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2010年08月14日

微笑みの法則 最終話

「微笑みの法則」ってなんなのでしょう。
今日は第X部の「待ちびと暮らしの達人たちへ」
最終話です★


「ところでね、そういう空兄こそ、母性本能をくすぐるタイプよね。美和ちゃんとはうまくいってるみたいだし」と、葉摘は言った。
「空兄のどんなとこが?」と、初樹。
「あの、笑顔とか…」
「うん、それは確かにね。俺も笑顔の練習しようっと」
「笑顔の練習?」
「空兄は秘密の朝練してるんだよ」
「何の?」
「だから、笑顔の。空兄の微笑みはだから完璧なんだよ」
「天然だって言ってたじゃない」
「そうだよ。天然に更に磨きをかけたんだ。演技とか計算じゃないけど、法則があるんだって」
「ふーん」
「このスマイルには自信があるんだ」
 初樹の質問に、空は、爽やかに微笑んで見せた。
「お兄ちゃんの笑顔って、意識的だったの」と、一緒にいた麗美が言った。
 あれ以降、初樹は仕事をダシにして麗美と共に過ごせることで、満ち足りた毎日だった。今日のように仕事の空きにJiro’s home≠ノ二人して顔を出すこともあった。
 空は言った。
「意識しても意識しなくても、この微笑みは俺のものだよ。俺が微笑むと、その微笑が俺の心を何かで満たす。心から出た微笑みでなくてもね。そして、俺が微笑むと、必ずそれが通じる。相手が微笑みを返してくれる。更に俺は微笑む。心が温かいもので満たされる。
 だから、意識しようがしまいが、俺は微笑みから得た蓄えがあるからね。いつも、完璧だろ」
「それ、もらったわよ、お兄ちゃん」と、麗美が言った。作詞のヒントになったのだろう。
「天性のものと、訓練の賜物だね」と、初樹が言った。
「空兄は、黙って笑ってるだけの方がいいよ。美和ちゃんだって、空兄が喋り過ぎるから、最初軽薄な男だって誤解したんだから」
「そうだな。俺も気付いたところ。反省してるんだ」
「お兄ちゃんの最大の強みよね、その微笑み」
「俺の唯一の取り柄だったかなぁと、思ってる」と、空は言った。

 昔、ほんの小さい頃、言われたことがあった。「天使の微笑みよね」と。
「空がそうやって笑ってくれると、ママの痛いのも飛んでっちゃうわ」
 それから、空は微笑みを意識するようになった。母が少しでも悲しそうだったりすると、「ママ、どこか痛いの?」と聞いては、笑顔を向けた。
 その母が、泣いていたことがあった。空は意識して、思いっきり笑顔を作った。
「痛いんじゃないの。でも、空のその笑顔はママの薬ね。あのね、空、葉摘ちゃんたちのママが亡くなったのよ。今夜お通夜に行くわ」
 その言葉を聞くと、空の顔に浮かんだ微笑みは凍りついたように、こわばった。彼は小学生になった年で、初めて人の死を目の当たりにしたのだった。
 お通夜の席では、空のその得意の微笑みは凍結したままで、そっと浮かべることすらできなかった。そんな雰囲気ではなかった。声も掛けられないくらい悲しく沈んだ顔ばかりだった。
 そんな中、目に飛び込んできたのが初樹の笑顔だった。まだ二歳になったばかりの彼は、母親の死など理解できなかった。じっとしていられる年ではなく、遺影に向かって「ママだ」と、嬉しそうに言った。
 空は、「僕が初樹を見てるよ」と言って、その場から連れ出した。笑い掛けると、嬉しそうに笑顔を返してくれた、初樹との、その通じ合った感覚を、彼は忘れることが出来なかった。
 その晩は、青山家の子供たちは来ていなかった。結局志道と麗美と一緒に、葉摘と初樹を遊ばせることになった。
 葉摘と初樹は麗美を取り合った。「お姉ちゃんがいい」と言って。空はなんとかして、初樹の気を引こうとした。
 初樹はとても人なつこくてかわいかった。そういえば、その後もよく父の店に来ていた初樹をめぐって、麗美と喧嘩をした。どっちが隣に座るだとか、どっちが手をつなぐだとか。
 空にとって、母の言葉が発端だった。そして、初樹が火付け役だったかもしれない。彼が微笑の法則を発見して、それを体得するための。

『どうせ、麗美の方がいいんだろう』と、空は初樹を見ながら思った。
『麗美、初樹をやるよ、今なら隣に座っても、手を繋いでもいいぞ』と、心の中で麗美にも声を掛けた。
「何、空兄?」と、初樹が怪訝そうな目で見ていた。
 空は、その顔に鉄壁の微笑みを浮かべ言った。
「愛してるよ、初樹」
「だから空兄は口を開かない方がいいよ」と初樹が言った。「誤解されるから」  
70

これで、おしまいです
物足りなかったですか?
初樹や空は、まだこの後の章でも重要な役割を果たします

初樹と空の後日談は
第Y部第二章月命日のプチ奇跡をどうぞ


さて、「三月さくら」は、今までが「前編」ともいえる内容です
今日でちょうど70回を終わりました
70というのはこれまたいい数字だと思います
ラッキーな数字かなぁと
同時に、一段階越えるという節目です

明日もまたお会いしましょう

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Tracked: 2010-08-14 04:19