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2017年05月19日

72 眠り姫と眠り王子1  ❀三月さくら2017❀ 【Y1-1】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
2013.05.12 山手 横浜市イギリス館 バラ


三月さくら、第二世代のヒーローが
この人です。
“眠れる獅子”志道、
バラを背景に登場、というシーン。
バックミュージックはもちろんピアノで。
さて、彼が大切に持った秘密とは…?
そして、出会いの予感が…★



第X部 眠り姫と眠り王子


 第一章 志道の行く道




赤ちゃんが
手を握り締め 生まれてくるのはなぜ?

神様からの贈り物を離さないために
何を握っているの?
まだ知らない未来を握って生まれてくる

神様から授かった
夢、希望、運命…
赤ちゃんが握りしめたものは
目には見えないけれど

無垢でまだ言葉をもたない
小さな手に指を入れると
ぎゅっと握り返してくれる
その力に命を感じる
まるで指きりした時のように
何かを約束したつもりになる

少し大きくなって
手をつなぐのは 仲良しのしるし
いつか大人になるまで
何人と手をつなげるだろう

手と手を触れるのは 信頼のしるし
いつか人生を終えるまで
何人と握手するだろう

   そんな人生の途中に
   特別なことが起こるだろう
   いつまでも手をつなぎたい
   たった一人との誓い

神様が赤ちゃんに贈ったもので
一番のスペシャルは
その人の伴侶…
赤ちゃんは忘れているけれど
魂は覚えている
お互いの中にだけ見える
神様の種を

キスをする時
どちらともなく 目を閉じるのはなぜ?

お互いの中に神様を見ようとして
お互いの魂に触れようとするから
何かを感じ合うように
まだ知らない未来を 二人分け合っている

神様が与えてくれた
縁、絆、愛…
二人が見つめるものは
目には見えないけれど

目を閉じて 思いを重ね合う
指をからめ 言葉を合わせ
手を取って 明日を委ねよう
目の前にいるあなたを
大切に思うから

手を取り合うのは 信頼のしるし
そして特別な 愛情のしるし
時を越えて ずっと
あなたと共に行くという

特別な贈り物は
また特別な贈り物を持ってくる
赤ちゃんを授かる幸せ
その赤ちゃんは…
神様からの贈り物を握って生まれてくる
それは目には見えないけれど




ひらめき



「ほんとに惚れ惚れするわ」と、橘(たちばな)家の嫁、美幸(みゆき)が溜息交じりに言った。七海(ななみ)の妻で、空(そら)と付き合っている美和(みわ)の母親だった。
 今日は葉奈の畑に皆が集まる日で、丹波野(にわの)家の兄弟、志道(しどう)と空が車を置かしてもらうため立ち寄ったのだった。
「麗しいという言葉が似合う人たちもいるのね。治郎さんも素敵だったけど、この少子化の時代に四人も子供がいて、皆、美男美女なんだからね」
 聞いていた夫の七海が口を出した。
「星矢(せいや)君の所も四人兄弟姉妹(きょうだい)だよな」
「星矢君ももちろん立派な青年だけど、丹波野家の子たちが並ぶと、どうしてああも颯爽としてるのかしら。あんな息子を持ちたいわ」
 お洒落な祖母の常葉(とこは)が言った。
「また美幸さんは面食いよね。まああの子たちはテレビの俳優並みだからね。でも、あなたの願いは叶うかもしれないでしょ、美和たちがうまくいけば、本当に一人は息子になるんだから。次男だし、この家に入ってくれるかしら?」
「それはどうかな」と、七海。
「あなた、お義兄さんに聞いてみてくださいよ」と美幸。義兄とは一朗(いちろう)のことだ。
「空君の兄さんが結婚する話も聞かないのに。順番があるだろう。もう少し様子を見ようよ」と七海は言った。
「まだ皆若いものね。あの中では星矢君が一番上だから。まだ結婚しないのかしら?」
「葉摘(はつみ)も働き始めたし、もうそろそろでしょう」と常葉が言った。
 三人の会話を肇(はじめ)は黙って聞いていた。あんなにも淋しかった家に、親子三代が住むようになり、今は孫たちの結婚の話題が登るようになった。娘の葉奈(はな)を亡くしたのは今でも、心痛いことだが、肇は静かに幸せを感じていた。


 “星の家”の集まりが復活してから二年近くが既に経っていた。
 それは三家にとって、縁が深まっていくきっかけだった。それ以降、月一回は“星の家”で集まりがあったし、それ以外の日曜の夜は、“Jiro's Home”で若い者たちだけで集まることも多かった。
 丹波野家の長男志道にとっては、ここ二年取り分けて変化がないように外見には見えたのだったが、実は彼こそが最も変化を受けたのかもしれなかった。
 二年前の敬老の日の集まりでピアノを久し振りに弾いた時、彼には開けるものがあった。自分の道を経営と定めてから、ピアノはすっかり自分から切り離してきていたのだが、それをきっかけに密かにピアノを弾くようになった。
 ピアノを弾くと、心が羽が生えたように解放された。そのうちに、閃きを受けるようになり、作曲も始めた。それゆえに彼は大切な秘密を持つ者となり、いつも宝物を抱えるように日々を過ごしていた。

 さて、その夜、従姉が予定より早く産気づいた時、三和(みわ)の祖父の誕生祝で、皆が集まっていた。酒を飲んでいない志道が車を出して、病院まで送って行った。
 廊下で従姉の両親と夫と共に待っている時、看護師かと思われる女性が分娩室から現れた。志道は突如、曲が生まれる時のようなひらめきが来るのを感じた。ただし、いつもの閃きとは何かが違った。
「ご主人様ですか?」と、彼女に声を掛けられ、「いえ」と答えながら、何かくすぐったいものが頬をなでていくような気がした。そういう時、人の顔はどうなるのだろう。志道の顔には、少し照れくさそうな、感じのいい微笑みが浮かんでいた。
「あちらですよ」と、志道は伯母夫婦の横に座る、従姉の夫を手で示した。
「失礼しました」と、彼女は恥ずかしそうに言うと、「ご主人様、奥様が出来れば立ち会ってほしいとおっしゃっていますが、入られますか?」と従姉の夫を扉に招いた。
 そして残る志道たちに向かって、「お二人目ですから、もう早いですよ」と、にこやかに言って、中に入った。
 聡子(さとこ)伯母が志道に向かって言った。「志道はもう帰っていいわよ。早いといってもお産はそんなに簡単じゃないわ。何時間も掛かることもあるから」
 そう言われたが志道はなぜかそこを動く気にならなかった。
「もう少しだけ待ちますよ」と彼は言った。
 確かに志道にとっては場違いのような雰囲気だった。しかし彼は動けなかった。赤ん坊の誕生まで確認したい思いもあった。
 幸いにも先程の女性が言ったように、出産は早かった。三十分ほどで子供は生まれた。
 待っていると、まず先程とは違う若い看護師が無事出産したことを教えてくれた。
 従姉のところには二人目の女の子が生まれたことになる。
 伯母のところは伯父が婿養子で、女の子が二人。本来は三和家を継ぐべき長女の従姉も他家に嫁ぎ、やはり女児ばかり。つまり今は後継者がいない状態だった。
 いずれにしても、新しい命が生まれるということは感動的なことだった。
 そしてまたしばらくして、生命の誕生に関わったことで何かオーラを持ったような彼女が再び現われた。
1

今日からの連載は
またも再UPではありますが、
久々の志道の物語、お楽しみください。

赤ちゃんの誕生、最高のシュチュエーションの中に
閃きを感じる出逢い
“眠れる獅子”志道がいよいよ動くのでしょうか?
乞うご期待!

三月さくら全編を再公開する予定なので、
昨日タイトルを通し番号に変更したのですが、
更に表示方法を改めました。
星一の物語(第T部とU部前半)14話
一朗の物語(第V部)22話
治郎の物語(第U部後半とW部)12話
第X部は、海山街6話
さき初めさくら8話
そして、空&初樹9話、
昨日まで通算71話となっています。

前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次                        
登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]







よいい一日 よい夢を

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写真は:山手 横浜市イギリス館 バラ
by (C)ひでわくさん
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無断転用はご容赦願います





プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
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