った。
「いつ結婚するん?」
「これから、いい日を決めるんだよ」
「そやったら、結婚するまでは、お兄ちゃんて呼んだげるワ」
 そんなやり取りをしながら、彼らにも祝福を受けた。
 兄弟が私たちの会話を聞いていたからか、やたら写真を撮られた後、家族全員に見送られて、竹内家を出た。
86

引き続き、↓次の回もご覧ください。






2011.03.04 鎌倉 報国寺 竹林の空


京都での圭一と香苗の
初デートは…★


 京都にいて、こんなに心が晴れ晴れしたことは、かつてなかった。
 以前の私は、自分はどこで過ごしても同じというような、いつも、何か抑えていて、四季の移り変わりも人ごとのようで、その美しさに対しても無関心で、ただただ淡々と心を忍んできた。その頃は、何かを抑えているつもりも、耐え忍んでいるつもりもなかったのだが。

 以前よく訪れた山院を、今回は二人で行った。
 本殿に向かって、並んで手を合わせて祈った。香苗の祈る姿は私を更に真摯な思いにさせた。
 その日は、薄曇りで、幸い昨日のような暑さはなかった。
 京都は祇園祭の月ではあり、宵々々山、宵々山と月後半から週を追うごとに、徐々に人が膨れ上がるのだが、7月初旬の今頃は、その波はきていなかった。また、観光地とはいえ、その地の人しか知らない穴場のような静かな場所がある。
 木々の合間に二人で立っていると、不思議な時間の流れを感じた。
 私は香苗を抱き寄せ、その愛しい髪を撫で、頬に触れた。
 うつむいている彼女の唇を求め、得た瞬間の心地よい安堵感。二人は実はずっと一つだったように感じた。
 年齢差ゆえに、考えればたった十歳差なのに、それゆえに出会えなかった私たちが、ようやく巡り遭った。京都千二百有余年の歴史の中で繰り返されてきた、出会いと別れ。私たちは、ようやく正しく会うことができた。
「愛しているよ。もう絶対に離れないし、放さない」
 私自身、この口が愛の言葉を囁くのを、初めて聞いた。
 私たちは笑顔を交わした。どうして、辛く虚しい時間を、離れて過ごしていられたのか。その時があればこそ、今こうしていられるのかもしれないが。
 
 ゆっくり歩いて、山院の別棟に腰掛けられる所をみつけた。
「ねえ圭兄ちゃん、来たい所があるって、ここのこと?」
「ああ、爽雲先生の所に来ながら、よく寄ってたんだ」
「不思議ね。カナもね、ここによく来たの。お寺にも」
 山と木々と山院の空気と魂が、私たちの祈りを聞いていてくれた。
「よくね、圭兄ちゃんのこととか、家族とか環ちゃんのこととか、ここで祈ったの。いつだったか、環ちゃんが幸せになるにはどうしたらいいんだろう、私がずっと一緒にいられるわけではないのにって祈ってて、竹内家に帰ったらね、ベンに会ったの。彼を知れば知るほど環ちゃんにぴったり≠チて思った」
 香苗の言うぴったり≠ヘ、まったくそれをその通りにする力があるようだ。
「環ちゃんは人に愛されて当然の人。一緒にいるだけで、その人を幸せにするもの。ちょっと現実の生活面では不安な面もあるけど、守ってくれる人がいれば大丈夫」
87
 
山院での二人のシーンは
まだまだ続きます




よい一日 よい夢を

クリックありがとうございます
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へ
にほんブログ村
写真は:山モミジの花
by (C)akemiさん
鎌倉 報国寺 竹林の空
by (C)ひでわくさん
画像あるいはタイトルクリックで写真のページへ
撮影者の名前をクリックすると撮影者のページへリンク
撮影者に許可を得て使用しています
無断転用はご容赦願います
「雪洗友禅物語」の登場人物と
あらすじは ↓ から
「雪洗友禅物語」登場人物

雪洗 家系図1
作品講評*あらすじ*「雪洗友禅物語」



プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか



 LOVE JAPAN

56e6e3a332fe931a4e99683d433d09c1-300x300.jpg

I LOVE THE WORLD


posted by kuri-ma at 05:00| Comment(0) | ☆NEW雪洗友禅物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月20日

37 《雪洗YOU禅物語’18》 人魚姫の日記 <片寄せる波>7  〜香苗・成長篇〜



今日は人魚姫の日記の
クライマックス!
小説 ▼△ 雪洗友禅物語 △▼
ゆきあらいゆうぜんものがたり
いつの間に


圭一が「泣いているのか」
それとも雨のせいでそう見えるのか
と思った香苗ですが
事実は…★


  (10年目)6月30日(月)

圭兄ちゃんに会ってしまった。
それも植野さんと一緒の時に。
もう耐えられなくて、
植野さんには「もう会えません。連絡しないで」
と、はっきり言った。

圭兄ちゃんに突然会ってしまった事で
涙が止まらなかったから、
植野さんにはいろいろきかれたけど、
答えることができなかった。

圭兄ちゃんが好き、ということは
圭兄ちゃんにも言えないのに、
どうして誰か他の人に言えるはずがない。

会えないでいるのはつらかった。
でも、他の人と一緒にいるのは、もっとつらい。

家に送ってもらったのに、
気がついたら雪洗屋の前にいて、
ショーウインドーを見ていた。
こういう着物が着れれば、
それだけで幸せになると思っていた。
圭兄ちゃんに一目会いたいけど、
会うことができない。

雨が降っていたのに、どれくらいお店の前に立っていたのか。
環ちゃんのお母さんが声をかけてくれた。
「どうしたの?びしょ濡れよ」と言われて
初めて、雨の中にいたことに気づいた。
「圭一に車出してもらうから待って」と言われて、
思わず首を振ってしまった。
傘を借りて帰ったけど、
とにかく今まで心がつまって涙にならなかった分、
どれほど泣いたかわからないくらい、泣いてしまった。

あのまま、雨に打たれて溶けてしまったらよかった。
人魚姫なら泡になって消えなければならないのに、
どうやって消えたらいいのか。。。
もう、ただ心を殺してるのはできないみたい。
遠くにいる圭兄ちゃんをただ待っている時の方がよかった。

その後は熱を出して寝込んでしまったから、
これは一昨夜の話。

今朝起きると圭兄ちゃんからメールが入っていた。
あんなに泣いたのはお兄ちゃんのせいなのに、
久し振りのメールが嬉しかったりして。



  7月4日(金)

今週はずっと仕事を休んでしまった。
最近パパもママも遼君まで、
なんかすごく優しい。熱も出してみるものかも。

あれから、時々圭兄ちゃんからメールが入る。
圭兄ちゃんが優しいのはよくわかっている。

ありがたいのは、植野さんからの連絡が一切ないこと。
申し訳ない気持ちはあるけど。

明日からの土日に京都に行って来る事になった。
結美さんからしきりに声を掛けられて、気晴らしになるかなあと思って。
84

「梅雨の長雨」の裏の部分ですね
そして明日は「梅雨明け宣言」と「真珠貝の告白」の裏部分
つまり日記の最終話となります。
引き続き、↓次の回もご覧ください。






時雨のあと・・・


涙でつづられた香苗の日記も
いよいよ最終話。
その思いが叶う日が…!★


   (10年目)7月5日(土)(翌日)

この日記と かんざしをお守りのように持って、京都に来た。
来た時は一人で来て、
それでも圭兄ちゃんのことばかり考えてしまうのが、
つらくてしかたなかったのに…。

いきなりでこの日記もびっくりするかもしれないけど。
今は、世界中に、そして神様に感謝したい気持ち。
今までの、胸につかえていたものが、すべて取れて、
世界で一番幸せ。
でも、こんなに泣いたのも初めて。
この間の雨の晩にあれほど泣いたのに、
涙ってキリがないくらい、あふれてくるものなんだ。

嬉しくて、何をどう書いたらいいかわからない。
圭兄ちゃんが京都に来てくれて、二人でずっと過ごした。

プロポーズされてしまった!
お兄ちゃんの気持ちがわかって、突然すぎて夢みたい。

今日は今まで言われた事のない
嬉しい言葉をたくさん言ってもらった。
初めて言われた言葉ばかり。
何度言われても嬉しい言葉ばかり。
忘れないように書き出してみよう。

「私が迎えに来るのをずっと待ってた?
私も君が大人になるのを待っていたんだ」

「もうずっと そばにいるよ」

「私のお嫁さんになってくれる?
結婚しよう」

子供の頃の約束をずっと覚えていてくれて、
約束はみんな守ると言ってくれた。

誰かの胸で泣くこと、
肩にもたれること、
手を握ってもらうこと。
その相手が圭兄ちゃんだということ。
どれもこれも嬉しいことばかり。

知らなかった、
お兄ちゃんの両手で私の手が包まれると、
冷房で冷えていたからじゃなくて、
とても温かくて、心が落ち着いた。

圭兄ちゃんが手ぶらで来てしまったから、
一緒に買い物をして、お兄ちゃんが買ってくれたのは、
どこか懐かしい感じのする花柄のワンピース。
とっても嬉しい。

買い物をするのも、
二人で並んで歩くのも、
初めてかもしれない。
もちろん、手をつないだり、
腕を組んで歩いたのも初めてだった。

今夜は竹内家に泊めてもらっている。
寝付けなくて、この日記をパラパラ見ていたら、
どのページも圭兄ちゃんのことばかり。
昔の私がかわいそうで、また泣いてしまった。

持ってきたのはこれ一冊だけだけど、
中学の時から併せたら何冊になるだろう。
今日が今までで一番嬉しい日。
でもこれからもっと幸せになる。

お休みなさい、泣き虫のかな。
明日からは笑顔のかなになる。 
85

笑顔のハッピー・エンドは、
幸せの始まりにすぎません。
次章からは、京都でのプロポーズ後の
圭一と香苗のお話の続きです。
「雪洗友禅物語」の登場人物と
あらすじは ↓ から
「雪洗友禅物語」登場人物

雪洗 家系図1
作品講評*あらすじ*「雪洗友禅物語」



よい一日 よい夢を

クリックありがとうございます
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へ
にほんブログ村
写真は:いつの間に
時雨のあと・・・
by (C)ヨマさん
画像あるいはタイトルクリックで写真のページへ
撮影者の名前をクリックすると撮影者のページへリンク
撮影者に許可を得て使用しています
無断転用はご容赦願います



プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか



 LOVE JAPAN

56e6e3a332fe931a4e99683d433d09c1-300x300.jpg

I LOVE THE WORLD


posted by kuri-ma at 05:00| Comment(0) | ☆NEW雪洗友禅物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする