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2017年05月31日

82 月命日のプチ奇跡1  ❀三月さくら2017❀ 【Y-2】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
ハートみっけ♪


新章のスタート。
初樹を中心にお話が進みます。
初樹がパーティーから
さちたちを車で送る場面から★



   第二章 月命日のプチ奇跡



 初樹(はつき)は車を走らせてからさちに言った。
「今日はすみません」
「さっきは志道(しどう)さんにも謝ってたけど、どうしてあなたが謝るの?」と、さちは言った。
「今日のことを仕組んだうちの一人だから。志道兄(しどにい)はこんなつもりじゃなかったと思うんだ」
「でも彼のことを思ってしたことなんですよね。私は素人だからわからないけど、みんな彼のことを褒めてたみたいだった。才能があるってこと?」
「俺も関わってはいるけど、音楽には素人なんだ。でも志道兄のピアノは無条件に感動した。さっき麗美(れみ)さんが言ってたけど、僕もそう思ったから。でも、あなたには悪かったと思って。来なければよかったとか思ってない?」
「そんなこと」
「俺の従姉は空兄(そらにい)と付き合ってるんだけど、ああいう場にはあまり来ようとしないんだ。もしさちさんが、今度から来ないということになると、志道兄に申し訳が立たない。本当に誠実な紳士なんだ、あの人は」
 初樹は一生懸命、志道のことをフォローしていた。
「初樹さん。あなたは彼らの親戚かなんかじゃないの?」
「家族ぐるみで付き合ってるから…」
 初樹は三家の関係を説明した。「そうだね、従兄弟や、兄弟のような関係だね」

 そんなことを話してる時、さちの所に志道からメールが届いた。
『これから、また演奏します。聴いていてもらえますか。電話しますから、切らないで待っていていてください』
 志道はピアノに向かい、演奏し始めた。顔には微笑が浮かんでいた。
 さちは、電話をずっと耳に当てながら志道の演奏を聴いていた。
「あっ麗美さんが歌い始めた」とさちが言った。
「えっ」と、思わず初樹は反応してしまった。
「聴きますか?」と、さちに言われて、「えっあの…」と、更に狼狽を見せてしまった初樹だった。
 彼は車を少し脇に止めて、さちが渡してくれた携帯を受け取ると、「じゃ、少しだけ」と、耳に当てた。
「あ、連弾してるんだ」
 麗美の歌声を少しだけ聞くと、初樹は携帯をさちに返した。
「もういいの?」と、さちが言った。
「うん。俺はまた聴けるから。しっかり録画してるんだ。志道兄は、あなたに聴いてもらいたいんでしょ」
 会場では、志道と麗美が並んで座り、弾いていた。
「多分低い方が志道兄だよ」と、初樹がさちに言った。
「高い方が麗美さんってこと?」さちがわざわざ尋ねた。
 数曲で演奏が終わり、パーティーも終宴になる雰囲気だった。そして電話が切れた。
 またさちの許に短いメールが届いた。『今日は来てくれてありがとう。あなたのお陰で、気持ちよく弾けました。ゆきちゃんにもよろしく』
「ゆき、あなたにもよろしくって」さちはそう伝えながら、何か胸がいっぱいになり、目頭が熱くなるのだった。
 初樹が言った。「あなたのような人が出来てよかった。志道兄のよさを理解できる人で。ホントお似合いだと思うよ。ユキちゃん、君もそう思わない?」
「うん。素敵過ぎて、なんか夢みたいだけど」と、ゆきは素直に言った。
「志道兄は申し分ない人だけど、好きな人の前では、ただの一人の男だね。今日見てて思ったんだけど。志道兄があなたの前だと、あんなに子供みたいに嬉しそうな顔をするんだなって、初めて見たよ」と、初樹は言った。
「麗美さんもそうね」
「麗美さん?」
「一人の女性としての彼女は、とっても可愛い人だと思うわ」
「うん。…えっどういう意味で?」
「好きな人の前では、ただ一人の女性だってこと」
「彼女に好きな人がいるってこと?」
「自信ないのね」
「からかわないでよ。俺が彼女を好きなのは見え見えだからってさ」
「私はむしろ麗美さんがあなたのことを大切に思ってるって感じたけど」
1

初樹をメインに、
空のその後の話少し…のこの章。
つまり
「デジャブ」「微笑みの法則」の続編となります
どうぞお楽しみに!






2012.05.30 和泉川 アジサイ 梅雨待ち


初樹にとっては、麗美は憧れの対象で
到底 手に届かない存在でした。
マネージャーとして近くにいれることで
満足していたはずでしたが…★



 さちたち姉妹を送り届けた後も、初樹の頭には、さちの言っていたことが巡っていた。パーティー会場に戻ってからも、心の整理が出来ず、普段と違い考え込んでいるように見えた。
 人が引けた会場に入ると、父の一朗(いちろう)が待っていた。
「父さん」
「なんだ嬉しくなさそうな顔をして。送るために来たんだろ。葉摘(はつみ)は星矢(せいや)と行ってしまったぞ」
「うん、ありがとう。ちょっと待って」と言いながら初樹は会場を見回した。
「麗美ちゃんなら、あっちだよ」
 そそくさと行ってしまう初樹を一朗は見送って、ぼやくように言った。
「親なんて邪魔者だな」
 治郎(じろう)が近づいて来て言った。「来てくれたの?」
「ああ、終わる頃を見計らって子供たちを送る口実で。どうもこういう場は苦手なんだ」
「見てほしかったよ、今日は。志道をデビューさせたんだ。ビデオ見る?」
 治郎は麗美のところは早送りして、志道の登壇の前辺りから見せた。
「映像も音響も初樹が最高の機材とスタッフを用意してたから、そのままCDにもDVDにもなるよ。発売するかどうかは別として」

 初樹は麗美と話していたが、急にさちの言っていた──むしろ麗美さんがあなたを大切に思ってるって感じたけど──という言葉が蘇ってきて、いつものように自然に話すことが出来なくなった。
 それでも初樹は思い切って、何気なさを装って麗美に尋ねた。「…あの、明日の予定は何だっけ?」
「マネージャーが訊くの?オフでしょう」
「その、明日のオフはどんな予定?」
「オフの日のことも言うのマネージャーに」
「把握しておかないと。オフったってなんかあるでしょ」
「知ってるでしょ、完全オフよ。プライベートもなんにも」
「オフは退屈で死にそうなんだ」
「本業は?あ、明日は日曜か。先週だったら“星の家”の集まりに行けたのにね。…あ、そうそう、パパと食事に行くことになってるわ」
「食事っていつ?」
「夜よ。来る?」
 初樹は首を振り、言った。「つまんないな」
「じゃあ、出掛ける時は誘うわ」麗美はそう言った。

 そして、翌日の朝早く、麗美が初樹の携帯を鳴らした。
「お早う」
 さわやかな麗美の声が、寝ぼけ眼の初樹の耳に届いた。
「ん、…お早う、麗美さん。今何時?」
「六時過ぎよ。もうすぐ着くから」
2

早朝から、今日は何かあるかも…
明日をお楽しみに☀
前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次                        
登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]

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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
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こちらから→幽霊っているんでしょうか


2017年05月30日

81 眠り姫と眠り王子10  ❀三月さくら2017❀ 【Y1-1】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
「志道の行く道」最終回★
明るい食卓。


音楽を生み出すもの、
それは何なのでしょうか?
志道の受ける閃きが形になり、
彼の音楽を生みます。
それは愛と、どこか
似ているかもしれません★



(パーティー)



 都内のホテルで麗美の新譜発表パーティーが、行われようとしていた。会場に用意された壇上のピアノの陰で、麗美と初樹が話をしていた。
「そうだね。麗美さんがその気なら、俺もしっかりフォローするよ」
「私はパパと一緒に出るから。それから、お兄ちゃんの彼女も来てると思うんだけど」
「任せて」

 さちは妹のゆきと連れ立って来ていた。立食形式の華やかなパーティー。慣れない雰囲気に戸惑っている時、志道が空と共にやって来た。
「紹介しましょう。弟の空です」
「お会いしたかったですよ。お二人ともお美しい。難攻不落の兄貴を落としたのは、どちらですか?」と、空は言った。年回り的にさちより少し離れていて、まだ10代かと見える妹のゆきは、くすくすっと笑った。
 自己紹介を交わした後、志道はさちに言った。「楽しんでいってくださいね」
「場違いみたいで、なんか…」とさちは言った。
「とっても素敵ですよ。いつものあなたの通りでいいんですよ。僕は尊敬しているんです。命の誕生に関わる立派な仕事をされてるんだし」
 初樹がやって来て、更に星矢と葉摘も合流した。初樹と空が、皆を上手に会場の前の方に誘導した。
「今日は美和さんは来ないんですか?」と、志道が空にとも初樹にとも取れる聞き方をした。
 空は答えず、初樹が「今日は都合悪いみたいね」と言った。内心、空はこういう場に来たがらない美和のことを考えると、複雑な思いだった。

 そのうち麗美が父にエスコートされて、会場の中で少し高くなった舞台に現われた。いよいよ、パーティーの真のスタートだった。くつろいだ雰囲気のまま、皆が注目した。
 治郎の軽快なお喋りで、麗美が紹介を受けて、新譜から二曲ほど弾き語りをしてから、マイクを手に取った。
「皆さんの温かい眼差しを受けて、気持ちよく弾かせて頂きました。私は、本当にこうして支えて頂きながら、好きな歌やピアノ、音楽をできるのが、つくづく幸せだし、ありがたいことだと思っています。
 つい先日、実はとても感動的な音楽との出会いがあったんです。大好きな音楽に出会った時、私はよくドキドキ、ワクワクして眠るのも惜しいような気持ちになるのですが、今日皆さんにもご紹介して、そのワクワク感を共有したいと思うのです。音楽を愛する皆さんですから、きっと喜んでくださると思います。
 では、紹介しましょう。実はこの会場の中に、皆さんの中に来ているのですが、…私の敬愛する兄、志道です」と言って、拍手を始めた。
17

サプライズ!
いきなり皆の視線が
志道に降り注ぎます。
彼のピアノが聴けるでしょうか?
引き続き次の回もお楽しみください↓






2014.04.19 アニヴェルセル みなとみらい横浜 バラ


さぁ、志道は
招かれた舞台に上がるのでしょうか?
「眠れる獅子」は
いよいよ目覚めるのかもしれません★


 初樹や空が背中を促したが、志道は困惑して、すぐに壇上に上がる気配はなかった。
 舞台上の麗美は言った。「実は兄には内緒にしていたんです。父やスタッフと段取りして、逃げられないように今、すぐ前の方に周りを囲んでもらってるのですが、きっと皆さんの温かい拍手があれば、壇上に出て来てくれるでしょう」
 会場中で拍手が起こっていたが、志道は戸惑っていた。
 麗美が志道の所までエスコートしにやって来た。
 彼はさちの瞳を探し、それを見て微笑んだ。もう心は決まっていた。
 その微笑を麗美に戻すと、促されるままに壇上に立った。麗美がまだ何かマイクで伝えようとするのを手で制すると、一礼をし、ピアノに向かった。
 志道は即座に集中し、あの曲を弾いた。即興で長いコーダに入って終わった。
 拍手は細かい雨のように、彼の全身を包み込み、それは体の内まで染み渡った。そして、それは志道の内面の、誰にも、本人すらもわからなかった乾ききった部分に浸透していった。その爽快な喜びに、彼は再び閃きを得たのだった。
「初めてこの曲を聞いた時、父が弾いてるのかと思いました。いつもになく爽やかな新鮮な曲だなぁと思ったら、この兄が弾いていたんです。高校卒業以来、趣味でもほとんど弾いたことのなかった兄が弾いていた。とても、感動しました。これをうちの家族に聴かせるだけではもったいないと…」
 そんなことを麗美がマイクで語っていた。
 志道は早々に壇を降り、まっすぐにさちの許に行こうとした。しかし、その途中で治郎を見出した喜多という年配の男性が呼びとめ、しっかりと志道を遮った。
「いやぁ、“星の家”で初めて君のお父さんと会った時以上に感動したよ」と、年を取っても変わらない熱意で語り掛けてきた。
 その横にはマスコミ関係などが控え、志道から一言を得ようとしていた。
 志道は、空に手招きすると、小声でさちたちを頼むとお願いした。空は初樹と一緒にさちたち姉妹の相手を務めた。
 このパーティーには三和家の会長である、彼らの祖父も来ていた。威厳のある白髪の老紳士は、志道たちにとっても、父以上の大きな存在感があった。
 治郎が空を介して、さちたちと談笑していると、その近くにその三和孝司がやって来た。
「お義父さん」と、呼び止めて挨拶すると、治郎はさちを、孝司にとっての孫を取り上げた助産師だと言って引き合わせた。
「ああそうか。あなたを志道が…」と呟いてから、孝司はさちたち姉妹とにこやかに対した。
 と、先程志道に真っ先に声を掛けた喜多が、ご機嫌で孝司に話し掛けてきた。「実にいいよ。君の孫は皆売り出せる逸材揃いだね。今日は、未来(みらい)ちゃんは来ていないのかな?いるだけで場が明るくなるのに…」
 未来はいつか連れてきた男子学生が治郎の不評を買って、当分パーティーは謹慎と言い渡されていた。
「志道君は純粋にいいよ。感動した」
 まだ興奮して話し続ける喜多と共に、孝司はさちたちの許を去った。しばらく喜多の熱のこもった意見を聞き、一人になると彼は呟いた。「そうか、志道がこんなになぁ」
 孝司は、麗美と一緒に途絶えることなく人に囲まれ歓談している志道を見やった。また、一方を見ると、さちが空たちに守られるように立ち、志道の方を気にしながらも、彼らと打ち解けて話をしていた。
18

私たちの志道は、
ひとつのステップを踏み出したようです。

志道の行く道は、愛か音楽か。
眠り王子と眠り姫は
目覚めるのか?
引き続き次の回もお楽しみください↓







 志道の方も、時々気を付けてさちを見ていたのだが、ふと気が付くと、会場のどこにも見当たらないのだった。空と初樹もいなかった。その時に話をしていた相手に、「失礼します」と断り、会場を一巡してみた。
 星矢と葉摘を見掛けたので訊くと、「たった今帰ったよ。空と初樹が引き止めていたけど…」という星矢の答えだった。
 志道は素早く会場を出たが、どこにいるか、皆目見当もつかなかった。彼は空に電話した。そして、ようやくさちたちを駐車場で掴まえることが出来た。
「どうしてまた黙って行こうとするんですか」と、志道はさちを非難するように言った。
「兄貴ごめん」と、空が言い掛けるのを、さちが遮った。
「ごめんなさい。二人は一所懸命引き留めてくれたんだけど、あなたに一声掛けてからって言ってくれたの。でも私がそっと、お暇したかったので」
「どうしてですか」
「邪魔にならないように」
「どうして邪魔なんですか。僕はあなたと話したかったのに。…帰るなら送りましょう」
 初樹が言った。「志道兄、空兄とパーティーに戻って。俺が送るから。治郎おじさんと麗美さんのために。お願いだから」
「兄貴」と空も志道をじっと見つめた。
 志道は言った。「それでは僕の車で」彼は初樹に車のキーを渡した。
「ありがとう。志道兄。それに今日はごめん。急にこんなことになって、驚いたよね?」
「あなたが謝ることではないですよ、初樹」と、志道は言った。
「でも…」と、初樹は言い掛けたが、それ以上言わなかった。「まぁ、じゃまず送ってくるね」
 さちが志道に言った。「演奏、よかったです」
 志道は途端に表情を緩め、さちに近寄って嬉しそうに言った。「ありがとう。あなたを想って弾きました。あなたがいると安心するんです」
 志道が微笑んでさちをじっと見ると、彼女は目を逸らすことが出来ず、二人はしばらく見つめあった。隣にいた妹のゆきの方が顔を赤らめた。
「兄貴、戻らないと」と空が声を掛けて、さちたちは車に乗り込んだ。
19

「志道の行く道」いかがでしたでしょうか?
最初に煽っておきながら、
この章ではまだ結末がでなくて
申し訳ありません。
次回からの新章は、
複数の男女が絡んできますが、
志道の行く道、さらに
さちとの愛の行方も、
どうぞ、お楽しみに!
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写真は:明るい食卓。
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みなとみらい横浜 バラ
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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
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2017年05月29日

80 眠り姫と眠り王子9  ❀三月さくら2017❀ 【Y1-1】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
蕾の薔薇はピンクと白のグラデーションでした


さちとの件を
「気に入らない」
と言い放った治郎でしたが、
父としては何か思うところがあったのか??
さぁ今日は
志道の音楽に触れてください★


 陽子は黙って治郎の話を聞いていたが、こう言った。
「なんか、星矢君の時のマスターと同じことするのね。おじさんくさくない?」
「マスターの気持ちがよくわかったよ。うるさい親父みたいなことも、言う人がいないとね」と、治郎は言った。
「志道が何か間違ったことをしたの?」
「あいつは優等生だし、親孝行なんだ。道を外すなんてしないさ。ちょっとがっかりしたからさ、こう、俺の言う通りにするというのは、親として嬉しいようだけど、ちょっと違うだろ?愛するってことは、人任せじゃ出来ない、自分が責任を持たないと。
 志道は俺の子だ。信じてるさ。俺がお前に会って、捨て掛けていた人生にも、何もかもにマジになったように、志道もきっと目覚めてくれるって」
 陽子は微笑んで言った。「志道のピアノを聴くんじゃなかったの?」
「ああ、そうだった。それを期待してたんだ」
「私が声を掛けてきますね」

 志道が居間にあるピアノに座った。帰って来ていた空と未来も居間に集まっていた。
「お前の作った曲というのが聴きたくてうずうずしてたんだ」と、治郎は言った。
『まさか、だからさっきイチャモンを付けたんですか?!』
 志道はいろんな思いが湧いたが、心を沈めて弾き始めた。音楽の力は、いつでも彼の心を解放し、他の世界に連れて行くのだった。
 最初は遠慮するようにおずおずと弾いていたが、彼はすぐにその音楽の世界に入り込んだ。数曲を弾き、最近作ったあの曲を弾く頃には、無心になっていた。
 麗美が初樹を伴って、そっと入って来て、その鑑賞に加わった。
 志道は弾き終わった後、しばらく恍惚の中に浸っているようだった。その額には汗がほとばしっていた。
 最初に拍手したのは初樹だった。「すごい、感動したよ、志道(シド)兄」
 そして、その汗のためのタオルを差し出した。いつもの麗美のマネージャー業が板に付いている彼の自然な心使いだった。
 皆が拍手し、口々に賞賛した。治郎と陽子は微笑んでその様子を見ては、顔を見合わせた。
「父さん」と、志道が言った。「僕は、どうしてもあきらめられません。父さんが反対しても、彼女を認めてもらえるように頑張ります。どうか、許してください」
 志道はタオルで汗を押さえたが、その目からもにじんだものがあったようにも見えた。
「父さん、反対したの?!」と、空が驚いたように言った。
「俺は、反対なんて言ってないさ。ちょっと感動しなかっただけで。でも、今の演奏には感動したよ」と、父は言った。
「父さん、今度の麗美のパーティーなんですが…」志道は言い出した。
「彼女を誘うということか?今回は音楽業界やマスコミの人間も来る。呼ぶのはいいが、あまり二人だけで親密な関係というのを今見せるのはどうかな。彼女にも一人ではなく、友だちと一緒に来てもらうとか」
「はい、わかりました」と言って、志道は部屋に下がった。

 治郎は、夫婦二人になってから言った。「彼女の存在が関係してるのかな?いい曲を作る。心に沁みたよ」
「演奏に表れるでしょ?」
「そうだね」
「志道は、話し方は相変わらず固いけど、最近相当変わったと思うわ。いい娘さんよ」
「期待することにしよう。あいつも目覚め始めてるようだし。これは思った以上だよ、なんか興奮して眠れそうにないな」

 父、治郎がかつて自分自身の創作活動について、母に話していた言葉を、志道はよく覚えていた。
「俺は小さいって、よくわかってるんだ。ただ自分のままに表現するしかないから今までやってきたんだけど。こんな小さな俺だけど、曲が出来る時には、何か大きなものがやってきて、インスピレーションをくれるんだ。無心でただそれを表現してきた。そのインスピレーションをくれる大きい存在を、もっと理解出来れば、いい表現が出来るんだろうけど。まぁ、俺はただそれがある限り、続けるしかない、って思ってるんだ」
 治郎がインスピレーションを受けるもの、そして志道が閃きを受けるもの、その主はもしかしたら同じものなのかもしれなかった。
 少なくとも志道の場合、その閃きが愛につながり、一人の女性から影響を受けることは確かなようで、ピアノの演奏の後、彼はさちを思いながら、どこからともなく力が湧いてくることを感じていた。
「絶対にもう、あなたをあきらめるなんて考えもしませんよ」と、志道は呟いた。「父さんのお陰で、それが無理だってわかりましたから」
16


感動的な演奏だったようですね。
次回はパーティーのシーンです。




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