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2017年05月30日

81 眠り姫と眠り王子10  ❀三月さくら2017❀ 【Y1-1】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
「志道の行く道」最終回★
明るい食卓。


音楽を生み出すもの、
それは何なのでしょうか?
志道の受ける閃きが形になり、
彼の音楽を生みます。
それは愛と、どこか
似ているかもしれません★



(パーティー)



 都内のホテルで麗美の新譜発表パーティーが、行われようとしていた。会場に用意された壇上のピアノの陰で、麗美と初樹が話をしていた。
「そうだね。麗美さんがその気なら、俺もしっかりフォローするよ」
「私はパパと一緒に出るから。それから、お兄ちゃんの彼女も来てると思うんだけど」
「任せて」

 さちは妹のゆきと連れ立って来ていた。立食形式の華やかなパーティー。慣れない雰囲気に戸惑っている時、志道が空と共にやって来た。
「紹介しましょう。弟の空です」
「お会いしたかったですよ。お二人ともお美しい。難攻不落の兄貴を落としたのは、どちらですか?」と、空は言った。年回り的にさちより少し離れていて、まだ10代かと見える妹のゆきは、くすくすっと笑った。
 自己紹介を交わした後、志道はさちに言った。「楽しんでいってくださいね」
「場違いみたいで、なんか…」とさちは言った。
「とっても素敵ですよ。いつものあなたの通りでいいんですよ。僕は尊敬しているんです。命の誕生に関わる立派な仕事をされてるんだし」
 初樹がやって来て、更に星矢と葉摘も合流した。初樹と空が、皆を上手に会場の前の方に誘導した。
「今日は美和さんは来ないんですか?」と、志道が空にとも初樹にとも取れる聞き方をした。
 空は答えず、初樹が「今日は都合悪いみたいね」と言った。内心、空はこういう場に来たがらない美和のことを考えると、複雑な思いだった。

 そのうち麗美が父にエスコートされて、会場の中で少し高くなった舞台に現われた。いよいよ、パーティーの真のスタートだった。くつろいだ雰囲気のまま、皆が注目した。
 治郎の軽快なお喋りで、麗美が紹介を受けて、新譜から二曲ほど弾き語りをしてから、マイクを手に取った。
「皆さんの温かい眼差しを受けて、気持ちよく弾かせて頂きました。私は、本当にこうして支えて頂きながら、好きな歌やピアノ、音楽をできるのが、つくづく幸せだし、ありがたいことだと思っています。
 つい先日、実はとても感動的な音楽との出会いがあったんです。大好きな音楽に出会った時、私はよくドキドキ、ワクワクして眠るのも惜しいような気持ちになるのですが、今日皆さんにもご紹介して、そのワクワク感を共有したいと思うのです。音楽を愛する皆さんですから、きっと喜んでくださると思います。
 では、紹介しましょう。実はこの会場の中に、皆さんの中に来ているのですが、…私の敬愛する兄、志道です」と言って、拍手を始めた。
17

サプライズ!
いきなり皆の視線が
志道に降り注ぎます。
彼のピアノが聴けるでしょうか?
引き続き次の回もお楽しみください↓






2014.04.19 アニヴェルセル みなとみらい横浜 バラ


さぁ、志道は
招かれた舞台に上がるのでしょうか?
「眠れる獅子」は
いよいよ目覚めるのかもしれません★


 初樹や空が背中を促したが、志道は困惑して、すぐに壇上に上がる気配はなかった。
 舞台上の麗美は言った。「実は兄には内緒にしていたんです。父やスタッフと段取りして、逃げられないように今、すぐ前の方に周りを囲んでもらってるのですが、きっと皆さんの温かい拍手があれば、壇上に出て来てくれるでしょう」
 会場中で拍手が起こっていたが、志道は戸惑っていた。
 麗美が志道の所までエスコートしにやって来た。
 彼はさちの瞳を探し、それを見て微笑んだ。もう心は決まっていた。
 その微笑を麗美に戻すと、促されるままに壇上に立った。麗美がまだ何かマイクで伝えようとするのを手で制すると、一礼をし、ピアノに向かった。
 志道は即座に集中し、あの曲を弾いた。即興で長いコーダに入って終わった。
 拍手は細かい雨のように、彼の全身を包み込み、それは体の内まで染み渡った。そして、それは志道の内面の、誰にも、本人すらもわからなかった乾ききった部分に浸透していった。その爽快な喜びに、彼は再び閃きを得たのだった。
「初めてこの曲を聞いた時、父が弾いてるのかと思いました。いつもになく爽やかな新鮮な曲だなぁと思ったら、この兄が弾いていたんです。高校卒業以来、趣味でもほとんど弾いたことのなかった兄が弾いていた。とても、感動しました。これをうちの家族に聴かせるだけではもったいないと…」
 そんなことを麗美がマイクで語っていた。
 志道は早々に壇を降り、まっすぐにさちの許に行こうとした。しかし、その途中で治郎を見出した喜多という年配の男性が呼びとめ、しっかりと志道を遮った。
「いやぁ、“星の家”で初めて君のお父さんと会った時以上に感動したよ」と、年を取っても変わらない熱意で語り掛けてきた。
 その横にはマスコミ関係などが控え、志道から一言を得ようとしていた。
 志道は、空に手招きすると、小声でさちたちを頼むとお願いした。空は初樹と一緒にさちたち姉妹の相手を務めた。
 このパーティーには三和家の会長である、彼らの祖父も来ていた。威厳のある白髪の老紳士は、志道たちにとっても、父以上の大きな存在感があった。
 治郎が空を介して、さちたちと談笑していると、その近くにその三和孝司がやって来た。
「お義父さん」と、呼び止めて挨拶すると、治郎はさちを、孝司にとっての孫を取り上げた助産師だと言って引き合わせた。
「ああそうか。あなたを志道が…」と呟いてから、孝司はさちたち姉妹とにこやかに対した。
 と、先程志道に真っ先に声を掛けた喜多が、ご機嫌で孝司に話し掛けてきた。「実にいいよ。君の孫は皆売り出せる逸材揃いだね。今日は、未来(みらい)ちゃんは来ていないのかな?いるだけで場が明るくなるのに…」
 未来はいつか連れてきた男子学生が治郎の不評を買って、当分パーティーは謹慎と言い渡されていた。
「志道君は純粋にいいよ。感動した」
 まだ興奮して話し続ける喜多と共に、孝司はさちたちの許を去った。しばらく喜多の熱のこもった意見を聞き、一人になると彼は呟いた。「そうか、志道がこんなになぁ」
 孝司は、麗美と一緒に途絶えることなく人に囲まれ歓談している志道を見やった。また、一方を見ると、さちが空たちに守られるように立ち、志道の方を気にしながらも、彼らと打ち解けて話をしていた。
18

私たちの志道は、
ひとつのステップを踏み出したようです。

志道の行く道は、愛か音楽か。
眠り王子と眠り姫は
目覚めるのか?
引き続き次の回もお楽しみください↓







 志道の方も、時々気を付けてさちを見ていたのだが、ふと気が付くと、会場のどこにも見当たらないのだった。空と初樹もいなかった。その時に話をしていた相手に、「失礼します」と断り、会場を一巡してみた。
 星矢と葉摘を見掛けたので訊くと、「たった今帰ったよ。空と初樹が引き止めていたけど…」という星矢の答えだった。
 志道は素早く会場を出たが、どこにいるか、皆目見当もつかなかった。彼は空に電話した。そして、ようやくさちたちを駐車場で掴まえることが出来た。
「どうしてまた黙って行こうとするんですか」と、志道はさちを非難するように言った。
「兄貴ごめん」と、空が言い掛けるのを、さちが遮った。
「ごめんなさい。二人は一所懸命引き留めてくれたんだけど、あなたに一声掛けてからって言ってくれたの。でも私がそっと、お暇したかったので」
「どうしてですか」
「邪魔にならないように」
「どうして邪魔なんですか。僕はあなたと話したかったのに。…帰るなら送りましょう」
 初樹が言った。「志道兄、空兄とパーティーに戻って。俺が送るから。治郎おじさんと麗美さんのために。お願いだから」
「兄貴」と空も志道をじっと見つめた。
 志道は言った。「それでは僕の車で」彼は初樹に車のキーを渡した。
「ありがとう。志道兄。それに今日はごめん。急にこんなことになって、驚いたよね?」
「あなたが謝ることではないですよ、初樹」と、志道は言った。
「でも…」と、初樹は言い掛けたが、それ以上言わなかった。「まぁ、じゃまず送ってくるね」
 さちが志道に言った。「演奏、よかったです」
 志道は途端に表情を緩め、さちに近寄って嬉しそうに言った。「ありがとう。あなたを想って弾きました。あなたがいると安心するんです」
 志道が微笑んでさちをじっと見ると、彼女は目を逸らすことが出来ず、二人はしばらく見つめあった。隣にいた妹のゆきの方が顔を赤らめた。
「兄貴、戻らないと」と空が声を掛けて、さちたちは車に乗り込んだ。
19

「志道の行く道」いかがでしたでしょうか?
最初に煽っておきながら、
この章ではまだ結末がでなくて
申し訳ありません。
次回からの新章は、
複数の男女が絡んできますが、
志道の行く道、さらに
さちとの愛の行方も、
どうぞ、お楽しみに!
前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次                        
登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]

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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
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2017年05月29日

80 眠り姫と眠り王子9  ❀三月さくら2017❀ 【Y1-1】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
蕾の薔薇はピンクと白のグラデーションでした


さちとの件を
「気に入らない」
と言い放った治郎でしたが、
父としては何か思うところがあったのか??
さぁ今日は
志道の音楽に触れてください★


 陽子は黙って治郎の話を聞いていたが、こう言った。
「なんか、星矢君の時のマスターと同じことするのね。おじさんくさくない?」
「マスターの気持ちがよくわかったよ。うるさい親父みたいなことも、言う人がいないとね」と、治郎は言った。
「志道が何か間違ったことをしたの?」
「あいつは優等生だし、親孝行なんだ。道を外すなんてしないさ。ちょっとがっかりしたからさ、こう、俺の言う通りにするというのは、親として嬉しいようだけど、ちょっと違うだろ?愛するってことは、人任せじゃ出来ない、自分が責任を持たないと。
 志道は俺の子だ。信じてるさ。俺がお前に会って、捨て掛けていた人生にも、何もかもにマジになったように、志道もきっと目覚めてくれるって」
 陽子は微笑んで言った。「志道のピアノを聴くんじゃなかったの?」
「ああ、そうだった。それを期待してたんだ」
「私が声を掛けてきますね」

 志道が居間にあるピアノに座った。帰って来ていた空と未来も居間に集まっていた。
「お前の作った曲というのが聴きたくてうずうずしてたんだ」と、治郎は言った。
『まさか、だからさっきイチャモンを付けたんですか?!』
 志道はいろんな思いが湧いたが、心を沈めて弾き始めた。音楽の力は、いつでも彼の心を解放し、他の世界に連れて行くのだった。
 最初は遠慮するようにおずおずと弾いていたが、彼はすぐにその音楽の世界に入り込んだ。数曲を弾き、最近作ったあの曲を弾く頃には、無心になっていた。
 麗美が初樹を伴って、そっと入って来て、その鑑賞に加わった。
 志道は弾き終わった後、しばらく恍惚の中に浸っているようだった。その額には汗がほとばしっていた。
 最初に拍手したのは初樹だった。「すごい、感動したよ、志道(シド)兄」
 そして、その汗のためのタオルを差し出した。いつもの麗美のマネージャー業が板に付いている彼の自然な心使いだった。
 皆が拍手し、口々に賞賛した。治郎と陽子は微笑んでその様子を見ては、顔を見合わせた。
「父さん」と、志道が言った。「僕は、どうしてもあきらめられません。父さんが反対しても、彼女を認めてもらえるように頑張ります。どうか、許してください」
 志道はタオルで汗を押さえたが、その目からもにじんだものがあったようにも見えた。
「父さん、反対したの?!」と、空が驚いたように言った。
「俺は、反対なんて言ってないさ。ちょっと感動しなかっただけで。でも、今の演奏には感動したよ」と、父は言った。
「父さん、今度の麗美のパーティーなんですが…」志道は言い出した。
「彼女を誘うということか?今回は音楽業界やマスコミの人間も来る。呼ぶのはいいが、あまり二人だけで親密な関係というのを今見せるのはどうかな。彼女にも一人ではなく、友だちと一緒に来てもらうとか」
「はい、わかりました」と言って、志道は部屋に下がった。

 治郎は、夫婦二人になってから言った。「彼女の存在が関係してるのかな?いい曲を作る。心に沁みたよ」
「演奏に表れるでしょ?」
「そうだね」
「志道は、話し方は相変わらず固いけど、最近相当変わったと思うわ。いい娘さんよ」
「期待することにしよう。あいつも目覚め始めてるようだし。これは思った以上だよ、なんか興奮して眠れそうにないな」

 父、治郎がかつて自分自身の創作活動について、母に話していた言葉を、志道はよく覚えていた。
「俺は小さいって、よくわかってるんだ。ただ自分のままに表現するしかないから今までやってきたんだけど。こんな小さな俺だけど、曲が出来る時には、何か大きなものがやってきて、インスピレーションをくれるんだ。無心でただそれを表現してきた。そのインスピレーションをくれる大きい存在を、もっと理解出来れば、いい表現が出来るんだろうけど。まぁ、俺はただそれがある限り、続けるしかない、って思ってるんだ」
 治郎がインスピレーションを受けるもの、そして志道が閃きを受けるもの、その主はもしかしたら同じものなのかもしれなかった。
 少なくとも志道の場合、その閃きが愛につながり、一人の女性から影響を受けることは確かなようで、ピアノの演奏の後、彼はさちを思いながら、どこからともなく力が湧いてくることを感じていた。
「絶対にもう、あなたをあきらめるなんて考えもしませんよ」と、志道は呟いた。「父さんのお陰で、それが無理だってわかりましたから」
16


感動的な演奏だったようですね。
次回はパーティーのシーンです。




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2017年05月27日

79 眠り姫と眠り王子8  ❀三月さくら2017❀ 【Y1-1】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
雨の日だから。


今日は家族の中心、
志道の父、治郎の喋りです。
彼の言う“運命の神様”とは?★


 そして、翌日志道は、治郎に同様の話をしたわけだが、父の反応は母のそれとは違っていた。
「母さんとお前が見込んだ訳だから、まぁ付き合ってみたらいい」と言った後で、とうとうと治郎の話は続いた。
「とはいえ節度は保って、友人としてもっと相手を知る期間があってもいいだろう。好きだっていう気持ちだけで、雰囲気に任せていけば、深い仲になるのは簡単だ。でも、一生を共にする相手ともなれば、相手だけでなく家同士のこともある。そういうことも含めて責任を持ってあげれるか、そういう覚悟も必要だよ」
「好きだって思いだけではだめなんですね。確かに閃いたんだけど」
「ひらめいたり、っていうことは重要なことのようだが、それからどういう風にそれを具体的に愛し合う形にするか、ってことが大切だと思うよ。これは、運命の出会いだって、恋に落ちる時はみんな思うんだ。でもそれだけで上手くいくとは思わない」
「父さんはどうでしたか?」
「父さんも母さんと初めて会った時、魂に響くようなものがあった。でもだからこそ、自分の生き方を見つめ直したし、父さんの場合は敢えて母さんから好かれているのがわかってる上で、“星の家”で一緒にバイトする期間は、自分の気持ちを出さなかった。
 付き合うようになってからも、三和の家には自分の家のようによく行っていたし、母さんはまだ学生だったから。とてもいい期間だったと思っているよ」
「どうしたら、父さんたちのように、愛を実らせることが出来るんでしょうか?」
「俺に反対されたらあきらめるんだって?」
「もしも本当に父さんが反対なら、ですよ。そんなに簡単にあきらめるつもりはないです」
「俺が反対する以上に、運命の神様に見放されることの方が恐ろしいよ。愛を実らせるなら、運命の神様を味方につけることだね」
「それってどういうことですか?」
「わかりやすくいえば、自分たちのことしか考えられない恋愛はいくら一時的に燃え上がっても、続かない。周囲も微笑ましくなるような関係がいいかな。運命の神様もそういうのを応援したくなるんだ」と治郎は楽しそうに言った。
「父さん、冗談で言っているんですか?」
「まじめな話だよ。もしも、父さんが出会ってすぐに母さんを自分勝手に愛したとすれば、どうなったと思う?」
「さぁ」
「三和のお祖父さんからも、気に入られることはなかっただろうし、逆になんて奴だと反対されただろう」
「ええ」
「俺たちは、もう結婚しろって言われて結婚したんだ。周囲も祝福してくれて」
「そういう風になりたいです、僕も」
「純愛がいいぞ、みんなを味方につけるのは」
「まさか『ロミオとジュリエット』ですか?」
「あれは悲恋なのになぜいいのかな。父さんと母さんは生きて結ばれたから、ロミジュリを超えたということだ。こうして立派な息子も出来たし、息子が好きな娘のことでこそこそするんじゃなく、相談してくれるんだから。嬉しいねぇ」
「本当に、父さんと母さんのようになりたいんですよ」
「父親に言われてホントにあきらめられるかな。そこが見所だよな」
「まさか反対なんですか?」
「悲恋に反対は付きものだよ。克服していく過程で愛は逞しく美しくなるんだ。俺が反対しなくても、試練が来るときは来るさ」と治郎は笑顔で言った。
 いつも兄姉の末っ子で、星一や一朗にも弟のように接していた治郎が、息子に対しては貫禄を持って話せることが、気分がよかった。
『悲恋は願ってないんですけどね…』と志道が心の中で呟いていることは、治郎には構ったことではなかった。
14

「運命の神様」を多発していますね。
ロミ・ジュリファンの治郎ですから、
もしかして、息子を悲恋に導きたいのか…。
治郎の話は独自の恋愛論に発展して、
尽きることをしりません。
恋愛論、というか人生論でしょうか。
志道もタジタジですが、
もう少しお付き合いください






黄色い薔薇と噴水


父、治郎の話では、
「運命の神様」も応援したくなる愛し方
というのがあるそうで…★


「俺は甘い父親だから、反対は出来ないな。でも、好き勝手するのが幸せになることではないからな」と治郎は悦に入ったように話していた。
「それはわかりますが、どうしたら、じゃあ幸せになれますか?」と、志道はまじめに尋ねた。
「志道がそういうことを訊くんだな。幸せになりたいのか?」
「今まで幸せでしたから、父さんと母さんの息子で、何も不満なこともなくて…。でも、今はそう。幸せになりたいです」
「父さんと母さんの息子では物足りない?」
「あ、いえ、その…」
「いいんだよ。そうだろう。お前は遅すぎるよ。反抗期もなく、まじめ一筋で来て、彼女に会って変わったんだろう?それがいい方に向いてくれることを願ってるよ。
 いいか。好きだからって好き放題することが本当の愛ではない。自由と自分勝手が違うように、本当に愛するなら、ちゃんと責任を取るということだ」
「はい」
「周囲もみんな幸せにするような愛し方をしてみたら。潔く、惚れ惚れするような愛し方で。お前みたいな男が何を恐れるの?堂々と愛していけば。愛することに躊躇も恥じもいらない。むしろ、愛し足りないことを悔やめってね。今しか出来ないことがあるはすだよ」
「…はい」
「それで何、父親に反対されるのが怖いのか?反対されたらあきらめると。そういう中途半端なの、気に入らないな。運命の神様も気に入るかな?相手の女性はどうだろうね。親にOKされたら付き合って、そうじゃなければあきらめる、そんなんで愛されたと思うのかな?」
「僕は父さんが本気で反対するなら、それなりの理由があるはずだからと思うんです。きっと彼女に会ったら、気に入ってくれると思いますし」
「父さんが気に入らないって言ったのは、お前のその愛し方だよ。間違ってはいないのかもしれないが、気に入らないな。感動もしない。その彼女にも失礼じゃないか?相手の娘がどういう娘かが問題じゃないよ、お前のその姿勢だよ、気に入らないのは」
 治郎の話は結局は暴走気味に、「気に入らない」と宣言して終わってしまった。
 志道は頭を抱えた。いったいどうしたらいいというのだろう。訳がわからなかった。
「反対は出来ないって言ってたのに…」志道はつぶやいた。

 報告を聞いて、志道をかばい意義を唱えてきた陽子に向かって、治郎は言った。「俺だって親だよ。親は子供の幸せを願ってるんだ。あいつも幸せになりたいって言うんだ。ちょっと気合を入れないと、このままだと平穏な幸せは築けるんだろうが…。本当に幸せになるには、自分で掴まなければな。
 それにあいつの姿勢が甘いよ。気に入られると見込んで話してる。女を愛するってことは、ある意味何をおいても優先すべきだし、犠牲も必要だ。あの理性的な態度を崩したかったんだ。いい子じゃなくて、いい男にさせないとな。
 男にとって、女は一人でいいはずだ。誰でも欠点はある。その娘さんにケチを付けるつもりはないさ。あいつが本気でないなら、大した相手ではないと思うが」
15

父、治郎も
考えるものですね。
さすが純愛支持者だけあります。
ただの勢いって気もしますが…。
明日は志道のピアノ演奏のシーンがあります。
本当にお聞かせしたいところなのですが、
小説なので…。
私も聞きたいです。

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