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2015年11月30日

14《ラブ・ファンタジー》 時間(とき)の追いかけっこ2  [THE PAST POST] 時の追いかけっこ

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[THE PAST POST]  
▼△時の追いかけっこ△▼
雨上がりのclover・・


このままかすみが
ポストを見に来なければ、
もう彼女を永遠に失ってしまう?!★


 森口講師がまた言った。
「亡くなった当日も見掛けたような気がしたのよね。私は本館から見たから確かじゃないんだけど、ここで見たって生徒もいたの。先生との約束の前に来てたのかなって、思うの」
 !!
 そうだ、絶対かすみは死なせない。
 その目撃情報は、かすみの日記の続きで確かだとわかった。


 明日会う先生との約束はとても嬉しいし、楽しみ。
 でも、私の求める先生は五年後にいる。
 いつか追いつけるの?

 斉藤先生に手紙を書いた。
 久し振りの手紙。
 見てもらえるのは、まだ先だって分かってるけど…。
 明日、先生に会う前に高校に行って出してくる。

 それから、もう一通。
 何もかも話すつもりだけど、話せなかった時、
 五年後の先生には打ち明けようと思う。
 何もかも、明日はっきりさせる、そう決めた。

 
 
 かすみの最後の日記は、一日の欄に収まるように普段より細かい字で詰めて書かれ、それでも足りなくて、枠外にも続けて書いてあった。
 翌日から書くことがないとは想定しなかったのだろう。その後の何ヵ月もの空欄の白さが、あまりに空しかった。
 つまり、かすみは死の前日、二通の手紙を書いた。
 一通は時間のポストで当日、事故の直前に、五年後に向け送った。
 そして、もう一通はもしも話せなかった時のために後で投函しようと持っていた。それが、私が今日、ようやく目にした彼女の遺留品の手紙というわけだ。
 いずれにしても、明日、彼女がここに来るのは確かだとわかった。
 なんとか、間に合いそうだ。私は心から安堵して、思わず大きな息まで漏らしてしまった。
27

かすみと連絡が取れるという
希望が持てました。
辛いとしか思えなかった現実に
向き合えるゆとりも出たでしょうか。
引き続き次の回もどうぞ↓






沈む細月


5年の時差を越えて
かすみの死の前に
滑り込みセーフできそうです☆


 その時、訳も分からず付き合わせてしまった森口講師の存在に気づき、礼を言い、一旦は一緒に部室を出ることにした。
「まあ、星がきれいね」と、講師が声を上げるので、見上げてみたが、今までいた村の満天の星空を思えば、あまりに貧弱だった。
 これが、日本だ。星より、コンビニや自販機の灯りの方が明るすぎるという、それが、豊かな日本の現実だ。
 森口講師を見送りながら、いつの間にか、笑顔を浮かべている自分に気づき驚いた。
 今まで、しっかり見据えることがきつすぎると感じていた現実だったが、受け止めることができるようになったのかもしれない。
 かすみを取り戻せるのなら、何でもできる、そんな静かなパワーがみなぎるのを感じた。
 四年以上帰らなかった日本。
 待っているだろう、両親や家族のことをふと思い出した。でも、今日帰るわけにはいかない。家に電話して帰宅は明日になると伝えた。

 今夜は、ずっとポストのそばで過ごそうと思った。
 私は、近くのコンビニで食料を買い込んだ。
(コンビニの進化には、いささか驚いた。四年前より数段コンビニエンス(便利)になっている。
 様々な誘惑に駆られながら、それでも絞り込んで購入した。弁当類だけでなく、アイスクリームとデザート、またその後コーヒーも買いたくなり、アイスとホットを頼んだので、店員も驚いていた。一人で食べると知れば、もっと驚いただろう。)
 部室に戻り、楽器部屋の机に食料を置いた。
 ボランティア先からのわずかな手荷物の中から寝袋を取り出し、寝床も用意した。
 腹ごなしをした後は、かすみの日記と向き合い、それから、最後の準備をするつもりだった。
28

時の追いかけっこ、
先に行っていた彼が戻れば、
時も捕まえられる?!
 [THE PAST POST]
▼△時の追いかけっこ△▼

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2015年11月29日

(詩) 初雪 〜愛の魔法が解けるまで〜 2015

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まだ初雪の便りは
聞かれないでしょうか。
いよいよ冬支度ですね。
暖かいコートとマフラー、
暖房器具…、
そして何よりも、温かい愛情があれば★

雪の結晶〜見守って〜



「 初 雪 」 
〜愛の魔法が解けるまで〜 




淡い初雪が消えるまで 
愛の魔法が解けるまで 

初雪はうっすらと地を覆って 
私の心にベールをかける 
君はうっすらと微笑を浮かべて 
ほのかに熱くほてった頬を押さえた 

初雪はきらきらと空気を浄め 
この地に魔法を掛ける 
君の黒髪に掛かる純白が美しい 
その雪の結晶をずっと見つめていた 

白さは清らかさの印 
厳しい冬の訪れとともに 
やってくる幸せの予感 

初雪はふわふわと時空を飛んで 
私の心は子どもに戻る 
君の笑顔と声の色は 胸に留めて 
二人雪に はしゃぎ夢中になった 

*

淡い初雪が消えるその前に 
愛の魔法が溶けるその前に… 

いつまでも 笑っていたい
いつまでも 愛していたい
悲しいことも あるだろうけど
辛い時でも 一緒にいたい 

*

初雪がひらひらと舞う風に
私の心は 震えを覚える
君の手を取り 夢を叶えよう
熱い感動の涙は 今度の雪の素になる

雪が解けても放さないよ この手を
魔法が解けても愛し続ける 君を

いつまでも 笑っていたい
いつまでも 愛していたい
悲しいことも あるだろうけど
辛い時でも 一緒にいたい 

淡い初雪は いつかは消える
愛の魔法も解ける日が来る
だけど 二人溶けて一つになって
永遠に 幸せに暮らそう




雪、特に初雪というのは、
魔法の力があるのかもしれません。
しかし、初雪が溶けるまでに、
愛を実らせないと、せっかくの
愛の魔法が解けてしまう?!
そんな、ちょっと心が急くような
しかし、大切にしたい初雪タイムです。

一日で、できるときはできるものです。
この冬の初雪の初もの、です。




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2015年11月28日

13《ラブ・ファンタジー》 時間(とき)の追いかけっこ1  [THE PAST POST] 時の追いかけっこ

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[THE PAST POST]  
▼△時の追いかけっこ△▼
2014.12.23 瀬谷市民の森 消えゆく枯葉


5年前のかすみに
早く知らせなければ!
焦る彼ですが、
肝心なポストが見つからない?!★



Leaves - コピー.jpg時間(とき)の追いかけっこ



「時間のポスト」がない!
 愕然となりながら、また森口講師に電話していると、本人が現われた。私は、焦りで混乱し、その苛立ちをぶつけた。
「先生に預けたのに、どうしてないんですか?見た目は古い下駄箱だから、もしかして捨ててなんていないですよね。僕とかすみにとって、とても大切なもので…」
 よく考えてみれば、自分は森口講師に頼んだ記憶があるが、それは五年前のかすみの行動に上書きされてしまうこともある。それだと探すのが大変だ。
 しかし、森口講師は落ち着いて動き、紙袋に入ったものを取り出した。「これのこと?」
 まさしくそれは、私たちの五年の隔たりを結んだ時間のポストだった。
「ありがとうございます」という口もなんだかガクガクしていたし、それを受け取りながら、わなわなと震えがきていることに気づいた。
 焦る思いで、密封していたテープを剥がし、小刻みに震える手で、扉を開けた。
 千代紙の束が滑り落ちた。
 それは、折りたたまれた鶴だった。
 翼のところに日付が書いてあった。毎月、彼女は、手紙の代わりにそれを折って投函していたのだ。
一通だけ、底の方に入っていた手紙にそれが書いてあった。


 いつも火曜、木曜、土曜日に練習に来ているので、
毎月の最初の日に、手紙の替わりに、
もっと小さいものを投函します。
 先生がいつ戻ってきても、私が元気だってわかるでしょ。
長く留守をしても、ポストがいっぱいにならないように、
小さい小さい鶴にするね……



「森口先生」私は言った。「五年前の九月一日は何曜日でしたか?」
「かすみさんの、お葬式の日が確か土曜日だったわよね…」
 かすみがこのポストに投函する日は月に一度だけ。ここに来るのは、火木土だ。五年前の今日は何曜日だろうか。もう手遅れなのか!
25

せっかくポストは見つけたのに、
五年前のかすみは、
毎日はここに来ないといいます。
ここまで来て
連絡がつかないのでしょうか?!
引き続き、次の回もお読みください↓






2012.06.25 和泉川 アカツメクサ 葉の水玉


5年前のかすみの事故の前に
それをなんとか
伝えて止めたい!
そんな機会はあるのでしょうか★


 とにかく一刻も早く、五年前のかすみに連絡しなければ、と思った。
「森口先生、何か紙ありませんか?」
 そう言いながら、手で机の中をまさぐって、コピー用紙やメモ用紙が入っているのを見つけた。
 そして、メモ用紙に、数行の手紙を書き付けた。


  かすみへ

十三時の中央公園には行かないで。
五年前の僕との約束なのは知っている。
君の生死に関わっている。
絶対に行くな。

斉藤洋樹



 それを、すぐにポストに入れた。
 カサっという微かな音が、五年前のポストに届いたという音だった。

「そうだ、日記だ」
 私は十年日記をめくり始めた。
 最後の日記は、亡くなる前日の八月三十一日だった。


    八月三十一日(火)

 今日は、高校の部活に顔を出した。
 森口先生に、ポストのことをそれとなくお願いした。…



 途中まで読んで、手を止めた。
 私の声はほとんど叫び声に近かった。
「森口先生。彼女が亡くなる前の日、会ったんですか?!」
「ええ、ここに来て、後輩たちの練習を見て。その時、この下駄箱のことをお願いされたのよ」
「なんて?」
「それがね、死を予期していたなんてことはないはずなのに、『私ももしかしたら来れなくなるかもしれないし』なんて言っていたのよ。斉藤先生からの預かり物で、ここにずっと置いてほしいって。誰も捨てたりしないようにお願いしますって」
 予期していたのかもしれない。
「午後練ですか?」
「ええ、きっと夕方五時頃まで練習したと思うわ」
 時計を見たが、もうすでに夜になっている。遅かったか。
26

その日の夕方には
かすみはこのポストの前にいました。
5年の時の隔たりを持ったまま
連絡がつかないのでしょうか。

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