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2014年10月04日

<終>14 「教会の鐘がなったら」 第一章 愛と夢

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空が綺麗だったから・2


いよいよ、マリアは
帰らなければなりません。
マリアに向け、キャシーの質問は
短刀直入過ぎますか?★


「あの方を夫にするっていうのは?」
「!」マリアは赤面してしどろもどろになった。「私はまだそんなこと…」
「嫌いかい?」
「ううん、そういうわけでは…。とっても尊敬している。でも彼はそんなこときっと考えてないわ」
 そう言いつつも、マリアは彼の言葉を思い出していた。
『そういえばお祈りの中で、私のことを美しい人と言っていたわ。私の声も美しいって。それで眠れなかったって』
「私もあんな風にお姫様抱っこされてみたいよ」
「私が足を怪我したから、仕方がなかったの」
「エド様は、私の考えじゃあ、あんたにぞっこんだね。目が語るというじゃないか」
「本当にそう思う?」
「あんたの方ばかり見ていた。いつものエド様じゃなかったよ。あんただってそうだろう?」
「…自分でもわからないの。もちろん、あの人を嫌いになれるわけがないわ。でも…」
「あんたは明日にでもここを出るんだろう。あんた次第であの方との関係は終わりに出来るよ。私らとも、もう会うことはないだろう」
「…」
 マリアはしばらく黙っていたが、言った。「そうね。この気持ちが何なのかわからないけど、もう会えないなんて考えられない。胸が苦しいのは、きっと私はあの人を愛しているのね。結婚なんて夢のようにしか考えたことがなかったし、まだ現実に考えることなんかできないけど。私たちは少なくてももう友達なの。それもかなり相性のいい友だちよ。これからも会えるようにしたいわ」
「そういうことなら、私が力になるよ」

  

 その晩、カール爺のための夕拝と食事をし、翌日、マリアを送って、エドとトムがボートを出した。
 牧師館の玄関の前までマリアを送ると、戻ろうとするエドをマリアが引きとめた。
「父に会って行って」
「エドワード様、しっかりご挨拶すべきですよ。お嬢さんを数日間預かって、面倒をみたんだから」と、トムも言った。
 マリアの父はもう老年といっていいような風貌の、温厚な牧師だった。歓迎されて、お茶を頂いてから帰る事にした。
「足が治って、叔母の所にまた行く時には、何かお土産を持って立ち寄るわ」と、マリアが言った。「それとも、ナンシー叔母さんの所にエドを招待してもいいかしら」
 何気なさを装いながら、父に許可を求めるマリアの思いは切実だった。
「そうだな。ここでは、何のもてなしも出来ないが、ナンシーに頼んでみよう。島からもすぐだろう」
 その牧師の答えで、マリアもまたエドも、深く安堵した。もう一度会う機会を持てた、それだけで「救い」を感じたのだった。
 まだ、その夏は始まったばかりだった。
14
第一章 愛と夢 ─完─


「教会の鐘がなったら」
最初の章をお送りしました。
読んで頂き、ありがとうございます。
また、いつか
この続きの物語も
御紹介します。
お楽しみに。


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2014年10月03日

13 「教会の鐘がなったら」 第一章 愛と夢

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2010.12.12 七里ヶ浜 うみそら


島の館の中と外、
男たちと、女たちのそれぞれの話題は?!
まずは、エドとトムの会話の続きから。


「俺が考えることは、いたって自然なことです。一度聞いてみたかったのですが、エドワード様は、また修道院にいつか帰られるおつもりですか?」
「僕は修道院を出てきたのだ。修道士とまったく同じ生活はしてきたが修道士ではない」
「てことは、神父様のように独身を通すおつもりはないんですね?」
「…神父にも修道士にもなるつもりはないな。教会や信仰は大切だと思うけど」
「っていうことは、自由に結婚もできるということでしょう。いいお嬢さんがいれば、黙って見ているだけでは、他の男に先を越されてしまいますよ」
「トム、君の言うことはわかるが、僕はまだ、そんなことまで考えられない」
「じゃあ、明日マリアさんが家に帰って、もう二度と会えなくてもいいんですね?」
「トム、そのことなんだ。もう、彼女とはこのままでは会えないよね?」
「ええ。足も治って、どこにでも出歩けるようになっても、この島まで来ることはないでしょう。でも今後も会える方法はありますよ」
「どんな方法?」
「マリアさんが、エドワード様を招待してくれれば。せめてお宅に伺っていいという承諾をもらえばいいんです」
「どうして?」
「わからないですか。ですから…」
「まあ説明はいいよトム。でもどうやって?」
「じゃあ、いい考えがあります。明日はやはり、エドワード様がマリアさんを送って行くのがいいですよ。街に行く用事もあるでしょう」

 エドとトムがこんなチグハグな会話を交わしている間、女性たちは、すっかり洗濯を干し終えてからも、外の木陰に座りながら、お喋りしていた。
 マリアにとって気さくなキャシーは話しやすい相手だった。
「とにかくエド様ほどお若いのに、出来た方はそうそういないよ。修道院が長いからお堅いようだけど、元々愛嬌があるというのか、悪戯好きでね」
「へぇそうなんですか」
「まだあんたには何もしていないんだね。とにかく私は好きだよ、あの方は。こんな島に埋もれさせるのはもったいないよ」
「私もそう言ったの」
「あの方はなんて?」
「…きっと考えていると思うわ」
「あの方には支えが必要だよね。私たち夫婦でもいないよりマシだけど。縁談を世話してあげるツテもないし、どうしてあげたものかと心配はしていたのさ。私は単純な性質だからズバリ訊くけど、あんたはあの方をどう思っているの?」
「どう、って。彼にも言ったの。今まで私が会った人の中で、彼以上に信仰的な人はいないって。形式とかじゃなくて、彼の神に対する真剣な姿に感動したわ」
「あの方は真の信仰者さ。私たち夫婦もお陰で信心深くなったと思うよ。そういうことじゃなくてさ」
13


中年の人たちにとって
こういう話題ほど
好きなものはないようで、
夫婦の餌にされていますね。
何にもない島に初めてのことでしょうから。

さて、エドとマリアの
別れが近づきました。
明日が章の最終話となります。



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2014年10月02日

12 「教会の鐘がなったら」 第一章 愛と夢

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233923黄昏の空topolino.jpg


理解し合った二人。
しかし、いつまでも
この時は続きません★


 ようやく空腹を感じ、笑い合いながら館に戻り、その入り口に来て、エドはマリアを抱き上げた。
 親しく情が通い始めた二人は、目に見えないものの他には誰もいないこの島だからこそ、心置きなく無邪気に過ごすことが出来た。
 キッチンに入りながらエドは言った。「さあ、お姫様到着しました」
 ずっとはるか昔の記憶の片隅にあった、父が母にそのように接していた姿を思い出して、同じように口に出していた。
 と、ふいに人影に気付いた。鈴が鳴るように響いていたマリアの笑い声が急に止まった。その時、背後でも男の声がした。
「エドワード様、お早うございます」
「トム、キャシー、早かったんだね」
「朝ご飯に間に合ってよかったです。そちらのお嬢さんは?」
 エドは、彼らにマリアを紹介し、キャシーがすっかり朝食の食卓を整える間に大体のいきさつは説明できた。
 エドはトムたち夫婦がいるのに気付いた時から、マリアに、ある距離を置かざるを得ないことを感じた。ついさっきまで、無邪気だった二人の魂の触れあいは、突然の他人の介入で、いきなり行き場をなくしたようになった。
 しかしながら、彼らの加わった食卓も楽しかった。
 食後、トムは納屋から松葉杖を持って来て渡した。マリアは介助なしで一人で動き回れるようになった。
 そして、トムの妻のキャシーは、たまっていた洗濯をしてくれた。マリアも、ロープに洗濯物を干すキャシーを手伝うため外に出ていった。
 トムはエドに言った。「もしかして、余計なことをしましたか?」
「…?」
「松葉杖ですよ」
「…どうして?マリアは快適そうだ」
「わかってますよ」
「…」
「うまくやりましたね。二日の間、抱き上げたり、肩を貸したりされたんでしょう?」
「どういう意味だよ、トム?」
「わかってますって。いい雰囲気だったじゃありませんか。あなた様が、松葉杖のありかを知らなかったですか、本当に?館のいろんな道具を引っ張り出しておられたのに」
 エドは苦笑した。
「あなた様のお気持ちはそのまま顔に書いてありますよ。聖人のようなエドワード様も、やはり一人の男ですね」
 エドは赤面しながらも言った。「トム、頼むから彼女の前でこういうことは言わないでくれるよね。どのように思われているかわからないのに」
「だから、いい雰囲気だと思いましたよ。きっとキャシーがそんな話をしているんじゃないかと思いますが」
「君って人は…」
「マリアさんがエド様のことをどう思っているかきいてもらいましょうか」
「そんなことまで。何を考えている?」
12


気のいいトムとキャシー
夫婦の登場で、
雰囲気が変わりました。
こういう、平たく分かりやすくする
そんな人たちも
貴重な存在です。



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