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2011年04月21日

愛が根付くまで(最終話)四月 しあわせの始まり(一朗の物語前半)29《再公開》


2011.02.22 大池公園 梅.jpg


愛が本当に根付くまでには、
まだ時間が必要ですが、
一朗と葉奈は
お互いを生涯の相手として向き合うことが出来ました。
今日はこの章の最終話です。


 一朗と葉奈は車を駐車した場所に歩いて戻りながら、話をしていた。
「ホントに幸せそうだった」と、葉奈が言った。
「俺にはお手本のようなカップルだよ。四年間もただの店主とバイトの関係だったんだぜ、二人は。付き合いだした時は本当にびっくりした。その頃はマスターは独身が板に付いていたし、みどりさんは普通の女子大生だったし。でも、今では最初から結ばれるのが当たり前だったみたいだろ?」
「あんな風になりたい?」
「負けないさ」
「すぐにって言わないよね?」
「結婚のこと?すぐじゃ駄目だよね?お前の準備ができたら…」
「できなかったら?」
「おいおい。駄目だよ。手伝ってでも準備する」
「心の準備もあるのよ」
「そっちが重要だろ。もちろん手伝う」
 一朗は笑って言ったが、かなり本気だった。なんでもしようと、心に決めていた。
 葉奈は言った。「そんなにすごくは待たせないと思うけど、もしかしたらまた不安になるかも」
「なぁ、俺も不安になるじゃないか。お前のことが好きで一緒にいたいだけじゃ駄目?」
「私もいっちゃんと一緒にいたい」
 車まで来ていた。一朗は葉奈と手を繋いだまま足を止めて、尋ねた。余裕のある優しい笑顔で。
「俺のこと好き?」
 葉奈は頷いた。
 一朗は言った。「じゃ、今日両親に報告するから。いいよね?」
「いっちゃんとこの?」
「お前のとこの了解も取らなくちゃ。本当なら挨拶に行くところだけど。『お嬢さんと結婚させてください』ってやつ」
「ふうん。…私、いっちゃんのお嫁さんになるんだー」
「嬉しい?だろ?」
「うん」
「もう離れ離れにならないよ」
「うん」
 ようやく、二人は手を放した。車に乗るためには、離れ離れのドアに向かわなければならなかったから。
 車に乗り込むと、一朗はまるで待ちかねていたように、葉奈に口づけをした。
「さあ、葉奈の番だよ」
 初めてのキスの後、葉奈が返してくれたことが今でも心に残る彼は、彼女に毎回お返しを求めたが、大体はぐらかされている。
「三回お休みでいい」と、葉奈は言った。
「じゃあ一回」と、言って一朗はまたキスをした。
「今日はもうおしまい」と、葉奈は言った。
「何でだよ」
「恥ずかしいもん」
「誰も見てないよ」
 車は、なかなかスタートしそうになかった。
29


再公開でお送りしてきた、第V部「四月 しあわせの始まり」
第1章までが終わりました
いかがでしたでしょうか
現在の季節に合わせ、
次は、第W部を再公開でお送りします
多少の再構成、編集も有りです
お楽しみに


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写真はひでわくさん「梅」



2011年04月20日

愛が根付くまで(8)四月 しあわせの始まり28《再公開》


雪がふってきた、ほんの少しだけれど。
 

今日は新婚家庭に
お邪魔します★


 星一とみどりの夫婦は、未だ独身時代に星一が住んでいたアパートに、二人で暮らしていた。その部屋に、一朗と葉奈は温かく迎えられた。
 葉奈は部屋を見回して言った。
「やっぱり羨ましい。新婚さんなのに、とっても落ち着いてて」
「二人は何、幸せ一杯の顔に見えるけど」と、星一は逆に茶化すように言った。
 一朗は顔をにやつかせたままで、言った。「マスター、俺たち結婚することにしたよ」
「出来たんだ、プロポーズ。いい返事だったわけね」
「うん、バッチリ」
「おめでとう」と、みどりが飲み物を持ってやって来ながら言った。「式はいつ頃?」
 一朗と葉奈は顔を見合わせた。
「何にも考えてないみたいだな」と、星一が言った。
「ようやく一大イベントが終わったところだもんな」
 そして星一は、二人を笑顔で見ながら、いつものようにアドバイスを始めた。
「これから二人でよく相談するんだな、いずれ家庭を持つということなんだから、どんな形で暮らすかの方が、式や披露宴よりずっと大切だよ。二人のことだけじゃなくて、結婚となると家同士のことの方が大きくなるしな。
 俺たちもね、当座はここでささやかに所帯を持ったけど、もうすぐ実家に移るんだ。親父や祖母ちゃんが待ってるんで」
 一朗がふいに思い出したように言った。「マスター、もしかして…。子供が出来たら同居するって言ってたよね」
「うん。まあ」
「おめでたですか?!」と、葉奈が言った。
「…まだ7週目なんだけど。同居はもう少し落ち着いたらね」
 今度は一朗たちが、星一たち夫婦におめでとうを述べた。
 アパートの窓は、開け放たれていて、風がよく通り、心地がよかった。四人は、その午後をくつろいで過ごした。
 最後は、「また遊びに来てね」「実家に移っても来いよ」と言われ、見送られて、一朗と葉奈は星一たちの所をお暇(いとま)した。
28


明日は「四月 しあわせのはじまり」の最終話です。
しあわせの始まりとなるのでしょうか
お楽しみに


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2011年04月19日

愛が根付くまで(7)四月 しあわせの始まり(一朗の物語前半)27《再公開》


梅花爛漫。
 

二人の再会の時、実は一朗は…
彼が“待ちびと暮らし”の達人たる所以です
会えてよかったですね★


「一致したって?」葉奈はきょとんとして尋ねた。
「だから」と、一朗は言った。「街で偶然会ってハッとした女と、ずっと待ってた女がさ。なんで、ちょっとぶつかっただけの人が頭に浮かんでくるのか、葉奈だったからだって。何が気になってたのか、解けたんだ」
「ありがと、いっちゃん」
「ぶつかった時、ホントよく見てなかったんだ。しっかり見れば、お前だってわかったと思うよ」
「きれいになってたから、わからなかったんじゃないの?」葉奈は笑って言った。
 一朗はそれに応じるようににっこり笑って、しかし真面目に言った。
「それもあるよ、もちろん。今日もどきどきしてるのは、お前のせいだからな。でもわかったことがあるよ。
 俺が一方的に愛してるんじゃないってこと。俺の前だと葉奈はよく泣くんだ。他でも泣き虫なのかと思ったけど」
「いっちゃんに会ってからよ。きっと、ぶつかった時、葉奈の涙の栓をひねったでしょ」と、涙の滲んだ目で、葉奈は笑った。
「いいよ。俺の前で泣くなら。他で泣くなよ」

 二人は、そこでゆっくり食事をし、星一たちの所に行く前に、公園を少し歩くことにした。
 大学近くの公園。日曜の昼下がりは、一朗が知っている平日の姿とは違って、学生よりも家族連れなどが多かった。それなりの人々で賑わい、明るさに満ちていた。
 花も咲くし、蝶も飛ぶ、初夏の少し強すぎるような日差しの中でも、一朗と葉奈は手を繋いでいれば、あまり気にならないのだった。
 星一のアパートのドアの前に着いた時、二人が繋いだ手を解くと、じっとりと汗をかいていた。
 一朗と葉奈は顔を見合わせて笑った。まだ幼児の頃、そんな風にずっと手を繋いで歩いたり、仲良く遊ぶことも人目を気にせずに、日がな一日過ごせた、あの頃が蘇ったように。
27


プロポーズに成功して、
一朗にも前にない余裕のようなものが見えます。
また、葉奈も普通に(?)嬉しそうです。ね。


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写真は梅花爛漫。 posted by (C)芥川千景