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2017年05月04日

3 《海、山、街'17》 〜待ちびと暮らしの達人たちへ  【三月さくらX1】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
春の星空。


さて、青山家の晩の様子です。
いつもと同じようで
同じでないようですが…★


 祖父母と一緒に賑やかなのが青山家のいつもの食卓だった。夕飯の時間はデザートのさくらんぼを囲みながら、星矢の話題も当然上ってきた。
「いい青年になったよね。お父さん似だけど、もっと男前だね」と、祖父。
「最近の若い人には珍しく、ちゃんとお仏壇にもお参りしてたよ」と、祖母。
「当然だよ。あの二人の息子だから」と、一朗。
「小さい頃はやんちゃだったがな」と、祖父は、また目を細めて言った。
 そして祖父母は畑によく子供たちが集まった頃の話を懐かしそうに続けた。
「星矢君が一番上よね。皆大きくなったでしょうね」
「初樹が一番下だからな。皆立派になっただろう。星矢君の妹だったかな、ひとり結婚したのは…。もう皆年頃だな」

 祖父と祖母が寝室に行き、初樹が風呂に行くと、葉摘は父と二人居間に残っていた。
 今まで隠し事のない父娘だったから、葉摘は星矢と出掛けたことを自然に話し始めた。しかし、どうしたことか尻つぼみにシンプルな報告になってしまった。
「星矢とはまた会うのかい?」と、一朗が訊いた。
「わかんないけど…」
「また連絡するって言ってたかい?」
「うん」
「二人が会いたいなら会ったらいいさ。星矢は信頼できる」
 父にそう言われ、逆に何か緊張した葉摘だった。
 彼女は二階の自分の部屋に向かって行った。葉摘の部屋は、南向きの畑を臨める位置にあり、初樹の部屋は玄関側と同じ向きで通りを見下ろすことが出来た。彼らの部屋は廊下を挟んだ所にあった。
 風呂から上がった初樹が、大股で階段を上り、部屋の前で葉摘に追い付いて言った。「わかったよ。星矢兄が持って来たものだったから、姉さんあんなにムキになったんだろう、さくらんぼくらいでさ?付き合うの?」
「…」
「いい雰囲気だったじゃん、朝も」
 初樹は自分が星矢をけしかけたことは口に出さなかった。
「二人で出掛けて来たんだろ。見たよ、姉さんが車に乗るところ」
「今日はちょっと出掛けたけど、次の約束もしてないし…」
「その約束の電話じゃない?」
 葉摘の部屋から携帯電話が鳴る音が聞こえてきた。
 やはり星矢からの電話だった。
「メールしたんだけど」
「携帯、部屋に置きっぱなしだったの。皆でずっと下にいたから」
「次の土曜空いてる?」
「うん、今のとこ」
「空けておいて」
5

そう、何かが
変わり始めているようですね。

引き続き、↓次の回もご覧ください。






2012.06.25 和泉川 アカツメクサ 葉の水玉


星矢と葉摘の関係に
暗雲が…?
大学街の喫茶店で、学生たちの
いい相談相手だった
マスター、星一ですが、
あれ、こんな難しい親父になっちゃったの?!★



 星矢と葉摘はその後も街で何回か会い、次には山登りをと約束していたある日、星矢は父から話し掛けられた。
「父さんの言ってることはわかる。今まで守ってきたよ。でもあの時とは違う。会いたくて会ってるんだから」と、星矢は父の話に対して言った。
 星矢が学生の頃、合コンで知り合った女の子とデートの約束をしたのを、星一が止めさせたことがあった。その時は彼が誘ったわけではなく、女の子の方が積極的だったのだが。その後は星矢の方でも自制していたし、そういう相手も現れなくて、現在に至っていた。
 星矢が言った。「ちょっと出掛けるだけで、すぐ結婚するのかと言うんだね」
「そのつもりがないなら、付き合うな。あの娘(こ)が将来結婚する相手に悪いだろ。お前にとってもだよ。いつか結婚する相手以外に、付き合う相手は必要ない。
 それに葉摘ちゃんは特別だ。亡くなった葉奈ちゃんの忘れ形見だ。男手一つで育てたイチに申し訳ないよ」と、星一の意見は強く、簡単に変えられそうになかった。

 星矢は、父の言葉を聞かずに葉摘と会った。山を登って降りながら、母なしで育ってきた葉摘の境遇を思った。
 目一杯楽しんで別れの時間になっても、次の約束は口にしなかった。口にできなかったのだ。
「仕事が忙しいんだ」言い訳だと自分で思いながら。
「また連絡するよ」そうは言わずにはいれずに、自分を見つめる彼女の目に、何か尋ねられそうで、星矢は目を伏せて葉摘と別れた。
 彼はその時感じる思いが何であるかわからなかった。あるいはわかってはいたのかもしれないが、はっきり答えを出そうとせずに、自分の気持ちを振り切って、数週間を過ごしていた。

 一朗が“星の家”を訪ねて来たのはそんな頃だった。土曜の閉店前を狙ってやって来た一朗は、星一とみどりに話し始めた。
「最近葉摘が元気ないんだよね。どうしたんだろうと思っていたら、初樹の奴が言うに、星矢からの連絡がないみたいだって。どういうことかわかる?」
 星一が自分と星矢とのやり取りを話すと、彼は一朗とみどりから総攻撃を受けた。
「それは、マスターちょっと固すぎるんじゃない?」と一朗。
「マスターはね、忘れちゃったのよ。私と結婚するんだって、会ってから六年経ってたのよ。付き合い始めた最初から結婚は考えてくれてたにしても、私の大学四年間は、そんな気持ちは全然なかったはずよ。あの子たち二人を会わせないで、どうしていきなり結婚する相手を決められるの?」と、みどりの反撃は限りなく続きそうだった。
 星一は言った。「イチはいいのか、大事な娘を、簡単に付き合わせて?」
 一朗は落ち着いた様子で言った。「俺と葉奈はね…」
 一朗は、亡くなった葉奈とまるで相談済のような話し方を、時々することがある。それは、妙な説得力があった。
6

あきれる頑固親父の星一です。
(「移り込みの家庭」の航平の
予言が的中した場面ですね。)
しかし、一朗(と葉奈)は…。

前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次                        
  登場人物の確認は家系図で→ 三月さくら家系図2(「海、山、街」)



よい一日、よい夢を

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写真は:春の星空。
by (C)芥川千景さん
アカツメクサ 葉の水玉
by (C)ひでわくさん
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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
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