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2017年06月30日

110 夢が繋いだものパート2・2  ❀三月さくら2017❀ 【三月さくらY-5・2】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
3050225ファウンテンスクェアー.jpg


さちが見た夢。
そして志道も
倒れて運ばれた病院で
夢をみます…★


「さちさん。どうしてここにいるんですか?」志道は目が覚めない様子で言った。
「過労で倒れたの。病院よ。何も心配しないで」と、さちが言った。
「とっても眠い」
「眠っていいのよ」
「ずっとここにいてくれるんですか?」
「ずっと側にいるわ」
「嬉しいな」志道は、そう言うとまた目を閉じた。

 次に目覚める際、志道は夢を見ていた。
 自分が死んでしまって、皆が悲しんでいる夢だった。
『僕は死んでないですよ!』と、何度叫ぼうとしても声が出なかった。
 そして、横たわったまま動けなかった。
『目が開いていないのに、どうして周りの状況が見えるのだろう』と思ったら、自分はその動かない自分の体からは離れた所で、ビデオでも見るようにそれを見ているのだった。
 さちがいた。泣きながら、自分の体を起こした。
 しばらく志道はそれを眺めていたが、さちの涙に心を揺さぶられながら、気が付いたら、泣きじゃくるさちに体を揺さぶられるのを感じた。
 いつの間にかさちに抱かれる、動かない体と一つになっていた。
 夢の中で志道はさちの手を掴んで言った。「僕は死んでないですよ」と、さっきは叫んでも出なかった声が、普通に出せた。
 そして、明るい光の下にさちと立っていた。

 しばらくして、志道は夢から覚め、現実の世界に戻って来た。そこは病院で、約束通りさちが付き添ってくれていた。彼女の顔には涙があった。
「どうして泣いてるんですか?」と、志道は訊いた。
 涙を拭きながら、さちは言った。「夢を見ていたの?寝言言ってたわよ」
「何て言ってましたか?」
「覚えてない?」
「もしかして『僕は死んでないですよ』って?」
 さちは頷いて、またハラハラと涙をこぼした。
「どうして泣いているんですか?僕のことなら心配ありませんよ」
「だって」
「困ったな。僕の具合はそんなに悪いんですか?」
「ただの過労だって」
「そうでしょう」志道は言った。
「さっき夢の中でも泣いてたんですよ、さちさん。僕が死んじゃったみたいで、僕を抱き上げて体を揺すってたんですよ。あの時僕はあなたに触れられたいって思ったんです。あなたに抱かれている自分の体と一つになりたいって思ったんです。そしたら、自分の体に戻れたみたいで、あなたに揺さぶられてるのを感じたんです。声が出て。その時、生き返ったって感じました」

夢が繋いだものとは、
第V部の一朗の夢から繋がり
そして第Z部に話が続いていきます。






西洋館のおもてなし。


志道が見た「死ぬ夢」
何か意味がありそうですが…。
それよりも志道は現実の甘い夢の方が
気に掛かるようです。
「夢が繋いだもの」最終話です★


 さちが更に泣き続けるので志道は言った。
「あなたは僕の夢を知らないはずなのに、ねぇ、どうして泣いてるんですか?」
「私も今朝夢を見たの」
「……どんな夢ですか?」
「あなたが、…死んでしまう夢。お母さんは、死ぬ夢は逆にいい夢だって言ってたけど、私はショックで、そうしたらあなたが倒れたというから」
「心配掛けてしまいましたね。この通り、なんともないですよ。こっちに来てください」
 さちは戸惑いを見せたが、志道はベッドに掛けるように手招きした。彼女が涙をぬぐって近付くと、志道は言った。
「夢の続きがあるんですよ。とってもHappyな終わり方なんです」
 さちを抱くようにして「夢ではあなたが僕を抱いてくれてるんですけどね。この点滴が邪魔だな」と言いながら、志道は、夢の続きのように彼女の手に愛しそうに触れていたが、今度はその体を抱き締めた。そして、熱いキスをした。
「本当に夢なの?」と、さちはようやく言った。
「はい。家族や両親が僕らを見守ってくれていて、祝福の言葉を言ってくれるんです」
「えっ皆が見ていたの?」
「僕は全然構わないですけど」
「夢でよかったわ」
「そのまま僕たちの結婚式の場面に変わるんです。教会で、僕たちはやはりキスをしてて、皆が祝福をしてくれているんです。こんな風に」と言って、志道はもう一度唇を求めようとした。
「嫌よ」と、さちが言った。
「何が?僕の夢が気に入らなかったんですか?」
「夢だけならいいわ」
「まさか結婚するのが嫌とか言わないですよね」
 さちは首を振った。
「じゃあキスが?」
「絶対教会式ではやらないから」
「どうしてですか?!」
「恥ずかしいでしょ」
「皆の前でキスすることが?僕はあまり気にならないんですけど」
「気になるわよ」
「初めてあなたにキスした時から、この刺激は忘れられないんです。後を引くというか。もう一度確認したくなるんです。いつでも、どこでも、何度でもね」
 そう言って今度はしっかりその唇を得た。
「でも、絶対に嫌だから」と、さちが言った。
「神前式にしましょう」と言って、志道はにっこり笑った。
 朝、倒れた連絡を受けたのが、夏の日は長いといっても今はもう日が暮れて、月がくっきりと姿を見せていた。今晩もスマートな三日月だった。

この志道の夢が
どう繋がっていくのか、
それは第Z部まで持ち越しとなります。
が、お話は次の節に続きます。
三月さくら初の関西進出です。
お楽しみに。
一朗の見た夢の話はこちら↓
夢が繋いだもの3話
前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次                        
登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]

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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
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109 夢が繋いだものパート2・1  ❀三月さくら2017❀ 【三月さくらY-5・2】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
雨の物語 2012。


今日はいよいよ、
「プロポーズ」と「挨拶」の日
となりそうそうです!
泣き虫のさちのことですから、きっと…?!★



   第二節 夢が繋いだもの パート2



 その明け方の空には三日月が掛かっていた。
 あんなにも皆でヤキモキした星矢の求婚という一大イベントが済んで、志道は待ちかねたように、さちへの「プロポーズ」と両親への「挨拶」へと向かおうとしていた。
 志道はまだ明るくなりきれないその時間に目覚めてしまった。
 さちは前日から自宅に帰っていた。
 今日はその日と決めていた。星矢が葉摘へのプロポーズに使った店が親たちの代の因縁の店と聞き、すでに予約もしてあった。
 志道は空に預けてあった指輪を、手に取った。そして、机の引き出しの鍵を開けて見せた時の、さちの反応を思い出した。
 明らかに彼女は、拍子の抜けたような顔をしていた。まるで、何かが入っているのを期待していたかのようだった。
「たいしたものが入っているわけではないんです」
「じゃあ、なんで鍵を掛けてたの?」
 そう言われて、志道はまるでさちが指輪が入っていたことを知っているような気がした。
「大切なものを入れてあったんですが、あなたに見つけられそうで、他に移しました」と、志道は言った。
「やっぱり。私に見せたくないものなのね」
 志道はその時と同じようにフフっと笑った。
 そして、彼女は泣くだろうか、と思った。泣き虫のさちのことだ、泣き出すに違いない、そう思って志道は微笑んだ。

 予期に反して、花束とリングを前にして、さちは笑顔だった。志道の、密かなエネルギー源になる彼女の笑顔。
 その後、さちの家に行き、両親に挨拶した時もやはり、ずっと彼女の口元には微笑みが浮かび、その瞳は涙を湛えることはなく輝き続けた。
 こうして、「プロポーズ」と「挨拶」は笑顔で始まり、笑顔で終わった。
 その涙腺が突如緩み始めたのは、もう一度車を出した時だった。夕方になっていた。もしかしたら、その沈む陽が目に染みたのか、さしたきっかけもないその涙に、もう志道は驚かなかった。
「その涙はどこから来るんですか?」
「だから、涙はコントロールできないって言ったでしょ。きっと涙は私のものじゃないのよ」泣きながらもさちは言った。
「あなたの目から出てくるのに?」と志道は笑って言った。


涙は潮のように満ち引きし 
涙は微かに海の味がする 
 
何を願うのか 人は 
泣いても人を求め 
何を信じるの あなたは  
何でも笑い飛ばしてくれる 

何かが違う 昨日の私とは 
内心の動揺を隠して… 

  涙はどこから来るの?
  なんで温かいの?


泣いてしまうのはきっと 
波が海を知ったから 
 
涙は泉のように沸いて溢れ 
涙のかけらが集まって 虹を作る 

波間をみつめて答えを探しても 
涙の理由は 自分でも わからないことがある 

懐かしいのはきっと 
母の胎中の海を思うから 
懐かしいのはきっと 
涙の記憶が海馬を通って蘇るから 

泣いてしまうのはきっと 
波が海を知ったから 

(「泣いてしまうのはきっと…」)



前章からの宿題だった、
「プロポーズ」と「挨拶」は
こうして果たされました。
結局は、涙となりましたね。

詩は第Z部のための詩ですが、
涙のシーンなので、挿入してみました。
(第Z部の涙は
全然色合いの違う涙となるはずですが。)

第V部と同じタイトル「夢が繋いだもの」
としたのは意味があります。
明日からはその「夢」の
内容に入っていきます。
明日もお楽しみに!






9564127白薔薇.jpg


さちが見た不吉な夢。
志道の身に何か…!★


 その夏は、暑い上に、やたら忙しかった。志道は、またさちと会う間のないスケジュールに突入して行った。
 忙しいスケジュールといっても、十分に休養の時間は取られていたが、志道は、創作に乗ると、そういうスケジュールの合間でも徹夜で没頭したし、地方ツアー中は、その地でしか見られない物めずらしい物を求めて、昼間も探索に出掛けるという具合だった。
 初樹は学業との二足のわらじを履いている上に、麗美と志道の二人を兼任状態だった。他のマネージャーを探してはいたが、初樹の夏休み期間は据え置きが決まっているようなものだった。
 そんな折、さちが夢を見た。志道が死んでしまう夢で、さちは泣きながらみどりに話していた。
「本当にそんなことになったら、どうしよう」と泣きじゃくるさちを慰めながら「死ぬ夢っていうのは、逆にいい夢だっていうわよ」と陽子が言っていた。
「それでは確認してみましょう」と、電話しようとした時、電話が鳴った。
 初樹だった。「おばさん…」初樹は、志道が倒れて入院したことを告げた。
 志道の両親と共にさちは病院に駆けつけた。志道は、ベッドで眠っていた。
「なんだ。じゃあ何でもなかったのか」と、治郎が言った。
「過労と暑さで脱水症状を起こしたみたいで。すみません。志道兄、あまり夜寝ずにピアノ弾いてたのかなぁと。暑いせいか食欲もなかったし」と、初樹が、治郎と陽子に説明した。
「じゃあ今眠ってるのは?」
「ただ眠ってるだけですよ」
「本当に大丈夫なのね」
「ええ。とにかく睡眠不足だったんです。すみません、俺の管理不足で。っていうか、言っても聞かないんですけど。念のため、検査してもらいますが」
 両親は初樹とそんな会話をして、志道の許にいるさちに伝えた。彼女はホッとしたようだったが、志道の側を離れようとはしなかった。
「なんか、イチさんが事故した時のことを思い出したよ。葉奈さんが側を離れなくてさ。結局、イチさんはたいしたことなかったんだよね。死ぬかと思って心配したのに」と、治郎が言った。
「そうね。私たちも真剣に祈ったものね、あの時」
「何のこと、父さんの事故って?」初樹が尋ねた。
 治郎が話し終わった後、陽子はポツリと言った。「本当にイチさんの事故の時と似ているかも。さちさんが志道が死ぬ夢を見たのよ。夢で済んでよかったわ」
 陽子はまた呟いた。「よかったわ。正夢にならなくて」
 そして、二人に言った。「さぁ、さちさんに任せて、私たちは帰りましょ」
 志道が一時眠りから覚めた時、最初に見たのは愛しいさちの顔だった。

一朗がかつて事故で生死を彷徨った時を
髣髴とさせる、志道の入院でした。
夢が繋いだものとは…?
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2017年06月29日

108 プロポーズ・シーズン再び(歴史は繰り返す)2  ❀三月さくら2017❀ 【三月さくらY-5・1】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
1660232薔薇と音譜と.jpg


作曲家、音楽家として絶好調の志道。
その秘密はもちろん…★


 ちょうど、夜勤明けの時間に間に合った。こうして迎えに来るというそんな些細なことが、志道の単純な願いの一つだった。当たり前の、日常のひとこまを共に過ごせることが、喜びだった。
 病院の駐車場にある顔馴染みの銀杏の木は、新しい芽を吹いて志道を迎えた。その樹に手を触れていると、いつか、彼女と会うのも最後だと断腸の思いでその場に立ったことを思い出した。
 どれだけ変わってしまったか、志道は自らを思い返していた。もう捨てることができない大切なものを持ってしまったのだ。以前の自分には戻れないし、戻るつもりもなかった。
 さちが通用口から出てくると、志道は笑顔で手を挙げた。彼女が彼を見てどのような顔をするのかというと、やはりこの上もなく嬉しそうに駆け寄ってきた。
 車で丹野家までは10分も掛からない距離にあった。さちが、うとうとするかしないかで着いてしまう。
「疲れてるでしょうが、聴いてほしいものがあるんですよ」と、志道は得意げに言った。
「えっ、また曲が?」
「出来立てのホヤホヤですよ。やっぱりあなたは僕にとって、特別です。創作のインスピレーションを連れてくるんですよ。あなたにちょっと会っただけで、閃きまくってしまいました」
 志道は、その作ったばかりの曲を、居間でさちに聴かせていた。音楽一家のこと、すぐに家中の者が集まってきた。
「子犬のワルツを思わせるような可愛い曲だよね、ワルツではないけど」と、空が言うと、
「ええ、とっても可愛いわ」と陽子も言った。
「さちさんに真っ先に聴かせるには、それなりの意味があるんだろ?」と、治郎が言った。
「はい、もちろん」と、志道が言うのを、「さちさんは、兄貴の創作の源泉なんだもんね」と、空が更に持ち上げていく。
「ほぉ」と、治郎も嬉しそうだった。
 さちは恥ずかしそうにして「作ったのも弾いたのも志道さんだから」と、言った。
「そうだ。志道はすごいよ」と、治郎が言った。「でも、君がいなければ、治郎も作れなかった。曲というのは不思議でね、その本人が作るというより、何か曲になるイメージなり、何かのきっかけが必要なんだ。インスピレーションというのは、何かから与えられるものだからね。君という刺激がなければ、志道もそうそう曲を作れないはずだ。
 志道一人では、曲も作れないし、それに、幸せになることも出来ないってことさ」
「その通りですよ。皆でさちさんを大切にしてあげてくださいね」と、志道は言うと、家族の一人ひとりを信頼の瞳で見つめた。


 和気藹々とした朝食を囲んだ後、さちはシャワーを浴びて休んだ。
 その間、志道は治郎と居間で話をしていた。最初は音楽の話だったが、治郎はようやく気になっていたことを話し始めた。
「志道、さちさんのことはどうするつもりなんだ?お前の仕事が一段落するまで様子を見ていたが。結婚するつもりなんだろう?」
「父さんはどうなんですか?許してくれるなら…」
「母さんはずっとそのつもりだし、家に寝泊りさせているんだからね。お前の留守中は問題なかったが、ずっとそういうわけにはいかないんじゃないか?父さんもいい娘さんだと思っているよ。しっかりしているし、明るいしね。お前がどれだけ大切に思っているかもわかっている。どうなんだ?」
「結婚は、最初の時点から考えてます。それが自然だと思うんです」

丹波野家でのシーン、
家族が集まってきますが、
麗美はおそらく仕事で不在、という設定です。
未来には台詞を与えていないのですが、
それとも朝寝坊で起きてきてなかったか…。

とうとう「結婚」の二文字が。
好調な志道の道を遮るものは
何もないはずですが…。






ピンクのモーツァルト。


父、治郎から出た「結婚」の言葉。
志道もその気のようです…★


「じゃあ、もうそろそろけじめを付けた方がいいんじゃないか?さちさんの家にも行ってないんだろ?」と、治郎は言った。
「ええ、まだ」と、志道は答えた。
「二人の間では、そういう話はしてないのか?」
「いえ、まだ」
「じゃあ、プロポーズして、両親に挨拶に行ってだな」
「…プロポーズ…挨拶」
「そうだよ」治郎が、自らが妻に求婚した時の話を延々としているのも上の空で聞きながら、志道は二つの言葉を、顔を赤らめながら何度も呟いていた。
 それまでも、意識しないわけではなかったプロポーズだったが、二つペアの単語が来た時、彼の海馬のどこかが反応し始めるようなのだった。
 母がやって来て、「志道も疲れているんだから…」と言ってくれて、ようやく父から解放された志道だったが、シャワーを浴び、休む支度をしている間も、プロポーズ≠ニ挨拶≠ニいう言葉が頭を離れないのだった。
 眠るために二階に行くと、どうしても恋人の顔を見たい思いに勝てず、休んでいる部屋のドアをそっと開けた。しばらく志道は、さちの寝顔を見ながら床に跪いていたが、案の定、ベッドに頭をもたげて眠ってしまった。
 数時間後、熟睡した志道の体をめぐって、二人の女性が格闘を繰り広げていた。男性たちも仕事に行ってしまっていたので、陽子とさちが、なんとかベッドに寝かせるしかなかった。決して華奢ではない、どちらかというと大柄な志道の体を、動かすのは簡単ではなかった。
 その時、志道が寝言を言ったとしたら、あの二言に違いなかった。その言葉を母親や恋人が聞いたかどうかはわからないが、誰もいなくなった部屋で、呟かれていたことは確かだった。


 志道がずっと気にしているにも関わらず、“プロポーズ”と“挨拶”については、なかなか進行しなかった。
 まず、志道が相談した相手が悪かった。
 星矢のことを、志道は年長者として頼りにしていたし、彼に後押ししてもらいたいくらいの思いがあったのだが、彼はその父と同様にプロポーズに時間が掛かるタイプであった。歴史は繰り返すというが、この三家の親子の様子を見ていると、おかしいくらいに、子が親の道を辿って行くようだった。
「僕の母も卒業してすぐに結婚しているんです。星矢兄と葉摘ちゃんは年齢差もあるし、もうそろそろ、話が決まってるんじゃないですか?」
そう志道が何気なく言ったのだが、星矢には全くの逆効果だった。
 これによって、プレッシャーの掛かった星矢は、更にプロポーズに後ろ向きになり…、その状況を父親たちもかぎつけて心配しだしたので、志道はそうならない前ならまだしも、尚更、年長の星矢を差し置いてはできない雰囲気になっていった。
 志道は、机の引き出しに入れてあったケースを取り出し、中の指輪を眺め、溜息をついた。
 さちが「この引き出しには、どんな秘密があるの?」と訊いてきていた。彼は笑って、「今度開けて見せますよ」と、言ってしまったのだった。そしてプロポーズしようと。
「ここには入れておけないですね」と、志道は呟いた。

指輪も準備してあったんですね。
「プロポーズ」と「挨拶」に向けて、
さて、どうなりますか…!

今日登場の星矢とは、
“星の家”のマスターの息子です。
星矢と葉摘の物語は
こちらからどうぞ。
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