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2017年07月15日

122 もしも大人になったなら9  ❀三月さくら2017❀ 【三月さくら〜番外編〜】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
紫陽花〜ピンク〜


さあ、近づいてくるクライマックスの瞬間。
初樹と麗美の出す結論は★


 彼は麗美の隣に来ると、手を握った。
 普段なら、その前から決意していたとしても、急にいい雰囲気の瞬間が訪れたとしても、三、四割の確率でしないで終わってしまうキスも、気がついたら、無我夢中の中でしていた。
 口付けをすると、いつも麗美はばら色に頬を染めて、俯きがちになる。
『可愛い』と、初樹は思った。
「やっぱり寂しいって思ってくれるんだね」
「…」
「ばれてるよ、もう」
 麗美はやはり俯いたまま、微笑んだようだった。初樹はその肩を抱き寄せた。しばらくそうやって、時間だけが静かに流れている様子を二人で見ているかのように、ただそうしていた。
 外はすっかり暗くなって、三日月はいよいよ主役の時間が来たとばかりに、にやりと笑っていた。
 生ピアノの奏でる音が聞こえてくる二人だけの貸し切りの空間にいて、今までにこんなにもお互いの存在を近くに感じたことがなかったかもしれなかった。
 初樹は寄り添う麗美を見た。側で見ているだけで嬉しかった頃から既に、本当はこうやって、かけがえのない存在になりたかった。その頃は見ているだけで、触れる勇気もなかった。
 今は密かに決意していた。彼女のために自分は生きていくのだと。少し前なら決めることのできなかった渡米の話も、麗美のためにと決めたことだ。ある意味将来の方向を決めたということになる。
 手を伸ばしても届かないと思っていた星を捕まえた少年は、しばらくそれを飾っておいてやはり眺めているはずだ。いつまで眺めてもあきないだろう。
 しかし、在り得ないことだと思っていたが、その星は、自分の腕の中ではもっと輝くことを知った。彼がその星を愛することが、さらに輝かせていくことになるのだと。それは、驚きでもあり、感動でもあった。
 この自分の存在が貴重に感じた。
 こんな自分でいいのだろうか。もっと愛していいのだろうか。戸惑いながら愛して来た。
 抱きしめたら、壊れてしまうと思っていたのに、愛は膨らんでいき、口付けしたら、汚しそうな気がしていたのに、心がほころんでくる。
 そして星をつかんだその少年は、もうとっくにひとりの男になっていた。
 自分がなりたいと背伸びをしていても、大人にはなれないが、一人前の自分を必要としてくれる存在、そして一人の男として願ってくれる人の存在が、彼をいつの間にか、大人にさせていた。もう、ナーバスで無責任な少年には戻りたいとは思わなかった。
 初樹は言ってみた。「アメリカ行き、止めた方がいい?」
 初樹の肩にもたれ掛けていた頭を、急に起こし、麗美は言った。「それはダメよ」
17

取って置きのキスシーンでした。
さて、渡米の話、
麗美は賛成ということ?!
↓引き続き次の回も、お楽しみください。






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離れると思うと、
離れがたくなるもの
さて、さて…。
初樹と麗美はどのように…★


 初樹は拍子抜けしたような顔をした。
「一度決めたことでしょう」と麗美は言う。
「そうだけど」
「あなたは行きたくないの?」
「君が嫌だと思って」
「私は行ったらいいと思うわ。滅多にない機会よ、あなたにとって」
「俺に?!」
「初樹のためになると思うなら行ったらいい。私のために無理しなくてもいいわ」
 なんと、麗美は渡米しろと言うのだった。
「驚いた。だったら早く言ってよ。反対されてると思って…」
「反対って言った?」
「俺が行っちゃうと寂しいって、嘘?」
「じゃないけど…行くのがいいと思う」
「そう。…じゃ、何も問題ないわけだ、君が賛成なら」
 急に、渡米を阻むものは何もなくなって、悲しいとも嬉しいとも調子が狂ったともいえる表情をしている初樹に、麗美は言った。「お腹がすいた。のども渇いたわ」
「うん。じゃ、何か頼んでくる」と言って、初樹は席を立ち、階下の空の許に行った。
 初樹はすぐに空に報告したいところだったが、何と言ったらいいかわからなかった。それに、恋人を待たせているのだから、長々と報告をする余裕もなかった。
 初樹は二十歳の誕生日の晩に酔いつぶれていた、カウンターの椅子に軽く腰を掛けた。カウンターに肘を立てて、頭をこぶしに滑らせるように沈めると言った。
「空兄。俺、もうダメだよ。アメリカなんか行きたくない」
「ほう」
「もう、可愛すぎて麗美さんが」
「離れたくないってわけ」
「そうなんだ、でも行くと決めたからには行くんだ。空兄、食事と飲み物適当に頼むよ」と、初樹は言うと、また立ち上がって麗美の許に戻った。
 その名の通り美しい麗美、そして麗しいとしかいえない麗美の姿が初樹を待っていた。その晩の最後の客が帰っても、しばらく彼らの寄り添う姿は、残されていた。
 空の月は位置と傾きを変えながら、どんな洒落た照明器具にもまねできない、やわらかい白い灯りを灯していた。

 麗美との間で話が落ち着いて、初樹が卒業を前にして渡米の日取りも決めたところで、治郎の「待った」が掛かった。
「待った」というよりは、一つ「条件」を出したというところだろうか。
 それは初樹には、思ってもいないことであったが、渡米の「条件」というにはあまりにおいしい「条件」だった。
18


山あじさい展 2


明日は最終話です。
登場人物の確認は家系図をどうぞ。
    橘家家系図も参考にどうぞ
「三月さくら」シリーズ前後のお話は こちらから。



よい一日、よい夢を

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写真は:17話 紫陽花〜ピンク〜
18話 山あじさい展 2
上の写真はその一部です
by (C)akemiさん
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無断転用はご容赦願います





プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか


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