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2017年03月16日

8〈終〉 ❀小説・さき初めさくら 2017❀  「待ちびと暮らしの達人たちへ」より  【三月さくらX-2】


早春に
8日間で贈る愛の物語──
「さき初めさくら」
小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
冬のチューリップ。


春はまだまだと
思っていたのに…。
あきらめない人には、
きっと やってくるのです。
最終回、お送りいたします★


 遭難した山をじっと見上げながら、峻の心には、いろんな思いが湧きあがってきていた。
「お前に会えてよかったよ」と、峻は初めてその気持ちをはっきり明かした。
「ほんとにそう思う?」と、茜はしっかりと彼を見つめていた。
 その瞳を見つめ返すことは、今までどうしてもできなかった。視線を逸らすようにして、そっけない素振りをしながら、わからないように遠くから見る、そんな日々だった。
「いつも、そう思ってきた。でも、今日ほどそう思ったことはないよ。お前がいなければ、生きて帰れなかった。お前が『待ってて』と言ってくれたから、今まで待てたんだ。会いたかったよ、とても」
 峻は、いつもは押し殺していた思いを、素直に伝えていた。
「好きだよ。なんでお前なのかわからないけど。愛している」
「峻」
「助かってお前の顔を見た時、とても嬉しかった。この俺を好きだと言ってくれることも。でも、マスターに付き合えって言われて、今こうして二人でいられることは、もっと嬉しい。お前に好きだって言えることも。
 待っててよかった。
 お前が大人になって、俺を離れていくに違いないだろうって…」
 そんなことを、心に言い聞かせて、震えるように待つのは、もう限界だった。
 峻は茜をその腕で抱き締めた。
 彼が山に登ったのは、いつも山の頂上というゴールがあるから。彼の心の一番高い所にある、一番大切なものを手に入れる希望を、見失いそうになるから、それを確認するために登っていたのかもしれない。
『だから、山より、茜の方が俺には高い』
 目の前に見えていて、手が届きそうなのに、手に触れることが出来ないもの。
「もう、俺も我慢しない。お前の傍を離れない。駄目だと誰に言われても、あきらめられない。だから、もう今更、俺が嫌だと言うなよ」
「うん。私が峻をあきらめないって、知らなかった?」
「これからは、信じるよ」
「待っててくれて、ありがとう、峻」
 二人はお互いを見つめて、にっこり笑った。
 心の一番高い所に咲く、決して枯れない花、それが触れそうで触れられない、愛なのかもしれない。

 その後、峻は、仕事帰りにほとんど毎日、“星の家”に顔を出すようになった。茜のバイトが終わるのを、忙しかったら時折手伝ったり、本を読みながらとか、勝手に店のミュージックを選んだりだとか、近くのジムで体を動かしながらとか、そのようにして待っているのが常だった。
 その待っている姿は、一見、手持ち無沙汰のように見えるとしても、まんざら嫌そうではなかった。それが彼の楽しみであり、生活の一部だった。
 平日の茜のバイト休みの日の夜と日曜日が、デートらしい時間の取れる日だったが、峻にとって、それはまるであり得ない珠玉の時間を得たように、嬉しいものだった。
 四年間があっという間に過ぎた。ずっとこんな風に、茜を待っているそんな日々が続いてもいいと、彼はそう思っているようにも見えた。茜の大学卒業を目前にした冬になって、星一に言われるまでは。
 彼は義父になる人に背中を押されて、ついに茜にプロポーズした。


 結婚生活が始まった。茜も仕事をしていたから毎日ではないにしても、峻はただただ待ってばかりの毎日から、初めて、自分を待ってくれる人のいる家に帰る生活へと変わったのだった。
 そして、子どもも授かり、父となった。
 峻の心の高みにある愛は、今も変わらずにそこにあった。彼はそれを引きずり降ろしたくなかった。大切にそこに置いて、守っていくつもりだった。花のように水をやり、光を与えながら、自分の心の高みに咲かせておきたいと、思うのだった。
 その愛の花は、彼が待っていた時間の分、大切にした真心の分、更に高みに咲くようになった。彼の誇り高く、温かい眼差しに相応しく。誰にも汚されず、誰にも壊されない、しかし、一方では柔軟に誰をも受け入れられる優しさとなった。
 二人の子供を見ながら、もしかしたらこのために自分は待っていたのかもしれない、と峻は思うのだ。子供たちにとって、茜と峻は、共通の親≠ニいう存在になった。そうならないとわからないこともあった。
 今では思う。待つのも悪くない。
 最初はただ寝ていることしか出来なかった子が、寝返りするようになり、ハイハイ出来るようになり、やがて立って歩けるようになる。陰ながら親は助けることは出来ても、その子自身が自分の力で歩かなければならない、それを見守って、待つしか出来ないのだ。
 でも、待つのも、悪くない。


ねえ、チョット聞いてくれる!?


再公開でお送りした
「待ちびと暮らしの達人たち」第二章「心の高みに咲く花」
お付き合い頂きまして、ありがとうございます

このお話は、三月さくらシリーズの中でも、
一番最後の方に書き下ろしたもので、
最初の公開時に
ノートへの下書きもなく、一気に書き上げたものです。
言葉の表現はちょっと大げさじゃない?
と、自分でも思うのですが、そのまま公開しました。

待ちびとを待つ、というのは
切ない気持ちが伴いますが
この峻のような、愛情もいいんではないかと。

峻と茜は
この時には、まだ子どもは二人ですが、
最終的には4人の子どもに恵まれます。
その後、小説には
あまりたくさんは登場しませんが、
それでも、重要なメンバーで
あることに変わりはありません。
茜が碧斗と未来の物語で少し登場しますが、
その後は、昨年ようやく発表した最終章に
彼らの孫が登場し、
二人の噂も聞かれました。

前後のお話 はこちらから→ 最新版 三月さくら 目次                      
登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]



よいい一日 よい夢を

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写真は:上 冬のチューリップ。
ねえ、チョット聞いてくれる!?
by
(C)芥川千景さん
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無断転用はご容赦願います



プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか


2017年03月15日

7 ❀小説・さき初めさくら 2017❀  「待ちびと暮らしの達人たちへ」より  【三月さくらX-2】


早春に
8日間で贈る愛の物語──
「心の高みに咲く花」
小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
頬ずり。


こんな日が来ることを、峻は
今まで予期していませんでした。
考えないようにしてきたんですね。★


 一方、外に出た峻と茜は、駅に向かう道を歩いていた。
「出掛けろって言われたけどさ、どうする?」と、峻が言った。
「車で来なかったの?」
「遭難した麓に置きっぱなしだ」
「取りに行かなくちゃ」
「この後行くつもりだったけど、明日でもいいし…」
「行こう」と言って、茜は峻の腕をつかんだ。
 峻は微笑んだ。そして、茜を見やった。そして、微笑みを浮かべたまま、一緒に歩き出した。
「嬉しいな。峻と二人で出掛けるなんて」と、茜は言った。
「峻はどう?」
「…」
「なんで、言ってくれないのかなぁ」
「そういうことを訊くなよ」
「どうして?恥ずかしい?」
「訊かれて答えるなんてさ…」
「じゃあ、嫌?」
「訊くなって言ってるだろう」
「もう、いい。こうやって歩けるだけで嬉しいもん。峻が救助されたって聞いた時の次かなぁ、それくらい嬉しい」
 彼はそんな茜を見ながら、更に微笑んだ。その時の本心は、彼はすぐには告げなかった。『自分はあの時よりも嬉しい』と。
 もしかしたら、見果てぬ夢で終わってしまうかもしれなかったというのに、それが現実になると、茜はあまりに当たり前のように彼の傍らにいた。そしてずっといてくれるのだ、これからも。

 峻と茜は、電車とバスを乗り継いで現地に向かった。
 そして、車を止めたままの駐車場には歩いて向かった。
 茜は峻の腕を取りながら言った。「昔は峻がとっても大きく感じたな」
「今でも逞しいだろ。山の男だぜ」
 茜はにっこり笑った。
「ずっと前にね、おんぶしてもらったことがあったでしょ、私が歩けなくなって」
「ああ、足をくじいた時。まだ小学生のガキだったよな」
「やっぱり覚えてるの?」
「重い荷物を背負わされたからさ」
「あの時思ったの。私は峻とずっと一緒にいたいって。きっと離れられないって」
「ガキのくせして」
「だって、なんかそう感じたんだもん」
 茜がそうやって慕ってくれなければ、峻はそっと彼女の許から離れていたかもしれなかった。
「いつも必死で付いて行ったんだから」
「夏になったら、登るか富士山にでも?」
「えー。A山とかT山でいいよ」
「だったら、夏じゃなくても登れるじゃないか、一年中」
「峻と二人で行くならいいよ」
「…よし、決まり」
 そんなことを話しながら、駐車場に到着した。


ハイ、そこまで!!


クライマックスが近づいてきました。
峻のくさい台詞が待ってます。
逃したら、聞く機会はないでしょう。
(って何度も再UPしているのですが…)
前後のお話 はこちらから→ 最新版 三月さくら 目次
                        
登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]

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ハイ、そこまで!!
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ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
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こちらから→幽霊っているんでしょうか


2017年03月14日

6 ❀小説・さき初めさくら 2017❀  「待ちびと暮らしの達人たちへ」より  【三月さくらX-2】


早春に
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「心の高みに咲く花」
小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
春の息吹。


とうとう茜の両親の前で、
「好きです」と告げた峻。
え、星一はなんて?!
まだ信じられず固まっている
峻ですが…★


 みどりが、すでに店に来ていた茜と共に戻って来た。
 星一が口を開いた。「さぁ、二人が揃ったところで、言っておくぞ。峻、茜、お互いを大切に思えるなら、付き合っていいぞ。こそこそせずに、堂々と付き合えばいい」
「パパ…」と、茜は信じられないような顔をしていた。
 峻はようやく口を開いた。「いいんですか?茜はまだ十八で…」
「俺たちが初めて会ったのも、みどりが大学に上がったところだった。付き合ったのは、すぐではなかったが」
「四年も掛かったの。結婚するまでは六年よ。あなたたちは、もう十年以上経つものね」と、みどりが朗らかに言った。
「茜も大学生になるんだ。もう自分たちで責任を持てるだろう」
「マスター…」
「なんだ?嫌なのか?」
「いえ、突然過ぎて…」と、峻はまだ戸惑っているようだった。
「パパ、ママありがとう」と、茜が言った。
「峻だから許すんだ。茜、こいつを逃したら、お前は、誰とも付き合わせないと思え。だからと言って、軽率なことをするなよ」
「わかってる」と茜。
「ありがとうございます」と、峻はようやく言った。
「峻、嬉しい?」と、茜が訊いた。
 峻は聞こえないくらいの声で、口ごもりながら呟いた。「訊くなよ、そんなこと」
 みどりが言った。「嬉しいわよね、峻君?」
「そりゃ、嬉しいだろう。な?」と、星一が言った。
『訊かないでくださいよ』峻は、もう声には出さなかった。

「じゃあ、早速二人で出掛けてきたらいい」と星一が言って、峻と茜は皆に見送られて、“星の家”を後にした。
 その見送りの中にいた星一の長男、星矢はぼやくように言った。
「俺は峻の兄貴になるわけ?!」
「気が早いがな。大学卒業してからだ」と、星一は言った。
「茜には甘いんだな、俺には女の子とデートしようとしただけでやめさせたのに」
「お前、わかってないのか?」
「わかってるよ。毎日店出てるのに、どうやって女の子と付き合えるの?」
「茜だから許したんじゃないぞ。峻のことを考えたんだ」
「それもわかってる。放っておいたら、峻は見てるだけで、絶対茜には指一本触れずに、他の男に譲るまで何もしないって感じだったからね。ホッとしたよ」
「お前も知ってたのか?」と、星一が言った。
「知ってたって、聞かなくてもわかるでしょ」と、星矢は言った。
 仕事に戻った星矢の許に、みどりがそっと来て言った。「星矢、あなたにもふさわしい人がきっといるわ」
6

お、なんとお許しが…!
昔の歌にありましたが、
るんるん 山男に惚れるなよ」って
山って止められるものなの?
峻は「茜より大切なものはないです」と
はっきり言ってましたし
彼のことですから、
間違いないでしょう。
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登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]



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写真は:春の息吹。
by (C)芥川千景さん
ネコヤナギの花穂だそうです
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ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

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