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2016年02月29日

2《早春譜》 心の高みに咲く花  「待ちびと暮らしの達人たちへ」より  【三月さくらX-2】

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早春に
8日間で贈る愛の物語──
「心の高みに咲く花」
小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
しら梅。


「待ちびと暮らし」って?
小学生の茜に体当たりの告白をされた峻。
彼の長い日々が始まりました★


 峻が仕事初め前に、“星の家”を訪ねると、みどりがそっと訊いてきた。
「茜と何かあったの?」
 彼はほぼ一部始終をみどりに打ち明けた。
「ごめんなさいね、峻君。困らせて。茜は真剣なんだろうけど。ませ過ぎてるわね」
「いや、そうじゃなくて」
「?」
「きっと、茜は素直に言ってるだけで、深い意味はないんすよ。ませてるって言えばそう言えなくもないけど…茜のこと、そう言ってほしくないんです。茜はまだ子供で、無邪気過ぎるくらいなのに」
「そうね。あの子は、純粋に峻君のことが好きなんでしょ」
「…」
「もしかして、峻君…?」
「俺の方が茜を好きなんです、きっと。普通俺の年なら恋人とかいて、いずれ結婚をって考えるんだろうけど、俺はなぜか星矢や茜を構ってる方が落ち着いて、何でなんだろうなって思ってたんだけど。茜のこと、とても大切に思っていて、もちろん付き合ったり結婚の対象にはならない、今は。だから悩んでて。でも、悩んでも仕方ないすね」
「峻君…」
「俺のこと、許してもらえるとは思えないし。ただ、ちょっと、今のままいてもいいですか?星矢とも登山の約束をしているし、茜も付いて来ると思う。そういう関係のままで。きっと、俺のことをずっと好きでなんかいるはずはないけど、兄貴のように近くにいて、見守りたいんだ。待ってみてもいいですか?」
 みどりは優しく微笑んだ。「あなたがいいの、それで?」
「ここを離れたくないのは、俺の方なんです。卒業して関係が切れたら、寂し過ぎます」
「そう、ありがとう。バイトは終わっても、ここには顔を出して」
「少しずつ、離れますから」
「気にせずに変わらないでいて。私たちも、あなたにいてほしいから」
「俺の方が慣れておかないと。茜が大人になる時のために」
「ごめんね、峻君」とみどりは言った。
「謝られることなんかないっすよ」
「辛いじゃないの、あなたが」
「マスターには…?」
「言わないわ」
「よかった。知られたら、ますますここに近付けなくなる」
「茜には、私から言い聞かせておくわ」
 みどりは、峻を元気付けてあげたかった。自分が卒業前に、星一を想ってここを離れたくないと思った頃の切なさを思い出した。
 茜はきっと峻を愛し続けるだろうと思ったが、みどりは、そう言ってあげることができなかった。無邪気な子供の言うことに今は嘘はなかったとしても、いつまた悪ぶれもせずに気持ちが移ろうか、親から見てもつかめないものがあった。それをよくわかっている彼に、何を言っても、ただの気休めで、慰めにならないと思ったから。
「私は、応援するわ、あなたたちを」と、みどりは言った。
「よかったです。話してわかってもらえなかったらって、覚悟してたんですけど」


 七年が過ぎて、茜は春には大学に行くことになっていた。峻はこの七年間、“星の家”と蒔原家に、つきず離れずで関わっていた。
 昔から好きだった登山には、更に頻繁に行くようになり、より本格的になり、この何年かは、単独やグループで、年に何回も大きな山に登っていた。
 約束の「大人になるまで」という期日までには、一年以上もあった。彼はまるでそんな約束など忘れたかのように、過ごしていた。
2

春の息吹。


「待ち人暮らし」とは
簡単ではありません。
峻は待つんでしょうか、やはり。
しかし、ここからの1年が
もっと長い気がしますね。

前後のお話 はこちらから→ 最新版 三月さくら 目次
                        
登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図]


よい一日 よい夢を

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写真は:しら梅。
春の息吹。
by (C)芥川千景さん
画像あるいはタイトルクリックで写真のページへ
撮影者の名前をクリックすると撮影者のページへリンク
撮影者に許可を得て使用しています
無断転用はご容赦願います


2016年02月28日

(詩) もう 解けてしまってもいいと思ったんだ  〜雪の季節の終焉 2016〜


雪の結晶は、
ひとつとして
同じ形はないといいます。
結晶にこだわり続けた、
孤高の人の
心を解かしたものとは、
やはり愛だったようです★


7980273スノーフレーク.jpg



「 もう 解けてしまってもいいと思ったんだ 」
   〜雪の季節の終焉〜



降り続ける雪と、
降り止まない僕の心
雪の季節は終わる
誰も訪ねてこなかった
山深くに 冷たい雪を積もらせて
誰も解かすことのできなかった
解けるはずのなかった僕の心
君の掌に落ちると  
一瞬 美しい結晶を見せただけで解けおちてしまう
もう 解けてしまってもいいと思ったんだ

温かい 人の肌に触れると 
何年も解けない根雪でさえ
春の訪れのように 解け始める
その微笑みを目にすると
こわばった僕の顔も緩む
もう 解けてしまってもいいと思ったんだ

君のために 僕は孤独でいたんだろう
君のために 僕は雪を降らせ続けたんだろう
君の温かさに出会うために 
僕は冷たく凍った根雪の心を持ったんだろう
この雪を きれいだと言ってくれるか
人を受け入れなかった聖域 
純白に覆わせた僕のまごころ
君のために 僕は雪を降らせて来た
雪の季節は終わる
君が開いてくれた僕の心

今までは涙にならなかった 何でもないことが 
美しく見えて 
何でもないことで 感動してる
君の頬に伝う涙は 
僕の雪が解けた分だけ溢れてくるようだ
もう 解けてしまってもいいと思ったんだ

今までこだわって来た プライドも
捨てられなかったものも
解けてなくなるように
なくしてしまってもいい
雪の結晶はひとつとして同じものはないという
そうしてこだわった結晶のひとつひとつ…
もう 解けて消えてもいいと思ったんだ

君の涙が地に落ちると もう解けるしかない…
もう解けてしまってもいいと思ったんだ



1151527スノーフレーク.jpg




降る雪の結晶の一つ一つがきれいなので
手を差し伸べると
きれいな結晶を見ることができたかと思うと
瞬時に解けて消えてしまいました。
衣服などの上ではしばらく雪の結晶を
楽しむことができますが
人の体温はあったかいんですね。
そんなはかない雪の結晶を見ながら
作った詩です。

以前紹介した
「どうせ解けてなくなる運命なら」
は敗れ去った恋のはかなさのような詩ですが
これは続編でしょうか。
それまで愛を得ることのできなかった孤独な人が
今度こそ
愛に出会ったかなぁというような…。

雪はいろんなインスピレーションを与えてくれます。




よい一日 よい夢を

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「季節の詩 愛の詩」一覧
posted by kuri-ma at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ★季節の詩 愛の詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月27日

1《早春譜》 心の高みに咲く花 「待ちびと暮らしの達人たちへ」より  【三月さくらX-2】

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早春に
8日間で贈る愛の物語──
「心の高みに咲く花」
小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
群生。


息をひそめるように
そっと見守るような
そんな愛もあるのです
早春にお届けするkuri-maもお気に入りの一篇。
1週間ほどでまとめてお送りします★



三月、さくら待つ月 四月、しあわせの始まり

ڿڰۣ


第X部 待ちびと暮らしの達人たちへ



     第二章 心の高みに咲く花



触ったら 壊れそうな
さまよう心を つかめない
さくらの蕾は 固く結ばれたまま

さっきまで 笑っていたのに
さよならは きっと言えない
覚めない悪夢の中の
冴えないヒーローだった
悟ってもいい頃だね もう
支えがいるのは 僕の方だったと

触ったら 壊れそうな
さまよう心を つかまえて
最後まで笑顔でと 心に言い聞かせる

   サンドイッチのパンのような
   さよならと
   再会に 挟まれている

さっきまで 浮かんでいた夢
さってしまった昨日
さみしさは 慣れることはない
ささやくように何度も
最愛の名前 渇き切った
砂漠に水を注ぐように繰り返す

   さりげなく聞いてみた
   最高と
   最善の 違いは何だ?

最初から 君しかいなかった
差し出した手を取り
冷め切った胸 温めよう
さき初めの花は 
寒さに戸惑っている 

         (三月、さき初めの花)




「お前、それがどういう意味かわかってないだろ」と峻は言った。「本当にそうしてほしいのか?」
「うん。後八年ちょっとだもん。私すぐに大人になるから」と、茜はまっすぐな瞳で峻を見つめて言った。
「焦って早く大人になれるものでもないし、なるものでもないさ。十代と二十代は時間の流れ方が違うんだ」と、峻は言った。
「じゃあ、後四年ちょっと。十六で結婚できる」
「親の同意がいるだろう」
「パパもママも峻を気に入ってるし」
「マスターは絶対に許すと思わない」
「パパとママは十二離れてるのよ。私たちは十一だけだし」
「ていうか、そういう問題じゃない。俺が決めるさ、誰を嫁にするかは。お前が決めつけるなよ」
「茜が好きだって言ったでしょ」
「そんなこと…」言っていないという言葉は、茜の声にかき消された。「言ったよ!絶対言った」
「…あの時は、酒を飲んで酔っていた。冗談だと言ったろ」
「わかるよ、峻のこと。嘘か本当か。お酒飲んでるとか、関係ないもん」
「お前は、何言ってるかわかってないんだよ」
「とっても大切なことだから、今言ってるの。峻は、卒業したらここにも来なくなるんでしょ。素敵な恋人ができるかもしれない。でも私は、ずっと峻を好きだから。大人になったら、お嫁さんになってあげる、ってこと。峻が待てないならいいの」
「茜…」峻はしばらく何と言っていいかわからなかった。
 峻は“星の家”で四年間バイトをしてきた。卒業を前にしたある日、店のマスターの娘、茜が、彼に向かって突然の爆弾発言のような告白をしたのだった。彼女はまだ小学生、十二になる前だった。
 峻は、その年の離れた茜をとても可愛がってきた。茜の兄の星矢と一緒に、趣味の山登りに連れて行ったことも何度かあった。
 二人きりで出掛けたといえば、青山家の葉奈が亡くなった時、茜を連れて、お焼香に行ったことが唯一だろう。
 峻はようやく口を開いた。「待つとか待てないということじゃなくて」
 そして、結論を出した。
「…どうせ、言ってもわからないだろう。よし、こうしよう。お前が大人になってから考えよう。二十歳になってからだ。その時にならなければ、話してもしょうがないだろう。だからって、無理に大人になろうとするなよ」
 そう言って、峻は強引にその話を終わりにした。

 まだ、幼すぎる茜と、今このような話をしたくなかった。
「本当に。何を言ってるのかわかってないんだよ」一人になると、彼は呟いた。「待ってて、なんて言われたら、待ってみたくなるだろう」
 峻は期待してしまう自分が、怖かった。八年と数ヵ月と、簡単に言うが、その間に変わるのは、自分でなく茜の方のはずだ。茜はあっという間に大人になるだろう。その時、今のように「峻が大好き」と、言ってくれるだろうか。そうとは思えなかった。
「峻、茜が大人になるまで、待っててね」
 茜の澄んだ目と、透る声で告げられた言葉を振り払おうとしても、どうしても振り払うことができない峻だった。
1

「待つ」という言葉が
社会人になろうとする峻と、
まだ小学生の女の子にとって
どんな違いと、どんな意味があるんでしょうか?
続きをお楽しみに!

前後のお話 はこちらから→ 最新版 三月さくら 目次
                        
登場人物の確認は家系図で→ [三月さくら 家系図1]



よいい一日 よい夢を

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写真は:群生。
by (C)芥川千景さん
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