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2017年05月05日

4 《海、山、街'17》 〜待ちびと暮らしの達人たちへ  【三月さくらX1】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
季節はずれの "てるてる坊主" 。


一郎が「俺と葉奈はね…」と
話し始めます。
亡くなってもなお、
夫婦一心ということでしょうか…★


「俺たちは葉摘に幸せになって欲しいと思っているさ。
 いつかはいい相手を見つけて家庭を持ってほしい。誰かを好きになって、付き合う喜びだって味合わってほしい。相手が問題だけど、星矢なら申し分ない。マスターとみどりさんの息子だよ。それもドラ息子なら願い下げだが、前から目を付けていたんだ。
 葉摘より年がちょっと上だから、先に相手が見つかるかもと思っていたのに、付き合い始めたから、これはいい縁だと思っていたんだ。葉奈が引き合わせたようで」
「そうでしょ。葉奈ちゃんの月命日だったのよね、あの日。後で気がついたんだけど。急にあの時星矢に行かせようって、ひらめいたのよ私」と、みどりは言った。
「また月命日か」と、星一が言った。「お前たちがそう言うなら、俺も認めるよ」

 翌日、みどりが葉摘を訪ねた。初夏の頃、星矢が見つけた時のように、葉摘は畑にいた。あの時より時間が遅かったし、すでに夏を迎えて強い日差しが射していた。
「葉摘ちゃん」と、みどりが声を掛けると、葉摘がやって来た。
 あの時と違うことがあるとすれば、携帯電話を畑でも肌身離さず持っていることだとか、何となく待ち人がいることを感じさせるような風情があることだった。
 葉摘は汗を拭きながら、「こんにちは、みどりおばさん」と笑顔を見せた。
「暑いのに精が出るわね」
「ええもう切り上げます。今日は寝坊しちゃって、この季節にこの時間は暑すぎて」
 家に入るとみどりは言った。「お線香上げさせてね。月命日はまだ先だけど…」
 葉摘の母、葉奈の月命日は来週だった。
 その前の月命日は、平日だったが、親子三人で早朝に墓参りに行った。すると、すでに新しい花とお線香のかすがあった。葉奈の両親の物だろうと三人は理解した。一朗の両親は仏壇で祈っていた。
 そして、その前の月命日は…。
 葉摘は、畑で名前を呼んだ星矢のことを、突然思い出した。と同時に、彼女の目には涙が溢れた。
 みどりに涙を隠して、葉摘は仏間を出た。
 昨夜は星矢もなかなか眠れないようだった。二人して、眠れない夜を過ごしたのではないか、とみどりは思った。
 みどりは「お願いがあるの」と言って、葉摘に提案した。「今、畑の野菜は何があるの?」
「トマトときゅうりと、おナスと、それから枝豆」
「へえ、すごいのね。それ、来週の日曜日まであるかしら?」

 次の日曜日、葉奈の畑に、早朝、成人した蒔原、青山、丹野三家の子供たちが集まった。収穫してから、“星の家”で久し振りに三家の親子がそろった食事会を開くということになったのだった。
 元々、治郎が末の娘未来(みらい)の男性関係を心配して、要請していたものでもあった。すでに結婚していた蒔原家の長女以外は、親子全員が集まった。
 昨晩、葉摘が恐る恐る送ったメールに星矢も返信してきた。
『もちろん行かせてもらうよ。久し振りに皆に会えるの、楽しみだね』
 星矢が来る。ひとまず葉摘はそれで良しとした。
7

“星の家”の集まりに関わる三家とは、
マスター星一の家族、
以前ゴールデンコンビとも言われた
一朗と治郎の家族です。
そんな中、星矢と葉摘は…。
乞うご期待!

引き続き、↓次の回もご覧ください。






1803438トマト by MAON.jpg


さあ、成長した三家の子供たちが
いよいよ総出演です!★


 早朝にも関わらず、畑に若者たちが集まった。星矢と葉摘がどれだけ意識しないようにお互いを意識していたか、少なくとも初樹は気付いていた。
 畑に集まった若者たちは、蒔原家の長男・星矢(27)、次女・桃(もも・24)、次男・碧斗(20大学2年)
 青山家長女・葉摘(20大学3年)、長男・初樹(19大学1年)
 丹波野家からは、長男・志道(しどう・26)、次男・空(そら・24)、長女・麗美(れみ・22大学4年)、次女・未来(みらい・20大学2年)だった。
 参加しなかった蒔原家の長女は茜(あかね・26)で、結婚して二人目を出産したばかりだった。
 その都会育ちの青年たちにとって、早朝から土に触れる機会は久し振りだった。どちらかというと夜型の生活に慣れ親しんだ彼らにとって、朝の清々しい空気は新鮮なものだった。
 昔、子供の頃、葉奈がそうしたように、葉摘は一人一人にトマトをもぎながら、一つずつ渡した。
 星矢には、まるで弟妹のように思ってきた一人一人だった。だが、今までと違う思いがあることを彼は感じないわけにはいかなかった。
 例えば丹波野家の兄弟は、父親似で、小さい頃はひ弱な奴らと思っていたが、物腰のよさと、男から見てもイケメンと認めざるを得ない女の子受けするルックスで、葉摘への言葉の掛け方も申し分なかった。いつもの星矢なら受け流せるところが、どうも鼻に付くのだった。
「はい、どうぞ」と、葉摘が星矢の所に直接トマトを持って来て差し出した。一瞬目が合った時の、はにかんだような微笑に、星矢は胸が高鳴るのを感じた。
 皆が「うまい」と言ってかぶりついているが、星矢は食べるのをためらった。両手に取って一巡させてみた。そのトマトは赤くつややかだった。子供の頃知った、畑でかぶりつくトマトのおいしさを思い出しながら、かじった。
「うまい」と、彼も言った。
 土と太陽の気をいっぱい吸収したトマトを食べたせいか、星矢は年長者の威厳を取り戻しながら言った。「さあ、みんな、今日の収穫を始めよう!」
 和気藹々とした収穫が進んだ。葉摘はその中心になって、終始笑顔であちこちに飛び回りながら、素人の皆に手本を示したり説明したりしていた。
 それにしても、丹波野家の男たちは葉摘に話し掛け過ぎではないか。自分の弟の碧斗が、何やら彼女と笑っている姿さえも、一つ一つが気になる星矢だった。
 青山家の祖父母が用意してくれてあった朝食を食べ、ゆっくりしてから、車に分乗して、“星の家”に向かった。
 星矢は、子どもの頃の “星の家”の集まりを思い出していた。中でも葉摘の母が亡くなる直前に集まった時のことを、彼は忘れられなかった。
 今日と同じように葉奈の畑で収穫をしてから、皆は車で“星の家”に向かったが、星矢は自転車で来ており、小さい葉摘が、一人で戻ろうとする星矢と一緒に行くといってきかなかった。
8

星矢は、葉摘が小さい頃のことを
覚えていたようです。
さて、3家の子どもたちの名前を
ずらずら列挙しましたが、
わかりづらい場合は
家系図をどうぞ。

「三月さくら」シリーズ
前後のお話は こちらから。




よい一日、よい夢を

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写真は:季節はずれの "てるてる坊主" 。
by (C)芥川千景さん
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撮影者に許可を得て使用しています
無断転用はご容赦願います

トマト by MAON さん
「写真素材 フォトライブラリー」からダウンロードしました
無断転用はご容赦願います


プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
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