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2017年05月06日

5 《海、山、街'17》 〜待ちびと暮らしの達人たちへ  【三月さくらX1】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
散策路の花。


星矢の回想シーンから。
葉摘の母、葉奈が
亡くなる前のこと。
これは忘れられない思い出でしょう★


 まだ四歳になったばかりの頃の葉摘を自転車の後ろに乗せたものの、途中で眠ってしまい、それを気遣いながら、ずっと自転車を押して行った時のことを。
 葉摘はよもや覚えてはいないだろうが。
 “星の家”に到着した時、心配して待っていたのだろう、お母さんの葉奈が自転車まで寄って来て、眠っている幼子を抱き上げた。すると、その子は瞳を開けて、「ママ、ハツミねぇ、お兄ちゃんと自転車に乗ったの」と嬉しそうに言った。
 星矢は、まさか病に侵されていることは知らなかったのだが、葉奈は微笑みながら「よかったわねぇ、葉摘」と言い、更に星矢に向かって「ありがとう、星矢君。これからも葉摘をよろしくね」と、言ったのだった。それが、葉摘の母が星矢個人に向けて言った、最後の言葉だった。
 あれから、十七年だ。
 その後も、毎月のように集まっていただろうか。しかし、年長の星矢は、部活だ、塾だと参加しないようになり、他の子たちも抜けていって、大人たちは今でも店などに集まっているようだが、家族で集まることは自然になくなっていた。
 その日の集まりは、その年月のギャップを感じさせなく、とても打ち解けて楽しいものだった。離れていた大家族が再会するような温かいものだった。
 星矢は、その日そんな大家族の温かさの中で過ごしながら、今までと違う思いが湧いてきたことに気づいた。それまでこだわって留まったまま抜けられなかったのが、不思議に感じられるのだった。

 宴もたけなわの頃、星矢は一朗の許に行って言った。「イチおじさん、話があるんですが…」
 一朗は、奥の部屋に星矢を誘導した。スタッフが休憩したりする部屋だ。
 その時に冷房のスイッチを入れたものの、暑い部屋の中、額にすぐ湧いてきた汗をTシャツの袖で拭ってから、星矢は言った。「おじさんに断ってなかったんですが、葉摘と何度か会ってました」
「知ってたよ。葉摘から聞いて」
「そうですか」
「マスターに、結婚する気がないなら付き合うなって言われたんだろ?」
「それが葉摘のためだって言うから」
「マスターも無茶だよね。まだ葉摘は学生なのにね」
「俺も結婚を考えてたわけではないので。でも今日わかりました。俺、葉摘のことが好きなんです。親父が、将来の葉摘の結婚相手に悪いから付き合うなって。でも、今日他の奴が葉摘の相手になることを想像したら…」
「志道と空はイケメンだしな」と、一朗はにやっと笑った。
「弟のような奴らでも嫌なんだ、他のどんな奴でも嫌ですよ」
「君のはっきりとした気持ちを聞きたいと思っていたんだ」
「イチおじさんが許してくれて、葉摘がいいなら、付き合わせてほしいんです」
「俺はOKだよ」
「よかった」
「そうだな、付き合うにあたって、一つだけ条件がある」
「なんですか?」
「純愛クラブに入ること」
「?…なんですか?」
9

「純愛クラブ」…
いきなりでは面食らいますね。
「三月さくら」第V部(一朗の物語)で
出てきたものですね。
星矢はようやく踏ん切りがついたようです。
一朗には簡単にOKは出たものの
難関は残されています。
乞うご期待!

引き続き、↓次の回もご覧ください。






夏のざわめき。


一朗との会話の続きから
「純愛クラブに入れ」と言われ
戸惑う星矢です★


 一朗は笑いながら言った。「昔マスターが立ち上げて、俺が部長に抜擢されたんだ。父親にいろいろ訊くんだな。ようするに健全に付き合えってことだよ」
「もちろんそのつもりです。親父には逆らって、一度だけ葉摘と会ったけど、やっぱり親父の言う通りだって思って。俺も間違ってたっていうか、まだそこまで考えてなかったんだけど。まず両方の親に言ってから付き合うのが筋だったなって」
「煩わしいようだけど、それが近道だって、マスターよく言ってたよ。俺も昔随分相談して、マスターに世話になったんだ。亡くなった奥さんに好きだって告白するまでがまず大変でさ」一朗は当時を思い出すように話した。
「もしかしたら、マスターは星矢の気持ちがはっきりしていないのを知っていたのかもな。俺も最初話したときは、難しいからやめろって言われた。でも俺の気持ちが固まったら、誰よりも応援してくれたのは、マスターだったんだ。さあ、葉摘に話し掛けてやれよ。きっと待ってるはずだ」
 一朗は星矢を送り出した。
 星矢は戻ると、葉摘の姿を探した。皆とは離れて、入り口近くの観葉植物をそっと触れながら見ていた。みどりがしっかり手入れして、どれもきれいな青さを出していた。
「葉摘」
 声を掛けると葉摘はゆっくり振り向いて、星矢を見上げるように見た。
 じっとみつめてくる葉摘に、星矢は微笑み返すと、単刀直入に切り出した。「イチおじさんと話したよ」
「パパと?」
「そう。君と付きあわせてほしいって。許可もらったから、これからは堂々と会えるよ。…あの、葉摘がいいならだけど」
「…」答えるべきところで、葉摘はすぐに答えられなかった。
「嫌?」
 葉摘は首を振った。
「じゃあ、今日この後ちょっといい?送ってくから」
「うん」
「そうだ、もう一人厄介な人がいるんだった。来て」
 星矢は葉摘の手を取ると、父の許に向かって行った。“星の家”に集まった皆はてんでにくつろいで閑談していたが、その二人に注目し始めていた。
 父の許まで来ると、一瞬、手を引いていた葉摘の顔を見つめて微笑んでから、彼はカウンターの中にいた星一に声を掛けた。「父さん」
 星矢と葉摘の顔は人を愛する喜びで紅潮していた。
「なんだ?」と星一が振り向いて言った。
「俺たち付き合うことにしたよ。イチおじさんの了解は取ったよ。父さんにもわかってほしいんだ」
 星一はしばらく何も答えず沈黙していた。
 星矢は思わず言った。「まだ、結婚するつもりがあるとかないとか言うわけ?!」
 その結婚≠ニいう言葉に反応し、散らばっていた皆が近づいて来ていたのを、二人は気づかなかった。
「そんなにかみつくなよ」父は笑顔を見せて言った。「俺は最初からダメとか反対とか一言も言ってないさ」
「そうだった?」
「いい加減に付き合ってほしくなかっただけだ」
10

星矢が、ようやくはっきりした思いを胸に、
葉摘と向き合いました。
そして、父、星一にも。
さて、OKがもらえるでしょうか

前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次                     
   登場人物の確認は家系図で→ 三月さくら家系図2(「海、山、街」)



よい一日、よい夢を

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写真は:散策路の花。
 波斯菊(ハルシャギク、ハルシャとはペルシャの意)
夏のざわめき。
by (C)芥川千景さん
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無断転用はご容赦願います



プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
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