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2016年10月19日

(終)29《ひのくに物語》 最後の仮面、そして素顔(B面のB面)(4) ・ 〜エピローグ〜



架空の王国を舞台にした
愛と夢の一大ロマン
「ひのくに物語」──
つぼみ♪


初夜を過ごした
ケインと蘭。
そして、彼らにはどんな朝が
待っているのでしょうか★


 翌朝、目覚めた時、しばらくその幸せが信じられなかった。
 私の隣に、一夜の相手などではなく、愛おしい女性が眠っていた。一日前までは、この人を完全にあきらめようと、心に決めていたのが、嘘のようだった。
 これまでの私は、幸せなど求めたことはなかった。心の奥底では求めていたとしても、抑え込んできたから、一瞬でもよぎる思いがあったとしても惑うことはなかった。
 魔法を掛けられた醜女を娶(めと)った中世の騎士の物語を、私は思い出していた。彼女の呪いを解いたのは、彼の返事の言葉だった。
「昼がいいか、夜がいいか」
 これは、難問だ。騎士は見事に答えた。
 子どもの頃その物語を読んだ時、この騎士はすごいと憧れを抱いた。自分もこのようになりたいと。
 まさか、自分が魔法を解かれる方の立場に立つとは。
 これが本当の私だ。
 墓場まで外すことはないと思っていた仮面をとり払われて、開放感と共に、まだ信じられない思いだった。カエルの王子も、魔法を解かれた翌朝は、このような気分だったことだろう。
 蘭の寝顔を眺めていると、しみじみと穏やかな気持ちになった。夢ではなくこれが現実だということを、まだ実感できないでいた。
 いつか、薬で眠っている菫の顔を見つめながら、その髪に触れた時の、誰にも明かせなかった思いを、思い出した。目が覚めてほしくないという思いと、早く目が覚めて終わりにしたいという思いとが入り乱れていた。
 眠っている蘭の顔に掛かった髪を指で梳いた。何度も指先で、そっと頬に触れてみた。
 ずっとこのままこうして時間が止まったような静寂の中で、彼女の寝顔を見ていたい、という思いと、早く目を開いて笑い掛けてほしいし、その声が聞きたいという思い。どちらでもいいその結論を出すまで、ただ待つのも悪くない。
 そうやって、蘭が目覚めるまでの、長くもなく、短すぎもしないその時間を過ごしながら、私は本当に救われたのだと実感した。この思い掛けなく訪れた幸福な現実や、まだ慣れない自分の真実の顔に戸惑ってはいたが、いずれはしっくりいくだろう。これが私の素顔、私の求めていた幸せなのだから。 
58

次回はいよいよ
最終話です。
ケインとエイブルの物語、
「ひのくに物語」全体の
締めとなります。
乞うご期待!
引き続き、↓次の回もご覧ください。






米粒大。


いろいろありましたが、
ケインは愛する蘭と夫婦となりました。
今日は「ひのくに物語」の
最終話です。
結末をご確認ください★



〜エピローグ〜



 私たちの夫婦としての生活がこうして始まった。最初の一年は元王妃の事件についての供述や裁判などに明け暮れたが、わずかながら執筆活動もしていた。
 翌年には最初の子を授かった。しばらくは馨の所と交互に出産があり、王家と平和(ひらなぎ)家、梵野(ぼんの)家の三人の祖母と一人の祖父を、喜ばせ続けた。
 馨の王としての仕事を私は影ながら補佐し続けた。私には、平和産業からも、様々な方面からの要職の要請も何度もあったが、それらを固辞した。常に馨のサポートに徹したかった。どんな地位も立場も必要なかった。私は、彼の一部となったように、もう離れようがなかったから。
 馨は、外交や文化事業、教育に力を注いだが、徹底して共和制政治への移行を進め、国王や王族の、司法や政治への関わりを廃止していった。
 国王への国民の尊敬と愛情は今まで以上に増したが、三十年経つ頃には、国王と王族に残された権力は無きに等しかった。わが国の宗教と文化の伝統的価値の一つとして、国王と王室の象徴的立場のみ認められ、世襲制で国王は受け継がれていく。王の立場が奪われることがない代わりに、王や王族が反乱を起こすことができないよう、王室法も整えられた。

 私と馨の家族は、親しく交わっていた。私の子供たちは、王子、王女たちと、兄弟姉妹のように過ごしてきた。父母が常に離れないのだから、子供同士も近しくなるのは当然だった。
 馨が、菫に先立たれた時、私や両親はとても心配したが、私たちの危惧していたようなことはなかった。
 馨は言った。「王妃が、菫が死んでしまって、それは、もちろんとても悲しいし辛いし寂しいよ。でもね、一度経験しているだろう、私は。あの時の絶望的な悲しさに比べれば、大丈夫だよ。私たちは夫婦になったんだし、子供たちもいる。死は永遠の別れじゃない」
 彼は堂々たる王であると同時に、立派な父親だった。王子、王女たちはまだ未成年のティーンネイジャーだったが、その年頃に両親が経たような辛く寂しく過酷な時期を過ごすことはなかったと思う。
 強力な三人の祖母が、ただ見守るだけでなく、手も口も出していたし、主税は、孫たちにはてっきり甘い祖父になった。蘭も、彼らが素晴らしい伴侶を得て、更に父母となっていくために、母親代わりとして、立派に務めを果たした。

 私の人生には、常に蘭が傍らにいてくれて、その大半を過ごすことが出来た。孤独で熾烈だった私の反逆者としての日々は、とてつもなく長く感じたのだが、その何倍もの時を共に夫婦として連れ添った。私たちは、仲のいい夫婦だったが、よく喧嘩もした。お互い口が立つので、なかなかいつも決着が付かなかった。
 これからも、ずっと共に老いていくことが出来ると思っていたが、蘭は、王妃が亡くなる時もそうだったように、あっけなく、あの世に逝ってしまった。彼女は、前からこの時に亡くなるとわかっていたかのように、まるでどこかに日帰りの旅行にでも行くかのように旅立った。
 いつか、パリ留学に行った時もそうだった。さよならが嫌いな私のために、笑顔で別れたのだった。「じゃあね」と、まるで「またね」というような笑顔で、蘭は逝ってしまった。

 私たちの結婚式で撮った写真は、今でも居間に飾ってある。写っている人が一人二人と亡くなっていって、すっかり年老いた今でも少し色褪せたその写真は、当時のことを活き活きと思い出させる。
 私と馨は、共に妻に先立たれて、更に一緒に過ごす時間が多くなった。私たちの両親は、妻たちよりも長生きした。馨と本当の兄弟のように、平和の母と、梵野の義父母、そして皇太后を看取った。
 私たちにも、孫やひ孫が出来、彼らを通して国の未来を見た。心配することはないとはいえないが、彼らに託していくのだ。私たちは、老いて、更に先祖となって、見えない神のようにずっとこの国と、この国がつながっている世界を見守っていくのだから。

「ひのくに物語」

59


これにて「ひのくに物語」は、
終了です。
読んでいただきまして
ありがとうございました。

以前書いたあとがきに、
「昼がいいか夜がいいか」についてなど
書いています。
参考にしてください。

★「夜がいいか昼がいいか」男性の答えは?
★愛と真実と命のドンデン返しが、3つの幸せを呼んだ?!

「ひのくに物語」を楽しむために→ 物語の背景 

登場人物の確認は→ 《B面の主な登場人物》
 ✨ネタバレがありますので、A面をお読みでない方は、
  こちら→ (A面登場人物)をご覧ください。




よい一日 よい夢を

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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に小説を書き始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→
幽霊っているんでしょうか




posted by kuri-ma at 08:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ひのくに物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月18日

28《ひのくに物語》 最後の仮面、そして素顔(B面のB面)(2)  B面〜仮面(マスク)の章



架空の王国を舞台にした
愛と夢の一大ロマン
「ひのくに物語」──
仄かに^^


ケインの最後の仮面、
それは、先王の暗殺が
彼の父の仕業だという恐ろしいもの!
戸惑う蘭ですが…★


「どうしてこんな話になるかわからない。どちらかひとつなんていらないわ。あなたが選べばいいんじゃない?世間で英雄と称えられるのか、私かどちらを」
「世間体を取れば、君に軽蔑される。難しい選択ですね」私も答えに窮した。「君を取っても世間で認められない男を、君が愛してくれるかどうか…」
「ほら、選べないでしょ。質問がおかしいのよ。昼か夜かなんて、無理よ。そうだったら、あなたは全て失うのよ。そんな作り話を私が信じると思ったの?」
 私は全てを失おうとしているのだろうか。それとも…。
 蘭は続けた。「後ろ暗いところがある人だったけど、ずっと愛してきたのよ。公明正大な人であってほしいって、心のどこかで思ってた。今でも信じているのよ。これが本当だったら、あなたを許せないわ」
「私を警察に突き出したらいい、そうしたら自白しますよ」
「私がどうするかは問題じゃない。許せないのはそういうことじゃないわ。やっぱり無理なの。どうしてもあなたを愛しているの。一度あなたを正義だと信じたのに…。たった一人で、どれだけ辛かったか考えるだけで私の方が辛くて堪らなかったのに…。今になって違うなんて、信じたのが本当のあなたじゃなかったなんて、許せない。許せないし、信じない。嘘よ」
 そう言い放つと、蘭の大きな瞳からは涙が溢れた。
「嘘よ。絶対に」と、蘭は繰り返し言った。「馬鹿げているわ。もし本当なら、あなたは絶対私に話すはずがないもの」
 彼女のような気の強い女性がこのように涙を流すのを見ると、私の心は急に落ち着かなくなった。ポーカーフェイスを得意とする私も、この手の心の動悸を抑える術を知らなかった。もしかしたら、顔にも表れたかもしれない。
「ありがとう」と私が言う声は掠れていた。「今また魔法が解けたよ」
 蘭は涙の流れる顔を上げた。
「君の完璧な答えのお蔭だ。それと涙の…。君には本当に救われるよ」私の心は、蘭の涙で潤ってきたようだ。
「蘭、すまない」
「…何を謝ってるの?」
「嘘なんだ」
「…」
「私は君に完全に仮面を剥がされてしまった。それ以上はないよ。仮面なしでどんな顔をしたらいいかわからないけどね」
「何が、嘘…?」
「さっき言ったこと。元王妃の完璧な証拠を命懸けで集めたこの私が、そんなことをするはずはないでしょう」
「あなたが黒幕だとか言ってたのは…」
「ありえませんよ。私の陰のボスは、君だっていうのが新事実かもしれない」
「嘘だって言うの、みんな?」
「そうです」
「そうよ、嘘よね。嘘も秘密もなしって約束したばっかりなのに」
「これが最後ですよ」私は、蘭の頬の涙を手で拭ってから、優しく抱き締めた。
「許してくれますか?君に許されないと、私は完全には救われない」
56

嘘!!!
って嘘?!
何がなんだか分からないですが、
最後の仮面は本物じゃなかったようで…。
ケインが語るとなんだか本当に聞こえて、
恐ろしさで凍りつくかと思いましたが…。
明日の説明を聞きましょう。
引き続き、↓次の回もご覧ください。






桜草♪


黒幕だ、最後の仮面だと言ったのは、
「真っ赤な嘘」だったようです。
さて、どうしてそんな嘘を?!★


「…冗談で済む話じゃないわ。なんで嘘なんかつく必要があったの。さっきから、わけがわからない」
「君の答えを聞きたかったんですよ」
「世間体か愛かって?だからって…」
「ごめん。どうしても、聞きたくて。君は私のどんな嘘も見破ったじゃないですか。これを聞いたら、今度こそ君は、私を見限るかもしれないって、不安もあったけど、君は見事に一掃してくれた…。しかも、あんな最高の答えが聞けるとはね」
「なんであれが最高の答えになるの?」
「魔法に掛けられた時は、真実の愛で愛してくれる人がいなければ、自分一人では解けないんです。
 君は、それでも私を愛していると言ってくれて、だからといって私の罪を庇ったりせずに、真実を求めようとしてくれた。自分では昼か夜かを選ばずに私の好きなようにしろと言ってくれた。嘘だって言ってくれたことも、嬉しかったんです。
 今日の昼間、馨たちが私の社会的な仮面を剥いでくれたから、半分は魔法が解けていたんです。後の半分は私たちが本当の夫婦になれるかどうかで決まると思いました。社会的に認められるだけでは、私は本当には救われない。君の真実さを確かめたかった。私の中に、君に疑われる部分を微塵も残したくなかった。君が必ず私の仮面を剥がしてくれるのを見たかったんです」
「馬鹿ね」と、蘭は言った。「仮面になんか興味ないのに…。もう、仮面でも何でも構わないわよ。あなたの一番居心地のいいのにすれば」
「ありがとう。実は、まだまだあるんですが、もう必要なくなったので、未使用で捨てるしかないかな」
「もしかして、本当にあなたが黒幕になる計画があったの?」
 私は思わず笑みをこぼした。「ええ、君は何でもお見通しなんだね。実はあのまま元王妃が逮捕されることがなければ、開始していたはずの計画だったんです。私が黒幕として自ら出頭して、王妃の罪状を告発する、捨て身の計画だったんですがね。父の生前に青写真はあって、下準備は出来ていたんです。頭の中でずっとシミュレーションもしていたし…」
「計画通りにならなくてよかったかも。あなたの仮面がもっと分厚くなって、壊すのが大変になるところだったわ」
「もう、観念しましたよ」
 私は蘭を見つめ、「絶対に嫌だ」と、呟いた。
「何が?」
「仮面夫婦は嫌だ」と、私が言うと、蘭はにっこり笑った。私は更に彼女をじっと見つめた。
「愛している」そして、更に眺めつくすように見つめ続けた。「ねぇ、もうすぐ完璧に魔法が解けそうだ」
「どうしたら全部解けるの?」
「キスしてくれる?それから、この化け物と一緒に、同じベッドで朝まで過ごす」
「もう、化け物じゃないわ。あなたの素顔はとても素敵よ、気付かなかった?」
 私たちは、何度も何度もキスをした。私の仮面の数の分か、いやもっと数え切れないほど。そして、一つのベッドでずっと過ごした。
57

ちょっと分かりにくい理由でしたか。
ようは愛を確認したかったようです。

「昼がいいか夜がいいか」については
あとがきに書いていますが、
この回のラスト、
「キス」はお伽話によくある
魔法が解けるキーワードですし、
同じベッドで過ごすのも、
「かえるの王子」というお伽話の
モチーフになっていて、それで
麗しい王子の姿に戻れたのでした。

さあ、いよいよラストに近づいていきます。
次回が最終話です。
お楽しみに!

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2016年10月17日

27《ひのくに物語》 最後の仮面、そして素顔(B面のB面)(2)  B面〜仮面(マスク)の章



架空の王国を舞台にした
愛と夢の一大ロマン
「ひのくに物語」──
花の後(あと)


反逆者の仮面を被ったケインが、
実は馨を陰で
どのように守ってきたのか。
孤独な戦いを強いられてきた
男の告白です★


 主税叔父を中心とする彼らの力はわかっていた。私は馨に刺客を送る一方で、それを阻止する者たちを密かに送って、彼らを守った。そうでなければ、馨の命はなかっただろう。
 父の立場をも私は担わなければならなかった。いくつもの仮面を使い分ける複雑で困難な状況を、こなしていかなければならなかった。
 平和(ひらなぎ)産業の岩田部長に元王妃の過去を引き続き探らせたのは、私が王妃派に入り込みながらも、父が本来する予定だったことをも進めなければならなかったから。
 私は弟から何もかも奪った冷酷な男だった。
 悪の徒党というものの中にいると、悪に染まった者だという臭いを漂わせるために、ふさわしい行動をしなければならない。酒に女に賭博や麻薬、そういうことに呑まれはしなかったが。そして裏の世界のことを覚えていった。恐喝や殺しを請け負う連中のことも、熟知した。
 平和産業のトップである立場を利用しながら、そしていずれ父の嗣業である大臣のポストに就く足掛かりとして、息の掛かる者を大臣に据え、私は補佐に甘んじて裏から表から、その勢力を拡大していった。
 元王妃にとっては、王政の復活と新王として子息エイセイを擁立することが悲願だった。それが成せなければ、道がなかったから、そのためにすべてを掛けていた。だから、私にもエイセイの出生の秘密を漏らすことはなかった。
 私は新王擁立のための様々な知恵を絞り、策を与え続けていった。
 元王妃は、元皇太子エイセイが亡き王の子であるというDNA鑑定を、王の死後すぐに取ってあった。それが捏造であることは言うまでもなかった。
 いずれ、馨が王に立つとすればDNA鑑定はもちろん必要になると思い、遺骨の調査を公式に開始するようになったのも、私が岩田部長を通じて秘密裏に働き掛けたことだ。
 先王の遺言が発表されることは知らなかった。先王が、自分がもしもの時と、海外の弁護会社に委託してあったものだった。これによって馨が先王の嫡子として世に知られることとなった。
 私は、もう時が来たと思った。その遺言がなかったとしたら、エイセイの擁立は成功してしまったかもしれない際どいタイミングだった。
 亡き王と、父の霊が守ってくれたのだろう。
 元王妃と共に逮捕された時、ようやく終わりが近付いたと思った。彼女が先王の暗殺をした証拠はまだ完全ではなかったが、息子エイセイを擁立しようと画策したことに関しては、容疑は明白だった。
 私は陰の参謀役であり、知恵は貸したが、何事も直接手を下すことはなかったので、具体的な重要な容疑の証拠はすぐにはあがらなかった。元王妃に関しては、実の息子に関することであったし、首謀者としてそれは逃れられなかった。
 逮捕されたことで一応の安堵感はあった。これまで、何重もの仮面を被りながら、それが見破られないように、気の休まる時がなかった。もしも、元王妃にばれたとしたら、私の命はおろか、守りたかった馨の命も危うくなり、馨に関係する者も同様にどんな目に合うかわからなかった。
54

これがケインが蘭に
語った内容です。
明日からは新展開、
最後の仮面が登場する?!
引き続き、↓次の回もご覧ください。






エリカ♪


ケインが蘭に明かす
衝撃の「最後の仮面」とは?!
え、ケインっていい人だと思ったのに!★


「元王妃が捕まったのだから、もう仮面は被り続ける必要がなかったのに…」と、蘭が言った。「あなたは、罪を後悔して、償おうとしているように見えたわ。元々あなたは何もしていないのに」
「何もしていないで済まないんだよ。それに元王妃は甘い人間ではない。どんな報復をするかわからないから」
「もうそんな心配はないでしょう?」
「おそらくね」
「これで全部?もう、秘密はない?」
 私は、目を伏せて深く溜息をついた。
 話そうか話すまいか、迷った。私にまとわりついている最後の仮面のことを。
「ずっと、隠しているつもりだったのですが、君は私の妻なんだし、隠してもいられないかもしれないので、この際話してしまいましょう」
「まだ、あるの?」と笑って蘭は言ったが、私の話を聞いて顔を強張らせることになった。
「私は何重にも仮面を被ってきたんですよ。それでおしまいなはずがないでしょう?
 実は、私が元王妃をはめたのです。本当の黒幕は私ですよ。本来は父でしたが、殺されたので、私が引き継いだんです」
「どういうこと」
「父は、完全にはめたので、証拠はありません。もう時効ですし。コソ泥ではないから、父が生きていれば完全に失脚しかねない、大逆臣ですが」
「まさか…?」
「二十年以上前の話です。私は子供だったし何も関わっていないから、法も裁けないとはいえ、国民は許さないでしょう…」私はじっと蘭を見つめた。
「…まさか、元王の暗殺…?!」
「そうです。…さぁ、この最後の仮面をどうしたらいいでしょうか?」
「…」蘭は言葉を失くしていた。
「君が全て他の仮面は取り去ってくれました。このまま、このことには目をつぶっていれば、君は社会から後ろ指を差されることないし、夫のことを英雄≠ニ呼ぶ人もいるくらいだ。王妃の妹だし言うことはない。しかし、この仮面を剥いだ姿を知っているから、君はいつも私を見つめながら罪の意識に苛まれなければならない」
「…言っている意味がわからないわ」
「君は僕に掛けられた魔法を解いてくれたんだ、半分だけね。今までは化け物の姿だったんだが、夜か昼かどちらかだけ魔法が解けた姿でいられる」
「ますますわからない」
「この事実は、私だけが握っている。今は君が握っているともいえますね。世間に私の真の姿をさらせば、私たちは真実の姿で夫婦として向き合える。私は君を愛しているし、優しい夫になることもできる」
「…」
「このまま黙っているか、真実を選ぶかです」
「世間体を選ぶか真実を選ぶかってこと?」
「そうかもしれません。または世間体を取るか、私との愛を取るかです。昼の間、人に賞賛される立場か、あるいは、そういうものを捨てて、私との甘い夜を楽しむか」
「…」
「さぁ、昼がいいか、夜がいいか、選んでください」
29

え、私もわけが分からない!
そもそもケインのお父さんが大逆臣?!
なにそれ、信じらんな〜い!
の展開ですが…。

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エリカ♪
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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に小説を書き始め、その後ブログをはじめました。
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