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2017年12月15日

13 《あの人は広い傘をもっている'17》 Sean9 マジックの種明かし(後)



小説 ▼△あの人は
広い傘をもっている△▼
灯り・・・


種明かしが済んだなら、
暢はどんな選択を?★


 暢は春子の説明を聞きながらも、また別の疑問が起こってくるようだった。
「ちょっと待って。美里さんに縁談があるというのは“さと”のお祖母ちゃんから聞いたんだよ。じゃあ、その相手は誰なんだ」
「わからない?誰もいないわ」
「…いない?」
「あなたの他にはね」
「僕?」
 混乱する暢に、春子は、百合子とともに計画していた内容と、それにマツも関わっていることを話した。
「前川の次は美里さんか?!そんなに結婚させたい?」
「あなたも美里さんが誰かと結婚すると聞いて心が揺れたはずよ。それに佑太の願いもあるでしょ。サンタさんにママをもらうつもりでいるわ」
「母さんが佑太に吹き込んだの?」
「人聞きが悪いわね。本当に佑太が願っていることをあなたは知らないの?」
 知らないわけがなかった。
 春子は言った。「今日6時に美里さんをここに呼んであるの」
「店があるだろう」
「お祖母ちゃんから許可をもらってるから大丈夫」
「…何をするつもり?」
「佑太の願い通り、美里さんをママにしてあげればいいでしょう。クリスマスプレゼントなんだから。イヴぐらいは一緒に過ごす人がいてもいいでしょ」
「プレゼントの件は決着が付いているよ、レスキュー車がいいって。ちょうど寝たみたいだから、ちょっと見ててよ、買ってくるから」
 遊び疲れて寝てしまった佑太の顔を間近に見てから、暢は一旦春子から逃れるように、外に出た。
 混乱した頭は徐々に整理されてきた。
 母の春子、百合子、そして美里の祖母マツが、自分と美里を、何が何でも結び付けようとしている。
「よけいなお節介なんだよ。人の気も知らないで。そんなわけにはいかないっていうのに」と、暢は呟いた。
 暢は正直、母親たちに騙されたことは腹立たしいものの、美里が結婚しないのだということに、ホッとしている自分に気づいていた。
 もうケリを付けて、距離を置かなければならないと思おうとしていたのに、少なくとも今すぐ変わる必要はない。今まで通りでいいのだ。
 そのホッとしている真の原因からは目を逸らしたままで、暢はまた呟いた。「そうだ、何も変わらない」

 さて、昼の忙しい時間を過ぎると、遅い昼休みの休憩をし、夜の仕込み以外は暇な時間になる美里は、一人考え事をしていた。
 昨夜佑太が眠ってしまう前言っていた言葉が心に残っていた。「お姉ちゃんだよ!サンタさんがね、佑太のママをくれるの」
 佑太とは本当に心が通じていると思った。
「佑くん、お姉ちゃんもおんなじ気持ちよ。でもねぇ、…サンタさんは、パパなのよ」と、美里は口に出して言った。
28

暢が結婚に乗り気ではないのは
何か理由があるのでしょうか
サンタ・パパ、
一体どうする???
引き続き、↓次の回もご覧ください。






キャンドルに芯を、フォトにはピントを。


種明かしは済んだのに
暢は母の願うようには
簡単になってくれないようです。
息子の佑太は
美里を母にとサンタにお願いまで
しているというのに…。
“さと”での場面から★


「何、ぶつぶつ言ってるんだい?」と、マツの声がした。「美里、あんたもクリスマス・イヴくらい出掛けてきたらいいよ」
「お祖母ちゃん、何言ってるの、今夜もお店開くんでしょ」
「この店にはイブに来るような客は少ないから、心配しなくていいよ」
「そう?去年のイブはそれなりに忙しかったわ」
「さっきさ、百合子先生から頼まれてね。今夜もマンションに集まるんだってさ。昨日、あんたに食事を用意してもらったお礼に、ご馳走するって言ってたよ。佑太君と先生も呼んであるみたいだから、行っておいでよ」
 百合子からもメールが入り、美里はやはり行くことにした。いろいろ複雑な思いはあっても、佑太と暢のいるところに行きたいのだった。
 
 一方クリスマス・プレゼントも買って、一旦家にそれを置いた暢もマンションに戻っていた。佑太を連れて帰るという暢に、春子は言った。
「まだ佑太も寝ているわ。夕飯を作ってあるから、食べてから帰りなさい。なんなら、もう泊まることもできるのよ。寝具もそろえたから」
「もう、美里さんが来るだろう?」と、暢。
「だから言ってるの」
「母さん、やめてよ。僕は結婚しないんだから」
「どうしてそんなこと言うの」
「母さんには申し訳ないけど、それで僕は幸せなんだ。佑太を手放したくない」
「…佑太を手放す?…まさか母親が何か言って来たの?今更何も言う資格はないわよ、あの人には」
「母親なんだから、そうはいかないよ。決めてるんだ。僕は結婚しないよ。だからこういうことは、もうやめてよ。美里さんにも悪いだろ」
「佑太の母親が何なの。私はあなたの母親なのよ」急に春子は口調を変えて言った。「佑太が願ってること、一晩だけでも叶えてあげたらいいの。クリスマスなんだから。あの人の好きにはさせないわ」
 春子は、佑太の母親に対して相当いろいろ思っているようだった。いつも朗らかで温厚な人なのに、まるで人が変わったようだった。
 春子は言った。「じゃあ、わかったわ。結婚しろとは、もう言わない。今晩と明日だけならいいでしょ。クリスマスくらいは子ども中心に考えなさい」
「何、佑太の前で親子ごっこでもしろっていうの?後が大変だろ。もっと期待して、離れなくなる。それこそかわいそうだろ」
「いいのよ。言う通りにして」
「横暴だよ」
 春子の絶対後には引かない迫力に圧倒されながらも、暢の方もYesとは言わなかった。
29

堂々巡りのようなお話ですが
ちゃんと動いているのです。
sean9は今日で終わりますが
これから思ってもいない展開が…★
目次・登場人物・見どころは
こちらから ↓

目次 ▼△あの人は広い傘をもっている△▼




よい一日 よい夢を

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写真は:28 灯り・・・
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29 キャンドルに芯を、フォトにはピントを。
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撮影者に許可を得て使用しています
無断転用はご容赦願います



プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に小説を書き始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか

posted by kuri-ma at 05:00| Comment(0) | ☆あの人は広い傘をもっている | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月14日

12 《あの人は広い傘をもっている'17》 Sean9 マジックの種明かし(前)



小説 ▼△あの人は
広い傘をもっている△▼
しずく・・・


さて、佑太が秘密にしていた
クリスマスプレゼントの行方は…



Sean9 マジックの種明かし 127486796702016104458.jpg



 暢はクリスマスの前日を、佑太と二人で迎えた。学校も冬休みで、保育園に急いで連れて行く秒刻みに忙しい朝とは違い、気持ちにゆとりがあった。
 佑太は昨夜の名残を受けてご機嫌だった。子供は何でもすぐに忘れてしまい、気分も変わりやすいが、潜在的には残るものがあるのだ。特に美里と過ごした翌日の佑太はどことなく嬉しそうに見えるのだった。
 昨夜美里の背中で、この上なく幸せな顔をしている佑太に暢は訊いてみた。「サンタさんに何を頼んだんだ?」
「お姉ちゃんだよ」
「…」
「サンタさんがね、佑太のママをくれるの…」と佑太はもう半ば眠って夢の中にいるような声で言ったのだった。
 そこで暢は、そのイヴの朝、同じ質問をしてみた。
「あのねぇ、佑太はママがないからね、ママをもらうの」
 佑太の昨日の言葉を、寝言だったのだと思いたかった暢だったが、そうではないようだった。
「ママもいいし、お嫁さんでもいい。お姉ちゃんがいいの」佑太は心からの願いを話しているのだろう。「あのねぇ、ケイクンのママはね、ねんねする時ね、トントンするんだよ。ずっと一緒にいるんだって」
 保育園の佑太の友だちには皆母親がいたから、夜寝付くまで、添い寝したりして、背中をトントン優しく叩いてくれて、子守唄を歌ってくれたりするのだ、そんなことを友だちに聞かされて、羨ましく思っていたのだろう。
 佑太には「ママ」も「お嫁さん」と同じくらい未知のものだった。母を知らない佑太なのに、母を求めている。いじらしいと思ったが、彼のためだと思って暢は心を鬼にして言った。
「佑太、サンタさんはママをあげるのは難しいって電話があったよ。他のものなら何でも、プレゼントしてくれるって言っていたんだ。何がいいか訊いてくれってさ」
「ママはダメなの?」佑太はひどくがっかりしたようだったが、しばらくすると気を取り直したように言った。
「じゃあ、僕、レスキュー車がいい」と、今度はとても現実的な注文だった。暢は胸をなで降ろした。

 昼は佑太にせがまれて、いつもの土曜日のように“さと”に行くことにした。
 今まで来店しても何気なく見ていたカウンターのポインセチアが、昨夜のマンションにあったものとお揃いではないかと、気がついた。同じ鉢に入り、同じような葉振りをしていた。やはり、あそこにあったものは、美里が一つ一つ買い揃えたのだろうという、その証拠を得たような気がした。
 結婚の準備は着実に進んでいる。佑太の願いは叶えようがなくなったのだ。自分が拒否しなければ、可能だったかもしれないが…。
 心の中で暢は呟いた。『佑太、ごめん』
26

佑太の願いはママでした
叶わぬ願いなのでしょうか。
確かにサンタにできるものと
できないものはあるでしょうね。
引き続き、↓次の回もご覧ください。






2011.10.25 和泉川 セイタカアワダチソウ


クリスマス・イヴ(聖夜)
みんながささやかな幸せを願います。
種証し、まずは暢から★


 “さと”にいる時、暢は百合子からの電話を受けた。「今からか?」
「ええ」
「いいけど、何?」
「染野さんがマジックの種明かしをするって。マンションに来てね」と百合子は言った。
 
 春子は、その部屋に様々なものを買い込んで、いそいそと準備をしていたが、午後になると来訪者のチャイムに応えた。
 暢と佑太が玄関先に立っていた。出てきた春子に、暢は驚いて言った。「母さん、どうしてここに?」
「インターフォンで気づかなかった?」
「似てるとは思ったけど、まさかね」
 佑太が言った。「お祖母ちゃん、魔法のおじちゃんは?」
「魔法って?」春子は佑太に訊いた。
「あのねぇ、お金が消えたの!」
「へぇ」
「『チチンプイプイ』っていうの。魔法を使ったんだよ」
「佑太、それはマジックだろ」と暢。
「うん、マジックって、すごい魔法なんだよ」
 暢と春子が笑うのを、佑太はキョトンと見つめた。
 春子は佑太を居間と続きになっている子ども部屋に連れて行った。昨日はなかったおもちゃが買い揃えてあった。佑太は三歳といえども、カーマニュアだったから、そんな彼の欲望を満たすものたちを見て、興奮を抑えられないようだった。歓声とともにミニカーでの遊びに没頭し始めた。
 春子はお茶を入れると、ゆっくり暢に話し始めた。まず、なぜ母がここにいるかと訊く息子の問いに答えなければならなかった。
「母さん、こんなマンションを、いつから買えるようになったの」少し話すとそういう追求があるので、春子が伝えたいことを伝えきるまではかなり時間が掛かった。
 このマンションは、海外に行っている暢の姉の名義となっているらしい。
「息子にハイってあげたりしないわ。必要なら月々返してもらおうと思っているの」と春子は言った。
「マジックの種明かしを聞きに来いってことだったね…まだ半分も分からない。聞かせてもらうよ」と、暢は言った。「いや、いい。俺から質問するよ。染野さんって何者?」
「実はね、百合子さんが春に結婚することになっていて…」
「前川の相手なのか、まさか?!」
「ええ」
「じゃあ、美里さんは?ここの準備をしていたんじゃなかったの?!」
「そうよ。美里さんには染野さんに頼んでもらったの。自分たちの新居の準備ということで」
「なんでそんな必要が?」
「私がそうしてほしかったの」
 春子は、百合子の狂言結婚の目的を明かした。
27

暢はまだ、全てを飲み込めないようですが…
目次・登場人物・見どころは
こちらから ↓

目次 ▼△あの人は広い傘をもっている△▼




よい一日 よい夢を

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2017年12月13日

11 《あの人は広い傘をもっている'17》 Sean8 ポインセチアの魔法(後) 



小説 ▼△あの人は
広い傘をもっている△▼
2009.12.06 和泉川 薔薇


サンタクロースに願いを託すなら
イヴ・イヴがいい(?)
三歳の佑太の願いとは…


「佑君、サンタさんにプレゼントお願いしたの?」と並んで歩きながら美里は訊いた。
「うん、したよ!」と佑太はいかにもよいお願いをしたのだろう、嬉しそうにそう答えた。
「えー、何、教えて?」
「内緒」
 美里が暢を見ると、首をすくめて見せた。彼も聞き出そうとして難しく、お手上げ状態ということだろう。内緒では、サンタはプレゼントを用意できなくて困っているだろう。
「佑君、おんぶしてあげようか」
「うん」
「そのかわり、後でパパにサンタさんに何を頼んだか、教えてあげてね」
「いいよ」
 おんぶが大好きな佑太への、美里のうまい駆け引きだった。

 さて、百合子が、暢との狂言の縁談を進めようとしたのは、染野をその気にさせるための計画だった。
 結婚を言い出さない恋人を刺激したかったのだ。染野は、計画通りに動いてくれて、百合子は願い通りプロポーズを受け、来春には結婚する予定となっていた。
 染野が言った。「なんか、彼に会って複雑だったよ。一度はライバルだと思い込んだ相手だったからね。一生分の焼きもちを焼いたかもしれない。まだあの時の感じが残ってるよ。だからさ、無意識に長尾さんを睨みそうになったよ」
「今度は彼らをなんとかしなくちゃ」
「お似合いの親子に見えたな」
「そうでしょ。三人でいるのを見るとこちらも微笑ましくなるの」
「でも、二人ではどうかな」
「そうでしょ。ちょっと心配でしょ。なぜかあいつが結婚には完全シャットアウトなのよ。でも、ちょっとは揺さぶれたと思うの。あなたが美里さんと話すのを気にしてるみたいだったわ」
「そうか?彼はなんで結婚しないんだ?」
「子持ちだからって」
「まだ若いのに。彼は、自分が子持ちだということが、逆に魅力だとは気づいていないようだね」
「魅力というのはいい過ぎじゃない?リスクに違いないわ。まぁ、美里さんにとってはそうかも」
「いや、彼の魅力だよ。わかる女性にはわかるよ。いい家庭を持てるって証拠だろ?どんな男でもできることではない。同じ男から見たら、尊敬に値するよ。父親のオーラって言うか…」
 暢は若い染野に引け目を感じていたが、染野の側から見れば、反対に暢を評価していたようだ。
「子供は彼の財産だよ。そう思える人しかうまくいかないかもしれないけど」
「美里さんなら、バッチリなのに…。あんな人いないわよ。本当に佑太君のことが好きで堪らないんだから。あの時もね…」

 クリスマス・イヴのイヴ、この晩は静かにふけていった。
 数知れないカップルが愛を囁き、親子が笑顔を交わしているに違いないこの晩、染野と百合子、そして暢たち3人も、アパートに着くまでの道のりだけの、仮染めの親子ではあったが、他の幸せな人たちと変わりないように見えた。
24

さて、彼らの幸せは…?
遠くにでなく、すぐ近くにある
といわれますが…。
引き続き、↓次の回もご覧ください。






asa-img79fe4397zikdzj.jpg


今日はあの「狂言結婚」を仕組んだ時の
美里と百合子の会話、
回想シーンです★


 百合子は暢との狂言のために美里を欺かなければならなかった時のことを、恋人の染野に話し始めた。「私が『抜け駆けだと思わない?』て言ったらね…」


「本当に結婚するんですか?」
 美里の問いに百合子は答えた。「…無理でしょうね。あいつがする気ないし」
「あの、どういうことですか?」
「私と、彼のお母さんとで決めたことよ。どうせ、断固拒否されるって分かった上で、ギリギリできるところまで結婚話を進めるわ」
「?」
「お母さんがね、どうしてもあいつを結婚させたいみたいなの。情にほだされちゃったのよ。私は捨石みたいなものなの。ちょっと追い込まなければ、誰とも結婚しないでしょ」
「はぁ」
「わからない?つまり狂言のようなものよ。一芝居打ってるの、ちょっとした作戦なのよ」
「百合子先生は、結婚しないと言うことですか?」
「ええ。少なくともあいつとはね」
「よかった。じゃあ何にも変わらないんですね」
 百合子は微笑んだ。「安心して、あいつと私は結婚しないわ。私があなたに『あきらめるな』って言ったのよ、前。自分の言ったことに責任持つわ」
 美里はその日、何度目になるかわからないその言葉をまた言った。「ホントよかった」そして、涙がにじんできた目で百合子を見た。
「百合子先生はそういう人じゃないって思っていましたけど、今まで優しくしてくれたこと、忘れてませんから」そう言いながら、目に溜めた涙はとうとう溢れて来た。
「よかった」と何度も繰り返しながら。


「私あの時、『負けた』って思ったのよ。勝ち負けじゃないけど、なんかね。美里さんのためなら何でもするわ」と、百合子は言った。
「僕たちは借りもあるんだしね」と染野が言った。
 二人は鍵を掛けてそのマンションを後にした。
「鍵は私から返しておくわ」と、百合子が言った。

 そして翌日百合子が会ったのは、暢の母、春子だった。鍵を受け取ると春子は言った。
「どう、お部屋はだいぶ準備できていた?」
「ええ。居間と台所だけは。とても素敵ですよ」
「早く住まわせてあげたいわ」
「まだ、美里さんには言わないんですか?」
「今日話そうと考えているの。問題は暢よ。あの子は頑固だから」
「昨日のことは効果あったと思いますよ」
「そうよね。染野さんにまで無理なお願いをしてしまって、今度こそと期待してるんだけど。それにね、佑太も協力してくれるの」
「佑太君が?」
「ええ。今夜が楽しみ。さぁ今日は忙しいわ」と、春子はいかにも楽しそうに言った。
25


お寄りくださった皆さまに愛を!!

さあ、今までの計画が明かされます
さて、誰が関わっていたのでしょうか
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