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2017年06月24日

104 ニュームーンの反乱2   ❀三月さくら2017❀ 【三月さくらY-4・2】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
2013.05.26 和泉川 バラ


“星の家”で、久し振りに会った
志道とさちの会話からどうぞ★


「病院に迎えにはもう来れないの?」と、さちが尋ねた。
「あなたに迷惑が掛かるから、敢えて行かないでいたんですが」と志道。
「ええ。病院にもマスコミ関係の人たち来ていたわ」
「もう、ほとぼりも冷めたでしょう。外では会えないけど、迎えに行くことはできるかも。迎えに来てほしいですか?」
「…」
「あなたははっきり言わないんですね。言わせたくなっちゃうなぁ」志道はさちの手を取った。
 さちは見る間に顔を紅く染めた。志道の大胆な態度に、二人きりの時とは違い、人目の気になるさちだった。
「もしかして、恥ずかしいんですか?僕は皆に見せたいくらいなのに」
「嘘でしょ」
「いたって真面目です。このファミリーの中では特に、何も恥ずかしいことはありませんよ。僕たちが仲良くしているのを見れば、喜んでくれるはずです」
「かもしれないけど、私は慣れなくて」
「わかりました。じゃあ、あっちに言って座りましょうか」
 彼は、奥のピアノの近くの席に誘導した。そこは、数十年前、父治郎が、母に告白した場所だった。今はその時とは様変わりして、二人で掛けられる籐の椅子が据えてあった。並んで座ると、志道はまたさちの手を取った。
「ずっとこうしていたいですね」と、志道はさちの目をじっと見つめた。彼女はその視線を逸らして、俯いた。
「あれ、敬遠してますね。どうしてかなぁ」
「あなたは、どこにいても自然に振舞えるみたいだけど、私は慣れないの。ここにいてもみんなに注目されているような気がする」
「話している内容まで聞こえませんよ。ねぇ、僕に久し振りに会えて嬉しいですか?」
「…」さちは俯いたまま口を開かなかった。
「答えないなら、僕のしたいことしちゃいますよ。みんなが見てても構わないから」
「何をするっていうの?」
「そうだな、熱いキスをして、それから強く抱き締めて放さない」志道はにこっと笑った。
「わかったわ。言ってみて答えるから」
「僕に会えて嬉しかったですか?」
 さちは頷いた。
「言葉で答えてください」
「はい」
「『会いたかった』って言ってほしいんです」
「会いたかったわ」
「僕のことを愛していますか?」
「…」
 志道の唇が「言って」と、動いた。
「愛してるわ」遂にはさちが言った。
 志道は浮かんでくる笑みを強引に押し殺そうとして、どうしても漏れてくるものを持て余した後、あきらめてそのまま顔に残した。
「嬉しくてどうかなりそうです。抱き締めてキスしてもいいですか?」
 さちは、急に立ち上がって、後ずさりし始めた。「冗談やめて」
 志道は嬉しさを満面に浮かべると、「逃げないでくださいよ」と、言いながら、さちの方に歩み寄った。更にさちは後退りし、二人はまるで鬼ごっこでもしているように、ピアノの近くをぐるぐる回った。
「志道兄」気づくと、初樹がすぐ近くに来ていた。「仲がいいね」
 麗美も続いてやってきて、初樹の隣に立った。
「あなたたちの方こそ仲がいいですね。いつも仕事も一緒なのに」志道は言った。
「仕事では、手を繋ぐことも出来ないんだよ。ここにいる時くらい、くっ付いてたいんだ」と初樹。
 麗美がさっと彼の腕を取った。
 照れてそれを隠すように初樹は言った。「志道兄のピアノが聴きたいなっと思って」
「私も聴きたいわ」と、さちが言った。
「喜んで。一番したいことは、後に取っておきますから」後の言葉はさちに目を向けてそう言って、志道はピアノに向かった。

人前でも
さちへの愛情をはばかることなく
表現したい志道。
大胆志道、絶好調です。






窓辺。


今日は志道のピアノ演奏から
スタートです♪
休日の“星の家”。
ピアノの似合う
場所になりました★


 彼が弾き始めると、皆が潮に引き寄せられるように集まって来た。志道の創る世界は、確実に人の気持ちを捉えるものがあるようだった。
 志道は活き活きと演奏した。
 碧斗が志道を見ながら呟いた。「やっぱ、オーラがあるんだよね。デビューさせないのは、惜しいな」
「そう思うでしょ」と初樹もそれを聞いて言った。「何かいい方法がないかな。三和のお祖父さんも乗り気なのに」


「本当にそうなるなんて」
「言ったでしょう。信じてなかったんですか?」
 志道はさちとそんな会話を交わしていた。k出版との和解が成立して、事実上、火の車だったその会社は丹波野事務所のものとなった。
 志道は得意げに言った。「僕たちはあの会社を救ったんですよ。潰れかけていた会社を、かなり縮小したんですが、まともなものを作れと言い渡してあります。もうあの人たちは、僕たちの言いなりですよ。今まで、いい記事を書いたことがないから、どうしたらいいかアイデアで既に行き詰っているんですよ」
 さちに向かって、志道はとめどなく話し続けた。
「最初は動物園特集しろって言ったんです。次は空港。そしたら、言われないうちに今度は鉄道を回り始めて。麗美のコンサートに同行させたら、本当に喜んで、今は仲間になってるみたいですよ。“Jiro's Home”も本店の方と、音大横のライブハウスと、しっかり取材していきました。今度は“星の家”もって、しばらく内輪取材ですが。小さい出版社ですから、経費ないので」
「ふーん」
「今までは追う視点が違ってたんですね。コンセプトを全て変えてあげたら、さすがプロですよ。いい物を作るようになって。来月号から月刊誌は新生して再開できるはずですよ」

 そして、もうそこまで、大きく違う流れが来ようとしていた。
 今まで吹き荒れていたと思っていた嵐のような風が消し飛んでしまうような、新たな薫風を創り出して呼び込む内容だった。
 丹波野家の四兄弟姉妹が、三和家の別荘に集まった。ほぼ半日は屋外で、夕方以降は屋内で、ビデオ撮影をした。k出版からもカメラマンと記者が同行した。
 四人は自由に休日を楽しみながら、自然な様子が爽やかなコマーシャルフィルムとなった。三和産業のイメージアップとしても、上々のいい出来上がりだった。
 K出版からは、CMの写真や密着取材の内容を月刊誌に載せたことも、さらに相乗効果を増し話題となった。
 メイキング・フィルムには兄弟姉妹たちとともに、治郎夫婦と、祖父の三和会長も姿を見せていたので、更に話題となり、三和産業とk出版のホームページに載せられた動画は、大きな再生数を叩き出した。ついにはそのDVDも発売されるほどだった。
 映像の中で余す所なく彼らの伸び伸びとした魅力が発揮されていたし、映像となっていることで真実感が増し、先の週刊誌での志道の悪いイメージは完全に覆された。

 CMの発案者は碧斗だった。
 彼は三和孝司にこう言ってアプローチしたのだった。
「エンゼルフィッシュですよ、彼らは。見ているとその美しさや華やかさに魅了されて、いつの間にか癒されてしまう。会長の最高の持ち駒でしょう。ただ持っているだけでは、もったいないです。彼らなら、そこに立って話しているだけで、絵になるんですから」
 四人が出演をOKしたのは、一重に愛する長兄、志道のためであり、祖父と三和産業のためだった。

丹波野エンゼルフィッシュのCMですか…!
志道のピアノ演奏も聴きたいですし
このCMも見てみたいです。
前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次                        
登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]

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ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
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2017年06月23日

103 ニュームーンの反乱1 〜丹波野エンゼルフィッシュ   ❀三月さくら2017❀ 【三月さくらY-4・2】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
花の首飾り。 「2013 横浜山手西洋館 〜花と器のハーモニー〜横濱プロムナーデ〜初夏のお散歩〜」


月のない夜を経て、
また新月を迎えるようになります。
願い事が叶うなどとも言われますが…★



   第二節 ニュームーンの反乱
 


 その、日曜の夜空には月はすっかり欠けてなくなり、暗かった。
 しかし、デビューの件も腹を決め、“Jiro's home”に集まった皆にもそれを告げた志道の顔には、暗い影は微塵もなかった。水族館で楽しい時間を過ごした午前中の余韻が残る彼の微笑みには、余裕と自信が感じられた。
 ところが…。
 青天の霹靂とはこういうことか、その直後に、彼がさちと話していた夢も計画も、ぶち壊しにするようなことが起こった。
 写真週刊誌に、志道に関する捏造記事が掲載されたのだった。
「近々デビュー予定の新進ピアニスト、丹波野志道の華麗なる私生活」と大見出しを打ち、治郎や麗美、三和産業の名前もからませた様々な副題と、それらしい写真の数々だった。 
 その出版社は、以前麗美のインタビューを載せた所で、その雑誌には、初樹たちが納得する内容で掲載され、それはそれで問題はなかったのだが。
 パーティーでピアノを弾く写真はいいとしても、取材の時に隠し撮ったとしか思えない写真、複数の女性を志道が車で送る写真、極めつけは“Jiro's home”のバイトの女子学生とのキスシーンを写したものだった。
 店のスタッフ室で、雑誌を机に叩きつけ、志道は言った。
「あり得ないですよ、これは」
「ひどすぎるとは思うけど、これは誰?」と、空が訊いた。
「さちさんの病院の看護師ですよ。確かに駅まで送りましたが」
「これはさちさんだよね、これも。幸い顔はわからないけど。でも、これが問題だよね、やっぱ、高木とのこれ。この間、送ってったよね?」
「あり得ないって言ってるでしょう。こんなシチュエーションさえなかったんですよ。ただ車に乗せて送っただけなんですから」
「合成かな?兄貴が白なら、高木があやしいね」

 ニュームーンが何かを決意したかのように、鋭い刃物にも見える、その折れそうな光の筋をはっきりと空に描いている早朝、いつもなら、さちの迎えに向かうはずの志道は、それを断念するしかなかった。
 バイトの高木は雑誌社に協力したことをすぐ白状したし、写真も合成であると判明した。写真も記事も名誉毀損で訴えるに十分なものだった。
 直ちに父の治郎が記者会見に臨んだ。
 ただし、いくら事実を証明し、言葉で説明しても、その記事で付けられた志道のマイナスイメージは大きいものがあった。CDの発売は、製作も始まらないうちに、取り敢えず見送られた。
 志道は、家と店以外にはどこにも外出できなかった。
 水族館でのデートがあまりに楽しかったので、さちと会えないことは志道には拷問のように苦しかった。あれが、最後かもしれない水入らずのデートとなるなどと、少しも予測できなかったのだから。
 毎日必ず電話で話していたが、彼の心は物足りないようだった。

 “星の家”で集まりをした時、みんなの配慮で二人は数週間振りに再会した。
 さちは、もうほとぼりが冷めているはずの週刊誌の件について、怒りを顕わににして言った。「なぜ、訴えなかったの?」
「訴えて時間を費やし、お金を得ても、そんな気分の悪い金は見たくも使いたくもないでしょう」
「あなたが誹謗中傷されているのよ」
「真実はいつか表れると思ってますから」
「だって」
「あの人たちは愚かだとしか言いようがない。事もあろうか、まだ写真があるんだと、僕たちを強請ろうともしてきたんですよ。実際どうしてやろうかと思っていたんです。あなたが生ぬるいというなら、懲らしめ方を考えますよ」
「あなたはそれでもいいのかもしれないけど」
「えっ、さちさん、何か怒ってるんですか?バイトの女の子の写真は、前言ったように合成で…」
「そんなのわかってるわ。私も見てたんだから。あなたが先を歩いて、あの娘を後部座席に乗せたんだから、あの写真はあり得ないわ」
「その通りですよ」
「他の日にも送ったなら別だけど」
「僕がいろんな女性を気軽に車に乗せるから、いけなかったんですね」
「あなたと付き合ってたはずの私だけ蚊帳の外で…」
「ねぇ、何を怒ってるんですか?」
「だって他の女性と並んで写ってるのよ、あなたが。私のは、あんな小さな写真で、顔もわからない」
 志道は遂には笑い出した。「ねぇ、僕たちはあなたの顔がわからないから、よかったと思っていたのに」
「私は隠れていたらいいのね」
 さちの目に涙が光った。大雨の予報をキャッチした志道は大急ぎで天気回復のための手を打ち始めた。

会えなかった恋人に
久し振りに会った時、
会えなくて寂しくて苦しかった分、
気持ちがコントロールできないことも
あるのかもしれません。
泣き虫のさちですから…なおさら。
さぁ、志道のピアニストへの道は
ふさがってしまったのでしょうか…。






壁の花。 「2013 横浜山手西洋館 〜花と器のハーモニー〜横濱プロムナーデ〜初夏のお散歩〜」


志道とさちの久し振りの再会、
“星の家”の
家族のようなコミュニティーが
二人を温かく包みます★


 さちが一旦泣き始めると、本人も誰も止め方がわからないのを、志道はすでに理解し始めていた。
 何より、彼女の涙を見ると落ち着かなくなる彼は、彼女の心に覆い始めた雲のようなものを払いのけるかのように、軽やかに話しては、さちを笑わせ続けた。
 治郎と陽子が、やって来た。
「楽しそうだね。まさか空かと間違えそうだったよ。さちさんの前ではよく舌が回るようだね」
「父さん」と、志道は言った。「あのK出版をやっぱりなんとか懲らしめないといけないですね」
「そうだな」
「あの人たちのしたことで最も許せないのは、真実を報道するつもりがなかったことですよ。本気だったら、このさちさんと僕の関係をつかめないはずがない。最初からでっち上げ記事をのせるつもりだったから、真実には関心もなかったんでしょうね。彼らの最大の過ちは、僕たちのラブシーンを載せなかったことです」
「は?」と治郎。陽子も怪訝そうな顔をした。さちも、驚いて志道の顔をまじまじと見た。
 志道は皆の反応をかえって楽しむかのように言った。「さちさんは、この記事をとても不快に感じているんです。当然でしょ。たとえ合成だとわかっていても、です。父さん、慰謝料代わりに、あの出版社丸ごともらおうと思うんですが、不可能じゃないでしょう。三和の名前まで出しているんだし」
「買収するつもりか?」
「可能でしょ?」
「出来ないことではないだろう。慰謝料なんて払う状態じゃないみたいだから、あそこは」
「そして、これからはいいものだけ出版するんです。真実だけね」
 陽子はさちと和やかに会話を交わした。
「今度、近い内にうちに遊びに来てね」と言って、約束の日まで取り付けた。
 両親が行ってしまうと、志道はさちに言った。
「さちさんのお陰で、見過ごしにするところだったことに、思い掛けない決着を付けられそうです」
「本当にそんなことできるの?」
「もし、さちさんが構わないなら、K出版の雑誌に僕とのデートの大きな写真を掲載させましょうか。訂正記事の代わりに」
「私は載りたいわけじゃないわ」
「そうなんですか?僕と一緒でも?」
「嫌よ」
「ならやめますが…」
「ねぇ、本気なの?買収とか」
「もう、そうなったも同然です」
「そうなの?」
「これほどよいアイデアはないからですよ。あなたは本当にすごい」
「私が何をしたの?っていうか、話に付いていけないのに…」
「任せてください、あなたの願い通りにしますから」
「え、願ってないのにな」
 志道はおかしそうに笑った。
「これからは、僕の家で会えますね。大丈夫。これも君の願う通りです」
「私の願う通り?」
「だって、僕ともっと会いたいでしょう?それに、僕が他の女性と会うのも嫌でしょう?僕の家で過ごせば全て解決するでしょう?」
「私がそうしたいって言った?」
「違いましたか?僕はそうしたいんですが」
「志道さんの願いでしょ?」
「あなたは嫌ですか?」
「…いいわよ、別に」
「素っ気ないですね。僕はもう少しでどうかなるところだったんですよ、あなたに会えなくて」

志道がはじけているようなのは、
さちに会えた嬉しさからでしょう。
道が塞がったようには
まるで見えない彼の様子です。
明日も“星の家”からお送りします
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2017年06月22日

102 水族館とキス4   ❀三月さくら2017❀ 【三月さくらY-4・1】


今日は「水族館とキス」の最終話★
小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
1900517ブルー朝顔 by kokkon.jpg


初水族館はいかに★


 その日曜の朝の水族館は、志道とさちの、初めて約束したデートらしいデートだった。そしてもしかしたら、最後の水入らずのデートとなるかもしれなかった。
 二人は一番乗りした水族館で心置きなく楽しみ、出て来た時、これから入館しようとする碧斗と未来にばったり会った。
 二つのカップルは、それぞれの携帯を交換して写真を撮り合うと、志道と碧斗はハイタッチしてから、それぞれの方向に進み始めた。志道は、思い出したように、入り口に向かっていく碧斗に声を掛けた。
「碧斗、中にあなたにそっくりなのがいましたよ!」
「探してみるよ!」と、碧斗が答えた。
 さちが志道に言った。「志道さんのが一番似ていたのに」
「そう?碧斗のが最高におもしろいと思いましたが」
「わかるかな」
「大丈夫。わかるようにしておきましたから」
「そうよね」

 ある水槽の前で、碧斗たちが突っ立っていた。未来が小さな札を見つけたのだ。学名アオト〇〇≠ニそれらしい名が書いてあった。
 未来が笑い転げ、碧斗は「そんなに似ているか?」と、不服そうだった。書いたものを剥がすと、それは“Jiro's Home”の志道の名刺だった。
 次に見つけたのが「ミライイカル…」。未来は水槽の中の魚と同じように口を尖らせて怒り、碧斗は失笑した。志道は即席の札を上手に水族館側がしたもののように付けてあった。
 二人がその水槽の前で写真を撮っていると、館員が近づいて来て言った。「これもお客様のものですか?」
 差し出された志道の名刺の裏には、「シドクラテス…」と、書かれていた。
 館員は言った。「お客様に質問されてわかったんです」
「すみません。今、回収していますから」碧斗は慌てて言った。

「水族館」、「キス」
共にクリヤです。
続けて次のお話もどうぞ。







バラが咲いた・・・・真っ赤なバラが。


「水族館とキス」の
最終話の今日は、
碧斗と未来の水族館です。
志道の大胆さ+お茶目さを
表わすようなエピソードも★


「あの」と、未来は臆せず尋ねた。「これって、どこにあったんですか?」
「こちらですよ」館員は案内してくれた。
 その深海魚は瞑想している志道そのものだった。二人は思わず笑った。
 館員が不思議そうに尋ねた。「どういう意味なんでしょうか?」
 二人は顔を見合わせてから、笑顔で謝った。
「そんなまじめなものじゃなくて、私の兄の悪戯です。兄は志道というんですが」と、未来は名刺の表を見せてから、さっき携帯で撮った写真を見せた。
「ああ。このカップルですか」
「さっき帰ったんですが」
「ええ、朝早くから来ておられましたね。雰囲気がよくて、どこか名がある方のお忍びかなぁなんて思ってたんですよ。外国暮らしをされてたような雰囲気があって」
「生粋の日本人ですよ!」
「なんというか、外国の恋人同士のようでしたよ。ずっと寄り添って、時々キスしたり…」
「えーっ!」二人は思わず叫んだ。
「シド兄が…!」碧斗は驚いたが、館員に向かって笑顔で言った。「今はともかく、いずれ、名が出るかもしれませんよ」
 館員は本気にしたのだろう、言った。「その御名刺を頂けませんか?」
「どうぞ」と、未来がそれを渡した。
「妹さんも、女優さんかなんかですか?」
「ただの学生ですよ」
「もし、よろしかったら…」と言いつつ、館員が離れないので、未来は先の二つの名刺も渡してしまった。ようやくその館員は去って行った。

「碧斗が変なこというから、絶対誤解してるわよあの人」と、未来が言った。
「まんざら、嘘でもないかもだろ?志道兄もピアニストで売り出せば」
「お兄ちゃんまで、変わってほしくないな」
「あの人を、誰も変えられないだろ?大胆だよね、外国のカップルみたいだって。こんな所でキスしたり出来ないよ、普通」
「え、だめ?」
「で、き、な、い」
「そんなに強調しなくても」未来は可笑しそうに笑った。「これくらいならいいでしょ」と言いながら、彼女は碧斗の腕を取った。
「…ここではいいけど、外では暑いから離れろよ」
「うん」未来は嬉しそうだった。
 碧斗もまんざら嫌ではないのだったが、照れ隠しにまた言葉を発した。
「志道兄、まさかまだ名刺残してたりしないよね」
 未来が電話を掛けた。
「お兄ちゃん、一体いくつあるの?水族館の人に見つかっちゃったのよ。名刺よ」
 電話口で志道は笑った。
「寝起きの空と、歌ってる麗美は見つけてくれましたか?名刺の持ち合わせがなくて、それだけですよ」
 そして、志道は碧斗にすぐに写メを送った。エンゼルフィッシュが群れているのがちょうど六人家族のようにも見えた。
『先頭の澄ましたアップのが父さんのようでしょう』
 それを見て、碧斗はメールを返した。
『エンゼルフィッシュか、丹波野家らしいね』
 そして、実際のその目でも優雅に泳ぐエンゼルフィッシュを見ていると、その華やかさも気品のある姿も、丹波野家の一人一人のようだと、碧斗は思った。

0107_s竜宮城ツアー.jpg


「水族館」は、そして
「キス」はいかがだったでしょうか?
さて、志道のピアニストとしてのスタートは?
また、時々志道の背後に見えた影の真相も
気になります。
第二節は
ほとんど志道が本領を発揮していきます。
「丹波野エンゼルフィッシュ」は
その後の話でも
重要なイメージとなります。
どうぞこれからもお楽しみに!
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