ぴかぴか(新しい)毎日クリックありがとうございます
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へ にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村 ポエムブログ 自作詩・自作ポエムへ にほんブログ村 ポエムブログへ   にほんブログ村
 

2017年03月07日

あとがき1〜3 テーマ 〜因縁?!〜etc.  「シャボン玉飛んだ♪映り込みの家庭(いえ)」


2012.7の初公開時のあとがきを、
一部編集して、一挙掲載します★



シャボン玉飛んだ
映り込みの家庭
(いえ)

親子2代の愛の物語☆

あとがき1 テーマ〜兄妹の愛〜

1939341緑の中のシャボン玉 by Tomo-B.jpg


この作品をこうして発表させて頂くことができて、とても感謝しています。

私がこのブログで自作の小説を発表するようになったのは、ブログタイトルにもなっている「三月さくら」が最初ですが、この「シャボン玉飛んだ♪映り込みの家庭(いえ)」は、それよりも前に書いていた作品です。
着想しノートに記した時期でいうと、「雪洗友禅物語」「シャボン玉飛んだ♪映り込みの家庭(いえ)」「三月さくら待つ月 四月しあわせの始まり」の順ですね。そして「あの人は広い傘をもっている」「忘れられた零地点(ゼロポイント)」となります。

下の子どもたちを寝かしつけながら、ノートにつづっていた頃の作品というのは、思い浮かんだところだけを記し、ストーリー的にはブツ切れ状態で、発表する段階まではいっていません。
思い切って今回発表することを決めなければ、お蔵入りしたかもしれない作品です。最初に書いたのは、5年(10年)くらい前でしょうか。

タイトルは、悩みました。
「シャボン玉とガラスの家庭」という案もあったのですが、「映り込み」という言葉を入れて当初の題になりました。連載を始めてもなんか気になっていまして、連載途中に変更しました。今はまずまずスッキリした気がしています。


テーマとしては、ひとつはお兄ちゃんと妹の純愛ですね。
これは「雪洗友禅物語」にもあったテーマです。そして、今回は血のつながりはないものの、兄妹として育った男女の物語がメインです。

血のつながらない兄妹として出てくるものは、既存の作家の作品にもありますね。
有川浩さんの「県庁おもてなし課」。そこに登場する元兄妹の愛、これは主人公の恋よりも、胸キュンものでした。
東野圭吾さんの「流星の絆」もドラマの再放送を見ましたが、恋愛には発展しないものの、血のつながらない妹に対しての二人のお兄ちゃんたちの複雑な思いが描かれていました。
韓国ドラマなら、「秋の童話」という作品がありました。それは、病院で赤ちゃんの時に取り替えられ、一時期まで兄妹として育ったという設定でした。

兄妹が愛し合うことはタブーとされていますし、本当の兄妹ならそういう発想にはなりませんが、友人よりも親密なのは兄妹関係ですから、その境際(さかいぎわ)というのは、とっても繊細で面白い心模様ともなるようです。

「兄妹」というのが面白い素材だというのは、同じ屋根の下、家族として育った、信頼感と親密感ですね。誰よりも近く気持ちを許し、理解し会える関係である、人間関係の基本です。
そこに男女としての愛情が入り込むと、これは普通の恋人よりも強い関係になり得るのではないでしょうか。
通常の兄妹なら男女の関係にはなろうともしないけれど、それが許される血のつながらない兄妹というのが、面白い設定になるようです。

男女の関係、夫婦の関係というのは、兄妹の関係の延長線上のようなものがありますね。
年齢差関係なく、時には男性には姉や母のよう、そして普段は妹のようとか、柔軟にできるのがいいと思います。家庭でどんな風に人を愛し大切にするか学んでいるんですね。
友人や社会での人間関係も、家庭が基本になるのではないでしょうか。

ですから、この作品で、拓海が妹として育った菜波を愛する愛し方というのは、実の父より、育ての父に似ているようです。家庭で刷り込まれた愛情というのが、その人の愛し方を決めていくんですね。

家庭が居心地がよく、自分のことを認められて育った人は、人間関係もトラブルがありません。いくら元がよくても、拓海が惚れ惚れするようないい青年(祖母談)に育ったのは、鳴沢家の愛情で培養されからということになるでしょう。





あとがき2 テーマ〜因縁?!「愛情は血よりも濃い」〜

雨上がり。


もう一つのこの小説のテーマは「愛情は血よりも濃い」ということです。

単純に「生みの親より育ての親」とか、「環境は人を変える」、ということではないのですが、拓海についていえば、彼が育った生活の一つ一つに愛情が積まれていった結果ですね。

持って生れた血筋、というものは消せませんし、その人の才能だったり容姿や色んなものに表れますが、いいものを発揮できるかどうかは、育った環境や、育てた人の心持ち、愛情が大きいと思います。
だから、拓哉という、才能には恵まれたけれども、女癖の悪いことが唯一の欠点だった男性は若くして亡くなりますが、その息子であって、よく似た風貌の拓海は、人並以上に女性には潔癖です。彼は、拓哉が亡くなった年を越え、愛する人を得て、きっと幸せになっていくでしょう。


「愛情は血よりも濃い」ということと対比的に描く予定だったのは、因縁的なものです。
因縁というのは本来、怖い、おぞましいものではありません。そういう悪いものの方が受け継がれやすいから、悪いイメージがついたのでしょう。

たとえば、拓海が拓哉から受け継いだ、容姿、リーダー格で人望が篤い才能的なもの、そして飄々とした性格なども、因縁といえるでしょう。遺伝といっているものです。

しかし、何より受け継ぎやすいのは、生き方の癖のようなものだといいます。
「親の因果が子に報い」というように、おぞましい因縁ほど断ち切るのが難しく、親から子へまたその孫へと続いていくといいます。

そして、実は一番恐ろしいのが男女の因縁だということです。
人を殺したとか、物を盗んだ、裏切った、いろんなものが因縁となりますが、愛情の絡んだ因縁が一番根が深いようです。
拓哉という人は、そういう意味で、もてすぎたから、罪作りだったともいえるのかもしれませんね。拓海の命の代わりのように突然亡くなるのは、子どもの命の代わりに、親の命が取られるというパターンです。
ひとりの女性を泣かせたら、その人の子どもは健康に育たないといいます。子どもの命が授かるのと引き換えのように、父親が突然死ぬ、これは意味のあることのようです。

5(10)年前、これを着想したときには、拓哉というのは、もっと危険な人物で、その因縁が子の拓海に受け継がれていく兆しがあるというものでした。
佳織にストーカー的に言い寄っていたことは、「学生街の喫茶店」で明かしはしましたが、書き上げてみると、やはり悪い人にはなりませんでした。
すべてが拓哉の死の後、人の目を通して語られる、回想でしか登場しない人物なので、事実は闇の中、ということもあり、彼はオブラートに包まれたような形の描かれ方となりました。

大吾が子どもたちにヒーローのように話して聞かせ、佳織は、美穂と愛し合って拓海が生れたと言い続けて来ました。事実はグレーなんですが、その両親の言葉の通りに、死んだ拓哉はある意味美化されていった感じです。
言葉の力というのはすごいです。いい続けていると、そうだと思えてくるし、そうなっていくのです。

亡くなった人というのは、残った人がある意味その人の評価を下すのではないでしょうか。死んでもろくに思い出してももらえない、悪口ばかり言われる、というのでは、浮かばれません。
そういう意味では、拓哉は早く亡くなりましたが、幸せな部分もあるといえるかもしれません。何より、血を分けた息子を残して死ねたということは、生きてきたこと以上にすごいことなのでしょう。

通常、若くして死んだ人、それも拓哉のように交通事故であっけなくという場合は、この世に未練を残すことが多いといいます。それが浮かばれない、ということです。
そして、その思いを遺族や子孫に託そうとするのだそうです。心残りなことを、その人たちを通じてなんとか果たそうと願うようになるといいます。それが悪い方に転じて、自分と同じ過ちを子孫に犯させてしまうことになるのだとか。そうやって、因縁が繰り返され、更に深まっていってしまう、ということでしょうか。

親や先祖の癖を、代々子孫が受け継いでしまうといいます。いい癖ならいいのですが、大体悪いものを受け継ぎやすいようです。
ですから、拓哉のように女性問題の多い人の場合、その子の拓海も当然同じような誘惑があったり、同じような思いになったのかもしれませんが、彼はそういうことを避けて生活するんですね。

それはどうしてか。
拓海が血(因縁)よりも濃い愛情を受けて育ったからではないでしょうか。
彼にとっては、実の両親のことよりも、育った家庭の影響が大きいのです。実の親ではないと知ってさらに、育ての親のようになりたいと願います。
自分の中に実の父親と同じように、女性に弱いものがある、ということを拓海は知っていたのでしょう。大学以降は特に徹して女性に縁のない生活を送ろうとしてきました。

小説の中では、さらっと書いている部分ですが、生活スタイルを貫くということは、かなりの努力がいることです。
拓海が悩みながらもそういう生活を選び取っていくということは、育てられる中で、その方が居心地がよくなってしまっていた、ということがあるのでしょう。

因縁というと、おどろおどろしいですが、実際今を生きる人は、自分との戦いということになるでしょうか。





あとがき3 〜主人公支える脇役の中に、実は陰の主人公がいた?!〜

おんもに出たいと待っている。


前編は父の大吾が中心となりましたが、後編は息子の拓海が主人公の物語でした。拓海も悩みながら頑張ってきたわけですが、支える存在というのがいたからこそ、のお話だったと思うのです。

まず、鳴沢3兄妹のもう一人、航平の存在は大きかったですね。おんなじ親に育てられた兄弟という絆は、強いです。理解者という意味でも、ツーカー状態ですから。

そして、鳴沢の祖父母は、癒しであり、拓海たちに安定感を与える存在ですね。
実はこのお祖父ちゃんお祖母ちゃんにまつわるエピソードをもうひとつ盛り込むのを忘れていましたので、航平の様子なども含めて、またいずれ、番外編の形で発表したいと思っています。

母方の祖父母や、拓海の実の祖父母たちや肉親も、本当は、もっと描き込みたい人たちが多かったのですが、描いてはいなくても、彼らはそれぞれ個性をもって生きています。

両親である大吾と佳織は、恋愛時代から描いていますから、その重要度はわかると思います。拓海たちの生き方の基本になる人たちです。


さて、この拓海(並びに前編では大吾)が主人公ではあるのですが、本当の陰の主人公は佳織かもしれないなぁと思うのです。

事故で亡くなった友人の子どもを、実の子のように育てる、こういうことをやってのけた女性ですが、実は確信犯だったのではと思うのです。生れた拓海の姿を見て、心に決めたということですが、実はもっと前から心のどこかで考えていたことだったでしょう。
もちろん、妊娠を知った段階では、佳織は大吾と付き合い始めてもいませんでした。なんとか、力になりたいという思いしかなかったでしょう。

しかし、初めて鳴沢家に行き、大吾の父からまさかの「嫁に来てくれるか」の質問を受け、「はい」と答えた時には、もしかしたら秘かに心の中では、養子とすることを決めていたかもしれません。赤ちゃんのうちに拓海を引き取るには、大吾との悠長な交際を待ってはいられません。結婚を早く進めさせるために、「はい」と言ったのかもしれません。

美穂は拓海を出産したものの、里子に出せという両親の意見に従うしかないような状況でした。
華奢で、どこか幼い子どものような頼りなさをもっていた美穂でしたから、親友の目から見たら、亡くなった人の子どもを産んで育てられるかどうか、最初からわかっていたはずです。

美穂に産む決意を促した存在があったとしたら、それは佳織でしょう。「拓哉はあなたとお腹の子に責任を持とうとしていたと思うよ」と励まし、祖母の元に美穂を託したのでしょう。
拓哉を拒み続けたことへの呵責もあったでしょうが、そうしないではいられなかったのでしょうね。

拓哉は両親の離婚により、愛して世話をしてくれる祖母がいたにも関わらず、淋しさを女性で晴らそうとしてきたところがありました。父親の悪い女癖が、淋しい愛情不足の青年には越えられない轍になったんですね。
拓海にはそういう思いはさせない、そんな覚悟も佳織にはあったでしょう。

ひとりの女性の献身的な愛というものが、拓海だけでなく、航平、菜波を素晴らしい人に育てあげることになりました。
もちろん、大吾の存在、祖父母の存在も大きいですが。

そして、拓海は、親たちがくっきりとつけた轍にはまることなく、まっすぐと越えていくのです。


さて、もうひとり忘れてはいけない大切な人物が、「学生街の喫茶店」の店主、星一です。

「三月さくら」とシンクロしていますが、それもそのはず、「三月さくら」になる前にこの作品を書き、続けて星一のストーリーができたのです。「三月さくら」となったのは、その中の一朗の物語を、ドッキングしよう、というより、これは同じ店の物語でしか有り得ない、と思った時から、もう切り離すことのできない内容になりました。
「三月さくら」では、星一は主要メンバーの一人であり、店も“星の家”として頻繁に登場します。ここではほぼ一貫して「学生街の喫茶店」で通しました。

その「三月さくら」で星一の過去の失恋のエピソードが出てきますが、最後の方まで、その相手と「移り込みみの家庭」の登場人物とのまさかの接点を明かさずに話は進みます。「学生街の喫茶店」の章の最後にようやく明かしました。
具体的にはあまり描きませんが、星一のブレない意見、というのが、拓海たちにとって、きっと大きかったのではないでしょうか。


前編については、童謡「シャボン玉」の歌詞から、章のタイトルを決めました。
また後編の多くの章が、懐かしいフォークの名曲などからタイトルをもらいました。
ノートの下書きの中には一部の筋以外なかったので、この、章のタイトルなども、ブログのUPに合わせて作って行きました。

大変でしたが、楽しい時間となりました。おつき合いくださり、本当にありがとうございました。



よい一日 よい夢を

クリックありがとうございます
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へ
にほんブログ村
写真は:緑の中のシャボン玉
by Tomo-Bさん
「写真素材 フォトライブラリー」からダウンロードしました
雨上がり。
おんもに出たいと待っている。
by (C)芥川千景さん
画像あるいはタイトルクリックで写真のページへ
撮影者の名前をクリックすると撮影者のページへリンク
いずれも撮影者に許可を得て使用しています
無断転用はご容赦願います



プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか


2017年03月06日

35《終》 番外編 〜鳴澤家の因縁話〜 2 航平の場合 「シャボン玉飛んだ♪映り込みの家庭(いえ)」



今日は、
「シャボン玉飛んだ♪映り込みの家庭(いえ)」
最終話です!★
シャボン玉飛んだ♪
映り込みの家庭(いえ)

親子2代の愛の物語☆
爽やかな午後。


番外編として
航平をメインとして
お送りします★



 鳴澤家の因縁話 〜航平の場合



「祖父ちゃん」と、航平が声を掛けた。久し振りの帰省だった。菜波は実家にいるし、毎週のように拓海が帰っているから、自分までは帰る必要もないだろう、という思いもあって、いつも久し振りの帰省になってしまう。
 一つは、いい相手がいないのか、と必ず訊かれるから煩わしいということもあった。言う方は頻繁に言っているつもりはないのだろうが、両親と祖父母4人に対し、航平ひとりだからたまったものではなかった。
 拓海たちの仲のいい姿を見せつけられるのは、別に構わなかったが、淋しい思いはあった。三兄弟の秩序は、拓海と菜波がペアになることで、今までのようにはいかなくなった。
 航平は耳の遠くなった祖父にもう一度声をかけた。昔から、航平はどちらかというと、お祖父ちゃんっ子だった。航平は大吾に似ているという人がいるが、そういう人でも、祖父を見れば言うだろう。「ああ、お祖父ちゃんに似ていたんだね」と。
「おう航平か。お前はまた、大吾に似てきたな」
「そんなに似てる?」
「まあな。最近どうだ?」
「いい子は特別いないよ」
「そうか。大吾もずっとそう言っていたんだが、佳織さんは大学も、高校も一緒だったんだからな。灯台下暗しとも言うしな」
「祖父ちゃんの時はどうだった?祖母ちゃんと」
「見合いだよ、知ってるだろ」
「見合いなら、第1印象よかったの?祖母ちゃんはかわいかっただろうな」
「かわいかったさ」
「一目ぼれとか」
「そういうのかな。いや、一回めは祖母さんは何も話さなくてな、しとやかな女かなと思っていたんだ」
「しとやかね」
「二回めからは緊張が取れたのか、よくしゃべるようになってな、俺はその方がいいと思ったな。しっかり者だし、愛嬌もあるから家でも気に入られたんだ」
「ふうん。やっぱり、家の人が気に入ってくれる人がいいのかな」
「それはそうだろう。年がいった者から見てもいい子なら、間違いはない。…もしかして、航平も誰かいるのか、いい子が?」
「いや、そうではないんだけど」
「縁というのは、不思議だよ。結婚する相手というのは、恋愛結婚でその相手だけしか見えない場合もあるだろうが、結婚というのは、他の家族のためでもあるんだ。家族と仲良くやってくれれば、それだけでその結婚は上手くいったと同じだよ」
「じゃあ、家族に気に入られることが一番かな」
「もちろん、当人同士が嫌じゃあ、夫婦にはなれんがな。なんだ、見合いでもするのか?」
「いや」
「見合いも捨てたものじゃないぞ」
「うん。でもまだいいよ」
「そうか?」
 そんな会話を交わしつつ、航平は何か思うところがあったようだ。

航平は何が聞きたかったのでしょうか。
この続きはまた明日。
明日で完結です。
引き続き、↓次の回もご覧ください。






雨上がりのclover・・


実家の祖父との会話でも
何かを匂わせていた航平でしたが、
次はマスター・星一を相手に…。
今度こそ、完全完結です★


 次の週、彼は星一の店に顔を出した。
「ねぇマスター、マスターは人を見る目がある方だよね。人のチャンスもわかる?今つかめば、女神の髪をつかめるっていうような」
「自分の場合より、人の場合はわかりやすいな。わかる場合ばかりじゃないが」
「わからない場合もあるわけ」
「そりゃ、そいつが当たり券を持ってるのを知らなければ、わかりようがないしな。なんだ?お前はさっきから」
「ちょっと様子見状態なんだ」
「それは、まずいな、もうチャンスは逃したかもな。ま、縁がある相手ならまた会えるさ」
「…人のことだって言ってないよね」
「言わなかったか?ま、いい。連れて来いよ。見てやるから」
「だから、人のことだって言っていないよ」
「違うか?大方、拓海と菜波ちゃんがひっついたんで、羨ましくなったんだろ。いいじゃないか、お前も年頃なんだし。いつから、付き合ってるんだ?」
「付き合ってなんかないよ。っていうか女だって言ってないし」
「違うのか?!男ってことはないだろうし」
「女だよ。マスター、やっぱ勘がいいね。付き合ってはいないんだけど」
「様子見してたわけだ」
「前にマスター言ってたよね。誰にでもチャンスはあるって。祖父ちゃんも『灯台下暗し』なんて言うしさ」
「ほぉ。見てみたら、いい女がいた、と。連れて来い。誘って来るようなら、脈ありだろ」
 照れ隠しなのか、航平は、いきなり星一の弱点を突き始めた。
「ねぇ、マスター、いずれさ、星矢君とか茜ちゃんが結婚することになったら、どうする?俺のようにちゃんと話聞いてあげられる?」
「星矢も茜もまだまだだよ」
「あっという間だよ。例えば、俺みたいのが、茜ちゃんと結婚させてください、て来たらどうする?」
「お前とは年が離れすぎている」
「じゃなくて、茜ちゃんが年頃になってからだよ。今の俺くらいの、いい感じの青年が突然訪ねて来てさ」
「…ノーコメントだ」
「こりゃ、脈ナシだ。マスター、親としては頑固親父の典型だね。もっと大らかになりなよね。茜ちゃんの時にはさ、バイトの面接する感じでいきなよ」
「お前まさか、灯台下暗しって…」
「茜ちゃんを好きになる男に同情するな」
「娘に対する父親の気持ちは複雑だよ。お前も、自分の親のことだけじゃなくて、相手の親に入るんだな。女もその方が喜ぶし、俺の知り合いでその手で上手くいった奴らを知ってる」
「マスター、俺も知っているよ、それが誰か。何年の付き合いだと思ってるの?」
 航平はそう言って笑ってから、また星一をしっかり見て言った。「ねぇマスター、うちの親父ってさ、大学の時には母さんに気がなかったって本当?」
 やはり、航平にも春が来たということだろう。「春というより、もう夏だな。暑いわけだ」と、星一は呟くように言った。

〜番外編・完〜



航平にもどうやらいい人がいるようです。
見られないのは残念ですが、
これにて番外編も終了です。
「シャボン玉飛んだ♪移り込みの家庭(いえ)
をご愛顧いただきましてありがとうございました。
*            
最後の、「相手の親に入って成功した奴ら」
というのは、「三月さくら」の
主要メンバー、一朗と治郎に違いありません。

話に出てくる、星一の子ども、星矢と茜。
星矢は、「第X部 待ちびと暮らしの達人たちへ」
の中の「第一章 海、山、街」で
青年となって登場。
茜は「第二章 心の高みに咲く花」のヒロインです。

茜の結婚話に関しては
航平の話はちょっとした伏線になっています。
茜の相手となる峻は
同じバイトとして航平の後輩に当たるはず。
航平が峻の気持ちを知っていたかどうかは
不明なのですが、もしかしたら…とも思いますね。

星矢と茜に対する
星一の頑固親父ぶりは
航平が予言したということになります。

このお店のマスター、
星一のもう少し若い頃のお話は
「三月さくら」T部、
「一生懸命な一月 逃げ出しそうな二月」です。

明日は、あとがきを一挙公開します。


↑ これらのお話は
「三月さくら」目次 よりどうぞ

「シャボン玉飛んだ♪映り込みの家庭(いえ)」
この物語の背景、裏話はあとがきで。
(明日まとめて掲載します)
あとがき1 テーマ〜兄妹の愛〜
あとがき2 テーマ〜因縁?!「愛情は血よりも濃い」〜
あとがき3 〜主人公支える脇役の中に、実は陰の主人公がいた?!〜

本編の目次は→ こちら から
登場人物と小説の解説は→ こちらから
 (ネタバレの怖れがあります!)
 前編をお読みでない方は、こちらへ →
 ☆新連載予告と登場人物紹介♪


よい一日 よい夢を

クリックありがとうございます
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へ
にほんブログ村
写真は:爽やかな午後。
by (C)芥川千景さん
雨上がりのclover・・
by (C)akemiさん
画像あるいはタイトルクリックで写真のページへ
撮影者の名前をクリックすると撮影者のページへリンク
撮影者に許可を得て使用しています
無断転用はご容赦願います




プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか


2017年03月04日

34 番外編  〜鳴澤家の因縁話〜 1 「シャボン玉飛んだ♪映り込みの家庭(いえ)」



シャボン玉飛んだ♪
映り込みの家庭(いえ)

親子2代の愛の物語☆
清涼剤。


あとがきで予告した番外編、
早速お送りします。
「因縁」、これって
本当にあるのでしょうか★



  番外編 〜鳴澤家の因縁話〜



「お兄ちゃんのこと、『授かりもの』だって、お祖母ちゃんが言っていたの」と、菜波が言った。「この家に来たのも縁だって」
 自分が血のつながりがなかったことで、興味本位の噂なども流れ、辟易としていた拓海は、菜波が伝えてくれたこの言葉にはとても慰められた。

 菜波が祖母から聞かされた話は、今まで聞いたことのない内容だった。
「昔、お祖父ちゃんのお父さんの世代というのはね、戦争で『産めよ殖やせよ』の時代だったから、よそは大体大勢兄弟がいたのに、あなたの曾お祖父ちゃんは兄弟がなくってね。みんな死産や、生れても1、2年も育たなかったらしいわ」
「お祖父ちゃんも一人息子だったのよね」
「そう。それにね、大吾の時も大変だった。何回も妊娠しては流産ばかりでね、ようやく授かった子だったのよ」
「へぇ」
「嫁いでも子どもがいないのは、とても辛いのよ。でもね、代々子どもが育たないこの家のせいかもしれないと思っていたのね。そしたら、実家の母に言われてしまったの。私は四人姉妹の末っ子だったから、男の人を立てることを知らない家なんだってね。女の子ばっかりで、かしましく育ったし、末っ子で甘えん坊だったからね、お祖母ちゃんは。
『嫁いだからには、生れた家の流儀が正しいと思ってはいけない。女系家族で育ったから、自分の考えがそのまま通ると思っていてはいけない。女は、生れた家もそうだが、嫁いだ家をもっといい家にするために嫁ぐんだ』なんて諭されてね。
 この鳴沢の因縁だ、みたいに思っていたんだけど、じゃあこの私は嫁として、何をしてるかって。もちろん、おさんどんも、掃除洗濯も、しっかりやっていたし、亡くなったお義父さんお義母さんにもちゃんと仕えているつもりだったんだけど。
『嫁は嫁ぎ先に喜んでもらうため、幸せにするために嫁ぐんだ。皆が幸せになれば、嫁はかわいがられるし、大事にされるんだ』とね。
 実家の母の話は、本当だった。
 大吾を産んだら、皆が喜んでくれて、そうしたら、産後の肥立(ひだち)が悪いってちょっと寝込んだら、『乳だけやっていればいい。赤子と一緒に寝ていろ』って、大事にされてね。本当に幸せだと思ったわ」
「鳴澤の家って、代々一人っ子なの?」と、菜波が口を挟んだ。
「昔は、どこもね、たくさん生れても育たなかったり、どうせ産んでも戦争に取られるなら、もっと辛いっていうこともあっただろうし。でも、そうよ、実際、曾お祖父ちゃんの上の代も兄弟はいなかったらしいわ。その上は知らないけど」
「子どもが生まれない家って、因縁が深いの?」と、また菜波。
「どうかしらね。よく大きい家が没落していったりね、そうかもしれない。そういえば、私の実家のように女ばっかりというのも、養子を取らないと家が絶えるから、同じようなものよね」

いかがでしたか?
お婆ちゃんの因縁のお話は
まだ続きます。
引き続き、↓次の回もご覧ください。






億ひだ慕情。


菜波とお祖母ちゃんの会話の続きです。
話題は「因縁」?!★


「今は、一人っ子も多いよ、同級生でも」
「そうね、最近はこだわらなくなって、いいのか悪いのか。私はできるなら、もっと子どもを産みたかったわ」
「私も、子どもができなかったらどうしよう。最近不妊も増えてるみたいなの」
「あなたは佳織さんの子だから大丈夫よ。でも、今のうちから、体を冷やさないように気をつけるのね、子どもを産みたいなら。佳織さんは、私の言うことをよく聞いて気をつけていたから、それでできたのかもしれないわ」
「お母さんは二人産んだってことね」
「産むより育てる方が大変だからね。三人も育てたんだから、たいしたものよ。お陰で、私も孫に囲まれて、幸せだった」
「ねぇ、お祖母ちゃん、お兄ちゃんを引き取る時、誰も反対しなかったの?」
「私は最初、意見は言ったわ。でも佳織さんの意志が堅いのを知って、応援することにしたの。代々一人しか子どもができない家なんだし、大吾に子供が授かるかもわからない。人さまの子でも育てられればありがたい事だって思ったの。
 その子の親が大吾の友達で、若死にしたって聞いてたから、身につまされたの。大吾はいいお嫁さんをもらったんだから、ありがたいことだって思ったし。
 それに、よそから来る子どもっていうのは、この家とは違う運勢を持ってくるわけだから、新風を運んでくるようなものよ。
 案の定、すぐに航平ができたでしょ。拓海が、子宝を連れて来てくれたのよ。
 それに、菜波、あなたが生れたのは、この家にとってはすごく画期的なことなのよ。何代も一人息子以外、娘は生れても育たなかったんだから。きっと半世紀ぶり、いいえ100年近くたってるんじゃないかしら、女の子が生まれたのは」
「へぇ」
「子どもの声が聞こえてる家って、うるさくて大変なことも多いけど、とても幸せだと思うの。大吾を授かる前の私は、不満たらたらのわがまま娘で、こんな辛気臭い家、嫌だなとか、そんな思いばっかりだった。やはり子のない女は複雑なさみしい思いなの」
「じゃあ、お兄ちゃんがこの家に来てよかった?」
「当たり前よ。あんなにいい子がいる?それに航平も、菜波も、みんな大切よ。みんな生れて来てくれて、本当によかったわ」
 菜波は祖母の両方の手を取り言った。「お祖母ちゃん、ありがとう」
「なぁに?」
「お祖母ちゃんがいなければ、菜波は生れてこれなかったのよ。それにお父さんを産んでくれたこと、お母さんをお嫁さんに選んでくれたことも、本当にありがとう。お兄ちゃんのことも」
「これも、みんなご縁よ。縁があったから、家族になれたの」
「縁?」
 縁とは異なもの味なもの、人の出会いのことを縁というのだという。お喋りの祖母の話は延々と続いたが、菜波はもっともっと聞いていたいと思った。

因縁というのは、
縁につながる言葉。
何かの原因、ゆかりがあって
人と人との出会いがあるんですね

前後のお話は→ こちら から
登場人物と小説の解説は→ こちらから
 (ネタバレの怖れがあります!)
 前編をお読みでない方は、こちらへ →
 ☆新連載予告と登場人物紹介♪



よい一日 よい夢を

クリックありがとうございます
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へ
にほんブログ村
写真は:清涼剤。
億ひだ慕情。
by (C)芥川千景さん
画像あるいはタイトルクリックで写真のページへ
撮影者の名前をクリックすると撮影者のページへリンク
撮影者に許可を得て使用しています
無断転用はご容赦願います




プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか