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2017年08月08日

143 夏の忘れ形見 さちの娘みち5 ❀三月さくら2017❀  【三月さくらZ-3】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
ねえ、ねえぇ!!


みちとの関係を、
志貴に相談した
昂輝でしたが…★


 昂輝は言った。「無事に送ることしか考えてなかったっていうか、それしか会う口実もなかったし…」
「口実って、そんなもん、いくらでも作れたろ?」
「実は、ただ毎日会えるだけで満足っていうか、十分って気持ちで」
「ボディーガード役に徹したんだな。その間に約束の一つも取り付けなかったのか?」と、志貴は呆れて言った。
 昂輝は黙った。最後の誘いは約束と言えるだろうか。
「まあ、幸いだったかもしれないけどな」と、志貴は言った。「お前がみちを口説いていたら、叔父さんたちがただではすませなかったと思うから」
 志貴の話は昂輝を萎縮させるのに十分だった。せっかく口約束したドライブも、それを聞いたからには実行しない方が無難かもしれなかった。

 昂輝はようやく志貴に取り入って、叔父の初樹と会わせてもらうことになった。
 初樹は誰にでも実に人当たり良く接するのが通常だったから、みちを慕う自分に好感を持ってくれたように、昂輝は感じていた。
 しかし、見た目の柔らかさとは裏腹に、初樹が昂輝に言い渡すように話したことは、ちょっと厳しい内容だった。みちとのことには一切触れず、一俳優に対する辛口のアドバイスを連発した。
 昂輝の表情は深刻になった。
「うん。そういう表情(かお)がいいよ。君は、面子が甘すぎるんだよ。生き方をもっとワイルドにしてみたら、いいかもね。俳優としても、男としても」

 昂輝には手厳しいことを連発した初樹だったが、後で志貴に伝えて言った。「どんな奴がみちを見初めたか、会ってみたかったんだ。羨ましいほど、若くてイケメンだよな」
「顔だけじゃなく、信頼できるいい奴だよ。今は売れてないけど、芝居も真剣だし」と、志貴はできるだけ友人をフォローした。
「ふーん」
「みちのことは、かなり真剣だよ。みんな心配してるみたいだけど、奴ならいい加減な付き合い方はしないと思う。いい加減なやつなら、毎晩自転車で送るだけで、まじめにひと夏過ごしたりしないよ。何の勘違いか、みちのことをお嬢様扱いしてるし」
「今度、“星の家”に呼んだらいい」
「いいの?」志貴は内心驚いて言った。“星の家”の集まりに呼ぶということは、みちの結婚相手として告知するようなものではないか?
「みちはまだ若い。ただ、お前が友だちをあそこに連れて行くのに、みちと結びつけなくてもいいさ。彼も俺たちも、お互いに知る必要があるし」
37

初樹は味方でしょうか、
それとも…
引き続き、↓次の回もご覧ください。






みちとの接点を
作ったはすでしたが…。
昂輝の思いは…?★


 叔父の初樹から許可を得て、昂輝は喜んで、“星の家”にも“Jiro‘s home”にも毎回顔を出していたが、ある時、急に来なくなった。
 心変わりしたのか、それともあきらめたのか、と志貴が訊くと、彼は大きく首を振った。
 そして言った。「俺は、お前たちの兄弟やあそこにいる連中のように、音楽が出来るわけじゃない。何の取り得もないから、ちょっと俳優に本腰入れてみようと思って。みちさんのことは変わらず好きだよ。前より、もっと好きになったかもしれない。心変わりも、あきらめることも、出来るわけがないよ」
 昂輝は一旦顔をあげて、志貴をじっと見ると言った。「俺、アメリカに行って来ようと思ってる、演技の勉強がしたいんだ。みちさんには、よろしく言っておいて」


 しかし、昂輝とみちは、彼が米国から帰っても、会うことはなかった。
 彼は、舞台を中心に精力的に活動していた。テレビドラマにも出演依頼があったが、どうもほとんど断って、舞台に集中しているようだった。
 そんな昂輝の元に、丹波野(にわの)事務所社長の初樹が現れた。「今日はね、お願いに来たんだ」
 昂輝は戸惑いながら、彼の言葉を待った。初樹はにこやかだった。
「実は演出家に頼まれてね。うちの事務所も関係した作品なんだが、主演に抜擢したいんだ。君の好きな舞台だよ」
 昂輝はタイトルを見て言った。「シェイクスピアですか。古典だからじゃないんですが、せっかくですがお断りします。やれる自信がないんです」
「最近、ミュージカルとか、アレンジものが多いけど、原作に忠実なのって、却って新鮮だろう。いい脚本(ほん)だと思うよ」
「…そういうことではなくて」
「ほぉ。恋愛ものはやらないって、本当なんだね。今しか出来ない作品なのに」
「すみません」
「相手役が丹波野みちでも?」
「みちさんが?!」
「これは、みちのデビューの舞台なんだ。みちのジュリエットは変わらない。俺は君を推薦したかったんだが、君が降りるなら、他にはいくらでも候補がいる。ロミ・ジュリといえば、もちろんキスシーンもあるんだが、それが原因で断るのかい、相手がさちでも?」
「…」
「キスシーンはやらないって、ある人に聞いてはいたんだけどね。君にも考えがあるんだろうけど、役者で恋愛ものをしないって言ったら片端(かたわ)みたいなものだよ。映画だってアクションものにすら、ラブシーンが入らないと観客に受けないくらいだ。こだわりも必要だろうけど、役者としての幅を広げるためだと考えてみたら」
 そう言ったが、それ以上初樹は、強引に説得しようとはしなかった。「ねぇ、君はみちのお祖父さんを知ってる?」
「ピアニストの?ええ」
「そのJiroが、ロミ・ジュリファンでね…」
38

ここまでで、最初の夏から
一年半ほど経過しています。
さて、昂輝は
断るのでしょうか?!
登場人物の確認は家系図をどうぞ。 
(さちの父、志道が亡くなった頃の家系図。この物語は、数年後の設定です)
  「三月さくら」シリーズ 前後のお話は こちらから




よい一日 よい夢を

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写真は:ねえ、ねえぇ!!
by (C)芥川千景さん
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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか

posted by kuri-ma at 05:00| Comment(0) | さちの娘みち 【三月さくら】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする