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2017年08月04日

139 夏の忘れ形見 さちの娘みち1 「涙の女王と笑顔の王」より ❀三月さくら2017❀  【三月さくらZ-3】


ある夏から始まる物語──
一挙連載で1年ぶりに再登場です★
小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼

怪盗パンスト仮面。


「碧斗&未来の物語」からは
1世代あとの物語。でありながら、
不思議に歴史は繰り返すようです。

志道の娘・みちを主人公にすえたお話。
父の死から数年、
高校生の夏の日々を振りかえりつつ、
数年間を追いかけます。
さて、どんな物語が
彼女を待ち受けているのでしょうか★



   
第三章 〜夏の忘れ形見〜
さちの娘みち



 ──その頃は、夏が大好きだった。
 志道の忘れ形見、兄弟の中で紅一点のみちは、ある年の夏を思い出していた。

 夏といえば父の命日があり、親戚の青山家の葉奈の命日もある。何かと人の集まることが多い。
 そして夏といえば、野菜だ。みちは、夏野菜が大好きだった。
 毎年、青山家で取れた野菜や、その近所にある、叔父の空がレストランのために契約した畑からも、つやつやした野菜が数日おきに届けられていた。春や秋の野菜は一度にたくさん収穫しておしまいだが、夏野菜は細かくずっと続くのだ。

 みちはその夏、青山家に滞在していた。
 兄と弟に囲まれ姉妹のいないみちは、昔から青山家や三和家の社長夫人、未来叔母の家に泊まりに行くことも多かった。しかし、今回の青山家滞在は今までになく長期で、麗美叔母の意図をしっかり感じているみちだった。
 志道が亡くなってから数年を経た頃で、丹野家では、みちの兄たちも自らの道を歩み始めていた。
 長男の志幸は、そのままピアノの道を行った。弾くのは祖父や父の曲や既存の曲が多く、自分で作曲することはなかった。
 次男の志貴は演劇の勉強をして、俳優として歩み始めていた。
 大学生で早くもピアニストデビューした三男の志音は、兄や祖父たちと共に“Jiro's Home”におけるコンサートで演奏することになっていた。
 彼は、根っからの音楽家で芸術家だった。即興の曲を好み、自分が作曲した曲であっても、重ねて弾こうとはしなかった。ただ、作曲が好きなのだった。そんな彼は、後にはピアニストとしてよりも、作曲家として過ごすことが多くなるのだが、その夏は作曲とともに精力的な演奏活動を始めていた頃だった。
 志道の死後、毎年命日の頃に恒例のように行われているこのコンサートは、後に、成長した子供たちが帰って来るため、“里帰り公演”と言うようになるのだが、その頃はまだそう呼ばれていなかった。

 その頃…。
 みちにとっては、その夏がひとつの転機だったと思う。まったく自分はそんなつもりはなかったのに、周りが俄かに、気忙しくなっていた。
 志道が亡くなった時は中学生だったみちは、高校生になっていた。
 兄たちはすでに自分の行く道を定めていたが、彼女はまだ何も考えてはいなかった。進路についても、また、もちろん結婚相手についても。
 ちょうどその頃は、長男志幸に、婚約者が決まったところだった。
 志幸の結婚相手は母、さちが探した。そして先のことになるが、次男志貴の相手は、叔父の空が、志音の相手も叔父叔母たちが厳選して選んだ相手だった。彼らはすんなりとその相手を認め、それぞれ落ち着いた家庭を築いた。
 しかし、ひとり娘のみちの時には、親や叔父、叔母の思惑通りには、なかなか事が進まなかった。その思惑は、その夏から始まったのだ。
29

どんなふうに
思惑が進まなかったのか
その辺をお楽しみに。

新たに再連載した
「さちの娘みち」には
夏の涼しげな花
アガパンサスの写真を添えています。
そちらもお楽しみに。
引き続き、↓次の回もご覧ください。






誕生。


みちは超箱入り娘なのに
箱に入りきらないようです★


 その夏、叔父叔母たちの思惑が、みちに注がれ始めた。
 みちのことは誰もが取り分け大切に思っていたので、眼鏡に適う男性となると、なかなかいなかった。父はいなくても、父親代わりは何人もいて、彼女を守ってくれた。それは頼りになりすぎて、うっとおしいほどだったが、当の本人は、あまり気にしていなかった。
 丹波野(にわの)家には、兄たちの友人や仕事関係の人がよく出入りしていたから、その中にも、みちを求める男性がすでに現われ始めていた。
 母に似て聡明で、丹野家と美和家の美を相続したみちは、一見落ち着いて見えるが、好奇心と情熱を胸に秘めていた。歌手や女優になる道も彼女に示されていたが、何事も本腰でやる様子はなかった。
 今でも月一回程度は星の家≠フ集まりがあった。若者たちは、親たちの強い繋がりのせいで、ほとんどがいとこ、又いとこの関係にあり、親しい家族の集まりとなっていた。これに準じて、ほぼ毎日曜日、“Jiro's home”が、若者たちの交流の場として提供されていた。
 彼らの結婚の相手は、まず“星の家”の集まりに呼ばれ、本人の目に適うだけでなく、更に皆の厳しい目を潜り抜けられた者だけが、正式な結婚相手として紹介されていく、そんな恒例が出来つつあった。
 みちは従兄姉たちがそうして幸せになっていく姿を見て育った。長兄の志幸も、紹介されたフィアンセと順調に付き合っていた。

 夏休み前のある日、みちは三和(産業)の未来(みらい)に呼ばれた。叔父・叔母たちの中でも、未来は、みちとは最も気が合う同士だった。
 今や堂々たる社長夫人となった未来は、自分の若い頃の話を始めた。
「未来叔母さんもなの?最近、みんなが私にお説教してくるの」
「あなたが大人になってきたからよ」
「だから、誘惑に気をつけなさいって話?」
「みんなの心配なんて、若いあなたにはわからないわよね」
「心配はわかるけど。私、つまらない男の人に捕まるつもりはないし。麗美(れみ)叔母さんみたいに、ビン底眼鏡をかけたらいい?」
「それ、私は結婚後も掛けてたのよ」
「へえ。そんなに言い寄ってくる人が多かったの?」
「私は、別の理由もあったの。CMで、顔が知られちゃって、特に三和の社内では自由に振舞えないから、もう一人の私を作ったの」
 みちは、他の叔父、叔母には素直に話を聞いているようで、実はその耳に届いても、抜けていっている風だったが、未来には打ち解けて話していた。
「碧斗(あおと)叔父さんとの結婚は、やっぱり親に決められたの?」
30

みちと未来の会話は
明日も続きます
登場人物の確認は
家系図をどうぞ。 
  「三月さくら」シリーズ前後のお話は こちらから。




よい一日 よい夢を

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写真は:怪盗パンスト仮面。
誕生。
ともにアガパンサスの蕾です
by (C)芥川千景さん
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撮影者の名前をクリックすると撮影者のページへリンク
撮影者に許可を得て使用しています
無断転用はご容赦願います



プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか



posted by kuri-ma at 05:00| Comment(0) | さちの娘みち 【三月さくら】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする