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2015年09月13日

21《眠り姫と眠り王子’15》 ニュームーンの反乱(4) 丹波野エンゼルフィッシュ 【三月さくらY4-2】

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小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼

白いトゲ・・・


「ニュームーンの反乱」及び
「丹波野エンゼルフィッシュ」の
最終話です。
久し振りに会った志道とさちの
車の中でのシーン、
そして・・・
取って置きのシーン満載です★


 駐車場の手前で車は止まり、次に続いて来ていた空も車を止めて出て来た。「どうした?」と、空が訊いた。
「参ったよ、この二人起きないんだ」と初樹は焦った声で言った。
「もう少しぎりぎりまで寝かせてあげられない?」と麗美。
「無理だよ。今から予約してある駐車場にまで行って、ここまで送ってもらうんだ。すでにギリギリだよ」
「車入れ替えよう。俺のを代わりに預ければいいだろう?」と空が言った。
 志道とさちは空港前のパーキングに取り残された。
「さちさん、後数十分です。二人だけでいられるのに、眠っているんですか?僕はあなたの寝顔見ているのも好きですけど」
 さちの口元が少しほころんだ。「気持ちよくて本当に眠ってしまいそうだった」
 志道はさちの手を取り、もう一方の手をこぶしにして胸に当てた。
「こうやって、あなたに触れられるだけで、僕はあなたに握られている魂を確認して、元気を取り戻せるんです」
「じゃあ、私も」とさちも、もう片方の手を握って胸に当てた。
「充電してるみたい」
 二人は笑った。
「この笑顔です。僕が恋しくて溜まらなくなるのは」と、志道は言った。
「何かお喋りしていて、時間まで」
「どうして?」
「笑っている顔を見ていたいの。時間になるギリギリまで、離れ離れになること忘れていたい」
 二人は笑いながら話していたが、志道の携帯が鳴った。
「ええ、わかりました。入り口に向かいますよ」と、電話に向かって答えると、さちに目を向けて言った。「もう、行かなければ。見送りに来ますか?」
 さちはゆっくり首を振った。
 志道は言った。「泣いちゃうからでしょう?」
 既に潤み始めている目を伏せるようにしてさちは言った。「違うわ。見送りになんか行けるわけない、私が…」
「僕は来てほしいのにな」
 別れを惜しんで車を出た志道をさちが呼び止めた。
 さちは志道の前に立った。さちが話し出す言葉を待っていると、予期に反して、彼女はふわりと志道に抱きついた。そして「愛してるわ」と、言った。
 驚いた志道も微笑んでそれを受けると、しっかりと口付けを返した。
 百メートルほど離れた空港の入り口から、三人が二人の姿を見ていた。
「お、麗しいラブシーン」と、空が言った。
「今日は当てられっぱなしだ。シド兄って結構大胆だよね」と初樹が言った。
「あの辺りはちょうど人が少なくてよかったじゃないか。俺たちだから誰かわかるけど」と、空。
「こんな僅かな時間しか会えないなんて可愛そうよね、お兄ちゃんもさちさんも」と麗美が言った。
「うん、後二週間は戻れないから」と初樹は言った。
 小走りで志道は三人の許に行き、立ったまま見送っているさちに向かって、大きく手を振り、その手をこぶしにして胸に押し当てた。
「なるほど、これは二人だけの合図みたいなものだったんだ」と、初樹が小声で言った。
「空、じゃあ彼女を頼みましたよ」と、志道は言った。空は三人と握手すると、そこで中に入る彼らを見送り、車に戻った。
 さちは既に後部座席に座っていた。
「さぁ行くよ」空は声を掛けて出発した。
「疲れているだろうから、休んでて構わないよ」
 空にそう言われたが、さちは眠ることなく、声を出さずに、ハラハラと涙をこぼしては泣き続けていた。
 月が見ていることに、さちは気づかなかった。太陽が高くなって、もう翳んで消えてもおかしくない時間なのに、記録更新を狙うかのように光を残していることを。そして、そんな時に涙ながらに祈った内容をこっそり聞いてくれることを彼女は知らなかった。
 知っていたら、もっと遠慮がちに祈ったかもしれない。ともかく、さちの心は恋しい人のことしかなかった。新月は欠けている部分を満たそうとするように、その涙の粒を拾い集めていた。

「丹波野エンゼルフィッシュ」は、今日で終了です
志道とさちのお話は次の章に続いていきます。
前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次

                        
登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]
家系図からは2年後となります。


よい一日 よい夢をぴかぴか(新しい)

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写真は:白いトゲ・・・
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2015年09月12日

20《眠り姫と眠り王子’15》 ニュームーンの反乱(3) 丹波野エンゼルフィッシュ 【三月さくらY4-2】

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小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
横浜の英国。


丹波野エンゼルフィッシュの
兄弟パワーで、
志道にチャンスがやってきました★


 またニュームーンが巡ってきていた。
 神秘の力があるというその光の弓が微かに筋となって見える瞬間、志道は、時満ちて出陣を決めた若武者のように堂々と見えた。新月のパワーは、おそらく彼に集まったに違いなかった。
 いよいよ、満願のCD発売も現実のものとなり、一気に音楽家としてのスタートを果たした志道だった。
 最初は麗美のコンサート・ツアーに同行して数曲演奏していたが、単独や二人での依頼も来るようになった。
 予期していた通り、忙しくて、さちに会う時間がなくなった。志道が彼女の仕事の迎えを気にしていたので、大体は空が兄に代わってするようになった。
 ある夜勤明けの日も、空が迎えに来ていた。
「兄貴からのメール見てない?」
「お産があって、見てないの。今開いてるんだけど…」
 さちは携帯を見ながら言った。
「テレビ出演?見ていてくださいって」
「これだよ」と、空がモニターを指すと、朝のトーク番組のゲストに、麗美と志道の名前が紹介されたところだった。
 志道は少し緊張した面持ちで、司会者の問いに答えていた。司会者と、横にいる麗美が志道の真面目な性格をプラス的にフォローしながら、トークは順調に進んだ。
 話題は当然CMのことにも入ってきた。志道はにこっと笑うと、言った。「僕より弟の方がイケメンでしょう」
 すかさず麗美も言った。「私より妹の方が断然美人なんですよね」
「いえいえ、どちらがどちらにも劣りませんよ。麗しいご兄弟でいらっしゃいますよね。皆さん、俳優さんかモデルさんかといってもいいくらいですよね」と、司会者が慌てて言った。
「兄妹のお陰で、私のCDもよく売れてるんです」と麗美が言った。
 二人は兄弟のエピソードを話し始めると、トークも乗り始めた。
「ご兄弟のお名前はドレミの音階から付けられたんですよね」
「ええ、わかりやすいでしょう。僕がシドで、次の弟がソラ、レミでしょう。末の妹だけちょっと調子っぱずれなんですけど」
「未来さんでしたね」
「ええ」と言って、志道と麗美は声を合わせて、音階を歌い出した。
「レミ、ソラ、シド」
「ソラシドレミ、ミラー」ラの音だけ確かに調子が外れたように低くなる。
「妹が調子っぱずれというわけではないですが…」
「こうやって歌うと、妹はとても怒るので、昔よく三人でからかってました」と麗美が言った。
「本当に仲がいいご兄弟なんですね。お父様が、ピアニストのJiroさんですよね。ピアノはお父さんが教えてくださったんですか?」
「父は弾いて聞かせてくれることは多かったんですが、母が先生を付けてくれて、練習も小さい頃は見てくれました」
「お母様も、ピアノをされるんですね」
 志道と麗美は顔を見合わせて微笑むと、志道が話し始めた。
「母は…。父が初めて母と会った時に、ショパンのノクターンを弾いていて。一番有名な二番です。タッターンタタラ…」志道は一節を口で歌って聞かせた。
「これは比較的初心者でも弾きやすい曲なんですが、父は母のへたくそな演奏に感動した、と聞いてます」
 志道が笑顔でそんな話をすると、その場はとても和んだ。彼の笑顔には、見る人の胸の内にもほっこりと笑顔になるような種を与えるのだった。

ピアニストとしてスタートした志道。
順調な滑り出しに見えます。
さて、さちとの関係は?
明日をお楽しみに!






2013.06.15 新潟 カーブドッチ バラ


志道の、今日は新曲発表です。
いよいよクライマックスが
近づいてきました。
テレビ出演の続きから★


 テレビの司会者が尋ねた。「さて今日は志道さんに新曲を生で演奏して頂く予定なんですが、ご自分で作曲された曲なんですよね、これも。どんなイメージで?」
「はい、『涙の泉』というタイトルで、次々に湧いてくる涙のイメージではあるんですが」
「じゃあちょっと悲しい曲」
「そうですね。最初はセンチメンタルな感じですが、涙にもいろいろあるでしょう?だんだん幸福感に浸っていく感じです。感動の涙っていうのが、一番近い表現でしょうか。その涙によって、乾燥し切った心が癒されて、潤ってくるような、そういうイメージで作りました」
 志道は話しながら、胸に握りこぶしを押し当てる仕草をしていた。車内の小さなモニターを見ながら、さちは涙ぐみ、やはり胸をこぶしで押すようにしていた。
「兄貴はこれを聞かせたかったんですよ。直前まで電話で話をしようとしていたんだけど。急に決まったから、もうあなたは仕事に入ってて」と、空が言った。
 テレビでの演奏を涙ぐみながら聴き、放送が終わるとさちは尋ねた。「これって生放送?この後札幌って」
 空が言った。「だから向かってたんですよ。さぁ着いた。放送終了と。ちょうどぴったりだ。車移りますよ」
 二人は同じ駐車場の麗美の車に移動し、空は鍵を開け後部ドアを開けると、さちを促した。「座って待ってて。もうすぐ来るから」
 空が手を振って知らせている先、そこに志道の姿があった。志道は車まで走り込んで来た。肩で息をしながらさちを見つめた。そして、躊躇もせずにその唇を求めた。
 熱い抱擁の最中に窓ガラスをコツコツとする音があり、「ごめん、志道兄、もう時間があまりないんだ」と、初樹と麗美がそれぞれ乗り込んできた。
 初樹は言った。「横は大丈夫だけど、フロントガラスからは、志道兄、丸見えなんだからね」
「君たちが人垣作ってくれてたんですね」
「まぁね。バックミラー気にならないなら、しばらく好きに出来るけど」
「大丈夫。話したいこともいっぱいだから」と、志道は言って、さちに尋ねた。「さっきの聴いててくれました?」
「ええ。車で」
「本当は生で真っ先に聴かせたかったんですが」
「ええ」
「今度からは絶対こういうことはしませんから。僕にもどうしようもないくらい、初樹が仕事を入れてくれて、もうへとへとです」
「志道兄、口を挟むようだけど」と初樹が言った。「オフでも暇だからって、外に出て目いっぱい遊びたがるし、今回だってコンサートの予定が組まれているのに、我が儘言ったのは志道兄でしょ」
「僕はさちさんに一回弾いて聴かせたいって言っただけですよ」
「とにかく我が儘なんだから。貴重な時間だからもう邪魔はしないよ。お喋りでもラブシーンでも好きにやって」と、初樹は言った。
「初樹、ありがとう。さちさんに会わせてくれるなんて」と志道は言った。
 初樹は手を挙げて答えただけで、何も言わなかった。
 そして、志道はさちに言った。「本当に会いたかった」
 彼はさちを見つめたまま言った。「さちさんが助産院を開いたら、僕はそこに一部屋もらって、本当に逃げ込みますから、早くしてくださいね」
 そして、空港に着く頃には、後部座席の二人は首をもたげかけながら、眠ってしまっていた。

明日は、感動の(?)最終話
「ニュームーンの反乱」の〆となります。
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 バラ(新潟 カーブドッチ)
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2015年09月11日

19《眠り姫と眠り王子’15》 ニュームーンの反乱(2) 丹波野エンゼルフィッシュ 【三月さくらY4-2】

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2013.05.26 和泉川 バラ


“星の家”で、久し振りに会った
志道とさちの会話からどうぞ★


「病院に迎えにはもう来れないの?」と、さちが尋ねた。
「あなたに迷惑が掛かるから、敢えて行かないでいたんですが」と志道。
「ええ。病院にもマスコミ関係の人たち来ていたわ」
「もう、ほとぼりも冷めたでしょう。外では会えないけど、迎えに行くことはできるかも。迎えに来てほしいですか?」
「…」
「あなたははっきり言わないんですね。言わせたくなっちゃうなぁ」志道はさちの手を取った。
 さちは見る間に顔を紅く染めた。志道の大胆な態度に、二人きりの時とは違い、人目の気になるさちだった。
「もしかして、恥ずかしいんですか?僕は皆に見せたいくらいなのに」
「嘘でしょ」
「いたって真面目です。このファミリーの中では特に、何も恥ずかしいことはありませんよ。僕たちが仲良くしているのを見れば、喜んでくれるはずです」
「かもしれないけど、私は慣れなくて」
「わかりました。じゃあ、あっちに言って座りましょうか」
 彼は、奥のピアノの近くの席に誘導した。そこは、数十年前、父治郎が、母に告白した場所だった。今はその時とは様変わりして、二人で掛けられる籐の椅子が据えてあった。並んで座ると、志道はまたさちの手を取った。
「ずっとこうしていたいですね」と、志道はさちの目をじっと見つめた。彼女はその視線を逸らして、俯いた。
「あれ、敬遠してますね。どうしてかなぁ」
「あなたは、どこにいても自然に振舞えるみたいだけど、私は慣れないの。ここにいてもみんなに注目されているような気がする」
「話している内容まで聞こえませんよ。ねぇ、僕に久し振りに会えて嬉しいですか?」
「…」さちは俯いたまま口を開かなかった。
「答えないなら、僕のしたいことしちゃいますよ。みんなが見てても構わないから」
「何をするっていうの?」
「そうだな、熱いキスをして、それから強く抱き締めて放さない」志道はにこっと笑った。
「わかったわ。言ってみて答えるから」
「僕に会えて嬉しかったですか?」
 さちは頷いた。
「言葉で答えてください」
「はい」
「『会いたかった』って言ってほしいんです」
「会いたかったわ」
「僕のことを愛していますか?」
「…」
 志道の唇が「言って」と、動いた。
「愛してるわ」遂にはさちが言った。
 志道は浮かんでくる笑みを強引に押し殺そうとして、どうしても漏れてくるものを持て余した後、あきらめてそのまま顔に残した。
「嬉しくてどうかなりそうです。抱き締めてキスしてもいいですか?」
 さちは、急に立ち上がって、後ずさりし始めた。「冗談やめて」
 志道は嬉しさを満面に浮かべると、「逃げないでくださいよ」と、言いながら、さちの方に歩み寄った。更にさちは後退りし、二人はまるで鬼ごっこでもしているように、ピアノの近くをぐるぐる回った。
「志道兄」気づくと、初樹がすぐ近くに来ていた。「仲がいいね」
 麗美も続いてやってきて、初樹の隣に立った。
「あなたたちの方こそ仲がいいですね。いつも仕事も一緒なのに」志道は言った。
「仕事では、手を繋ぐことも出来ないんだよ。ここにいる時くらい、くっ付いてたいんだ」と初樹。
 麗美がさっと彼の腕を取った。
 照れてそれを隠すように初樹は言った。「志道兄のピアノが聴きたいなっと思って」
「私も聴きたいわ」と、さちが言った。
「喜んで。一番したいことは、後に取っておきますから」後の言葉はさちに目を向けてそう言って、志道はピアノに向かった。

人前でも
さちへの愛情をはばかることなく
表現したい志道。
大胆志道、絶好調です。






窓辺。


今日は志道のピアノ演奏からスタートです♪
休日の“星の家”。
ピアノの似合う
場所になりました★


 彼が弾き始めると、皆が潮に引き寄せられるように集まって来た。志道の創る世界は、確実に人の気持ちを捉えるものがあるようだった。
 志道は活き活きと演奏した。
 碧斗が志道を見ながら呟いた。「やっぱ、オーラがあるんだよね。デビューさせないのは、惜しいな」
「そう思うでしょ」と初樹もそれを聞いて言った。「何かいい方法がないかな。三和のお祖父さんも乗り気なのに」


「本当にそうなるなんて」
「言ったでしょう。信じてなかったんですか?」
 志道はさちとそんな会話を交わしていた。k出版との和解が成立して、事実上、火の車だったその会社は丹波野事務所のものとなった。
 志道は得意げに言った。「僕たちはあの会社を救ったんですよ。潰れかけていた会社を、かなり縮小したんですが、まともなものを作れと言い渡してあります。もうあの人たちは、僕たちの言いなりですよ。今まで、いい記事を書いたことがないから、どうしたらいいかアイデアで既に行き詰っているんですよ」
 さちに向かって、志道はとめどなく話し続けた。
「最初は動物園特集しろって言ったんです。次は空港。そしたら、言われないうちに今度は鉄道を回り始めて。麗美のコンサートに同行させたら、本当に喜んで、今は仲間になってるみたいですよ。“Jiro's Home”も本店の方と、音大横のライブハウスと、しっかり取材していきました。今度は“星の家”もって、しばらく内輪取材ですが。小さい出版社ですから、経費ないので」
「ふーん」
「今までは追う視点が違ってたんですね。コンセプトを全て変えてあげたら、さすがプロですよ。いい物を作るようになって。来月号から月刊誌は新生して再開できるはずですよ」

 そして、もうそこまで、大きく違う流れが来ようとしていた。
 発案者は碧斗だったが、今まで吹き荒れていたと思っていた嵐のような風が消し飛んでしまうような、新たな薫風を創り出して呼び込む内容だった。
 丹波野家の四兄弟姉妹が、三和家の別荘に集まった。ほぼ半日は屋外で、夕方以降は屋内で、ビデオ撮影をした。k出版からもカメラマンと記者が同行した。
 四人は自由に休日を楽しみながら、自然な様子が爽やかなコマーシャルフィルムとなった。三和産業のイメージアップとしても、上々のいい出来上がりだった。
 K出版からは、CMの写真や密着取材の内容を月刊誌に載せたことも、さらに相乗効果を増し話題となった。
 メイキング・フィルムには兄弟姉妹たちとともに、治郎夫婦と、祖父の三和会長も姿を見せていたので、更に話題となり、三和産業とk出版のホームページに載せられた動画は、大きな再生数を叩き出した。ついにはそのDVDも発売されるほどだった。
 映像の中で余す所なく彼らの伸び伸びとした魅力が発揮されていたし、映像となっていることで真実感が増し、先の週刊誌での志道の悪いイメージは完全に覆された。

 碧斗は三和孝司にこう言ってアプローチしたのだった。
「エンゼルフィッシュですよ、彼らは。見ているとその美しさや華やかさに魅了されて、いつの間にか癒されてしまう。会長の最高の持ち駒でしょう。ただ持っているだけでは、もったいないです。彼らなら、そこに立って話しているだけで、絵になるんですから」
 彼ら四人がCMの出演をOKしたのは、一重に愛する長兄、志道のためであり、祖父と三和産業のためだった。

丹波野エンゼルフィッシュのCMですか…!
志道のピアノ演奏も聴きたいですし
このCMも見てみたいです。
前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次
                        
登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]
家系図からは2年後となります。


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窓辺。
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