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2016年09月30日

(A終)13《ひのくに物語》 夜明け、そして契り(3)  A面〜素描(デッサン)〜の章


今日は、一挙
A面の最終話まで★
架空の王国を舞台にした
愛と夢の一大ロマン
「ひのくに物語」──
吐息・・・


なぜ菫は
死んだことになっていたのでしょうか。
その謎は…★


 彼女を一度失って、再び得たことは、それ以上のものだった。何よりも換えがたいと気付いた後だったし、そして彼女は今や私の妻だ。
 王となって私自身が嬉しいことはなかった。母たちや、国民が喜んでくれる、それが嬉しいだけだった。彼女が隣にいてくれるなら幸せだ。彼女が王妃なら、王となったことも、悪くない。

 午後になって、私と菫の実母が連れ立ってやって来た。
「ここまで長くなる予定ではなかったのよ。菫さんにも王妃になることを伝えずに、黙っているのは私たちも大変だったのよ。あなたが妃を迎えるのをなかなか承知しないし、せっかく事前に会わせてと思ったのに、それさえ拒否するから」と、皇太后。
「今日のためだとしても、私がどれだけ辛い思いをしているか知りながらも、黙っている理由があったのですか?」と、私は一度は言ってみずにはおれなかった。
 その理由とは、元王妃やケインの一味を根こそぎ捕らえるためには、犠牲者が出た方が都合がよい、という主税叔父の判断だったらしい。
 彼らの裁判はまだこれからだったから、今でも菫の正体はできる限り隠した方がよい、ということで、婚礼を済ませたにも関わらず、バルコニーの挨拶の時にも、私の背後に隠れるように、また、ベールつきの深いつばの帽子までかぶって、早々に退席させたのはそのためだった。
 皇太后は言った。「王になるために必要なものを備えるために、必要だったと、理解してくれる?私たちは少しの間と思って始めたことがそうならなかったのは、意味があるわ。菫さんは以前からあなたから身を引くことを考えていたでしょう。その気持ちを転換させることができたのよ」
「ええ。それは奇跡のようですが。確かに」と言いつつ、私は横にいる菫を見つめた。彼女は恥らって顔を伏せた。
「わが娘ながらこの頑固さには呆れました。だから、主税との結婚に踏み切ったんですよ、私も」と、梵野薔子となった菫の実母は言った。今は主税と菫の妹、蘭(らん)と一緒に生活している。獄中生活をしている姉とは縁を切ったが、病床に伏せる、元皇太子である甥、エイセイのことは見舞っているらしい*
「身を引くというのは、関係が出来てから言う言葉、あなたは王様のものになったことが一度もないじゃないのと言って、菫を責めたのよ私」
「馨はあなたを想って泣き暮らしているというのにって、私もさんざん言ったわ」二人の母は口々に言った。
 私たちの親が隠れた関係を明らかにし、真実を偽らずに証したことは、確かに私たちの道を開いた。だが、菫がどうしてあの頑なな態度を変えたのか、まだ腑に落ちなかった。
 私としては、下手に口にして、今の状況を台無しにしてもと、それ以上は訊かなかった。
 母、皇太后がその辺りを話してくれた。
 それを聞いて、私は更に菫を慕わしく思った。
24

*菫の母は、元王妃の妹に当たる。
その元王妃である姉は
元王の暗殺などの容疑で逮捕された。
その息子は、皇太子を名乗っていたが、
元王との血縁関係はないことが
確認されている。

そういえば、以前は絶対に
馨の愛を受け入れようとしないほど、
従順に見えて
とても頑固な菫だったはず。
結婚に至った彼女の心の動きは?!
引き続き、↓次の回もご覧ください。






芙蓉♪


馨とは絶対結婚できない、
そう言い切っていた菫。
なぜ、気持ちを変えたのでしょうか★


 菫にとってもこの二年間は、ただ陰を潜めていただけではない、いきさつがあったのだろう。最終的には私を愛する道を選んでくれた。
 二人の母がどれだけ私たち二人のことをあきらめないでいてくれたか、それもありがたかった。菫の母が言うように、彼女の頑固さは並みではなかった。私のためには、自分はふさわしくない、もっとふさわしい人がいると、言い張っていた。
 私のために、生きている姿を見せてあげたらというのも、聞かなかった。母たちは言った。
 あなたが好きなようにすればいい。王には、王妃にふさわしい然るべき女性をと、候補を絞り込んでいる。王がその女性を受け入れるためには、あなたも、他の男性と結婚する必要があるわね、と。そうしないと、菫の生存がわかったら、たとえ婚約していても、結婚していたとしても王はあなたの為に全てを捨てかねない。あなたが結婚して幸せな姿を見れば、あきらめざるをえないわ、と。
 そして、母たちは、具体的に菫の縁談を進め始めた。そこに至って初めて菫には迷いが生じたのだという。
 自分が誰か他の相手と、結婚するということを具体的に考えたことがなかった。私に対しては、他の相手と結婚させようとしながら、自分のことは考えていなかったのだから、気持ちというものはおかしいものだ。
 私の王妃候補の、だれそれが美しく、だれそれが才媛で、どこそこの姫君がどうのこうのと、聞かされるのも気になったに違いない。母たちの心理作戦だった。話が具体的になれば、頭で考えていた時のように冷静ではいられないはずだと。
 そして、とうとう王が、王妃を娶ることを決意したということを、菫は聞かされた。その相手が決まり、日取りが決まった。
 また、董自身の結婚相手も具体的に絞られて、縁談を持つことになった。
 そこまで黙って聞いていた私は、つい口を挟んだ。「縁談をしたんですか、董が?」
「なかなか渋っているから、不意打ちでね。相手は大乗り気だったのよ」
「相手が誰かは聞かないでおくよ」
「そこまで追い詰めて、ようやく董さんも限界になったのよ。そうなるように、私たちも揺さぶったし」と、母が言った。
「限界って?」
「ようやく言ったのよ。『結婚は出来ない』って。その時はまだ『一生独りでいる』と言っていたけど」
「『今なら、王があなた以外の人と結婚するくらいなら生涯独身を守ると言っていた気持ちがわかるでしょう。ようやくその気持ちを抑えて王が決意されたのに、あなたの今の様子を知ればどうなってしまうか。絶対に会わせられない』と言って、脅したの」
 そこまで聞いた時、もう、披露宴の準備をする時間となった。母たちを残し、私たちは支度のために部屋に戻った。
25

ふーん。
頑なな菫の心も
ようやく解けたようです。
というか、
母たちの方が
ずっとうわてでした^^

次回は「A面」の最終話です。






木立・・・


馨は、会えない間も
実は結ばれていた
菫との絆を再確認しました。
A面素描(デッサン)の章、
最終話です★


 私は、披露宴の間も、董に質問をしては、さっきの続きを聞き出そうとした。
「結婚できないって言ったのは、他の人と結婚したくないと思ったの。あなたを想いながら、独りでいたいと思っていたのに、話は全然違う方向に行くから、戸惑ってた」
「縁談の相手が気に入らなかったの?」
「もったいないお話だったわ。でも、わかったの。絶対に嫌だって。あなた以外の人とは」
 董の口からその言葉を聞くと、また私の口元は、ついほころんだ。
 董は、それまで私に最もいいことだと思い続けていたことがもしかしたら全く反対かもしれないと、気付いたのだ。私も董も気持ちを抑えて、更に二人の結婚相手にも申し訳ないことをすると。
「でもね、あなたには絶対に会うなって言われたでしょ」
「すごい脅しだよね」
「今までは、早く会えって言われていたのを拒否し続けて、急に会ってはいけないなんてね。不思議に会いたくて堪らなくなって」
「嬉しいな。それがいつ頃?」
「半年前よ」
 私が結婚を決意して、菫の墓参りに行くよりも前のことだ。
 菫は言った。「私は修道院に行くことになったの。神様しか、私たちのことは決められないでしょう。たとえ愛し合っているとしても、神様が認めないなら、結ばれないから。毎日お祈りしていたの。私が思うことが正しいわけじゃない、きっと神様が一番いい答えをくださるって信じるしかなかった。
 それに修道院では、心の中で馨さんにいつも話しかけたてたわ」
 私が墓参り以降、菫が近くにいるかのような気がするようになったのは、彼女が語りかけていたからかもしれない、と思った。
「王様がお妃を迎えることは、修道院の中にいてもニュースになってた。そうしたら、皇太后様が来られて、王様の婚礼が決まったから、祝福してくれますねって。私、なんか涙が出てきて…」
 董は母に問われるままに自分の気持ちを打ち明け、母は私と結婚する意志を確認した。そのまま車で宮殿に向かって、私とただ対面するのかと思ったら、婚礼の場だったというのだ。婚礼衣装を着せられ戸惑う董に、母は「あなたは望宣(もうせん)家の養女として王家に嫁ぐことになります」とだけ教えてくれたという。
「母にやられたね」
「はい。皇太后様のお陰です。あの方は、先の王様を亡くされて、お一人でいらっしゃるのに、いつも前向きで明るくて、皇太后様がいらっしゃらなかったら、今の私はありません」
「君のことを、自分の若い頃のようだと言っていた。君の母となったんだ、そう呼んであげてくれ」
「はい、王様。母が急に増えたようで、嬉しいです」
 菫は養母を亡くしていたが、離れて暮らしていた実母と親しく行き来するようになった上、私の実母、皇太后と、養母、平和(ひらなぎ)の母、また望宣(もうせん)家の養女になっていたから、そこの母を加えれば、にわかに四人の母ができたようなものだった。

 少年の頃は幸せだと思っていた。
 私はその後、明朗な王と言われるようになった。いつの間にか少年の頃の気質を取り戻していた。
 幸福というのは、私一人でなれるものではない。
 王妃がいたから、私は王でいることができた。この国が在り、国王と認めてくれる人がいなければ、また、王では在り得ない。
 私は生涯に渡って幸福な王だった。
26


「ひのくに物語」

A面
〜素描(デッサン)の章〜





馨を主人公にした章は
これにて、おしまいです。
B面は
この続きの話を含め
一転、反逆者ケインの
語りでお送りします。
乞うご期待!


登場人物の確認、この物語のあらすじなどは、こちらから ↓
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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に小説を書き始め、その後ブログをはじめました。
ヨーロッパ滞在歴≒ボランティア歴ありの、三男一女の母。

見えない世界、霊界、神様について、人生については、もう一つのブログをどうぞ。
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2016年09月29日

12《ひのくに物語》 夜明け、そして契り(2)  A面〜素描(デッサン)〜の章



架空の王国を舞台にした
愛と夢の一大ロマン
「ひのくに物語」──
遙かな花


キス一つだけで終わった
初夜が明けました。
今日は、まさかの大発展。
“お見逃しなく”の一話です★


 夜が明けた。私たちは夜着のまま身支度を整え、祭壇に向かった。二人並んで祈りを捧げた。
「この後は食事だから、着替えて来よう」と、私は声を掛けながら、初めて妃の顔を見た。
 そして、自分の目に入ったものが、信じられなかった。そこには菫がいたのだ。
 私はまじまじと彼女を見つめていた。
「菫?!どうしてここに君がいるの?」
 死んだ彼女の魂が現われたのかもしれないと思った。それとも、夢を見ているのだろうか。
「妃は?私の妻はどこに?」私はすっかり混乱していた。
「ここです」まだ掠れたような声で、彼女が答えた。「私はここにいます、王様」掠れていても確かに菫の声だった。
 夢ではなかった。現実に目の前に菫が立っていた。
「お久し振りです、馨様。このお姿をまた拝見できるなんて。ご立派になられました」
「…菫?」
「私は一度死んで生まれ変わったんです、王様。母はアメリカにいる望宣(もうせん)家の血を引いていますから。そこの養女となって、名前も変えました」
「…菫」
「はい」
「菫、…菫」私は何度も名を呼びながら、彼女を抱き締めた。体が震えていた。菫ではなく、私の体が震えているのだった。
 震える手で、菫の頬に触れ、顔を引き寄せて口付けした。昨夜感じたように彼女は菫だった。
「会いたかった」「信じられない」そんな言葉を何度も呟いた。自然と涙が流れていた。
「どうして今まで黙っていた?死んだとばかり…」
「ごめんなさい」
 菫はそれまでのことを、かいつまんで話してくれたが、皇太后と主税に言われ、なぜか身を潜めていなければならなかったという。私の婚礼の噂は聞いていたので、誰か別の相手と受けるとばかり思っていたという。当日、衣装を身につけられて、訳が分からず、神様が許した相手≠ニ結婚するのだと言われたという。恐らく母たちが、私と菫が結ばれるために計画したことなのだろう。私と董は神様がお互いの為に許した相手≠ニいうことになる。
「顔だけ変えた別人で、菫は本当に死んでいたとしたらどうしますか?」と、菫は涙に濡れた顔に笑を浮かべて言った。
「恐ろしいことを言うなぁ、君は。わかるよ。愛する女性をわからないはずがない」
「昨日一日、気付かなかったのに?」
「君が息を殺していたからさ。ほとんど話もしないし、風邪声だし…。それに私はろくに君を見てもいなかったんだ。昨夜は本当に真っ暗だったし」
「お妃になる人に関心がなかったの?」
「そうだね。妃に対してはひどい夫だ。今から埋め合わせするよ」
 少し前は、美しいものを見ても悲しく侘しかった。今は何を見てもきっと美しく見える。障子を通して、朝日が差していた。私は愛する人の姿を、眺めつくすように見た。
22

なんということでしょう!
こんな物語のようなことが
実際におこるなんて…。
もちろん
この後ハッピーエンドまで
ひた走ります。
どうぞ、付いて来てください。
引き続き、↓次の回もご覧ください。






想うこと・・・


死んだとばかり思っていた
愛しい人が
生きていた!
ただただ菫を見つめる馨です★


「きれいだ」と、私は言った。
「着替えをしに行かなければ」と、菫が言った。
「構わないよ。そのままで」
「お化粧もし直さないと」
「きれいだよ」
「朝食が…」
「君が本物の菫だと確認するんだ。まだ行かせないよ」私は微笑んで言った。
 窓の側の木に小鳥たちがやって来ていた。何を囀ってるんだろう。幸せな歌を歌っているように感じた。
 菫の白い肌、胸の膨らみとその色、体の美しい曲線を私は覚えていた。ただ一度見ただけだが、やはり目に焼き付いていた。
「間違いなく菫だ。まさか全身整形したわけじゃないよね?」
 神が私に与えてくれた相手、それが菫だった。何でなのかわからないが、今まで待たなければならなかった。私たちが初めて会ってから、こうまで引き離される運命を経て、だから今許されたのかもしれない。
 あり得ないと思っていたことが今起こっていた。得がたいと思っていた最も大切な存在を、この腕に抱いている。
 私たちは、ずっと体を寄せ合っていた。離れたくなかった。
「もう、どこかに消えたりしないよね」
「ええ。ずっとお側にいます、約束通り」
「そうだよ菫、ずっと側にいるという約束を破ったんだよ、君は」
「これから、ずっとお側にいるためです」
「本当に?」
「ええ」
「今、どんな気持ちだ?」
「とても幸せです」
 それを聞いて私の口許は更に緩んだ。「愛している」
「私も愛しています」
 心が温かいもので満たされていた。今まで菫を愛してきたつもりだったが、こんなに愛おしいと思ったことはなかった。

 枕元の電話が鳴った。「無粋な…」と私は言いながら受話器を取った。
「国民が、宮殿前に集まっています。もう、お時間がありません」
 私たちは、上から下まで整えられて、ぎっしりと詰め掛けていた国民に、笑顔で答えた。
 私はこれまであきらめていたのだ。一番大切なものを失くしても、ただ諦観するしかなかった。
 何もかも奪われては、取り返してきた。財も名誉も兄と慕っていた男によって一度奪われた。愛し信頼していた者からの裏切りを、全てなかったことのように許して、更に奪われていたものを奪回した。財と、名誉と、地位と。そしてそういうものからはまるで別格のもの。
 こればかりは叶わないとあきらめていた。この愛を奪い返すことができるとは。しかも、今は完全に私たちはお互いのものだった。
 私は二年前まで、菫の愛を得るために、様々に苦心していた。
 十分に愛は得ているにも関わらず、その確証を得たかった。「愛している」という言葉なり、プロポーズの受諾の言葉を。何をしていたんだろう。もっとただ愛すればよかったのに。
23

こんな時、人は
どんな風になるのでしょう。
嬉しさが全身から吹き出ているようです。
菫への愛が全開の馨です。
終わりよければ全てよし
とはいえ、
なぜ、菫は死んだことになっていたのでしょうか?

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2016年09月28日

11《ひのくに物語》 夜明け、そして契り(1)  A面〜素描(デッサン)〜の章



架空の王国を舞台にした
愛と夢の一大ロマン
「ひのくに物語」──
仙人草♪


国王、馨の
今日は結婚式のシーンです。
伝統的な八尾伽奈国(ひのくに)の
婚礼の儀式。
馨は妃との未来を
踏み出すことにしましたが…★



夜明け、そして契り




 婚礼の日まで、私は妃となる女性と会ったことはなかった。事前に会う日を作ると、うるさかった母には、はっきりと断った。決めたからには、すぐに事を進めたかった。
 私はその女性の名前しか知らなかった。妃となる女性は、八尾伽奈(やおかな)八族の中の、王の家系である日向(ひゅうが)家と陽宮(ひのみや)家を除く家系から選ばれることになっていた。といっても、それは形式上のことで、日向・陽宮の出であっても、八族以外の出であっても、然るべき家に養女に入って嫁ぐということも稀ではなかった。
 妃として母たちが選んだのは、古くは軍師、外交の家系であり、数代前から米国住まいをしている望宣(もうせん)家の直系の息女だった。私も留学時代、その父と兄とは付き合いがあった。妹には会ったことはなかったが。
「そうね。あなたが留学していた頃、彼女はこの国にいたと思うわ」と、母からは聞いていた。
 国王の婚礼というものは、そこに至るまでに、気の遠くなるほどに面倒な手順があるようだった。伝統的なものであり、宗教にまつわる大切なものであると思うので、はしょることはできなかったが、不必要に贅沢な婚礼の支度は、改めさせ控えさせた。
 王家の婚礼は、伝統宗教に沿って行われ、基本的には両親と極少数の身内だけが、参席できる神聖なものだった。
 新郎新婦はその晩初夜を迎えて、次の朝家族と挨拶をする。今でこそ、そのようなしきたりに則った婚礼は少なくなったが、昔であれば、花嫁はその時本当に初めて婚家の家族と顔を合わすことも少なくなかったという。
 私たちの場合は、朝十時に、国民への挨拶という大切な行事がある。そして、その夜がいわゆる結婚披露パーティーとなる。

 婚礼の朝、皇太后となった実母、恵美が私の許に来て言った。「美しい花嫁姿よ。」
「妃は風邪を引いていると聞きましたが」
「ええ。数日前に熱を出されたんです。今日は回復されたようでよかったわ。まだ風邪声でしたが」
「今はまだ式まで余裕があります。時間までゆっくりくつろがれるように伝えてください」
「優しいこと」母は言った。「花嫁のご家族の到着が遅れるようよ。強風で飛行機が飛ばないようで。式は予定通りに進めます。主税(ちから)たち夫婦が代理で参加してくれるから」
 私たちは伝統的な婚礼の衣装に身を包んだ。
 横に座った妃の顔は、ほとんど見なかった。たとえ見たとしても、花嫁は頭から、西洋で言うベールあるいは中東女性のブルカのような、白い布で覆われていたし、彼女は俯きがちだったから、よく見ることはできなかっただろう。
 契りの杯を交わす際に、見ようとすれば口元だけは見ることができたが、おしろいで覆われた白い肌が、ちらっと目に入っただけだった。
 私はそれよりも、皇太后が泣き出したことの方が気になった。気丈な母が泣くのを、初めて見たかもしれなかった。私の婚礼を喜んでくれているのだろう。
 母につられて、参列していた平和(ひらなぎ)の母(養母)と、主税叔父の妻となった菫の実母、薔子(しきこ)も泣き出した。花嫁も涙を拭っているようだった。私の心はなぜか女性たちの涙で洗われたように、平安になった。
 こうして、無事に婚礼を終えた。古式に倣って、新郎新婦は別々の部屋で着替えて食事を取り、夜までの時間を過ごした。
20

新節がスタート、
これがA面〜素描(デッサン)〜の章の
最終節となります。
どんな結末となるか、
最後までお付き合いください。
引き続き、↓次の回もご覧ください。






満月の夜?


伝統的な婚礼の後は、
初夜を迎える馨ですが…、
さて、首尾は?★


 日がすっかり落ちてから、寝所に案内された。広い部屋の入り口以外には、灯りというものがなかった。屏風で仕切られた奥に、寝具が準備されていた。王妃となった花嫁は、その傍らに座って、静かに待っていた。暗くて何も見えないほどだった。
 私は人を呼び、灯りを付けるように言った。
「今夜は、そのままで過ごされるようにとのことです」
「まるで暗がりではないか。王室のしきたりは、どうも無意味なものが多いようだ。今夜だけだ。不便だが我慢はできよう」
 私は明かりを求めて、窓の障子を開けてみた。窓ガラスの向こうの空は、月もなく星もまばらだった。私はあきらめて障子を閉めると、王妃の元に行った。
「今日は疲れたであろう」と尋ねると、彼女は掠れた声で、「いいえ」と答えた。
「これから、よろしく頼む」と、私は言った。「はい」と言った彼女の声はやはり嗄れていた。
 私は更に彼女の近くに行き、手を取った。「では、お祈りする」と、私が言うと彼女は頭を下げた。国王の祈りを側で聞くことは畏れ多いことだと、誰もが思うようだ。よく、菫がそのように身を屈めて私の祈りを聞いていたのを思い出した。
 私は、真摯にただこの国と民の未来の安寧を祈り、夫婦の契りを持つことになったことを感謝し、彼女を愛していくこと、そして国王としての使命を全うしたいという思いを祈った。

 暗がりの中で過ごすことは不思議だった。何か秘密のことをこっそりしているような、感覚があった。
 ずっと昔、物置の中で、菫と遊んだ時の事を思い出した。ゾクゾクとしたスリル、息を潜めて隠れて、脅かしたこと。一緒に過ごすことが、キリがないくらい楽しかった。
 それにしても、この暗がりは、目が慣れてきても、何も見えなかった。
 妃の手は、私の手の中にあった。私は、彼女を抱き寄せた。
 両手で顔をまさぐり、キスをした。
 瞬間によぎったのは、菫に口付けした時のことだった。たった一度の口付けを私は今も覚えていた。
 その時とまるで同じ感覚だった。今腕に抱いている王妃が、菫のように思えてきた。私は愕然となった。私の細胞の全てが菫のことを覚えていて、彼女を求めていた。
 今日婚礼の儀式を受けた愛すべき相手と体を寄せ合いながらも、別の女性を求めている、自分の不謹慎さが我慢ならなかった。
 とはいえ、はっきり見ていない妃の顔は思い浮かべることもできないのだった。愛そうと決めて、すぐに愛することはできない。妃には申し訳ないが、じっくり時間を掛けていくしかないだろう。菫の身代わりのように愛することしかできないとしても。
 私は彼女の体を放し、言った。「君は風邪を引いているんでしたね。早く休みましょう。明日の予定もありますから」
 ケインの手の者に追われて、夜中(じゅう)逃げ回ったことがあった。ようやく逃れて、白々と夜が明けてきた時のホッとした思い。
 あの頃は、命が惜しかった。今は…。国の為に生きると決めた。だから、命も捧げると。それは詭弁だったのかもしれない。ただ命が惜しくなくなっただけなのだ。
21

馨は今でも菫を忘れられないようです。
こうやって、
初夜は過ぎてしまいますが…。

登場人物の確認、この物語のあらすじなどは、こちらから ↓
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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に小説を書き始め、その後ブログをはじめました。
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