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2011年10月22日

(再)《帰郷篇》For 友禅(フォーユーぜん)(1)再会1「雪洗友禅物語」29


光る海。


再会です。
この章で、プロローグのシーンへと続きます★



《 帰郷篇 》

 

  七章 For 友禅(フォー ユーぜん)

  再会
   

 私が初めて光に出会ってからの十年と、私が陰に逃げ込んだ七年が過ぎた。香苗と会ってから、併せて十七年の月日が流れ去ったことになる。
 私は七年間勤めた会社を、五月の連休前に辞めることが決まっていた。正式の退社前に有給休暇の消化の為に京都から一時帰ったのは、四月の初め頃だった。
 晴れた日だった。懐かしい故郷の海はまったく変わらずにそこにあった。堤防のコンクリート塀に落書きがあったほかには。
 恋しくて渇望していた海にようやく会えた。やはり水平線は遠く、しかしすぐに届きそうにも見えた。光り輝く海の様(さま)を見ていると、これから始まる私の正念場ともいえる故郷での人生に、向かっていけそうな気がした。

 堤防でひと時を過ごした私が、家側から店に出ようとした時だった。耳に香苗の声が飛び込んできた。
 香苗は、両親と共に振袖の見立てに来たようだった。そういえば、香苗はこの春二十歳(はたち)となり、来年は成人式を迎えるはずだった。私は店の奥のパーテーション越しに、その様子を伺った。
香苗は竹内爽雲(そううん)の物を気に入ったらしかったが、店にあるのは高価な一点のみで、既に売却済みだった。
「こんな高いのは買えないぞ」と、香苗の父は言った。
「これは派手すぎるから私には似合わないかも。あの訪問着のような感じのがあればいいんだけどな。この先生のがいい」
 爽雲の着物は取り寄せで、数百万するものばかりだった。両親との予算の折り合いがつかず、
「じゃあ、お母さんが選んだのでいいよ」と香苗は言うと、反物選びはやめて、急に店の奥に向かって来た。
「おばさん、環ちゃんを呼んで来ていい?」
 香苗が近づいてくるのに、とっさに逃げ場を失くした私は、香苗と鉢合わせした。
「圭兄ちゃん!」
「やあカナ」
 二十歳の女性となった香苗の姿がそこにあった。これが香苗との再会だった。実に七年振りだった。
29


香苗 二十歳(はたち)
圭一 三十歳(秋生まれですから正確には29ですが)の
これが再会です
思春期ではなく
大人になった二人は…


明日をお楽しみに

よろしかったらくりっくを
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写真は:光る海。
by (C)芥川千景さん
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posted by kuri-ma at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆NEW雪洗YOU禅物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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