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2017年08月21日

4 《時の追いかけっこ》 告白の日  [THE PAST POST] 



[THE PAST POST]  
▼△時の追いかけっこ△▼
2012.07.14 和泉川 サクラとモミジ


かすみへの
告白に向けて
準備をする彼です★



 
Leaves - コピー.jpg告白の日



 初めて会った時、かすみはまだ小学生だった。しかし当時から今のように成長する兆しをもっていた。
 中央図書館、市役所、中央郵便局などが連なる街中に、かすみが通っていた中央小学校があった。私も小中学校時代、その近くの学習塾に通っていた。
 最初の本屋と図書館での出会いは、その時間の偶然の一致だった。
 偶然に私たちは出会い、母校で再会した。
 そして付き合うようになったのは、最初に会った街での、やはり偶然の出会いだった。
 偶然に偶然が重なって、もう私はかすみに会わないではいられなくなった。
 毎日、歩く道が浮き立っているかのように、世界が変わってしまったように感じていた。
 慌しい中学教師の生活、そして澄子に5年前の情報を先取りで教えていく不思議な時間、これらがすべて色あせるくらい、ただかすみと次に会うことを考えて、過ごしているといっても言い過ぎではなかった。

 かすみは、空いた時間に高校のブラスバンドの指導を手伝っていた。私も、それに合わせて、時々顔を出すようになっていた。
 車も購入した。今の中学が郊外にあるから不便だということもあったが、その中学から仕事帰りに、母校の高校に行こうとすると、やはりかなりの距離があるのだ。それまでは、バイクでどこでも移動したのだから、もう一つの理由は、言うまでもなくかすみだった。
 男が車を持つのは、女性の存在が関わっていることが意外と大きいのではと思う。そうでなければ、維持費もバカにならない大きな買い物をわざわざすることもないだろう。

 夏休みになり、中学には毎日は出勤しないので、澄子と手紙を遣り取りする時間のポスト(下駄箱)は、車の後部座席に置いてあった。
 澄子への手紙に置き場所を記しさえすれば、ポストがその内容を把握しているかのように、澄子の時代の影響を受けずに、置いておくことができるという、不思議な事実を確認していた。
 それまで、長期休暇であっても、それを学校から持ち出すことはなかった。
 職員用玄関は都合が悪いので、もうだいぶ前から職員室の机の下に、置くようになっていた。
 それでも時に、まるでチャットのように連続して手紙を送り合ったりもするから、人目につくのは、はばかられた。
 また、「告白の日」に向けて、澄子からいろいろアドバイスされるようになり、細かく手紙を遣り取りするのにも、車は最適だった。

 夏もあっという間に過ぎていった。
 もっと早くその日をと思っていたが、後輩たちの練習が忙しかったりして思ったように日にちが折り合わず、満を持して迎えるその日だった。
8

そして、いよいよその日を
迎えるわけですが…!
引き続き次の回もお読みください






ゴンドラーノ、イタリアーノ、ハマリキューノ。


いよいよ、告白の日を迎えました。
そして…★


 前日までで夏休みを終え、始業式のその日、昼からかすみと会う約束をしていた。
 そして、その日は特別な日になる予定だった。半日一緒に過ごし、用意したプレゼントも渡すつもりだった。
 澄子からのアドバイス通り、センスがよさそうな女性店員に聞いて購入したペンダント。それは、私の思いを伝える手助けをしてくれるに違いなかった。
 私の胸には、小さな少女の頃からかすみだけがいたこと、十年日記を買った時にいたのは実は自分だということも、話すつもりだった。
 毎日のプラクティスが功を奏して、私の胸はかすみへの愛で、はちきれそうになっていた。
「好きだよ」
「愛している」
 伝えられるだけの愛の言葉を、その日はしっかりと伝え、宣言するつもりだった。

 その日、待ち合わせ場所にかすみが指定したのは、いつもと同じ、高校の近くの東公園だった。その脇に車を停め、彼女を拾うのだ。
 いつもなら、だいたい彼女の方が先に来ていることが多かったが、その日は違った。
 私はかすみを待ちながら、再び、彼女と出会った時からの思い出を振り返っていた。
 そういえば、まだ再会する前、時々おかっぱの少女を見掛けたような気がする。ずっと、また会わないかと姿を探していて、似たような風貌の少女がいれば、彼女かもしれないと思って見る癖がついていた。もしや、と思うことは何度かあったが、きっと見間違いだったのだろう。
 少女を通り越して、私の前に再び現れてくれたかすみ。
 もう、見失うことはない、とその時は思っていた。
 ただ自分の思いを告げることで頭がいっぱいだったし、かすみがどう応えてくれるだろうか、とそんなことばかり頭を巡らしていた。5年前の少女、澄子が、大丈夫と太鼓判を押してくれていたが、やはりまだ不安だった。

 さて、それにしても遅い、と思い始めた時、救急車の音が聞こえた。
 もしや、と思い、車を残し、公園を突っ切って反対側の通りに行ってみた。
 それからのことは、なんだか記憶が錯綜して、本当のことか夢なのか、よくわからない。
 血まみれのかすみ。
 名前を叫んだが、目を開けることはなく。
 救急車の中で手をつかみ、名前を呼び続け、おそらく祈っていた。
 神様、神様、かすみを助けて。
「好きだ」
「愛している」
という私の言葉は、鏡の前のプラクティス止まりで、彼女の元に届けることはできなかった。
9

なんということでしょう。
この日がX-dayだったとは!
おそらく、もう THE ENDと感じている
彼ですが、
物語はここから、どんどん
展開します。



よい一日 よい夢を

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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
夢を叶えたい人、カウンセリング募集中!(四柱推命鑑定も可。)
こちらから→幽霊っているんでしょうか

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2017年08月19日

3 《時の追いかけっこ》 過去の少女からの手紙  [THE PAST POST] 時の追いかけっこ



[THE PAST POST]  
▼△時の追いかけっこ△▼
風に揺れて。


当たり前の日常に、
突然起こった
ファンタジーな出来事…

今日は、一挙3話お届けします★


Leaves - コピー.jpg過去の少女からの手紙



 大学卒業後、私は、中学教師となり、初めての学校に赴任した。
 それは、私がアメイジングの扉を開けることになる発端の場所だった。
 生意気盛りの中学生と体当たりの日々の中で、もう一人の生徒と出会ったのだ。
 彼女の姿を一度も見たことがなかったから、正確には「出会った」とはいえないが、いずれにしても、私たちは知り合うことになった。
 その少女とは、手紙を交し合うだけの存在だった。会ったことはなくても、お互いに確かに生きていることは、ほぼ毎日の手紙が確かな証拠になった。
 ちょうどぴったり5年の過去と未来を生きている存在であり、それを自分たちだけが知っているのだと分かった時は、本当に驚いた。アメイジングで、アンビーバボーな出来事が現実に起こっていたのだ。

 始まりは、下駄箱に入っていた一つの手紙だった。
 それはただの古い下駄箱だったが、もう使われていなかった。現在の新しくしっかりした下駄箱は、四十人の教師の靴を収納できる大きな棚になっていたが、その下駄箱は一人分で独立した形になっていて、掃除道具入れの上に忘れられたように重ねられていたものの一つだった。
 そうだ、その時、確かにコトッと音がしたのだ。引き寄せられるようにその箱を見た。
 そして開けてみると、届いたばかりの手紙があった。いまどきの女子中学生の手で書かれた、いわゆるかわいい手紙だ。
 封筒には「斉藤先生へ」と書かれていた。横開きの下駄箱の扉を閉めると、ラベルには消えかかった字で「斉藤」とあった。
 古い下駄箱だと知らずに間違って入れた手紙だろうと、最初は思った。
 まさか5年前の中学生からの手紙だとは思ってもいなかった。そして、古い下駄箱がポストの役目をなして、私の方からも5年前に手紙を送られるのだということもわかった。
 最初の手紙には12組の高橋美香という署名があったがそれは代筆だったらしく、次からは、澄という印が押された手紙が届いた。
 それが、澄子だった。
 私たちは、きっちり5年の時を隔てて手紙を遣り取りしているのだと気づくと、その文通に夢中になった。
 私は十年日記をもとに、5年前の情報を澄子に伝達した。新聞で天気を調べ、過去の学校便りを元に学校行事などもチェックした。
 また、澄子がこっそり残したいたずら書きや、中庭に植えた宿根のすずらんの花を探したりした。

5

こうして中学教師と
女子中学生の
時を隔てた不思議な
遣り取りが始まりました。
引き続き次の回もお読みください






夏の向こう


5年前の中学生との
時間を越えた
不思議な関係が続きます★


 そのうちに澄子は、何かにつけ私に意見を求め、相談するようになり、私も教師の良識をフル稼働させて、澄子の求めに応じることが、楽しみともなった。
 澄子はなんでも聞きたがった。中学生の彼女にとっては、私の年齢で当たり前に経験することが未知の世界だ。無限に可能性が広がる頃だろう。
 また、私が勧める前から、私がやっていることを真似し始めるようになった。
 私が十年日記の記述を元に情報を与えていると知って、澄子も十年日記を書き始めたらしい。
 ブラスバンドに入ったのも、私の影響だし、音楽も私が過去に好きだった曲を教えると、すぐに探して、そのうちに、好みの曲は、私が言う前から、分かるようになった。
 進路のこともあれこれ詳しく聞いてきたが、今のところ近くの高校を志望しているようだった。
 下駄箱のポストは、元の場所から移動しても効力は変わらないということも確認した。
 ただし、私の時間の方は未来なのでどこに移しても澄子の時間には影響しないが、5年前にしたことは影響する。
 一度予告なく澄子が下駄箱の場所を変えたので、どこに置いたか分からず、数日間、探し続けることになった。
 正直、もうこの不思議な手紙の遣り取りは、できなくなったかと、心残りに思ったし、澄子の状況が心配でもあった。
 その時に知った。5年の時間を隔てたこの手紙の遣り取りが、私にとってはなくてはならないものになっていることに。
 実際にこの時代で生身に接する生徒たちがいるのとは別に、ちょっと離れたところに、通信教育の生徒が一人いる、そんな感覚だった。
 3年間を通じて、土日は澄子が学校に来ないので、週5回の手紙を送り合う、これが私のライフスタイルとなった。

 ある時、澄子が言い出した。私の住んでいる5年後の時代には、やはり5年後の澄子が住んでいるのではないか、と。
 そういうことなら、澄子の時代に5年前の私も生きているということになる。大学に通っていた頃だ。
 その頃の自分はかすみと再会する前だったし、澄子との奇妙な関係ももちろんなかった。何かに夢中になっていただろうか。どうも曖昧に気楽に生きていたような気がしてならない。
 澄子が手紙で言った。「そっちの私は大学生かな。大学2年。もうすぐ成人式だ」
 そこから、私の大学生の頃の話、成人式の話もした。
6

5年後の彼女
5年前の彼…
不思議な感覚です。
引き続き下の記事もお読みください






2014.04.29 和泉川 サクラ はなみ


中学生の澄子は
好奇心旺盛。
特に、「愛」の香りには
敏感なようです。
さて、彼と
5年後の澄子に接点は?!★


 そして、こんな提案をしてきた。実際に会ってみようと。場所と日時を決めて、5年後の澄子と私が会うのだという。
「5年後まで覚えていないだろう」
「そんなことない」と、澄子が言うので、場所と時間を決めた。
 しかし、その場には彼女は現れなかった。
「あり得ない」と、澄子は言ったが、中学生から大学生に至るまでの変化は、大きい。忘れてしまってもおかしくないだろう。
「もう一度、約束しよう」と澄子が言うので、無理だと思いつつも応じた。
「今度は、絶対に忘れない日だから大丈夫。先生も予定表か日記に付けておいて」と言われて、半年後の十年日記の日付に『澄子』と☆印で書き込んだ。
「私も5年後のその日に書いておいたから大丈夫」と、澄子は自信に溢れていた。

 中学生でも、女の勘というのがあるようで、特に愛に関しては敏感だ。
 驚いたのは、私がかすみと付き合い始めてからのこと、「先生、誰か好きな人がいるんでしょう」と、言い当てたことだ。
 なんで分かったのかは不明だが、澄子いわく、「最近の先生の手紙はそんな匂いがする」と。
 私が何も言っていないのに、澄子は私には恋人がいるのだ、と強く確信していて、必ず、からかう言葉を交えるようになった。
「先生、きっとそっちの学校の生徒にはバレバレだよ。私が手紙だけで分かるんだから、表情とか、きっとデレデレしているんじゃない?」と指摘されたが、やはりそうかもしれない、と自分の鏡の顔を見て思った。

 そんな夢のような日々の中、特別な日を持つ準備を始めた。
 実は、これにも澄子がからんでいた。
 ちゃんとかすみに自分の気持ちを伝えたこともなく、プレゼントも渡したことがないと知ると、澄子は「信じられない」と言った。
「先生、中学生でも、告白くらいちゃんとするよ」
「経験でもあるのか?」
「私はまだだけど、周りでよく聞く話だよ。女子はそういう情報すごいから」
「女子はそういうの好きなのか?」
「何が?告白?」
「俺も告られたことは何度かあるんだが」
「へぇ、もてるんだ」
『好きだ』とか『愛している』とか、この自分が口にするということが、イメージできなかった。
 澄子の指示で、私は鏡に向かってその愛の言葉を呟く練習を始めた。言ったことのなかった言葉だが、そうやって繰り返しているうち、ようやく気持ちがついてきた。
 プレゼントについても、中学生でもそういうことに疎い私よりマシだということで、澄子からアドバイスを受けた。
 リングが最高だが、どうしてもイコール、プロポーズと思ってしまうガチガチの私には、次にとっておいた方がいいね、ということになった。
7

ほお、告白ですか。
中学生の澄子にけしかけられて、
というのが可笑しいですが。




よい一日 よい夢を

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2017年08月18日

2 《時の追いかけっこ》 再会 ・ 胸に住む少女  [THE PAST POST] 



[THE PAST POST]  
▼△時の追いかけっこ△▼

2011.11.30 汐留 イタリア公園 枯葉


少年と少女の出会い、
十年日記、
そして時は流れ…★



Leaves - コピー.jpg再 会



 どうして、あの日、ああまで十年日記にこだわって、お互いに買うことになったのか分からないが、私は、その日記をつけることを楽しみにするようになった。
 十年日記を書いていると、時間の流れの不思議を感じることがある。毎年、同じ季節が来て、同じものを見たとしても、別人になったように全然違った見方をしたり、感心ごとが移り変わっていく自分を確認していく。
 分からないうちに私も変わっていっている。
 また、昨年と同じものを見つけて、それだけでちょっとした感動が起こったりもする。
 それは、まるでタイムマシンで一年前、二年前の自分に会うような感覚だった。
 そうやって、十年が流れるように過ぎていったが、七年目に起こったアメイジングな出来事を契機に、その十年日記は存在価値を発揮することになるのだった。

 十年前の出逢いから数年間は、図書館や、習い事に行く途中のかすみを見かけることがあったのだが、いつ頃からか、見かけなくなっていた。
 そうして、ずっと音信不通だったかすみと再会したのは、私が教育実習で行った母校の高校だった。
 彼女はブラスバンド部に入っていたが、私はそこのOBだった。
 やはりおかっぱではあるが、やや長めに揃えられた髪、また賢そうに輝く瞳は以前と変わらないはずだったが、五、六年の時間は、驚くべき、いたずらな魔法のような作用をすることがある。
 小学生の少女が、溌剌とした女子高生になって目の前に現われたのだ、正直、その時から、彼女が自分の胸にずっと住んでいたのだと、私は気づいていたのだと思う。
 部活のメンバーたちが一人ひとり自己紹介をした時、かすみはその瞳をくりくりさせて、にっこり笑い、「高2の高山かすみです」と言った。
 その瞳も、その声も、笑顔も、名前も、私が一度も忘れることがなかったばかりか、ずっと探していたものだったと気づいて、どこか舞い上がってしまった。
「十年日記、今も書いている?」と、正直訊ねてみたかった。
 だというのに私は、気がつけばまた知らない振りをしていた。あまりに再会が嬉し過ぎて、そんな自分の思いが恥ずかしくて隠したかった。まるで初めて会うように、かすみに接してしまった。
 後悔したが後の祭りだった。私はずっと、そのことを言いそびれたままで、言う機会は実はもう二度となかったのだ。
3

再会、ですが、
すぐには展開しないような…。






2015.01.13 瀬谷市民の森 枯葉一枚


再会したかすみは、
こんな女子高生に★



Leaves - コピー.jpg胸に住む少女



 せっかく出会ったのに、教育実習はあっけなくも過ぎてしまった。
 私はそれまで母校を思い出すこともなかったというのに、急にブラスバンド部のOBの立場に目覚めて、後輩たちを頻繁に応援するようになった。
 そうやってかすみに近づいてみると、彼女はその瞳と同じようにとてもひた向きな少女だった。音楽に関しても、また、学校生活に関しても。

 ある休日の練習日、休憩時間に将来の話になった。かすみは、大学に入ったら、一、二年は休学して海外にボランティアに行きたいのだと言った。
「すごい」という女子部員たちに反して、男子部員は茶化していた。
「そうよね。大人の人でも全然違う意見があったもの」と、かすみは言った。「私ね、世界中の人が幸せになるために、何かできることから始めたいの」
 そこでかすみは、私にも意見を求めた。あのまっすぐな瞳で見つめるように。
「お父さんやお母さんはなんていっているんだ?」
「かすみの親は海外だよね」と、女子の誰かが言った。
「お父さんは、反対はしていないけど、でもね、『世の中は厳しい、お前が思っているような夢のような話しは通じない』って」
「なるほど。お父さんからすれば、心配もあると思うよ」
「中学の時の先生はね、私ができることから、始めたらいいって、言ってくれた。小さいことでも、周りにいるたった一人を幸せにしてあげるように、まず始めることだって。私にだってできることはあるよね?先生はどう思う?」
 かすみの熱い瞳に圧倒されて、反対することなどできなかった。
 私が、今、海外ボランティアで数年を過ごしているのは、この時の会話が誘因となっている。

 私はそうやって高校の一先輩として、かすみとの間に、理由のある関係を見つけた。
 教育実習が始まりだったので、かすみたちからは「先生」と呼ばれた。人は呼ばれることで、自覚が芽生えてくるということもあるのだ、と知った。
 私が教師となってからも、かすみの高校へはできる限り時間を作って行くようにしたが、忙しさに紛れて滅多に出向くことはなかった。
 教師一年目は、とにかく一生懸命にやることが多くて、余裕がなかった。
 かすみが大学生になってからだろう。偶然の出会いがあって、その後徐々に二人で会うようになった。
 私はそうやって、胸に住む少女を育んでいった。
 実際のかすみはもう少女ではなく、私が思いを寄せるのにふさわしい女性になってくれた。
4

こうして、かすみは
彼の胸に住む
忘れられない存在になりました。
明日から、いよいよ
ファンタジーの扉が開きます。



よい一日 よい夢を

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写真は:イタリア公園 枯葉
枯葉一枚
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ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
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