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2015年09月22日

<終>28《眠り姫と眠り王子’15》 もしもロミオとジュリエットが死なずに結ばれたなら(関西の洗礼)3 【三月さくらY5-3】

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100年の眠りを越えて結ばれる
眠り姫と王子。 
そして悲恋で死ぬはずの
ロミオとジュリエットは?!
…一挙3話で最終話まで★
小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
薔薇園19


関西の洗礼は続きます。
祖父母のありがたい言葉と、
今日はさちの爆弾発言が…!
お祖母ちゃんと志道の会話の続きから★


「あなたは、傍観してないで、もっと積極的に人のことに首を突っ込むくらいがいいんじゃない?
 結婚っていうのは、男の人にとっては、お嫁さんをもらうだけだから、まぁそんなに準備もいらないだろうけど、女にとっては、よくわかった所へ嫁ぐんでも、いろいろ準備が必要なのよね。全てを持って嫁いでいくわけにはいかないんだし。奥さんになり、いずれお母さんになるんだから、何を持って行くか悩んで当然だよね?」
「さちさんは何か悩んでるんですか?」と、志道が尋ねている所に、さちが居間に戻ってきた。「お洗濯全部干してきたわ」
 志道はさちに向かって言った。「さちさん、何を悩んでるんですか?」
「ねぇ、さち、そうなんだよね?」と、祖母が促すように言った。
 しばらく、さちは何も言わなかった。
 祖母が言った。「違うの?助産師と両立出来るかなって、言ってたでしょう」
「うん。そうだけど」と、さち。
 志道が声を上げた。「まさか、助産師をやめようって思ってるんですか?」
「そうした方がいいかもって…」と、さちは言ったまま口を閉じた。
 さちがあまり口を開かないので、祖母が言った。「丹波野さんは子供が好き?結婚したら子供はほしいの?」
「もちろんほしいです」
「よかった。最近は子供をわざと作らない夫婦もいるんだって?何人くらいほしいの?一人?二人?」
「僕は四人兄弟なんですが、出来ればたくさんほしいですね」少し照れながらも志道は答えた。
「子供を産んでる間は、助産師は出来ないと思うわよ。今は産休もあるんでしょうけど。私も何年かは本腰入れては出来なかった。お義母さんがやってくれたから、私は子育てにある程度掛かれたけど。たくさんって、簡単に言うけど、子供を一人産めば、母胎は相当消耗するのよ。逆に健康になる人もいるけど、大概は歯もガタガタになるし、いろいろね。
 まぁどうせだんだん年を取れば体が動かなくなるんだから、子宝に恵まれればね、親やその家の福になるんだから、何人でも産んだらいいわよね。子供を産んで失うものより、もっと大きいものを子供からもらうからね。まぁあなたは、そんな人ではないと思うけど、男の人は消耗するものがほとんどないからね」
「僕の考えが足りなかったです。父にも言われていたのに。結婚を夢みたいにしか考えていないって。僕の父は、母よりも子供の扱いがうまいくらいなんですよ。でも、母さんには敵わないって、いつも言ってました」 志道は、祖母にそう言ってから、さちの方を向き直った。「さちさん、これから相談して準備していきませんか?産休は必要だろうけど、両親や家族も手伝いたがるだろうし、預けることもできるんですから、大丈夫ですよ」
「ありがとう」とさちは微笑んだが、思い詰めたような表情は変わらなかった。
 志道は言った。「まだ、何か心配なんですか?」
 さちは口を開いた。「私が心配しているのは、あなたのことよ」
「僕のことですか?」
「また、いつ無理をするかと思うと…」
「もうそういうことはないですよ」と、言い掛けて志道は言った。「…もしかして、僕のためにやめるなんて考えているんですか?」
「ええ」さちは顔を上げて言った。「私があなたのマネージャーになれば、健康の管理も出来るし」
「驚いたな」と言って、志道は本当にしばらく言葉を失っていた。

さちがずっと考えていたのは、
仕事を辞めて、
志道の健康管理をすることでした。
さて、二人はどんな結論を…?
↓引き続き次の回も、お楽しみください。






薔薇園22


志道のために、仕事を辞めるというさち…
彼の答えは?!★


 志道は少しうわずったような声で言った。「それは間違いないですよ。そうなれば、僕はあなたとずっと一緒にいれるし、こんな嬉しいことはないです」
「だったら、そうするわ」
「しかし、ですよ」と志道は言った。「助産師のあなたの姿を最初に見てしまったんですよ。知らなければ、あなたの申し出は即受けるのに」
「…」
「…どんなに輝いていたか。忘れられないんですよ、僕は。あなたは素晴らしい天職を持っているんです。
もちろん、助産師であろうとなかろうと、僕はあなたのことを愛さずにはいられないけど。かといって、あなたの使命を奪っていいんでしょうか。だって、そう言って僕に音楽の道を行かせたのはあなたじゃないですか。
 もちろん、まぁ僕が選んだんですがね。今度もあなたが決めたらいいことです。どちらでも好きな方を。
 …ちなみに、僕のマネージャーに関しては、優秀で頑丈な若い人材に、バシバシ働いてもらったらいいと思っています。あなたほど完璧なマネージャーにはなれないでしょうが、それでまず問題ないと思いませんか?」
「私の好きなように、と言って、結局あなたの意見になるのよ」
「思い通りってわけではないんですけどね。それに、僕の時にはあなたの意見通りになったでしょ?」
「そうだっけ?」
「僕はあなたのためなら、音楽家にはならなくてもいい、って言ったでしょう」
「でも、なりたかったんじゃない」
「そう。僕はなりたいものになります。あなたを奥さんにしたいんです。そのためだったら、あなたが僕のマネージャーになるという魅力的な幻想は、あきらめてもいいです」
「奥さんは、マネージャーになれないの?」
「僕の夢と計画をあなたは壊すんですか?」と、志道は笑顔で言った。「僕は助産師の奥さんを持ちたかったんです。その人の開く助産院の一角でピアノを弾く生活、これが僕の思い描いていることですよ」
「冗談ばっかり」
「これは冗談じゃなくて、僕の本当の夢です。僕の夢を叶えてください」
「あなたの音楽活動を支えたかったのに。私の気持ちがわからない?」
「うーん。さっきもお祖母さんに人の気持ちに疎いって言われちゃいましたからね、僕。自分の考えを押し付けているつもりはないんですが」
「だから、結局あなたの思い通りなの」
 さちは志道の優しさに気付いていた。志道は実は論理の勝ち負けを気にする方ではない。彼の意見が通るのは、それが真実だからだが、自分の思いをただただ通すのではなく、正しいと思えることに合わせていける、彼の器量の深さが、潔くて、何かその通りにするのがいいと思えてしまうのだ。それ以外の道はないように、自然と彼の言う通りの結果になるのだった。

 ロミオとジュリエットの 残した夢が 
 ロマンティックな 空気を作っている
 ローズの香りとともに
 ロミオはロマンを 
 ジュリエットは純愛を 形作る名前となった 

 純白のウェディングを夢見る人に 
 受難を越えて結ばれるようにと 
 時代を越えて 語り掛けている 

 ロミオは 愛を得るために
 ジュリエットは 純潔を守るために
  命を越えたから 
  年も取らず いさかいもしない代わりに
  もう誰も二人を
  引き裂くことはできない

 ロミオとジュリエットの越えられなかったものは 現実と 共に生きる未来 

もしも死なずに結ばれたなら
ずっと二人でいられただろうか
ロミオはロマンを 
ジュリエットは純情を持ち 
美しく老いただろうか


 ロミオとジュリエットは いまや一対の 切り離せない神となった
 純粋すぎた夢は 明日に置き去りにして
  あきらめ切れなかったものが空しく漂うだけ
 ローズの香りのように



明日は関西の洗礼を終え、最終話に入ります
ロミオとジュリエットが死なずに結ばれたなら…
その答えは…?
↓引き続き次の回も、お楽しみください。






8356165ベージュの薔薇.jpg


最終話。
100年の眠りを越えて結ばれる
眠り姫と王子。 
そして悲恋で死ぬはずの
ロミオとジュリエットは…★


 陰暦はニュームーンで始まり、満ちるだけ満ちたら、また欠けていき、そしてまた月が無くなって終わる。上弦と下弦の違いはあっても、半月との間のスマートな期間を担当するのが三日月だ。
 考えてみれば、月を見て三日月だったというのは確率的に多いような気がする。三日月と言われる月は、数えたらきっとひと月の三分の一以上になる。
 三日月とは、本来は三日目の月、しかし見分けがつきにくいからか、欠けが大きい月は、二日月も、四日月も、五日月も、全部三日月がその名前を横取りしてしまった。
 今日は何日目の三日月だろう。空に掛かった月は、くっきり弧を描いて、まるでにっこり笑っているように見えた。
 志道とさちにとって、関西での日々は別世界に行って来たような感覚が残っていた。志道は洗礼を受けて、引き締まったような気持ちだった。
 その後、残念ながら、祖父母の生前に関西のその家を訪ねることはなかったが、志道と祖父とはすっかり気が合ったようで、祖父が亡くなるまで何回か顔を合わせるたびに、親友同士のように二人きりで秘密裏に話していた。


「僕は馬鹿ですよね」志道はさちの祖父母の所から戻った後も、何度ともなく独り言で呟いていた言葉を、母に洩らした。
「さちさんと、仕事でも一緒にいられれば、どんなに嬉しいか。さちさんが、せっかく言ってくれたのに。それもよくよく考えたことに違いないんですよ。それなのに…」
 陽子は微笑んで、しばらく何も言わなかったが、「あなたが願うなら、今からでもそうしてもらえるんじゃない?」と言った。
「うーん。でも、できないですね。もう結論はハッキリしてるんです。どうしても正しいと心が知っているから、僕の我が儘は、切り捨てるしかないですよ」
「性分よね」と、陽子が言った。「でもね、志道。夫婦になったら、お互いのものが自分のものになるのよ。あなたがさちさんに正しい選択をしたなら、それがあなたにも返ってくるはずよ。そういう関係なら、いろんな我が儘も、自分本位かなって思うことも、いつもじゃないなら、問題ないはずよ。お互いの関係の中で、迷惑を掛け合うってことも、家族なら当たり前でしょ」
「うーん。母さん、そういうのはわかるんですけど、今は自分を抑えていないとだめなんですよ。さもないと、仕事もほっぽって、さちさんのことしか見れなくなりそうなんです、今の僕は」

 志道が去った後、陽子は治郎と居間のソファーにくつろいで話をしていた。
「志道は一番甘えん坊だったのよ」と、陽子は言った。「ねんねの赤ちゃんの頃は、よく寝る手の掛からない子だったけど、人見知りが始まると私とくっ付いてないと泣いてばかり、後追いの時期も長かったし。皆が好きな相手を見つけたのは嬉しいけど、なんか淋しいわね」
「志道は、今も甘えん坊だと思うよ」と、治郎が言った。「お前にそっくりな娘を選んで、ずっとその尻を追い掛けてる」
「さちさんって、私に似ている?」
「ああ」
「一番似ていると思ったのはね、志道を見る時のあの娘の表情だよ。帰ってきた時嬉しそうに笑って奴を見るんだよ。お前さ、昔星の家≠ナさ、俺を見る時、あんな顔をして見てくれたよな」
「今は違うの?」
「どうだろ?いつの間にか、お互い顔を見ないで話すことも多かったのかな」
「そうね。そういえば、会ったばかりの頃は、あなたにじっと見られるのが恥ずかしくって、面と向かって見れなかったような気がするわ」
「ドキドキしながら俺を見てたろ?」
「そうね」
「俺もだったの知らないだろ?」
「あなたもドキドキしたの」
「そりゃね。そういう風に見られると、かわいくてさ」
「いつ頃?眼鏡をしてた頃も?」
「最初に会った時からだよ。今ももちろん、ドキドキするよ。陽子がかわいいから」
 結ばれたいと願う恋人たちは、その昔から星の数ほど生まれてきて、愛を語ってきた。
 その中で、その愛を実らせて生涯を過ごすことができたカップルは、ロミオとジュリエットの魂をもきっと喜ばせているはずだ。
 ロミオとジュリエットの恋がもし実って結ばれていたら、この二人のように昔を思い出して語ることもあった、…かもしれない…。

4026953バラ ジュリア.jpg


ということで、答えになったかどうかわかりませんが
「もしもロミオとジュリエットが死なずに結ばれたなら」
この節は閉じさせて頂きます。
そして若き日の志道の物語
第Y部「眠り姫と眠り王子」も
これで終了となります。

今回の連載はこれまでですが、
続編の第Z部「涙の女王(クィーン)と笑顔の王(キング)
では、時は流れ、かつての
眠り姫と王子は、堂々とした
キング&クイーンになります。
前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次
                        
登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]
家系図からは3年後となります。


よい一日 よい夢をぴかぴか(新しい)

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ベージュの薔薇
バラ ジュリア
最終話の2枚はフォトライブラリーより
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2015年09月21日

27《眠り姫と眠り王子’15》 もしもロミオとジュリエットが死なずに結ばれたなら(関西の洗礼)2 【三月さくらY5-3】

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小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
4744263つるバラ.jpg


志道は祖父の前であっても
恥ずかしげもなく
さちへの想いを告げます
関西のさちの祖父と
志道の会話の続きから★


「あんたには、さちのことしかないんか?仕事よりも?」と、祖父は笑いながら言った。
「仕事ですか?大切ですよ、もちろん。今は音楽ですが、これもさちさんがいるから出来るような気がします。今の僕には、彼女がいなければ何も始まらないんですよ」
「そんなに惚れてるんか?」呆れたように祖父は言った。「最近の若い男は、愛だ恋だばかりしか考えてないゆうが、ホンマやな」
「お祖父さんは、お祖母さんのことを愛しているでしょう?」
「親が決めた相手やったら、愛せないゆうことはないしな」
「結婚してよかったと思いますか?」
「あれと結婚してへんかったら、今こうしてあんたと話してることもないしな。夫婦言うんは、不思議やで。鞘のように納まる相手なんや。だんだん身内になっていくしな、親より兄弟より近いしな、誰とも交換出来ひんのやから。」
「さちさんと会って、僕も何もかも変わりました。欲しいものも何もなかったのに。夫婦になるって、もっと違うんですか?」
「夫婦になって、親になるやろ。二人がいないと、子供も出来ひんしな。仲ようせんかっても、できひんしな」
「はい」
「仲良くすればいいんやから」
「はい。…って何がですか?」
「子供を作るんやったら、仲ようせんとな。喧嘩をしても仲良くするんや。喧嘩したことあるんか?」
「ないですけど」
「謝るのが勝ちやで」
「あの…」
「子供の作り方やったら、また今度教えたるわ」
 志道は顔を赤らめた。
「そこが、夫婦と他の関係の違いでもあるんやけど。まだあんたには早いみたいやし。
 四人兄弟言うてたか?兄弟が多いゆうことはいいことや。宝やで。さちは長男の嫁になる聞いてたが、それは責任重大や」
「さちさんには、今まで通り仕事をしてもらって、できるだけ、苦労はさせないつもりです」
「それはあかんで。嫁に入るなら、嫁の責任があるんやから、あまり甘やかせて飾り物のようにしたらあかん。年取って、孫が出来る頃になったら、そのしわ寄せが来るんやから。家に尽くすために嫁に行くんやから、あんたの奥さんになるためだけやない。苦労は付きものやろ。家族のためにどんだけ尽くしたか、全部結果は子や孫に表れるんや。我が儘な自分が可愛いだけの嫁やったら、子や孫が裁判官やから、評価はシビヤや。恐ろしいで」
「はぁ」
「まあ、嫁をいじめるゆうこととは違うんやで」
「わかりました。一緒にもっと苦労しますよ。両親や家族とも、今まで通り仲良くしてもらえるように」
 ハッハと祖父は楽しそうに笑った。
「あんたのいいところは、苦労知らずやが、怖いもの知らずの、何ともいえない自信ありげなとこやな。知ったかぶりはしないし、自慢するんやないし、腰も低いのにな。余裕があるんやな、きっと。まぁいい。もう、イチャモン付けるんは、やめとくわ。
 さちがえらい男前の婿はんを連れて来たよって、若い娘は見た目に騙されるものやから。まぁワシも騙されたることにしようか」ハッハッハーとまた祖父は笑った。

やはり、志道は志道、なのでした。
しかしこのお祖父さんとの関わりは
結構貴重なものになるはずです★






ローズガーデン (5)


関西の洗礼、二日目の朝。
今度はお祖母さんです★


 次の朝、祖父が近所の付き合いで出掛けると、祖母が志道に言った。「お祖父さん、きっとあなたのこと、気に入ったのね。こんなにご機嫌なの久し振りだわ」
「そうなんですか。ずっとお説教みたいだったから、なんとか合格が出たみたいでホッとしてたんですけど」
「何と言ってたの、あの人?」
「いろいろ。最後は、僕に騙されてやるって」
「それは、気に入ったってことよ。子供たちの結婚相手には、とうとう、うんと言わなかった人だから。あなたたちが来るって聞いて言ってたのよ。『親の責任を奪うことはできひんけど、人を見る目は年寄りの方があるよってな。親はまだまだ見た目で気に入ったとか言うんやから』なんて」祖母は祖父の口調をよく真似て言った。
 志道は嬉しそうに笑った。「そうなんですか。よかったです」
「私は言ったのよ。ご縁なんだから、相手の欠点をつついても仕方ないって。孫だって完璧じゃないんだからって。でも、あの人なりに基準があったんでしょ」と、祖母は言った。
「ご縁ですか?」
「そうよ。ご縁がなければ、いくら好き合ってても結ばれないし、逆にご縁があるから、こうして結婚することになったんだしね」
「お祖母さんは、どうですか?僕のこと、さちさんの相手として」
「もう決まってることに、何にも言わないわ」
「厳しいことでもいいですから」
「そうね。今時の人から見れば、頼り甲斐のある人に見えるけど。女っていうのは、男の人と全然違うのよ。いくら愛し合っても理解できないことがあるかもしれない。きっとさちはあなたに合わせていけると思うけど、振り回されて、大変な思いをすることもあるかもしれないわね」
「さちさんを大変な目に合わせるなんて」
「あなたは、そんなつもりはないでしょうけど…」
「言ってください」
「人の気持ちで動く人じゃないでしょう。男の人はそういうものだけど。悪気はなかったとしても、自分の世界が強かったり、自分に酔っているみたいなところ、男の人ってあるものじゃない?」
「僕もってことですね」
「まぁ、男の人はまっすぐ付いて来いくらいでいいんだけど、正しければいいってものじゃないから」
「やっぱり、違いますね。ここに来てよかった。僕は完全なわけじゃないのに、さちさんのご両親は、僕のことを『もったいない』なんて言われて、どうリアクションしたらいいか、困ってたんです。正しく見てほしいなって思ってたんですよ。お祖母さんが言うのは、やっぱり思い上がりが強いナルシストって言うことですよね、僕って」
「あまり人の意見って興味なかったでしょう?」
「そうかもしれません。でもね、さちさんのためになら、自分を変えてもいいかなと思っています」
「結婚したら相手のために生きざるを得ないから」
「幸せになりたいんですよね、僕」
「自分しか愛せない人は、幸せになれないわ」
「そこまでナルシじゃないつもりだったんですが」
「芸術家なんだから、多少はいいでしょ。目に余るほどじゃないわ」
「さちさんがいるから、幸せになりたいっていう意味なんです」
「一人では幸せになれないし、さちを大切にするしかないわね」
「お祖父さんは、大切にし過ぎちゃいけないって」
「そうよね。甘やかせたらよくない場合もあるけど。大丈夫よ。大切にしすぎということはないわ。二人でいい夫婦になったらいいのよ。」
「僕はさちさんに幸せになってもらいたいんですよ。彼女がいてくれれば僕は幸せです。それ以上は望まないくらい。今もとっても幸せなんです。でも結婚して、もっと幸せになりたい。どうしたらいいんでしょうか?」
「結婚すれば、見えるものが違ってくるわよ、自然と」
 祖母がゆったりとした口調で話し、志道は幼い生徒になったように期待を持って聞いていた。

お祖母さんの方が優しそうで
実は辛らつ?!
志道はわが道を行くだけでなく、
けっこ素直なんです…★
前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次                        

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2015年09月19日

26《眠り姫と眠り王子’15》 もしもロミオとジュリエットが死なずに結ばれたなら(関西の洗礼)1 【三月さくらY5-3】

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四月 しあわせの始まり△▼
薔薇園59


志道とさちの婚前旅行?!
翳りのない空のように晴れ渡った
ウキウキの志道ですが、
さちには、何か翳りが?!★



    第三節 もしもロミオとジュリエットが死なずに結ばれたなら
(関西の洗礼)



 
 志道が倒れてから数週間後、二人は志道が運転する車で、高速を西へ走っていた。
 さちの母の実家、今なお現役で助産師をしている祖母の所に向かっていた。お盆の時期も過ぎていたし、高速も混むこともなく、快調なドライブだった。
 こんなに二人で遠出をしたのは初めてのことだった。日帰りで帰れる距離ではなく、祖父母の所で泊まって来る予定だった。
 志道はドライブの間中、ほとんどずっとさちの手を掴んでいた。また、車を降りて歩く時も、手を繋いでいることがほとんどだった。サービスエリアなどで、彼らの睦まじい様子を見ることが出来た。
 志道は、まるで晴れ渡ったような心で、たださちを見つめ、彼女と結婚する日を楽しみにしていた。そう、その如くただ単純に楽しみにしていた。まさしく子供が遠足の日を待つように。 
 あまりに幸せに満たされていたからか、さちが心に、ある葛藤を持ち続けていることに全く気付かなかった。彼が倒れて以来、考えていることがあるということを。

 さちの祖父母は、温かく二人を迎えてくれた。
 祖父は気さくな人らしく、彼らが来るなり、いろいろ話し始めた。
「いくら呼び方が助産婦や、何や助産師か?なんぼ変わったゆうてもな、産婆ゆう仕事は、暇なしやで。わしはもう定年で隠居してかなりになるが、こンばあさんは、未だに現役やから」
 祖父は言った。「ワシの親父がよう言うとった。かみさんは、かみ様やて」
 祖父の母も産婆だった。父親はその妻を大切にしていたのだろう。
「ワシの親は言うたらロミオとジュリエットみたいなもんやから…」
「恋愛結婚だったんですか?」
「顔見知りやったんやから、恋愛も見合いもないわ。
 オカンはあんたらと同じ、関東の人でな、東京にも大きな家やら土地があったらしいんやが、戦災で失のうて、誰や知らん人らが住み着いてしまって、取り戻せなんだらしくて、要するにいい家のお嬢様やったらしい、オカンのオカンが忘れられへんのか、よう言うてはったわ。だんなも亡くして、知り合いに身を寄せてたような状態で、昔のことを言ってもなんにもならへんのにな。
 親父は一応、商売屋の三男坊で、子どもの頃は何不自由なく育ったらしいわ。娘の頃から苦労したんは、オカンの方やと思うな」
「結婚を反対されたんですか?」
「お互いの親が大変やったらしい。釣り合わん言い張って。今でも、あの世で、どっちの家が立派やと、言い合ってはるん違うかな」
「許されないで結婚したんですか?」
「許したんやろ、結局は。オカンは両方の親や親戚ともうまくやってはったし…。実はワシも一時期そうやったが、親父はおおかたオカンに食わせてもらってはったようなもんやし。大変な時代は仕事がない時期もあったんや。遊んではったわけやないで」
 志道は、祖父と話しながら、さちの助産院の片隅でピアノを弾く姿を想像した。冗談とかではなく、現実に考えたいと思っていた。

関西のお祖父ちゃんパワー!
明日もそのしゃべりが続きます…。






2013.06.15 新潟 カーブドッチ バラのアーチ


関西のさちの祖父母を訪ねた
志道とさち。
祖父の両親は
ロミ・ジュリのように
家の反対を受けたのだとか…★


 祖父は自分が結婚した時の話を始めた。産婆をしていた彼の母の元で仕事をしていた祖母と、いわば親の勧めで結婚したのだという。
「今の若い人には、わからんやろ」と、祖父が言った。
「みな節操もなく引っ付いてな、親の言うことなんて誰が聞くか?そして別れるんも、簡単に別れよるしな」  この祖父の口はなかなか滑らかだった。
「おじいさん、この若い人たちにそんな話をしなくてもいいでしょ。この丹波野さんにしても、さちにしても、そんな浮ついた風には見えないわ。わざわざこんな所にまで来てくれて」と、祖母が言った。
 元々関東の出身だという祖母には、祖父のようなこの地元の強いなまりはなかった。祖母の姑(かつてのジュリエット)も、東京の出身だったから、二代続きということになる。
「お義母さんはお産婆さんをしてても、どこか上品な人でね、言葉はだからこのうちは不思議だったのよね。男の人と子供は関西弁を話しているのに、私とお義母さんは関東弁が抜けなくて」
 おしゃべりな祖父を制して祖母も、落ち着いた話し方で、志道とさちを温かく受け留めてくれた。
「丹野さんのお母さんが、随分前から、さちの親の所には丁重に挨拶に見えていたようだよね」
 陽子がさちを丹野家に呼ぶことに決めた時、さちの家に挨拶に行き、床に付くばかりに頭を下げ続け、お願いして了解を得ていたことと、志道は知った。
「とても素敵なお母さんで、この人だったら、さちを任せてもいいって言っていたよ。親を見れば子供もわかるからね」と祖母は言った。
「子供を見てたら、親もわかるしな」と、祖父が言った。「あんたは、いいとこのボンボンやな。男前もいいし、順風満帆ゆう顔してはるわ」
「あなた、立派な青年を捕まえて、何を言うの」
「うん。何も文句つけるところはあらへん」と、祖父は言った。
 志道は苦笑した。

 志道は、風呂では祖父の背中を流し、同じ部屋で寝た。
 その間の会話は、もっぱら彼が聞いていることが多かったが、志道にとっては、丹波野の祖父とも、三和の祖父とも全然違うタイプのさちの祖父の話はおもしろかった。
 さちの祖父は志道と情が近くなると、気に入ってくれたと見えて、更に饒舌になるようだった。
「お祖父さん、僕はそんなに苦労知らずに見えますか?」
「そやな。でも、若いんやし、苦労してないんは、あんたのせいやないしな。ようは、なんかある時に、どう責任取れるかやな。男らしいゆうことは、中身が勝負やから。あんたはどや、今までどうしても欲しくても手に入れられなかったものはあるんか?」
「どうしても欲しいものですか?子供の頃はいっぱいありましたが、弟妹に譲ってるうち、あんまりこだわらなくなりましたね」
「何人兄弟や?」
「四人兄弟姉妹の一番上です」
「今時めずらしいなぁ」
「今までどうしても欲しいというものはなかったんです。初めてどうしても失いたくないと思ったものが出来たんですが…」
「なんや?」
「それがさちさんです」
「ほぉ。今まで手に入れられないものはなかったゆうことか。幸せやな」
「そうですね。僕は幸せ過ぎなのかもしれません。でも今は欲張りになりました。もっと幸せになりたいんです。あっ、そういえば、一度だけあります。手に入れられなくて、悩んだこと」
「そういう経験も必要や。あんたは欲がなさ過ぎるみたいやな。何なんや、手に入れられなかったもんゆうんは?」
「さちさんです」
「そやかて、さちとは結婚するんやろ?」
「最初はどうかなりそうなくらい悩みました。さちさんから、結婚してるって聞いたので」
「あの娘がそうゆうたんか?」
「そうですよ。すっかり信じてて」
「ほぉかぁ」と言って、祖父は笑った。

初めてどうしても手に入れたかった、
さちの存在…。
志道と祖父の話は続きます。
関西パワーと年の功の、祖父を前にしても、
志道は、志道ですね…。
前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次                    

登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]
家系図からは3年後となります。


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