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2017年05月15日

68 《三月さくら》 微笑みの法則1 空&初樹  【X-3】2017



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
2012.09.21 和泉川 原っぱ


「デジャブ」との姉妹章、
「微笑みの法則」のスタートです。
初樹が心を寄せるのは、
丹野家の麗美。
どうも"高嶺の花"のようですが…★



 第四章 微笑みの法則



 初樹は"Jiro's home"に入り浸っていた。空や麗美の演奏を聴き、二人と話していくのが常だった。麗美は時々しか演奏しないのだが、その予定をすっかり把握して、逃がさないのだった。
 ある時、ほかの客がいないので、ピアノの傍に来ていた初樹は、麗美の楽譜帳を見せてもらっていた。
「これは何?」
「作詞もしているの。パパの曲につけてみたんだけど」
「へぇ、聴いてみたいな」
 初樹にせがまれ、麗美が弾きながら歌っているところに、治郎が入って来た。
 麗美の歌声に魅了されたのは、初樹だけではなかった。父の治郎は喜び、ちょうどレコーディング中だった自らの次のアルバムに、父娘デュエットで吹き込むことになり、それが麗美のシンガーソングライターとしての出発になった。
 数ヵ月後には、麗美の歌声が巷でも聴かれるようになった。今までトレードマークだった大きな伊達眼鏡を外した素顔は、爽やかな美人だったから、テレビ受けもした。
 父の治郎が売り出した頃と同じような現象が起こった。彼は昔と違いマイペースな音楽活動をしていたが、デビュー当時は超多忙の生活だったから。
 麗美のことは父の治郎が配慮して、スケジュールは調整されていたが、今までのように父の店で演奏することはなくなった。日曜日の夜、みんなが集まる時も、麗美だけは来なかった。
 初樹は、"Jiro's home"で、オーディエンスがほとんどいない中でも、欠かさずかぶり付きで聴いていた、あの頃が懐かしかった。いつも彼のリクエストに応じてくれた。
 あの時、歌わせてしまったことを悔やみたい気持ちにもなった。でも、あの歌声を自分ひとりのものにはできないな、と納得するしかなかった。

 テレビのインタビューに麗美が答えていた。
 しばらく会っていなかった麗美をテレビの画面を通して見るのは、嬉しいような寂しいような気持ちだった。
 インタビュアーというのは、いつもそういった質問をするものだが、麗美は好きな男性のタイプ≠質問されていた。
「私には、父と母が理想のカップルなので…」
「じゃあ、お父さんのJiroさんみたいな」
「かもしれないです。両親が喜んでくれる人がいいかな」
「麗美さんの好きなタイプってないんですか?」
「まだ、よくわからないんです」
「好きになった人が理想のタイプかな?まだ恋人はおられないんですか?」
「はい、いないですよ」
「音楽が恋人っていうわけですね」
12

麗美はアーティストデビュー
してしまいました。
初樹の初恋の行方は…。
↓引き続き次の回も、お楽しみください。






初秋。


初樹は、三家の中でも
最年少の大学生。
麗美は三歳年上です。
麗美との距離にすっかりめげている
初樹に対して、
麗美の父、治朗が…!★


 “Jiro's home”に、酔いつぶれそうな初樹がいた。
 治郎がやってきて、空に訊いた。「どうしたんだ、これ?」
「だいたい、わかるでしょ。何も言わないでただ飲んでたんだ」
「おめでとうって言うなよ!」と、突然初樹が叫んだ。
「めでたいことがあったようには見えないな」と、治郎が空に言った。
 空は父に囁いた。「今日が二十歳の誕生日だよ。麗美に祝ってもらう約束だったんだ。何ヶ月も前の口約束だから、忘れられたんだろうね。今仙台だっけ?明後日の函館が最後だったよね。三日後まで帰らないって言ったら、ずっと飲み続けてさ」
 もう、カウンターに頭を付けてしまっている初樹を、治郎は見つめた。初樹はむくっと顔を上げると言った。
「治郎おじさん、おじさんのピアノ聞かせてよ。昔から大好きなんだ」
 治郎がピアノに向かうと、初樹もよろけながらやって来た。治郎が弾くグランドピアノに頭を持たせている初樹の姿を見ながら、ほんの小さかった頃の初樹の姿が重なった。
 母の葉奈が亡くなる前から、亡くなってからは頻繁に、まだ二、三歳の初樹が夜寝付かないからと、一朗が車で連れて来ることがあった。
 椅子をピアノの許に持って来て、その震動が安心するのだろう、今日のように頭やほぼ上半身全てをもたげていることもあれば、演奏する治郎の膝の上で寝てしまうこともあった。
 一朗が寝ているソファーベッドの横に寝かせてあげたこと、そんな晩が数え切れないほどあったのだ。多い時には毎週末だった。
「麗美に会いたいのか?」治郎は、もう眠ってしまっている初樹に呟くように訊いた。
 そして空に声を掛けて、一緒に初樹をソファーに移動して寝かせてから言った。「朝起きたら、事務所に連れて来い」

 翌朝、二日酔いで最悪な顔をした初樹が、空に伴われて治郎の許に現れた。
「夕べは、かなりやってたねぇ。あんな風に飲んでると悪酔いするぞ。まだ未成年じゃなかったのか?」
「昨日から二十歳ですよ。誰も俺の誕生日なんか覚えてないけど」
「イチさんが心配してたぞ。お祖父さんお祖母さんも、起きて待ってたみたいだったけど」
「あっ!」
「これは治郎おじさんからプレゼントだよ。明日の麗美のコンサートチケットだ。函館までの往復の飛行機と。俺が行く予定だったんだが、行けなくなってね」と、治朗は複数のチケットを初樹に手渡した。
 初樹はまじまじと、手の中に渡されたものを見つめた。
13

え!治朗の意外な行動…。
これって、麗美に
会いに行けるということですね。



よい一日、よい夢を

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写真は:原っぱ
by (C)ひでわくさん
初秋。
by (C)芥川千景さん
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撮影者に許可を得て使用しています
無断転用はご容赦願います
登場人物の確認は家系図をどうぞ。
    橘家家系図も参考にどうぞ
「三月さくら」シリーズ前後のお話は こちらから。



プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
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