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2016年04月30日

12 《 四月 しあわせの始まり》 愛が根付くまで2  【三月さくらV1】

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小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼

2011.02.22 大池公園 梅


葉奈の父の誕生日に、
母や弟がやってきて
万事うまくいくと思っていた一朗ですが
葉奈の両親のケンカを目の当たりにして、
ちょっと動揺しているようです★


「でも不思議だよね、嫁姑というのも。いつの間にか常葉さんも、お義母さんによく似てきたよ。息子べったりなのが、まずそっくりだよ」
 一朗の母はそう言いながらも、「何とかなるものなら何とかしてあげたいからね」と、早速電話して常葉と話を始めた。
 母は家に寄るようにしきりに誘って、どうやら断られたらしかったが、臆することなくさっき一朗に言っていたことを、直接、常葉本人にアドバイスするのだった。
 そして、「愚痴を言いに来なさいよ」と、再度誘った。
「じゃあ、肇さんのいない昼間ならいいでしょ」と、とうとう約束を取り付けていた。
 一朗の父も言った。「それじゃ、俺は肇さんを誘うかな。趣味のない人だから。あの人こそ無口で言いたい事を言えないんだ。あんな別嬪の奥さんになら、きれいだと言うのも言いやすいだろうにな」

 さて、母と弟が帰って行った後、葉奈と話してみると、一朗が思っていたのとは違い、彼女は両親のことに動揺を見せてはいなかった。
「母が来てくれたのよ。それだけで十分嬉しかった。父とは何も話さず帰ると思っていたのに、喧嘩してくれた方がまだいいの。会話がないことの方がおそろしい」
「へぇ、そうなんだ」
「私が落ち込んでると思った?」
「うん、まぁショックかなぁと思って」
「これくらい、麻痺しちゃうくらいよ。両親が同じ部屋にいても話をしないんだから、私たちを通してしか。一緒に暮らさない方がマシって思えるくらいだった」
「じゃあ前進したってこと?」
「そうよ」
「よかった」
「私もね。親離れしようと思って」
「だからか。パパ、ママって呼ばないんだなぁと思っていたんだ」
「呼び方から変えないとね」葉奈は微笑んだ。「いっちゃん、ありがとう」
「俺は何も」
「心配かけたでしょ。両親のことはまだこれからだけど、私はもう大丈夫」
「…?大丈夫って?」
「大丈夫。もう前みたいなことで泣いたりしないから」
 一朗は、瞬時に戯言のようにプロポーズした時のことを連想し、顔がカッと熱くなったのを感じた。
23

さて、明日はいよいよ…
とっておきのシーンです。
お楽しみに!
↓引き続き次の回も、お楽しみください。






竹梅。


さあ、特別な時が近づいています★


 あの時は、よく、あんなことが言えたよな、と我ながら思う一朗だった。いよいよ本物のプロポーズをしなければと、心の中で思った。
 その時、葉奈が言った。「いっちゃん、頑張ってね」
「…何を?!」一朗は思わず聞き返した。
「何か頑張ろうとしてたでしょ」
 プロポーズのことをだ。
「私が頑張って、て言うといっちゃん、とっても頑張るのよね。運動会でもマラソン大会でも」
「そうだよ。葉奈に言われると本当に力が湧いたよ。マラソンなんか、自主トレしてたんだから」
「うん、知ってる。走ってるいっちゃん、ホントにカッコよかった。…だから頑張ってね」
「うん。じゃあ明日だ」
「明日?みどりさんたちの所に行くのよね」
「ああ、それは午後だから、その前に迎えに来るから」
「うん、何時頃?」
「朝十時とか。早くなるようなら連絡するよ」
「わかった。朝からお出掛けか、楽しみ」

 一朗はいつものごとく星一に相談した。
 明日は!と、心に決めて、落ち着かない夜を過ごした。

 翌朝、一朗は星一からの電話で目を覚ました。
「予約しといたからな。もう十時だぞ、大丈夫か、時間?」
「あー!もう約束の時間だ」
「朝弱いからな、お前は。予約は十一時だから充分間に合うよ」

 無事にその時間には、一朗は葉奈と共に予約の店にいた。給仕がウォーターグラスを置いて去った後、一朗が緊張して話し始めるのをためらっている時、花束が届けられた。
 一朗の名で葉奈に手渡された花束を見て、彼女の目は輝いた。「まぁ素敵。ありがとう、いっちゃん」
 星一が気を回したに違いない。一朗はありがたくその雰囲気に便乗した。
「葉奈」と声を掛けると、彼女はまっすぐに一朗の目を見つめてきた。
「ずっと側にいてくれる?」
 葉奈はきょとんと目を見開いていたが、「それって」と、つぶやいた。
24

いよいよここまで、こぎつけました
もうクライマックスです揺れるハート
前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次                        
  登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]




よいい一日 よい夢を

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写真は大池公園 梅
by (C)ひでわくさん
竹梅。
by (C)芥川千景さん
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無断転用はご容赦願います



2016年04月29日

11 《 四月 しあわせの始まり》 愛が根付くまで1  【三月さくらV1】

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小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼

2010.03.17 大池公園 白梅


一朗と葉奈の愛は
ようやく芽吹いてきたようです。
一気に春から初夏に、
季節は色づいていきます★


  第三節 愛が根付くまで


 その晩、一朗は星一に報告の電話をした。「マスター、サンキュー。言う通り葉奈の親に話して、よかったよ。言うだけは言ったけどそんなにすぐに何かが変わるはずがないと思っていたんだけど」
「何か変化あったのか?」
「うん、家に葉奈が来ててさ。俺の両親がいい働きしてくれてさ。葉奈がとっても楽しそうで、ずっと笑ってばかりなんだ。俺が笑わせようとしなくても、何でもないことで笑ってるんだ」
「で?」
「みどりさんにお礼を言って。花をあげたらとても喜んでくれて…」
「で、言えたの?」
「うん」
「葉奈ちゃんのことが更にかわいく見えてきただろ?」
「そう。マスターの言う通りだった。世界が変わってしまったみたいだ」
「よかったな」
「葉奈のお父さんとお母さんに話せたのもよかったよ。話しながら、葉奈のことも、もっと理解してあげれたような気がする。
 でも、これからなんだ。今度お父さんの誕生祝いをするんだけど、お母さんに来てもらいたいと思って。葉奈はそれに賭けているようなところがあるし」
「すぐに全てを進めようとするなよ。今までの膿も出てくるだろうし、きれいごとで済む場合だけではないから」と、星一に釘を刺されたのだったが、一朗にはその意味が本当にはその時わかってはいなかった。


 翌日、肇は本当に久し振りに、その妻に電話した。葉奈がいろいろ準備している。葉奈のために帰ってあげて欲しいと頼んだのだった。
 一朗は葉奈に母の日のプレゼント探しを託し、一緒に買いに行った。葉奈は結構嬉しそうに、一朗と自分の母への品を選んでいた。

 そして母の日の朝、橘家にお揃いのように置いてあった花篭の一つを持って、一朗は葉奈を伴って、母に贈った。母は感激して子供のように喜んだ。
「葉奈に選んでもらったんだ」と、一朗は言った。
「そう、まあ、とっても素敵よ。子供の時以来だよ、一朗からのプレゼントって」母は言った。
「いっちゃんがね、私が選んだらきっと喜ぶものがわかるからって。女は女同士だからって。でも、贈りたい気持ちはずっとあったみたい」
 一朗の母は上機嫌で、「夕飯を用意するから、肇さんも呼んで食べましょう」と言う。
「それでは母の日なんだから逆ですよ。私が…」と、葉奈とで揉めた後、夕方から二人で作るということになった。
21

↓引き続き次の回も、お楽しみください。






2011.02.16 大池公園 紅葉の奥に紅梅


ようやく恋人らしくなってきた
一朗と葉奈ですが…。
その愛は根付くことができるでしょうか★


「それまでは、二人で遊びに行ってらっしゃい」と、母に押し出されるように、一朗と葉奈は外に出た。
「葉奈のお母さんにも渡しに行くか?」と一朗が訊くと葉奈は言った。
「ううん。お父さんの誕生日がもうすぐだから」
「来てもらった時に渡した方がいいか」
「うん」
「じゃあ。今からどうする?今日も掃除やガーデニング…」
「行こう」と葉奈が言った。
「どこへ?」
「お母さんが遊んで来なさいって言ってたのに、どこにも連れて行ってくれないの?」
 葉奈は笑って言った。


 その日の滑り出しは、表面上は硬いながらも、難なく過ぎていった。来てもらうことがまず心配だった一朗は、常葉と七海が時間にはしっかり現われたので、胸を撫で下ろした。
それにしても硬いかな、と思っていた時、助けの舟のように現われたのが、一朗の母だった。
「常葉さん来てるんでしょ」遠慮もなく上がりこみ、お喋りでその場を盛り上げた。
 そして「うちのお父さん遅いわね」と母が言っている時、大きなバースディケーキを持った一朗の父が、玄関のチャイムを鳴らした。
 誕生ケーキでのお祝いと、誕生日のプレゼント、久し振りの橘家の顔合わせに、一朗の親子も加わって、まずまずの和やかな歓談となった。一朗は葉奈と顔を見合わせ、安堵していた。
 一朗の両親が帰り、台所で片付けをする葉奈を手伝っていた一朗がそろそろ帰ろうとしている時、常葉が声を荒げる声が聞こえてきた。居間に二人になっていた肇と常葉だったが、常葉は言いたいことを言い切ると、二人はもう顔を合わせなかった。
 この機会に歩み寄るどころか、不仲を露呈したようなその空気に、一朗は狼狽の思いを隠し、帰りの挨拶をした。葉奈の両親は何事もなかったように、一朗を送り出してくれ、彼は気になりながらも橘家を後にした。
 玄関の外まで出て来た葉奈に、一朗は自然を装いながら、「後で連絡するから」と言って別れた。
 そして彼は、家で両親に状況を告げた。
 母が言った。「常葉さんもね、もっと言いたいことをはっきり言えばいいのよ。まあ少しくらい夫をののしったって、大丈夫。もともと思ってることをかみ殺して、溜め込んじゃうんだよ、あの人は。
 若い頃は肇さんが亡くなったお母さんと仲が良過ぎるのを色々思っていたのに、我慢して言えなかったんだよね」
22

葉奈の両親はどうなっちゃうんでしょう?
やっぱり無理があるかなぁ。
二本の梅の木が
見守ってくれてるはずですが…
前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次                        
  登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]




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2016年04月28日

10 《 四月 しあわせの始まり》 四月 しあわせの始まり5  【三月さくらV1】

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小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼

2010.02.24 追分市民の森 梅にメジロ-2


魔法のように
開かれなかった心が
開くことがあります。
葉奈の縮こまった心は
本当は愛を求めているはず…★


 何気ないその会話を思い浮かべながら、一朗は常葉に言った。
「葉奈にとっては、おじさんとおばさんが根っこですよね。その関係を切って自分は自分って生きるのは難しいでしょ。切花になっちゃったら、その花が咲き切ったらおしまいだ。根を張って、また次の花を咲かせることはできない、そういうことですよ。
 俺も一度、葉奈に両親は関係ないって、考えもなく言ってしまって大失敗したんです。どうか、今度のおじさんの誕生日だけでも帰ってあげて下さい」


 一朗は、常葉に会った足で“星の家”に寄った。カウンターにある白い花の鉢を見ていると、みどりが声を掛けた。
「そうだ。葉奈ちゃんがその花きれいねって言ってくれたから、あげようと思ってたの。春にたくさん株分けしたのを一つ持って来たのよ。これね、付き合い始めた頃、マスターが買ってくれたの。ほら、小さいけど花芽がまだたくさんあるでしょ。これを買った時とちょうど同じくらいかな。イチ君が私に頼んでもらって来たって言ってね。もしも枯らしても、元のがちゃんとここにあるから大丈夫よ」そう言って、みどりは簡単なラッピングまでして一朗に渡してくれた。

 その小さな花の鉢を持って、まず葉奈の家に寄ろうとしたが、家は真っ暗で人気がなかった。
 一朗の家の方は灯りが灯っていて、表まで笑い声が聞こえていた。居間に両親と葉奈たち父娘がいて、歓談していた。
「何、外まで聞こえたよ。馬鹿に盛り上がっているね」と、一朗は言った。
「おばさんもおじさんも楽しいから。夕飯もご馳走になったのよ」葉奈は、今さっきまで笑い転げていた余韻の残る話し方で、一朗を迎えた。
 葉奈が笑っている。一朗はただそれが嬉しかった。一朗は自らが橘家に行くよりも、両親の力を借りて、自分の家に呼び入れる方が、はるかにいいということに気付かされた。
 葉奈たち父娘を玄関で見送ってから、母が一朗の持ち帰った花の鉢に気付いた。
「これは?母の日のプレゼントには早いよね。ま、あんたがくれた試しはないけどね」
「うん、葉奈に…」
「まぁ、最近の人は女の子にお花をあげたりするんだね」
「ああ、星の家の奥さんが葉奈に持って行けってくれたんだ」
「それは絶対お前からって言って渡したらいいよ。頼んでもらって来たとか言ってさ。もらったから渡すんじゃ愛想がなさすぎる。きっと喜ぶよ」 
「みどりさんもそうしろって言ってたんだけどね」
19

必死に葉奈の両親に訴えた一朗、
そして、葉奈は…。
何かが変わりそうな予感です。
↓引き続き次の回も、お楽しみください。






2010.02.24 追分市民の森 梅にメジロ-1


さて、この第二節の最終話です。
何かが見え始めるか!★


 母に押し出されるように一朗は斜向かいの家を訪ねた。肇が出たがすぐ葉奈を呼んでくれた。
「これ」と、花を差し出すと、葉奈の顔がパッと輝いた。
「みどりさんからもらって来たんだ」
「前に私がきれいって言ったの、覚えていたの?」
「それは春分けた株なんだって。これ位の奴から随分大きくしたんだって、言ってた」
「嬉しい。ありがと」葉奈が喜んでいる姿を見ると、一朗の心はほころんだ。
「私も、頑張って大きくするね。いっちゃんからのプレゼントだから、大切にする」葉奈は言った。
「じゃあ、また明日いつもの時間に」と一朗が言って帰るのを、葉奈が表まで見送った。
 玄関の灯と月明かりで、以前と違ってとても明るくなった橘家の玄関先を照らした。葉奈が手入れをしている植木や花が活き活きとしていた。
 一朗は失っていた何かを取り戻していた。おそらく月明かりの中に浮かぶ、愛する女性(ひと)の自分を受け入れる微笑のゆえに。
 一朗はゆっくりと葉奈を抱擁した。
「好きだよ、葉奈。ずっと…」これからもずっとなのか、今までずっとなのか、口にすることはなかったが。
 そして、長身の一朗は、かがみ込むようにして、葉奈にそっと口づけした。
 斜向かい同士の、元は同じ根を持つ二本の梅の木が、黙って二人を見守っていた。
 葉奈は微笑んで一朗を見上げた。そして一朗に口づけを返すと、恥ずかしそうに走り去った。玄関のドアを開ける時、振り返って手を振りながら彼に笑顔を見せてくれた。
 一朗はその葉奈の笑顔を胸に取り込んで、家に戻った。その胸はほっこりほころんでいた。

 居間にいる両親に、彼は声を掛けずにはいられなかった。
「父さん、母さん、今日はありがとう。おじさんも葉奈も喜んでいたよ。時々今日みたいに呼んであげてね」
「お花はどうだった?」と、母が言った。
「母さんの言う通りにしたらさ、バッチリだったよ」
「ほら、女心は女同士よ」
 母の日のプレゼントは葉奈に一緒に選んでもらおうと、一朗はその時思った。

 斜向かい同士の二本の梅。この時期は花も葉もないその木は、二つの家庭を見守っているように立っていた。若い二人だけではなく、他にもお互いのことを思い合っている二人がいることを、二本の梅たちは知っているかのようだった。
 その晩は、葉奈の両親がそれぞれ別々の屋根の下で、久し振りにお互いのことを想っていた。
 肇は、カーテンの陰から、月明かりに照らされる梅の木を見上げていた。
 そして常葉は、見えない梅の木を思っていた。
 肇は、今日笑い転げている葉奈を見て、『この娘はこんなに笑うんだ』と、ショックを受けていた。
 常葉は、葉奈が自分たちの別居に痛手を受けていたことがショックだった。自らの幸せにも心を開けないでいる、ということが。初めての子供を授かってどれだけ嬉しかったか。そのお祝いにもらった梅の木のことを、彼女は思い出していた。
20

梅の木がとりもっているような
一朗と葉奈の縁ですが…。
第3節をお楽しみに!
前後のお話 はこちらから→ 三月さくら 目次                        
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梅にメジロ-1
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