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2017年08月07日

142 夏の忘れ形見 さちの娘みち4 ❀三月さくら2017❀  【三月さくらZ-3】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
9218482アガパンサス by モアナ.jpg


夏も終わりです。
何かが始まる…
かもしれないのですが…★


 毎年、葉奈の命日がやって来ると、もうじき夏休みも終わりだという合図だった。連れ合いの一郎はすっかり老人と言われる年になっていたが、掲げられた葉奈の写真は、若いまま年を取らなかった。

 夏休みの最終日、みちの“星の家”のバイトも終わりだった。最後の帰り道、自転車を並んで走らせながら、昂輝とみちはあまり言葉は交わさなかった。
 青山家の近くまで来ると、いつもはそのまま自転車を走らせながら、挨拶を交わし別れるのだが、その夜は昂輝は自転車から降りた。
「いつも送ってくれてありがとうございました。ちょっと暗くて怖い場所もあるから、助かりました」と、みちが言った。
 行きがかり上、昂輝は彼女にはツーリングが趣味ということで通していたし、裏をつけるためか仕事やレッスンにも自転車で行くくらいの徹底振りだった。
「君の役に立ったならよかったよ」
 もう、送るという口実も今夜が最後だった。
 今をおいてはチャンスはないと、昂輝は思い切って言った。「今度、どこかに遊びにいかない?…ツーリングじゃなくてドライブとか…」
 そう口にできたのは、やっとの思いだった。しかしそこは俳優の端くれ、マスクだけでも充分武器になる上に、好感度の笑みをたたえる事は忘れなかった。
「はい」とみちは答えた。

 その夏は、まるで長い旅をしてきたような気がするみちだった。
 夏休みを終えて久し振りに家に帰った。母や兄弟とは、里帰り公演で会って以来だったが、何ヵ月も経ったような不思議な感覚だった。
 みちを見て、母のさちは『大人になったかな』と、感じた。
 さちとみちは、もともとが仲のいい母娘なのだが、夫を亡くした母を娘が労わるためか、言いたいことを我慢しているようなそんな印象を受けていたのだが、そのあたりのところが、一皮むけたように感じたのだった。
 その変化を皆が感じたが、口に出したのは、みちの弟、志郎だった。末息子の志郎は、いつも母の側に寄り添うように自然に甘えているようだったが、言うことは大人顔負けで鋭かった。
「可愛い子には旅をさせろというけど、この夏の間に姉さん変わったね。なんかいいよ。高校生らしくなった?生きるオーラみたいなのが出てるよ」と、志郎は指摘して言った。
「母さんのことだけじゃなく、私までおだてるようになったの、あなたは」と、みちは言った。
 まだ小学生の志郎は、ませたことをいう少年だった。学校が終わると、家ではなく母の助産院に直行して時間を過ごしていた。
 彼が姉のみちのことを母にこっそり話して言った。「叔父さんたちの心配するのがわかるよ」
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次の季節が来ますが、
何かが発展するでしょうか??

引き続き、↓次の回もご覧ください。






2954457アガパンサス by mumbo.jpg


ひと夏で、みちは
ぐっと成長したようです。
そして、昂輝は…★


 勘のすごくいい志郎は、時々人の気持ちが分かるように言い当てることがあった。
「姉さん、可愛くなってきたからね。でもね、前よりいいかな。誘惑されたら、誰でも王子様だと思って、簡単に落ちてしまいそうな雰囲気があったけど、今は違うもん。前は周りが一生懸命守って、高嶺の花にしてたんだけど、今は人当たりはいいけど、肝心なところをガードしてるって感じ。変な男は近付けないって思うよ。ちょっと安心だね」
 さちは息子の話を思わずフムフムと聞いてしまってから言った。「あなたって子は。わかったようなことを言って」
「だって、その通りだと思うよ」志郎はあっけらかんとして言った。

 さて一方昂輝は、あの晩以来、更にみちへの思いを募らせていき、それをとうとう友人であるみちの兄、志貴に相談したのだったが、志貴曰く──
「うちは、父さんがいないから、叔父さん、叔母さんが気にしてくれているんだ。お前がその関門をくぐり抜けるのは、かなり厳しいぜ。それに普通はどうか知らないけど、うちの場合は、親や親代わりが結婚相手を決めてくれる」
「それでいいのか?自分が好きになった相手じゃなくて」
「兄貴も付き合ってるけど、いい感じだぜ。お前も会ったことあるだろ?」
「ああ、あの人。親が決めた相手だとは知らなかった」
「俺も叔父さんが、あ、海斗の親だけど、紹介してくれるって。まだ、いいって言ってあるけど」
「みっちゃんの場合は誰が?」
「お前、みちのこと、そういう風に気安く呼ばない方がいいよ。減点になるよ。さん&tけした方が、印象いいかも。みちは順番では三和の叔母さんたち夫婦だけど…」
「三和産業の社長夫人だろう?すごい人が叔母さんだよね」
「まだ、はっきりしないよ、誰が選ぶか。どっちにしても、麗美叔母さんと初樹叔父が、結構仕切ってるから。初樹叔父は丹波野事務所の社長やってる」
「ああ、あの人、優しそうな人だよね」
「そうだね。とにかく、みんなに気に入ってもらうんだな。味方を作ることだよ」
「協力してくれる?」
「おっと。協力はしないわけではないけど、叔母さんたちが探して来る相手の方が、お前よりも、みちを幸せに出来るかもしれない」
「手厳しいね」昂輝は溜息をついた。「俺の気持ちはどうなる?」
 志貴は真剣な昂輝の思いを更に探るように質問した。「お前、夏休み中、ほとんどずっとみちをチャリで送ってたんだろ、その間に何かできただろ」
「何かって?」
「だから、いくらでもチャンスがあっただろ」
「…」
「そんだけ時間があれば、ものに出来るだろ」
 昂輝は首を振った。「もしかして、すごくチャンスだったのかもしれないけど…」
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昂輝は
夏の間のまたとない機会を
逃したということでしょうか。
前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次
  登場人物の確認は家系図をどうぞ。 
  (さちの父、志道が亡くなった頃の家系図。この物語は、数年後の設定です)




よい一日 よい夢を

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写真は:「アガパンサス」 by モアナさん
「アガパンサス」 by mumboさん
「写真素材 フォトライブラリー」からダウンロードしました
無断転用はご容赦願います



プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか

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posted by kuri-ma at 06:20| Comment(0) | さちの娘みち 【三月さくら】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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