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2015年12月31日

15 《あの人は広い傘をもっている》 Sean11 真実(前)

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小説 ▼△あの人は
広い傘をもっている△▼
2011.06.05 和泉川 サトイモ


いよいよ暢の秘密が明かされます。
その真実とは…


Sean11 真 実 127486796702016104458.jpg



 マンションでは、暢を前に春子が話していた。「『あなたのしていることは、産みっぱなしの方がマシでしょう』って言ってあげたのよ。『無責任に出てきてあの子の幸せを邪魔しないのよ。佑太を母親としてしっかり愛してくれる人がもういるんだから』ってね」
 暢にはもう、春子に言い返す気力は一つも残っていなかった。それよりも、百合子が美里に、今にも真実を話しているだろうと考えると、気が気ではなかった。
「大丈夫。美里さんもきっと納得してくれるわ」春子は晴れやかな声でそう言った。
 暢の顔は母とは違って険しく、何も言わず携帯を取って百合子に電話をした。
「やっぱり話すな、あのことだけは」
「どうして?」と、電話口で百合子が言った。
「話す必要ない」
「遅かったわね。もう話しちゃったわ。隠すのは大変だったけど、話すのは簡単ね」
「そうなのか…」
「どうして、そこまでして知られたくないのかしらね」
「まだいるのか?」
「いるわ」
「もう、それ以上何も言うな」
「今はね、私と染野の出会いを話してたんだけど」
「僕や佑太のことは話すなっていうんだ」
「はいはい。でも自然にあなたたちの話題になるのよね。…わかったわ、怖いわね」と、百合子は言った。
 百合子の部屋で、美里は座ってその電話での彼女の受け答えを聞いていた。その顔には泣いた痕跡があったが、もうその瞳は濡れてはいなかったし、微笑みさえ浮かべていた。

「佑美は、長尾君の奥さんでも恋人でもなんでもないのよ」と、百合子が言った時、美里は何の話かまだピンと来ないようだった。
「え?」
「あの子は、佑太君の母親は母親でも、あいつとは教師と教え子の関係に過ぎないの。だから、あいつは結婚経験ないのよ」
 そこまで言われて初めて、美里は理解することができた。
 そうやって、百合子から告げられた事柄は、とても衝撃的だったが、美里には、不思議とそれを以前からずっと知っていた事実のように、自然に受け入れられたのだ。
「先生らしい」と、まず美里はそう言った。
「長尾君のお母さんも言っていたわ。昔からね、かわいそうって思うと、自分が何かしてあげたいと思う子だったんだって。怪我したネコを拾ってきたりね。
 長尾暢の最大の弱点は、同情心よ。
 もちろんそれが彼のいいところなんだけど。高校生で妊娠した教え子と、生まれた赤ちゃんを放っておけなかったのね」
「本当に先生らしい。それで佑太君のパパをかって出たんですね」
33

暢の弱点は「同情心」ですか。
これって、美里のお節介にも通じますね。
「真実」の続きは明日。






熟女の涙。


暢は佑太の実の父ではなかった!
真実は、更に表れていきます★


「ずいぶん悪い噂が流れたみたいよ、あっちの高校では。教え子に子どもを産ませたみたいな」と、百合子が言った。
 ありそうな噂だと美里は思った。人は残酷だ。
「だから、この街に来たんだと思うわ。あいつにはあの頃、付き合っていた人がいたらしいの。お母さんの話では、結婚話にもなっていたらしいけど、佑太君を選んで、流れたらしいわ。噂を信じたわけではないんだろうけど」
 暢からもう自分や佑太の話題を挙げるなといさめられたことを気にする様子もなく、百合子と美里は話が尽きなかった。
「佑太君とは、血がつながっていなかったんですね。とってもよく似てるのに…」
「似てると思う?」
「一度決めたら、曲げないところ」
 百合子は笑った。「花火の時なんか、佑太君の粘り勝ちだったわよね」
「そうそう」
「でも、佑太君の方がずっと素直よ」
「ええ。とっても聞き分けのいい子です。今度何々を作ってあげるって言うと、しっかり我慢できるんです。ホントえらいし、健気で」

 マンションでは、長い昼寝から起きた佑太と共に、暢と春子が食事をしていた。
「パパ、サンタさんもう来る?」
「まだだよ。帰ってねんねしてからだ」
「おうちに帰るの?」
 春子が言った。「佑太、ここに泊まっていく?」
「へぇ、ここに泊まるの?」
「そうよ、ベッドもあるのよ。お風呂も大きくてきれいよ」
 食事が終わると、春子は佑太を連れて寝室や風呂場を見せて回り、佑太は興奮して、歓声をあげた。
 しかし、また急に思い出したように真剣な顔で言った。「でも、帰らなくちゃ。サンタさん、僕がここにいるの知らないから、困っちゃうよ」

 
「実はね」と百合子が明かし始めた。「佑美が言ってたのよ。『佑太を引き取ってくれたことは感謝してる。もしかして、下心があるのかと思ったけど、全然なくて拍子抜けした』って。教え子としか見なかったのよ、少なくともあいつは」
「誰にでも優しいって思ってたけど、本当ですね」と、美里は言った。
「自信持ちなさい。みんな美里さんの味方よ」と、百合子はまたにっこり笑いかけた。美里も微笑んでそれに返せる余裕が出てきていた。
 百合子は更に言った。「お母さんも言っていたわ。あなたのこと『もうお嫁さんにと決めている』って。あなたに話したかったんだけど、あいつがその気にならない限り、美里さんに下手に話したら、ぬか喜びさせてしまうだけだしって、そう言ってたわ」
「それを聞くだけで嬉しいですけど」美里の笑顔はまだ少し寂しげだった。
34

みんなが美里を応援したとしても、
肝心な暢の気持ちが得られないんですよね。
彼の真実の思いはどこにあるのでしょうか。

目次・登場人物紹介は
こちらから ↓

目次 ▼△あの人は広い傘をもっている△▼




よい一日 よい夢を

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写真は:33  サトイモ
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34 熟女の涙。
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雨雫 VII 音楽・ピアノ by Masashi Yamanaka


2015年12月30日

14 《あの人は広い傘をもっている》 Sean10 伏兵現る!

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小説 ▼△あの人は
広い傘をもっている△▼
2010.11.26 和泉川 キバナコスモスにヤマトシジミ


この人を忘れていました。
第三の女の再登場です★


Sean10 伏兵現る! 127486796702016104458.jpg



 インターホンの画像を見て、暢は驚いた表情をしたが、入って来た若い女性の姿を見ると、春子の顔色も露わに変化した。それは佑太の母親だった。
「なんで、あなたがここに?」と、春子は上ずった声を抑えるように言った。
「ああ、久し振りです」と、その女性は春子に言った。「あの店で教えてもらったの。“さと”だっけ」
「“さと”で教えるわけがないでしょう。お祖母さんがいなかったの?」
「お祖母ちゃんは知らないって言ってたけど、美里って人に聞いたの。ここまで案内してくれたんだけど」
「美里さんはどこなの?」
「これ、預けて行っちゃったわ。佑太に渡してって、ハイ」彼女は悪ぶれもせず、プレゼントの包みを差し出した。
「あきれた。暢、行きなさいよ、早く」と、春子はとにかく暢を追い立てるように、外に行かせるとその女性に向き合った。
「まぁ座って。佑太は寝てるわ」
「食事会だって言ってたのに、他の人はいないの?…ですか?」彼女は、ようやく溜め口がまずいと気が付いたようだった。
 春子は強張った顔から一変、微笑を浮かべ、彼女に対した。「佑美(ゆみ)さん、あなたあの子の母親だってことを、言ってないわよね」
「誰に…ですか?」
「誰にでもよ。まさか“さと”で言ったりしていないでしょう?」
「言わなくったって、知ってましたよ」
「知ってたって、美里さんも?」
「ああ、そういえば、佑太のママかって、さっき聞かれたから、ウンって言ったけど」

 暢は美里を追ったが、見つけられなかった。何度も携帯に電話しても繋がらなかった。
 一旦暢がマンションに帰ってくると、春子が佑太の母、佑美に向かって言い聞かせるように話しているところだった。「このマンションはね、暢の新居になるのよ」
 暢が何か言おうとしても母に遮られた。
「母親だからって、いつでも会いに来るなんてブシツケすぎるわ。暢は佑太の親なのよ。あなたの恩師でもあるの。せめて、伺いを立ててから訪ねるのが、礼儀でしょう。もうあなたも成人したんじゃないの?」という春子の言葉に「はい」と、佑美は答えた。
「母さん、いいだろ、もう」と、暢は佑美をかばおうとするのだが、春子は、更に気持ちをどこかに押さえ込んだように、にこやかな笑顔を浮かべて言うのだった。
「同じ女として、よかれと思って言っているの。一人前の女性なら、できるわね。今日はクリスマス・イヴでしょう。他の人も来る予定だったけど、水入らずにしてあげたいって、遠慮してくれたの。
 あなたも、こういう日は寂しくなって子どもに会いたくなるのもわかるわ。でも、暢と佑太のことも考えてあげて」
30

佑太の母、佑美(ゆみ)。。。
ここで出てきましたね。
暢の母はどうも気に入らないようですが…。
引き続き、↓次の回もご覧ください。






2010.11.26 和泉川 キバナコスモス


佑太の母の実在を知ってしまった美里。
佑太の名前は母から取ったんですね。
暢の母が、佑太の実母に言い放つシーンから★


「どうか、お願いね」と春子は話を締めくくって、そう言った。
 佑太の母、佑美は、黙って頷いた。
「プレゼントは渡しておくわ。佑太の寝顔でも見ていって」と春子は言った。
 佑美は暢の方を見て言った。「先生、おめでとう。…相手って、美里さんって人?あの人なら、佑太も先生も幸せになれるよ」
 そう言われて、暢は訂正することもできなかった。
 佑美が行ってしまってから、暢は春子に向かってようやく口を開いた。「母さん、結婚のことは決まってもいないだろ」
「あの人には、ああでも言わないと、納得しないでしょ」
「そんなことないだろ。言わなくてもいいことを言うなよ」
「でも、あの人と初めて意見が合ったわ」
「何が」
「美里さんのことよ。そうよね、誰でもお似合いだと思うもの」
「これ以上言うなよ。相当なほら吹きだね」今日は母の意外な面ばかり見て、頭も回らないくらいあっけに取られている暢だった。
「それより、美里さんは?」と春子が言った。
「いなかったよ。携帯に電話しても出ないんだ」
「なんてこと、きっとショックを受けてるわ」
 そう言っているところに、春子の元に百合子から電話が来た。
「そう。今から会うのね。そうなのよ、佑美さんが今までここにいたんだけど、言っちゃったていうの。あの人には私から相当厳しく言っておいたわ。美里さん、ショック受けてたでしょう。……話す?そうね、任せるわ、この際、話してしまった方がいいわね。私が今日話すはずだったことも一緒に、お願い。…暢?……ええ、わかったわ。……キツネにつままれたような顔をしてるわ」と、春子は笑いながら電話を切った。
「誰だ、前川か?」と、怪訝な顔で暢が言った。

「佑くんのママは生きていた」と、美里は声に出して言ってみた。
 暢が結婚の意志がないのは、佑太の母親に未練があるからだろうと、美里はどこかでそう思っていた。いつか忘れてくれるかもしれないと思っていたのに。しかし、死んだのではなく現実にその人がいて、暢と佑太と三人で何度も会っている。自分が入り込む隙など最初からなかったのだ。
 美里は、どうしても、涙を抑えることができなかった。行き交う人に見られるのは恥ずかしかったが、そんなことももう、考えられなかった。
 それほど遠くない百合子のアパートに、ようやく到着した時、長旅の後に懐かしいはずの故郷が変わって見えるように、まるで違う街で彷徨って来たかのような気がしていた。
 美里は百合子の顔を見るなり、またボロボロと涙を流した。
31

やはり美里は、ボロボロにショックを受けていますね
期待していないはずなのに…
さて、いよいよ暢の秘密が明かされる時が!
引き続き、↓次の回もご覧ください。






2009.12.06 和泉川 コダチダリア


佑太を産んだ佑美の存在は
伏兵になりうるのでしょうか?
(十分ショックを与えられましたが)★


 百合子は美里にいたわりの声を掛け、温かい飲み物を出してあげ、しばらくは彼女の気持ちが治まるのを待った。そして、優しく言った。「なんで、佑美をマンションに連れて行ったりしたの?」
「だって、佑君はママをほしがってるんですよ、とても。クリスマスにサンタさんに頼むくらい。だから、ママがいけば喜ぶんじゃないかって」
「実の母親のことを恋しがってたわけじゃないでしょ、佑太君は。あなたにいてほしかっただけでしょ」
「でも、ほら、先生と結婚すれば本当の親子になるし」
 百合子はあきれたような声をあげた。「誰も考えてもいなかったことよ。佑美ってあの子はね、確かに子供は産んだけど、まだ中身は自分も子供みたいなものよ。長尾君もお母さんも、想像すらしたことがないはずよ」
「だって…」
「そんなこと考えて、ビエビエに泣いてここに来たのね。この際だから、もっとはっきりさせるから、聞きなさい」
 百合子がまず話したことは佑美のことだった。
「私はね、あの子、佑美に会って話したことがあるのよ。佑太君の実の母親だって知っていたから、何度も“さと”に来て、どんなつもりか聞きたかったの」
「いつですか?」
「あなたに連絡をもらって“さと”に行ったでしょ、あの後よ。私ももしかして、長尾君に気があるのかなとか、佑太君を返してほしいのかなとか、思っちゃって。あなたを応援している立場上、知っておかないではいられなかったの。
 あの子と話したら、ホント普通の若い子と同じだった。子供は産んでるけど、親としての自覚はないのよ。ただ、社会に出て、多少苦労はしているし、あの年で男運は悪いから、ちょっとは考えるようになったみたい。産んだ子のことが気になって会いたくなったのね。かわいそうな子なのよ、佑美も。それにあいつはあの子の先生だから、甘えられるんじゃない。人恋しさみたいなものね。
 佑太を引き取りたいなんて、全然思ってないようだったわ。だから、安心して」
「百合子さん、その、佑美さんが佑太君のママなんですよね。いくつで産んだんですか?」
「18よ。高2で身篭って、高3で産んだの。」
「っていうことは、先生は?」
「彼はその時の担任だった」
 美里の顔を見ながら、百合子は言った。「でもね、それだけよ」
「?」
 美里は百合子の口から今にももれそうなその真実を、まだ予想してさえいなかった。
 
32

暢と佑美と佑太
この関係には秘密がありそうです。
真実が明かされる時が来ています。

目次・登場人物紹介は
こちらから ↓

目次 ▼△あの人は広い傘をもっている△▼




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31 キバナコスモス
32 コダチダリア
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2015年12月29日

13 《あの人は広い傘をもっている》 Sean9 マジックの種明かし(後)

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広い傘をもっている△▼
灯り・・・


種明かしが済んだなら、
暢はどんな選択を?★


 暢は春子の説明を聞きながらも、また別の疑問が起こってくるようだった。
「ちょっと待って。美里さんに縁談があるというのは“さと”のお祖母ちゃんから聞いたんだよ。じゃあ、その相手は誰なんだ」
「わからない?誰もいないわ」
「…いない?」
「あなたの他にはね」
「僕?」
 混乱する暢に、春子は、百合子とともに計画していた内容と、それにマツも関わっていることを話した。
「前川の次は美里さんか?!そんなに結婚させたい?」
「あなたも美里さんが誰かと結婚すると聞いて心が揺れたはずよ。それに佑太の願いもあるでしょ。サンタさんにママをもらうつもりでいるわ」
「母さんが佑太に吹き込んだの?」
「人聞きが悪いわね。本当に佑太が願っていることをあなたは知らないの?」
 知らないわけがなかった。
 春子は言った。「今日6時に美里さんをここに呼んであるの」
「店があるだろう」
「お祖母ちゃんから許可をもらってるから大丈夫」
「…何をするつもり?」
「佑太の願い通り、美里さんをママにしてあげればいいでしょう。クリスマスプレゼントなんだから。イヴぐらいは一緒に過ごす人がいてもいいでしょ」
「プレゼントの件は決着が付いているよ、レスキュー車がいいって。ちょうど寝たみたいだから、ちょっと見ててよ、買ってくるから」
 遊び疲れて寝てしまった佑太の顔を間近に見てから、暢は一旦春子から逃れるように、外に出た。
 混乱した頭は徐々に整理されてきた。
 母の春子、百合子、そして美里の祖母マツが、自分と美里を、何が何でも結び付けようとしている。
「よけいなお節介なんだよ。人の気も知らないで。そんなわけにはいかないっていうのに」と、暢は呟いた。
 暢は正直、母親たちに騙されたことは腹立たしいものの、美里が結婚しないのだということに、ホッとしている自分に気づいていた。
 もうケリを付けて、距離を置かなければならないと思おうとしていたのに、少なくとも今すぐ変わる必要はない。今まで通りでいいのだ。
 そのホッとしている真の原因からは目を逸らしたままで、暢はまた呟いた。「そうだ、何も変わらない」

 さて、昼の忙しい時間を過ぎると、遅い昼休みの休憩をし、夜の仕込み以外は暇な時間になる美里は、一人考え事をしていた。
 昨夜佑太が眠ってしまう前言っていた言葉が心に残っていた。「お姉ちゃんだよ!サンタさんがね、佑太のママをくれるの」
 佑太とは本当に心が通じていると思った。
「佑くん、お姉ちゃんもおんなじ気持ちよ。でもねぇ、…サンタさんは、パパなのよ」と、美里は口に出して言った。
28

暢が結婚に乗り気ではないのは
何か理由があるのでしょうか
サンタ・パパ、
一体どうする???
引き続き、↓次の回もご覧ください。






キャンドルに芯を、フォトにはピントを。


種明かしは済んだのに
暢は母の願うようには
簡単になってくれないようです。
息子の佑太は
美里を母にとサンタにお願いまで
しているというのに…。
“さと”での場面から★


「何、ぶつぶつ言ってるんだい?」と、マツの声がした。「美里、あんたもクリスマス・イヴくらい出掛けてきたらいいよ」
「お祖母ちゃん、何言ってるの、今夜もお店開くんでしょ」
「この店にはイブに来るような客は少ないから、心配しなくていいよ」
「そう?去年のイブはそれなりに忙しかったわ」
「さっきさ、百合子先生から頼まれてね。今夜もマンションに集まるんだってさ。昨日、あんたに食事を用意してもらったお礼に、ご馳走するって言ってたよ。佑太君と先生も呼んであるみたいだから、行っておいでよ」
 百合子からもメールが入り、美里はやはり行くことにした。いろいろ複雑な思いはあっても、佑太と暢のいるところに行きたいのだった。
 
 一方クリスマス・プレゼントも買って、一旦家にそれを置いた暢もマンションに戻っていた。佑太を連れて帰るという暢に、春子は言った。
「まだ佑太も寝ているわ。夕飯を作ってあるから、食べてから帰りなさい。なんなら、もう泊まることもできるのよ。寝具もそろえたから」
「もう、美里さんが来るだろう?」と、暢。
「だから言ってるの」
「母さん、やめてよ。僕は結婚しないんだから」
「どうしてそんなこと言うの」
「母さんには申し訳ないけど、それで僕は幸せなんだ。佑太を手放したくない」
「…佑太を手放す?…まさか母親が何か言って来たの?今更何も言う資格はないわよ、あの人には」
「母親なんだから、そうはいかないよ。決めてるんだ。僕は結婚しないよ。だからこういうことは、もうやめてよ。美里さんにも悪いだろ」
「佑太の母親が何なの。私はあなたの母親なのよ」急に春子は口調を変えて言った。「佑太が願ってること、一晩だけでも叶えてあげたらいいの。クリスマスなんだから。あの人の好きにはさせないわ」
 春子は、佑太の母親に対して相当いろいろ思っているようだった。いつも朗らかで温厚な人なのに、まるで人が変わったようだった。
 春子は言った。「じゃあ、わかったわ。結婚しろとは、もう言わない。今晩と明日だけならいいでしょ。クリスマスくらいは子ども中心に考えなさい」
「何、佑太の前で親子ごっこでもしろっていうの?後が大変だろ。もっと期待して、離れなくなる。それこそかわいそうだろ」
「いいのよ。言う通りにして」
「横暴だよ」
 春子の絶対後には引かない迫力に圧倒されながらも、暢の方もYesとは言わなかった。
29

堂々巡りのようなお話ですが
ちゃんと動いているのです。
sean9は今日で終わりますが
これから思ってもいない展開が…★

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写真は:28 灯り・・・
by (C)ヨマさん
29 キャンドルに芯を、フォトにはピントを。
by (C)芥川千景さん
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