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2017年05月10日

63 《三月さくら》 デジャブ3 〜空&初樹3  【X-3】2017



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
お彼岸前。


最後のチャンスを
空は活かせるか?!
美和は結構、はっきり
物を言うタイプのようです★


 美和は言った。「お父さんのお店にいると聞いたけど」
「ああ」
 空の父、治郎の店は“Jiro’s home”といい、さらに治郎は、音楽活動のための事務所も持っていた。
 今では、母方の祖父(三和孝司)の影響で経営を学んだ、空の兄、志道が実質的な後継者となっていた。
 空といえば、兄の補佐をしてはいたが、父のように音楽に没頭するわけでもなく、一見すると、時々ピアノを弾きながら店の接客をしているのみと、見えなくもなかった。
 彼は妹の麗美と共に、父方(丹野家)の祖父母の篤い期待を受けて音大を卒業したまではよかったのだが…。
 美和が言った。「お父さんはピアニストでしょう?」
「うん」
「きょうだい、みんな習っていたの?」
「まぁね」
「あなたの演奏よかったわ。お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも喜んでた。ああいうのが、さっと弾けるの、すごいわ」
 空は素直に嬉しそうな表情を表した。もう、すっかりいつもの完璧な微笑みを取り戻したようだった。
「そう?実は事前にちょっと調べたんだ、どんな曲が受けるかなって。昔の曲ってシンプルなのが多いから、弾きやすかったりする」
「お父さんのようにはならないの?」
「ピアニストってこと?…それはないと思う。俺はね、あれくらいのホームパーティーで受ける口なんだ。プロは無理だよ。音楽だってそんなに甘くないんだ」
「私はよかったと思うけど。歌も、ピアノも」
「…君によかったって言われると嬉しいな。音大まで出ておいてよかったよ。仕事の役にも立つしね。今では弾くのも嫌いじゃないから、店のピアニストがいない時は、俺が弾くこともあるんだ。よかったら聴きに来て」
 美和は曖昧に笑った。なかなか簡単に誘いには乗ってくれなかった。
 空は、両親の話をしながら、自分の生き方を考え始めていた。
 それまでは、与えられた環境の中で甘んじてきたし、それが別段苦痛でも、かといって充実しているわけでもなかった。考えてみたら、──考えてみるということが、そもそも今までなかったかもしれない──何も自分にはないかもしれなかった。
 その日、ダメ元で美和を次のデートに誘うと、意外にも彼女は受け入れてくれた。
「本当?!」彼は子供のように無邪気に喜びを表した。

 空は、美和を家まで送って行き、直前に初樹を呼び出した。結果を報告する約束だったから。
 家から出て来た初樹に、空は一言小声で告げると、二人はハイタッチして、喜び合った。
「今は嬉しさに浸っていたいから、このまま帰るよ」と、空は初樹に言った。
 そして美和の方を向くと、にっこりと笑い掛けた。「美和さん、今日はありがとう。じゃあ、連絡するから」
 空の車が見えなくなるのを、美和と一緒に見送ると、初樹は言った。
「よかったよ、美和ちゃんがOKしてくれて。空兄のあんな嬉しそうな顔、初めて見たな。きっと、付き合ったら、良さがわかるよ」
「あの微笑が心からだってことは、わかったわ」と、美和は呟いた。
5

まだ美和は、完全には心を許していないようですが、
こうして空は、愛する人のために
自分の生き方まで考え始めます。
空の完璧な笑顔、見てみたいですね。






2012.09.29 和泉川 ヒガンバナ 一花


章の始め、一朗が見た夢が、
なんだったのか、
初樹と一朗の会話の中で
明かされます★


 初樹が家に戻ると、勘のいい父の一朗が言った。
「もしかして、あの二人が?」
「うん。美和ちゃんはまだ靡(なび)いてこない感じなんだけど、空兄が一生懸命なんだ」
「美和もまんざらでもなさそうに見えたけどな」
「父さんにはそう見えた?俺も結構いい取り合わせかなぁって思って」
「空が真剣っていうのはめずらしいな」
「でしょ」
「葉奈が言いたかったのは、やはりあの二人のことかな。不思議だな。言っていた通りになった」
「母さんがなんか言ってたの?」
「うん。まだお前たちが生まれる前かな。母さんは畑に子供たちを呼ぶのが大好きだった。空がまだほんの小さい頃、遊び疲れて眠ってしまって、美和はまだ赤ん坊だったから、二人で寝かせてたら、母さんが嬉しそうに見ていたんだ。
 この間命日の朝、それと同じ場面を夢で見たんだが、その時言っていたんだよ。『この子達の魂が引き合ってる』ってさ。どういう意味かと思っていたんだが」
「空兄と美和ちゃんの魂ってこと?!夢って、意味があるものなの?」
「ああ。いつもじゃないだろうが、意味があるような夢も何度か見たよ。きっと母さんが何か言いたいことがあるんだ」
「死んだ人って何でもわかるのかな?」
「どうだろ?わからないから、心の中で母さんに聞いてみるんだ。生きている夫婦が話し合うのと同じだよ。自分だけで考えるより、葉奈に相談したほうが、いい答えが出るような気がする。生きている頃から、そうだったから」
「ねぇ、父さん、やっぱり運命みたいのあるのかな。空兄がね、美和ちゃんと前に会った気がするって。デジャブかなって、しきりに言うんだ」
「子供の頃に会ってるじゃないか」
「そういうのとは違うんだって」
「俺が見た夢と関係があるのかもな。空も忘れていても夢で見た記憶がどこかにあるか、小さい時に、魂が引き合ったとしたら…」
「それって、母さんがやっぱり何か知ってたのかな?」
「かもな。時々、俺から見たら訳わからないこと言ってたよ。死ぬ前には、お前たちが幸せになる姿が見えるみたいだった。どうも、結婚する相手がわかってたみたいで…」
「へぇ、不思議。どんな相手?」
「言わなかった。みんなが幸せになって、私も幸せって言って、死んだんだ」
「姉さんの相手は星矢兄?」
「どうだろ、そうかもしれないな」
「ふーん」
「母さんの見たお前の相手が、麗美ならいいって思ってるんだろう」
 初樹は照れ笑いした。
「父さんが学生の頃は、恋人もいなかった。母さんはまだこっちに帰って来てなくてさ。毎日星の家≠フバイトに明け暮れていたよ」
「俺も、結婚なんて、まだ全然考えられないな。でも、父さんは、その頃から母さんのこと待ってたんじゃないの?」
「そうだな。待たされるのは、慣れているかもな」一郎は微笑みながらそう言った。
「お前はこの間は少しは話が出来たのか、麗美と」
「うん。少しはね。でも空兄と美和ちゃんのことで手がいっぱいだったから」
「お前も人がいいな」
「うん。でもさ、今の話聞いて、母さんが二人を応援してたなら、俺ももっと応援したげたいなって」
「確かにお前は適任かもな」
6

「デジャブ」と「夢」の関わり、
どちらも、確かではないもののようですが
気になりますね。
小さい頃からの引き合わせがあるのなら、
彼らは運命の相手ということなのでしょうか。
空には、もう少し頑張ってもらいたいですね。
登場人物の確認は 家系図をどうぞ。
   橘家家系図も参考にどうぞ
「三月さくら」シリーズ前後のお話は こちらから。




よい一日、よい夢を

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写真は:お彼岸前。
by (C)芥川千景さん
ヒガンバナ 一花
by (C)ひでわくさん
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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
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