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2018年05月22日

<終>7 「教会の鐘がなったら’18」 第一章 愛と夢



2010.12.12 七里ヶ浜 うみそら


島の館の中と外、
男たちと、女たちのそれぞれの話題は?!
まずは、エドとトムの会話の続きから。


「俺が考えることは、いたって自然なことです。一度聞いてみたかったのですが、エドワード様は、また修道院にいつか帰られるおつもりですか?」
「僕は修道院を出てきたのだ。修道士とまったく同じ生活はしてきたが修道士ではない」
「てことは、神父様のように独身を通すおつもりはないんですね?」
「…神父にも修道士にもなるつもりはないな。教会や信仰は大切だと思うけど」
「っていうことは、自由に結婚もできるということでしょう。いいお嬢さんがいれば、黙って見ているだけでは、他の男に先を越されてしまいますよ」
「トム、君の言うことはわかるが、僕はまだ、そんなことまで考えられない」
「じゃあ、明日マリアさんが家に帰って、もう二度と会えなくてもいいんですね?」
「トム、そのことなんだ。もう、彼女とはこのままでは会えないよね?」
「ええ。足も治って、どこにでも出歩けるようになっても、この島まで来ることはないでしょう。でも今後も会える方法はありますよ」
「どんな方法?」
「マリアさんが、エドワード様を招待してくれれば。せめてお宅に伺っていいという承諾をもらえばいいんです」
「どうして?」
「わからないですか。ですから…」
「まあ説明はいいよトム。でもどうやって?」
「じゃあ、いい考えがあります。明日はやはり、エドワード様がマリアさんを送って行くのがいいですよ。街に行く用事もあるでしょう」

 エドとトムがこんなチグハグな会話を交わしている間、女性たちは、すっかり洗濯を干し終えてからも、外の木陰に座りながら、お喋りしていた。
 マリアにとって気さくなキャシーは話しやすい相手だった。
「とにかくエド様ほどお若いのに、出来た方はそうそういないよ。修道院が長いからお堅いようだけど、元々愛嬌があるというのか、悪戯好きでね」
「へぇそうなんですか」
「まだあんたには何もしていないんだね。とにかく私は好きだよ、あの方は。こんな島に埋もれさせるのはもったいないよ」
「私もそう言ったの」
「あの方はなんて?」
「…きっと考えていると思うわ」
「あの方には支えが必要だよね。私たち夫婦でもいないよりマシだけど。縁談を世話してあげるツテもないし、どうしてあげたものかと心配はしていたのさ。私は単純な性質だからズバリ訊くけど、あんたはあの方をどう思っているの?」
「どう、って。彼にも言ったの。今まで私が会った人の中で、彼以上に信仰的な人はいないって。形式とかじゃなくて、彼の神に対する真剣な姿に感動したわ」
「あの方は真の信仰者さ。私たち夫婦もお陰で信心深くなったと思うよ。そういうことじゃなくてさ」
13

中年の人たちにとって
こういう話題ほど
好きなものはないようで、
夫婦の餌にされていますね。
何にもない島に初めてのことでしょうから。

さて、エドとマリアの
別れが近づきました。
明日が章の最終話となります。






空が綺麗だったから・2


いよいよ、マリアは
帰らなければなりません。
マリアに向け、キャシーの質問は
短刀直入過ぎますか?★


「あの方を夫にするっていうのは?」
「!」マリアは赤面してしどろもどろになった。「私はまだそんなこと…」
「嫌いかい?」
「ううん、そういうわけでは…。とっても尊敬している。でも彼はそんなこときっと考えてないわ」
 そう言いつつも、マリアは彼の言葉を思い出していた。
『そういえばお祈りの中で、私のことを美しい人と言っていたわ。私の声も美しいって。それで眠れなかったって』
「私もあんな風にお姫様抱っこされてみたいよ」
「私が足を怪我したから、仕方がなかったの」
「エド様は、私の考えじゃあ、あんたにぞっこんだね。目が語るというじゃないか」
「本当にそう思う?」
「あんたの方ばかり見ていた。いつものエド様じゃなかったよ。あんただってそうだろう?」
「…自分でもわからないの。もちろん、あの人を嫌いになれるわけがないわ。でも…」
「あんたは明日にでもここを出るんだろう。あんた次第であの方との関係は終わりに出来るよ。私らとも、もう会うことはないだろう」
「…」
 マリアはしばらく黙っていたが、言った。「そうね。この気持ちが何なのかわからないけど、もう会えないなんて考えられない。胸が苦しいのは、きっと私はあの人を愛しているのね。結婚なんて夢のようにしか考えたことがなかったし、まだ現実に考えることなんかできないけど。私たちは少なくてももう友達なの。それもかなり相性のいい友だちよ。これからも会えるようにしたいわ」
「そういうことなら、私が力になるよ」

  

 その晩、カール爺のための夕拝と食事をし、翌日、マリアを送って、エドとトムがボートを出した。
 牧師館の玄関の前までマリアを送ると、戻ろうとするエドをマリアが引きとめた。
「父に会って行って」
「エドワード様、しっかりご挨拶すべきですよ。お嬢さんを数日間預かって、面倒をみたんだから」と、トムも言った。
 マリアの父はもう老年といっていいような風貌の、温厚な牧師だった。歓迎されて、お茶を頂いてから帰る事にした。
「足が治って、叔母の所にまた行く時には、何かお土産を持って立ち寄るわ」と、マリアが言った。「それとも、ナンシー叔母さんの所にエドを招待してもいいかしら」
 何気なさを装いながら、父に許可を求めるマリアの思いは切実だった。
「そうだな。ここでは、何のもてなしも出来ないが、ナンシーに頼んでみよう。島からもすぐだろう」
 その牧師の答えで、マリアもまたエドも、深く安堵した。もう一度会う機会を持てた、それだけで「救い」を感じたのだった。
 まだ、その夏は始まったばかりだった。
14
第一章 愛と夢 ─完─

「教会の鐘がなったら」
最初の章をお送りしました。
読んで頂き、ありがとうございます。
また、いつか
この続きの物語も
御紹介します。
お楽しみに。



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ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
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2018年05月21日

6 「教会の鐘がなったら’18」 第一章 愛と夢



6209707日の出と朝焼け.jpg


神様と精霊に近いスポット、
貴重な体験をした
マリアです★


 余韻のように残されていた眩い光も、すぐに立ち消えてしまって、マリアは現実の世界に引き戻された。
 さわやかな日差しと小鳥のさえずり、木々や草をそよぐ風の音(ね)と共に、彼女の敏感になっていた感覚が元に返った。
 マリアを、しばらくエドは見守った。感動の涙にむせぶほどになりながら、彼女はエドに笑顔を向けた。彼は静かに近づいた。ハンカチを渡されて彼女は、恥ずかしそうに言った。
「ずいぶん待たせてしまったんじゃない?」
「恵みを受けたんだね。なんか君が神々しく見える。僕の方が感動するよ」
 この人は無邪気な子供のように思ったことを口にできるんだ。マリアはエドを見てそう思いながら、尚涙が止まらなくなった。
 今までマリアは、いつでも気丈で慎ましい牧師の娘だった。しっかり者と言われてきた。寂しかったり、なにかしら悔しかったり虚しく感じる時、もちろん陰では泣くこともあったが、逆に明るくそういうものを吹き飛ばすようにしてきた。
「こういうことがあると、神様を離れるなんて出来ないと思うよね」エドは言った。
 彼自身、こういう精霊の恵みに慰められることがなかったら、たとえ少年時代を修道院で過ごしたにしても、今のように神を求める生活を送ることはなかっただろう。
「こういう体験は初めてだわ。前に教会で、温かいものに包まれるような経験はあったの。それに似ていたけど今日のは…」
「話す必要はないよ。あんまり人にも言わず、そっと君だけの宝物にしたらいい。その方がいつまでもその恵みを失わない。話したりすると、表現しきれないし、説明しきれないから、人にわかってもらえなかった思いの分、恵みを逃したようになるんだ」
「わかってくれる相手にならいいんじゃない?聖女か天使のような美しい人が、あなたの体の中に消えるのを見たわ」
 エドはにっこり笑った。
「ありがとう。もう言わないで」
「あなたはわかっていた?あなたも見たの?」
「いや。でも嬉しいよ。せっかくここに招待した甲斐があった。君は僕が思っていた以上に、神様から愛されているね」
 マリアの目から涙が一粒流れた。さっきの涙とはまた違う涙だった。
「愛されてる?神様に?私が?」
「そうだよ」
「どうしてそう思うの?」
「どうしてって、そうだと思うから」
「この私が?」
「神様にも愛されて当然の人だと思う」
「…そんなこと言われたのは初めてだから。あなたこそ、私がこれまで会った中で一番神様を愛する人だと思う。私はいろいろ教会の偉い方たちを見てきたけど、立派な人もいるのよ、もちろん。でも、聖職を持つ人でも、あなたのように喜んで神様を礼拝する人はいないわ、きっと」
「…ありがとう。嬉しいよ、そういう風に言ってくれて。褒めるのが上手だ」
「本当に私はそう思うから言っているだけ。あなたの言葉こそ、力づけられたわ」
 二人はそうやってお互いを褒め合い続け、それは尽きなかったので、遂にどちらともなく笑い始めた。理解者を持った喜びが二人を包んだ
11


「神様に愛されている人」
「神様を愛する人」
二人は深いところで
理解しあったようですが…。






233923黄昏の空topolino.jpg


理解し合った二人。
しかし、いつまでも
この時は続きません★


 ようやく空腹を感じ、笑い合いながら館に戻り、その入り口に来て、エドはマリアを抱き上げた。
 親しく情が通い始めた二人は、目に見えないものの他には誰もいないこの島だからこそ、心置きなく無邪気に過ごすことが出来た。
 キッチンに入りながらエドは言った。「さあ、お姫様到着しました」
 ずっとはるか昔の記憶の片隅にあった、父が母にそのように接していた姿を思い出して、同じように口に出していた。
 と、ふいに人影に気付いた。鈴が鳴るように響いていたマリアの笑い声が急に止まった。その時、背後でも男の声がした。
「エドワード様、お早うございます」
「トム、キャシー、早かったんだね」
「朝ご飯に間に合ってよかったです。そちらのお嬢さんは?」
 エドは、彼らにマリアを紹介し、キャシーがすっかり朝食の食卓を整える間に大体のいきさつは説明できた。
 エドはトムたち夫婦がいるのに気付いた時から、マリアに、ある距離を置かざるを得ないことを感じた。ついさっきまで、無邪気だった二人の魂の触れあいは、突然の他人の介入で、いきなり行き場をなくしたようになった。
 しかしながら、彼らの加わった食卓も楽しかった。
 食後、トムは納屋から松葉杖を持って来て渡した。マリアは介助なしで一人で動き回れるようになった。
 そして、トムの妻のキャシーは、たまっていた洗濯をしてくれた。マリアも、ロープに洗濯物を干すキャシーを手伝うため外に出ていった。
 トムはエドに言った。「もしかして、余計なことをしましたか?」
「…?」
「松葉杖ですよ」
「…どうして?マリアは快適そうだ」
「わかってますよ」
「…」
「うまくやりましたね。二日の間、抱き上げたり、肩を貸したりされたんでしょう?」
「どういう意味だよ、トム?」
「わかってますって。いい雰囲気だったじゃありませんか。あなた様が、松葉杖のありかを知らなかったですか、本当に?館のいろんな道具を引っ張り出しておられたのに」
 エドは苦笑した。
「あなた様のお気持ちはそのまま顔に書いてありますよ。聖人のようなエドワード様も、やはり一人の男ですね」
 エドは赤面しながらも言った。「トム、頼むから彼女の前でこういうことは言わないでくれるよね。どのように思われているかわからないのに」
「だから、いい雰囲気だと思いましたよ。きっとキャシーがそんな話をしているんじゃないかと思いますが」
「君って人は…」
「マリアさんがエド様のことをどう思っているかきいてもらいましょうか」
「そんなことまで。何を考えている?」
12


気のいいトムとキャシー
夫婦の登場で、
雰囲気が変わりました。
こういう、平たく分かりやすくする
そんな人たちも
貴重な存在です。


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2018年05月19日

5 「教会の鐘がなったら’18」 第一章 愛と夢



お母さん・・・


人のためになる生活をすべきだと
マリアに言われ、エドは?★


「僕が誰かのためになると思う?」
「もちろん」
「僕には誰もいない」
「身内がいなくても、友だちは作ればいいわ。
 じゃあどう、私のためには?私たちはもう友達でしょ?私のために、島を離れて、もっとあなたに合った有意義な生き方をしてみない?」
「君のために?」と、エドが言った時、その胸を熱いものがこみあげてきて、彼の顔をほてらせた。そしてまるでそれが映ったかのように彼女も顔を赤らめた。
「…人と付き合うのは面倒なことも多いけど、自然の中で受ける以上の価値は、人と人の間にあると思うわ。一人で美しい景色を見るよりも、誰かと見た方がきれいなはずよ」
「君が、一緒に見てくれるなら…」と言いながらエドはマリアをじっと見つめた。自分でもどうしてこのように彼女を見ていたいのかわからないままに。
「もちろん、私でお役に立つなら」
 彼が心で思い描く愛と夢。
 愛を得るためには愛する人がいなければならない。夢を得るためにも、その対象が必要だ。
 このような、人との交わりを絶った場所には、確かに彼ほどの若者が長く留まるには最適だとはいえなかった。
「それで、あの、…君は、救いを願ってるって言ったよね?」
「ええ。私は救われているとは、思っているの。何が不満というわけではなくて。父のことを愛しているし、いつまでも牧師館に一緒にいられればいいと思ったりもする。
 でも、私は小さな女の子じゃなくなってしまった。何かを求めているの。わかるかしら?何か私がもっと必要とされるものがあるはずって、そんな気持ち。きっとそれが得られたら、そのまま天国に行ってもいいって思えると思うの。それが私にとっての救い」
「きっと求めていれば与えてくださる」
「神様が?」
 彼は頷いた。
「じゃあ、あなたも求めてみて。あなたにも神様がふさわしいものを与えてくださるわ」
 それぞれ、心の中でそうだと言い聞かせてもここまで確信を持てなかったのに、お互いの言葉がこんなにも力を与えるとは…。
 二人の魂が、確かに引き合っていた。
 今日の夕拝の聖句は、もしかして、自分にも必要なメッセージだったのだろうか、とエドは思い始めていた。

 マリアは肩を貸せば、歩けるほどになった。
 何をするのも、二人でするのは楽しかった。
 三回の食事ですら、エドは今まで取り立てて楽しみにすることがなかった。誰かと共の食卓が楽しいものだと。ただ腹を満たす為ではない食事というものがあるということを、初めて知ったのだった
9

何もかも一人でできる
そんな状態から
二人になってみると、
…楽しいですね、これは。






そら


神様に近い島。
早朝、
二人だけの瞑想の時間★


 その晩はシャワーを浴びて休み、翌日は早朝に裏山の祈祷会の為に起きた。
「私が行くとお邪魔じゃないかしら。よく祈れないんじゃない?」
「この島は神様に近い場所なんだと思う。どこにいてもよく祈れる。でもあの裏山は格別だ。神に通じる特別スポットなんだ。朝日を臨むこの時間が、僕は一番だと思う。とても幻想的な景色だよ。この島に来たなら、ぜひ行くべきだ」
「この足では…」
「それなら、心配ない。僕が背負っていくから。…君が嫌じゃないなら」
「私より、あなたが迷惑じゃないかと」
「君を招待したい。心から喜んで」
 そこには、神秘的な朝の空気と共に美しい景色が広がっていた。しばらくそのパノラマを楽しんだ後、エドはマリアに座る場所を準備し、彼が通常、自然の中に身を委ねて瞑想している通りのことを、彼女に伝授した。
「最初は深く深呼吸するんだ。一度でもいいけど、この自然の中に自分が溶け込むような感覚になるまで、何度か繰り返して、呼吸はそのままで心を穏やかにするんだ。神様に抱かれていると思って、感謝の言葉をつぶやきながら…。
 僕はここでこうしていると、よく温かいもので包まれることがある。懐かしい、何というか、忘れてしまった子供の頃母に抱かれたようなそんな感覚だよ」
「私にできるかしら」
「やってみて」
 マリアは素直に彼の声に従った。その清々しい空気のなかにいるだけで心地がよかった。最初は小鳥のさえずる音が聞こえ、風の動く気配等を感じていたのだったが、そのうち時間の流れを忘れ、別の場所に来てしまったような、不思議な感覚になった。
 どれ位時間が流れただろう。
 彼女は温かい夢の世界にいた。夢ではなかったのかもしれない。しかしそれは確実に現実の世界とは違う雰囲気に満ちていた。温かく、穏やかで、安心な。
 そんな母の胎にいるような居心地のよさの中、なんの光なのか、その眩さに思わず手をかざしながら、ずっと閉じていた目を開けてみた。
 山から見下ろすパノラマをバックに、光を伴った人の姿が見えた。それは女性だった。女神のように美しいとマリアは思った。聖殿に刻まれた聖女の姿に似ていた。見ているだけで癒されるその姿を彼女は、瞬きもしないでただ見つめた。
「いいのですよ」と、声のない声が、マリアの心に響いてきた。
 何かをこのように肯定してもらったことがあっただろうか。マリアは自分の全てを受け留めてもらったような気持ちになった。涙が溢れてきた。今まで一生懸命生きてきた、それがあの一言で全てわかってもらえたと感じた。
 そして、少し離れた所にいたエドの背後にその現実とは、はっきり違うその女性が重なった。微笑を湛えてしばらく彼と共にあって彼女はマリアの方を見つめていたのだが、まるで彼の中に入り込んだように見えた。
 まるでエドの背後に隠れてしまったかのように、その女性の姿は見えなくなった。
10

これは、精霊体験
というものでしょうか。
現実とも夢とも違う幻。。。
この世のものではない、雰囲気は
なかなか表現できませんが。
まだ、続きます。



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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
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