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2020年09月21日

64 志道の最期1 〜泣いてしまうのはきっと… 「涙の女王と笑顔の王」2020 【三月さくらZ2-1】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
2009.05.09 日比谷公園 薔薇


志道の最後の願いとは?
最後まで、わがままというか、
志道は志道というか…★


志道の最期




 志道が父に告げた願いとは以下のようだった。
「まだ作曲し掛けの曲があるんですよ。コンサートもやりたい。もう一度だけでいいから。いつかは、キリをつけなければならないですが」
 志道は、子供たち一人一人と、一対一で、あるいはさちも交えて三人での時間を綿密に取っていった。それぞれの子供たちのピアノ演奏も聞いて、最後の指導の時間を取った。
 志道はコンサートをするつもりでいた。今の志道に、最後まで演奏する体力があるのか、皆が心配するのは当然だった。志道の健康状態は安定はしていたが、さちは強硬に異を唱えた。
 志道は静かに言った。「あなたが反対するのはわかります。でもね、僕は子供たちとあなたに、最後の姿を見せたいんですよ」
「今まであなたが見せてくれたもので十分よ」
「わかってないな」
 そこで、さちは泣き出した。
「どうしてそんなこというの。わかってるから、止めるんじゃないの。あなたはいつだって、音楽のことばっかり。自分の体のことなんか、考えないのよ。それを心配してる私の気持ちも」
「音楽のためじゃないですよ」微笑みをたたえたままで、志道はさちをみつめて言った。「あなたや子供たちを愛しているから。最後のプレゼントですよ。させてください。何度も蒸し返すようですが、僕に音楽の道を行かせた以上は、ここで止まれと言わないでください。今だからしたいんだ。今回しなければ、次は二度と出来ないんですから。そこで死んでもいいと思ってるんですから」
 さちの涙でさえも、志道を止められなかった。
 さちの口からはこんな言葉まで漏れた。「あなたは死ぬ日が近づくのが嬉しいみたい」
 呟くように言ったその言葉を逃さず「そんなことはないですよ」と答え、もう言葉もなくなった涙の女王に対し、微笑みのキングの勝利に終わったかのようだった。
「最後のわがままなんですよ。あなたのために弾くんですから。あなたに会わなかったら、僕の音楽も生まれなかったし、子供たちも生まれなかったんです。僕だけのものじゃない。僕たちの愛の結晶でしょう、子供たちも、音楽も」
 しかし、さちの涙を、どうしても誰も止められなかった。志道の決意を誰も変えられないと、同じように。
「わかってますよ。あなたが心配するのは。泣き虫なのも」彼は優しく言った。「初めて海に行った時のことを、覚えていますか?あの時のことを思い出して、『わかってないな』って、言ったんです。
 実際わかってないですけど、さちさんは。どれだけ、僕があなたを愛していて、離れたくないと思っているか。逝くのは嫌だけど、どうせ逝くなら、思い切りあなたを愛してるって、表現してから逝きたいんです。絶対、あなたが僕のことを忘れないように。子供たちもね」
 志道は静かに話し続けた。そして、さちは涙を流し続けた。どちらに勝敗が下ったかは、夫婦だけにしかわからない。
6

こういうこと、やっぱり言いますね。
でも、本心でしょうから…
志道の最期はいよいよ近づいたようです。

引き続き、↓次の回もご覧ください。






アキハバラ。


「最後にもう一回だけコンサートを」
それが志道の願いでした★


 最後の仕事は、初樹がずっとサポートした。志道は初樹に自分が持っているアイデアを伝えた。
 “Jiro's home”の、支店のライブハウスは、小コンサートができるホールに改装されて“Jiro's music home”と呼ばれていたが、そこで志道のラストコンサートが行われることになった。ラスト≠ニかファイナル≠ニいう言葉はそこにはなく、感謝を込めてという言葉と共に、志道や家族が招待するサンクス・コンサート≠ニいう形で行われた。
 それは、心の温まるコンサートだった。志道を愛する人が集まっていた。
 志道の演奏に先立って、前座を願い出る者も多かった。丹野家の従兄たちのクラッシックのアンサンブルと、治郎と麗美も演奏した。志道は、最前列でその演奏を聴いていた。
 麗美が演奏を終えると、兄妹たちが登壇し、志道を手招いた。
 いつか一世を風靡した四兄弟姉妹(きょうだい)が舞台に立つと、以前にはない風格があり、変わらず流れている兄弟姉妹間の和やかさが、会場全体に伝わった。
 最初のCMは彼らの輝きが若さと共に溢れていた。その後少なくとも数年に一回は、続編のCMを取り続けていた。
 未来と空が舞台を降り、麗美も自らが降壇する前に、志道の妻子を舞台に招いた。
 志道はさちと子供たちを紹介してから、思い立ったように「一緒にやってみますか?」と、言った。
 壇上にある二つのピアノに二人ずつ座り、あぶれた下の二人、長女のみちと、末っ子の志郎がマイクを持った。
 先日、家で遊びのように演ったのと同じ曲、志道が何年も前に作って麗美に提供していた曲だった。下の姉弟が透明感のある声で歌を歌い、ピアノが二台で掛け合って輪唱のように演奏するのが、まるで家庭での様子のようで、楽しげだった。
 そして、続く演目は全て志道の独壇場だった。彼は病というものを感じさせなかったし、手を抜かなかった。丁寧に、そしてまさしく全身全霊を込めて、全てを演り終えた。

 袖にいた初樹に向かって志道は言った。
「伝わったと思いますか?」
「もちろん、しっかり伝わったと思うよ」
 さちがすぐに傍らに現れた。志道はさちに向かって笑い掛けると言った。
「ほら、できたでしょう?」
「ええ、とてもよかったわ」
「僕の気持ちがわかりました?」
「わかってるわ」
 志道はその日は早々に休んだ。志道の口はまだいろいろ話したそうだったが、さちがその口を押さえた。やはり疲れたのだろう、彼はそのまますぐ眠ってしまった。
7

明日は、「志道の最期」
そして
「涙の理由」の最終話です
登場人物の確認は家系図で→ 《17年後》 三月さくら家系図 6



よい一日 よい夢を

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プロフィール
ほんままゆみ(本名:栗原まゆみ)
物心ついた時には、何かを読んでいました。物語は小学生、詩作は中学生から始めるも、世界平和と結婚の夢の前に、一物書きになる夢は横に置いて、気づけば元文学少女に過ぎない、おばさんになっていました。子の乳離れを期に、書き溜めた小説を編集し始め、その後ブログをはじめました。
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【関連する記事】

2020年09月20日

(詩) 悔しいことがあっても 〜九月の応援歌〜  2020


赤勝て、
白勝て!
がんばっての声が
あなたにも届きますように♪

夏の小運動会。



悔しいことがあっても
〜九月の応援歌〜 



 悔しいことがあっても
 腐っていないで あなたらしさが押し込められるから
 空気を変えてしまおう 
 燻ぶった思いを吹き飛ばして
 苦しいことがあっても
 唇噛んで我慢する 次に笑うために
 
 暗い闇夜のトンネルも
  くぐり抜けられる
  雲で覆われたどんより空も
  くっきり晴れる日が来る

  くよくよしないで 悩んでも何も解決しないから
  くたびれた顔している? ため息をうつさないでね
  繰り返し 
 繰り返し また繰り返す それがあなたの力になる

  悔しさも
  苦しさも
  暗い時も
  くよくよ悩む日も
  くたびれて休みたくても
  空気を変えてしまおう 次に笑うために
  繰り返し 
 繰り返し またやってみる それがあなたの力となる




運動会シーズンですね。
この詩は
みんなへの応援歌です。
疲れたり、疲れきってしまったり
くよくよしたり、うじうじしたり
もう くじけてしまいそうな時も
諦めてしまいそうな時も、あきらめられない時も
かけがえのない人生を歩むあなたへの
応援歌になりますように。
9月の「く」の頭韻を踏んで作ってみました。




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2020年09月19日

63 天(そら)からの特別便2 〜泣いてしまうのはきっと… 「涙の女王と笑顔の王」2020 【三月さくらZ2-1】



小説 ▼△三月 さくら待つ月
四月 しあわせの始まり△▼
恥ずかしがり屋さん。


死が近づく時、
誰もが祈ってみたり
あの世のことを考えたりするようですね。
今日は志道と、
父、治郎の会話です。



 志道が居間のソファーにもたれるように座っていた。夜が更けた時間、仕事に疲れてそうやって座っている姿を、治郎は数えられないくらい見て来た。
 たとえ、すごく疲れていたとしても、曲が浮かべば徹夜でもピアノに向かうし、常に精力的に活動していた。父が見ても、タフな男だと思っていたのに…。
 今はベッドで大半は休んで、調子のいい時でも、もたれるものがある場所で座っているだけだった。
「さちさんを、待ってるのか?」と、治郎が声を掛けた。
「ええ、買い物に行ったんです」と、志道は言った。
 いつも忙しいながらも、時間が空けばさちのいる助産院に行っていて、一緒に帰って来たものだ。こんな日が暮れる前の時間に、一人でソファーに座っていることは、めったになかった。
「父さん。イチおじさんと話しましたよ」
「ああ。お前は落ち着いてるな、こういう時でも」
 年を取っても話好きの彼は、息子に向かって話し始めた。「母さんと一緒に、お前のことを必死で祈ったよ。でもな正直最初は空しいだけで、心の整理なんかできなかった」
 ずっと以前、一朗が事故で死に掛けてから、治朗は折りにつけ、祈るようになった。子どもや孫の誕生の時も、両親を送らなければならない時も、そうしてきた。
「イチさんの事故の時もそうだったな。結婚前でさ、葉奈ちゃんはなんていうか、イチさんがいないと、きっと生きていけないんじゃないかって感じでさ。二人はお互いのために生まれてきたみたいだったから。お前も知ってるだろう。あんなに、仲のいい夫婦はいなかったよ。きっと事故があったから余計だろうな。
 お前の病気が治らないと聞いて、母さんは一生懸命祈っていたが、俺はどうも祈れなくてね、ずっとピアノを弾いていた。祈るより、ピアノを弾く方が、心を集中できるからな、俺の場合は。それで、なんかクリヤできたみたいだ」
「祈るなんて簡単じゃないです。ピアノも祈るように弾けることが出来たら、いいですよね」
「いつも、そんな演奏は出来ない。何かに通じるような演奏はね。お前のお陰かもしれないな。
 俺たちは、幸せ者夫婦で、幸せ者の親で、幸せ者のジジババだ。ちょっと今まで神様は俺たち夫婦に甘すぎたかなってくらい。親行がまだ足りないから、隠居してないで、孫たちをもっと責任を持てってな。嫁のことも」
4

引き続き、↓次の回もご覧ください。







父、治郎と
もう時間のない志道との会話★


「お前が心配しなくても、お前の留守をちゃんと俺たちで責任持つさ。それが幸せなことに思えてきたんだ。安心しろ。さちさんは、まあ、時々めそめそ泣くだろうがな」
「ええ。でもそれは前からですから」
「助産院をやらせてよかったな。お前がいなくても、仕事があるし、子供たちもいるし、それが支えになるだろう」
「今は、そう思えないみたいです。やはり仕事をやめて、僕に付いていたら、こんな病気にならなかったのにって」
「いや、お前につきっきりでも、お前の仕事好きは、誰も止められなかったさ。…助産院は閉めていていいのか?」
「患者は、他の病院や助産師を紹介したから、問題ないそうです」
「あの人も、言うことを聞く人ではないから」
「一緒にいられるのは、嬉しいです。さちさんが帰ってきたら、夕飯の支度をするのを見ながら、子供たちの帰りを待って、一人ずつ話をして。やってるつもりで、創作や演奏活動を優先して、ほとんど出来ていませんでしたから」
「お前は生き急いだのかなぁ。休むところを見たことがないくらいだったが」
「仕方がなかったんです。曲が浮かんできたら、それを仕上げなければならないし、僕も演奏して拍手を受けることが、大きな力になってましたから。金儲けのためにしてたわけじゃないですから」
「そうだな。こればかりは仕方がない。ところで、イチさんから聞いたか?とっておきのいい話を持ってるんだが」
「特別便のことでしょ」
「特別便?!」
「あの世からの。バッチリ聞きました。楽しみですよ、今から」
「なんだかお前はコンサートツアーにでも行くような感じだな」
「ええ、今度のは、今までになく長いんです」
「俺もいつか、合流するから」
「それまで、さちさんと子供たちを、よろしくお願いします」
「お前が落ち着いているので、安心した。たいしたもんだ」
「今は落ち着いています。不思議ですが。父さん…」と、志道は最後の願いを話し始めた。
5

あの世からの特別便。
単なる慰めの言葉ではなく、
一朗の体験から出た証言です。
志道は信じているようです。
そして、彼の最後の願いとは?
登場人物の確認は家系図で→ 《17年後》 三月さくら家系図 6




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